監修のことば
1978年7月,世界で初めて体外受精によりLouise Brown嬢が出生したことは,生殖補助医療(ART)時代の幕開けを告げただけではない.この成功はSteptoe and Edwardsによるといわれるように,医師(Steptoe博士)と科学者(Edwards博士)が対等の立場で,もしくは科学者が主導となり医師が手助けして協力し,臨床的成果をもたらした初めてのケースである.このときEdwards博士の果たした役割が現在のエンブリオロジストの原型であろう.以後,欧米におけるARTの臨床的発展はひとえにエンブリオロジストの手によるものであるといっても過言ではない.
1980年代に入り,わが国でもARTが不妊治療に取り入れられ始めた.しかし,もともと日本では医学の基礎研究は医師が行うのが一般的であったため,精子や卵子を扱う培養部門の仕事も生殖基礎研究に習熟した医師の手によって行われる体制でARTが始まった.わが国のARTの現場では,臨床,培養ともに医師自身が行い,おもに検査技師が医師の指導のもと研究協力者として参入するようになったのである.このような経緯から,欧米とは異なり,日本では医師主導のART体制ができあがった.
1990年代になって,日本においてARTは不妊治療の主流となり,実施施設数が急増して,培養の実践経験のない医師が増加した.そして,次第に培養技術に習熟したエンブリオロジストがいなくてはART臨床が成り立たないという欧米型の状況へと移行してきた.
エンブリオロジスト数の増加に伴い,その質の向上と情報交換を目的として臨床エンブリオロジストの会が設立されて,独自の研修体制と実習を提供しエンブリオロジストの認定を行うまでになった.その後,荒木康久博士と佐藤和文氏のリーダーシップにより会員数は増加の一途をたどり,日本臨床エンブリオロジスト研究会へと発展し,2005年には設立10周年を迎えることとなった.これを機に会員の総意として,エンブリオロジストの,エンブリオロジストによる,エンブリオロジストのためのテキストブック作成の機運が高まったのである.
本書はラボワーク部分と基礎,臨床,応用セミナーからなり,ラボワーク部分については,可能なかぎり実際に業務に携わっているエンブリオロジストにより執筆されている.セミナーについてもARTに密接に関連した方々に執筆していただいた.立案の過程からもおわかりいただけるとおり,本書はエンブリオロジストを主たる対象として書かれているが,ARTに従事する医師,ART関連の研究者,また,コーディネーターやカウンセラーにとっても,ARTの実際とその基礎的背景を理解するうえで格好の教材であろう.
本書がARTの発展に少しでも寄与すること,そして何よりARTの目標である“1人でも多くの不妊患者様に赤ちゃんを抱いていただく”ことの実現の一助になれれば,監修するものとしてこれ以上の喜びはない.
2005年1月
福田愛作,鈴木秋悦
序
日本における生殖補助技術(ART)の発展には,先駆的な医師が自ら外国に出て行き,先端技術の導入に努め,定着させてきたという背景があります.その後,技術が細分化されるに従い,生殖医療の専門技術者が生まれてきました.これがいわゆるエンブリオロジストで,この分野の発展において医師の協力者となり,大きく貢献してきたことは自明の事実であります.
われわれは10年前からエンブリオロジストの研究会を立ち上げ,技術のみならず基礎知識の普及にも力を注いできました.当初は研修する場も教本も乏しく,必ずしも恵まれた環境とはいえませんでしたが,真摯なエンブリオロジストたちの努力により,日ごとに研究会も充実してきました.現在,研究会で研鑽を積んだエンブリオロジストが広くクリニックで活躍している姿を見るのは同慶のかぎりです.
最近になり,多数の優れたARTの教本を目にするようになりました.しかし,ARTマニュアルにベストといえるものはなく,それぞれのクリニックに適した方法が工夫されながら用いられているのが現状です.従来の教本と比べると,本書の特徴は大いに異なります.特に第I章,第II章のラボワーク技術編では,それぞれのクリニックでの方法が記載され,しかも実施者でなければ書けない工夫点などが満載されています.第III章の基礎セミナーでは執筆者の長年の経験と実績から蓄積された内容が書かれていますし,第IV章の臨床セミナーでも同様に,治療の最善とする手技に到達した執筆者の苦労が記されています.将来,問題となってくるであろう応用編も第V章に加えました.読者が余白にメモなどを書き込んで自分のマニュアル教本に育てていくことで,必ずやARTラボの座右の書となるにちがいありません.手垢がつくほど読み返していただきたいと願っています.そしてまた,皆様方の意見を反映させながら,さらに優れた教本へと成長させていただきたいと願っています.
本書は,わが国のART治療におけるトップレベルのエンブリオロジスト,研究者,医師を執筆陣に迎え,日本臨床エンブリオロジスト研究会10周年の一里塚として誕生しました.この記念すべき教本に1人でも多くのエンブリオロジストが接することを願ってやみません.
2005年1月
日本臨床エンブリオロジスト研究会
荒木康久,佐藤和文
1978年7月,世界で初めて体外受精によりLouise Brown嬢が出生したことは,生殖補助医療(ART)時代の幕開けを告げただけではない.この成功はSteptoe and Edwardsによるといわれるように,医師(Steptoe博士)と科学者(Edwards博士)が対等の立場で,もしくは科学者が主導となり医師が手助けして協力し,臨床的成果をもたらした初めてのケースである.このときEdwards博士の果たした役割が現在のエンブリオロジストの原型であろう.以後,欧米におけるARTの臨床的発展はひとえにエンブリオロジストの手によるものであるといっても過言ではない.
1980年代に入り,わが国でもARTが不妊治療に取り入れられ始めた.しかし,もともと日本では医学の基礎研究は医師が行うのが一般的であったため,精子や卵子を扱う培養部門の仕事も生殖基礎研究に習熟した医師の手によって行われる体制でARTが始まった.わが国のARTの現場では,臨床,培養ともに医師自身が行い,おもに検査技師が医師の指導のもと研究協力者として参入するようになったのである.このような経緯から,欧米とは異なり,日本では医師主導のART体制ができあがった.
1990年代になって,日本においてARTは不妊治療の主流となり,実施施設数が急増して,培養の実践経験のない医師が増加した.そして,次第に培養技術に習熟したエンブリオロジストがいなくてはART臨床が成り立たないという欧米型の状況へと移行してきた.
エンブリオロジスト数の増加に伴い,その質の向上と情報交換を目的として臨床エンブリオロジストの会が設立されて,独自の研修体制と実習を提供しエンブリオロジストの認定を行うまでになった.その後,荒木康久博士と佐藤和文氏のリーダーシップにより会員数は増加の一途をたどり,日本臨床エンブリオロジスト研究会へと発展し,2005年には設立10周年を迎えることとなった.これを機に会員の総意として,エンブリオロジストの,エンブリオロジストによる,エンブリオロジストのためのテキストブック作成の機運が高まったのである.
本書はラボワーク部分と基礎,臨床,応用セミナーからなり,ラボワーク部分については,可能なかぎり実際に業務に携わっているエンブリオロジストにより執筆されている.セミナーについてもARTに密接に関連した方々に執筆していただいた.立案の過程からもおわかりいただけるとおり,本書はエンブリオロジストを主たる対象として書かれているが,ARTに従事する医師,ART関連の研究者,また,コーディネーターやカウンセラーにとっても,ARTの実際とその基礎的背景を理解するうえで格好の教材であろう.
本書がARTの発展に少しでも寄与すること,そして何よりARTの目標である“1人でも多くの不妊患者様に赤ちゃんを抱いていただく”ことの実現の一助になれれば,監修するものとしてこれ以上の喜びはない.
2005年1月
福田愛作,鈴木秋悦
序
日本における生殖補助技術(ART)の発展には,先駆的な医師が自ら外国に出て行き,先端技術の導入に努め,定着させてきたという背景があります.その後,技術が細分化されるに従い,生殖医療の専門技術者が生まれてきました.これがいわゆるエンブリオロジストで,この分野の発展において医師の協力者となり,大きく貢献してきたことは自明の事実であります.
われわれは10年前からエンブリオロジストの研究会を立ち上げ,技術のみならず基礎知識の普及にも力を注いできました.当初は研修する場も教本も乏しく,必ずしも恵まれた環境とはいえませんでしたが,真摯なエンブリオロジストたちの努力により,日ごとに研究会も充実してきました.現在,研究会で研鑽を積んだエンブリオロジストが広くクリニックで活躍している姿を見るのは同慶のかぎりです.
最近になり,多数の優れたARTの教本を目にするようになりました.しかし,ARTマニュアルにベストといえるものはなく,それぞれのクリニックに適した方法が工夫されながら用いられているのが現状です.従来の教本と比べると,本書の特徴は大いに異なります.特に第I章,第II章のラボワーク技術編では,それぞれのクリニックでの方法が記載され,しかも実施者でなければ書けない工夫点などが満載されています.第III章の基礎セミナーでは執筆者の長年の経験と実績から蓄積された内容が書かれていますし,第IV章の臨床セミナーでも同様に,治療の最善とする手技に到達した執筆者の苦労が記されています.将来,問題となってくるであろう応用編も第V章に加えました.読者が余白にメモなどを書き込んで自分のマニュアル教本に育てていくことで,必ずやARTラボの座右の書となるにちがいありません.手垢がつくほど読み返していただきたいと願っています.そしてまた,皆様方の意見を反映させながら,さらに優れた教本へと成長させていただきたいと願っています.
本書は,わが国のART治療におけるトップレベルのエンブリオロジスト,研究者,医師を執筆陣に迎え,日本臨床エンブリオロジスト研究会10周年の一里塚として誕生しました.この記念すべき教本に1人でも多くのエンブリオロジストが接することを願ってやみません.
2005年1月
日本臨床エンブリオロジスト研究会
荒木康久,佐藤和文
監修のことば
序
執筆者一覧
おもな略語一覧
第I章 ラボワークの実際
1.精子処理―良好ヒト精子の選別(兼子 智ほか)
1 ARTに供する精子は,なぜ精製しなくてはならないのか
2 精子調製の実際
3 良好精子の評価,選別―将来への展望
2.精子処理―C-IVF,ICSIに用いる精子の回収法(縄 公美)
1 精液検査
2 洗浄濃縮
3 swim up
3.精子処理―人工授精(井口めぐみほか)
1 一般的事項
2 AIHの実際
3 人工授精の至適時期
4 人工授精の臨床成績
5 副作用と対策
6 人工授精の限界
4.射出精液の凍結保存―冷蔵凍結法(佐藤和文ほか)
1 準備
2 実施
3 融解方法
4 注意事項
5.体外受精(C-IVF)(藤井好孝)
1 C-IVFの適応
2 精子の処理
3 媒精
4 受精確認
5 C-IVFにおける注意事項
6.体外受精(C-IVF)(田中恵美)
1 培養液の作製
2 採卵
3 精子調整および媒精
4 受精の確認
5 胚移植
7.体外受精(C-IVF)(當仲正丈)
1 卵巣刺激法
2 採卵法
3 前培養
4 精子処理
5 媒精
6 受精確認
7 分割確認
8 胚移植法
9 その他の注意点
8.顕微授精(ICSI)(沖津 摂)
1 採卵から成熟確認まで
2 ピペットのセッティング
3 ICSI操作時のディッシュ内培養液ドロップのレイアウト
4 ICSI操作手順
5 ICSI後の卵子の扱い
6 注入操作後の卵子変性回避のポイント
9.顕微授精(ICSI)(阿部清孝)
1 ヒアルロニダーゼ処理
2 精子の調整
3 ドロップ作成
4 ピペットの選択
5 ピペットのセッティング
6 卵母細胞のセット
7 精子吸引
8 精子不動化と吸引
9 ICSI
10.顕微授精(ICSI)(青野展也ほか)
1 卵子の裸化(ヒアルロニダーゼ処理)
2 ICSI用ディッシュの作製
3 ピペットのセッティング
4 精子の不動化処理
5 ICSIの実施
6 ICSI成功のポイント
11.胚評価法の種類と方法(元石睦郎)
1 前核形態による評価法
2 分割期胚の評価法
3 分割スピードによる評価法
4 同一割球内の多核の有無による評価法
5 胚盤胞の形態学的評価法
12.アシストハッチング―PZD法(渡邉英明)
1 準備
2 方法
3 施行時期
13.アシストハッチング―Bio-Cut BLADEによる機械的AHA法(佐藤節子)
1 適応
2 準備
3 手技
14.アシストハッチング―透明帯十字切開法(武田信好)
1 生理的なハッチングとは
2 アシストハッチングの適応
3 透明帯十字切開法の実際
4 従来のアシストハッチング法(切開法・開口法)の問題点
5 透明帯十字切開法の利点と欠点
6 受精後の透明帯の役割
7 透明帯十字切開法の施行時期
8 アシストハッチングと凍結保存法
15.アシストハッチング―薬剤処理によるアシストハッチング法(大橋いく子ほか)
1 AHAの適応
2 透明帯部分菲薄法
3 透明帯全周菲薄法
4 考察
16.精巣精子の回収と凍結(鈴木守男)
1 準備
2 精子回収
3 精子検索
4 精子凍結
5 精子融解・洗浄
17.精巣精子の回収と凍結(福永憲隆)
1 前日の準備
2 当日の準備と介助作業
3 スライドグラスを用いた処理
4 処理組織の精製
5 精子の確認・回収
6 精巣より回収した精子の凍結
18.卵子,胚凍結(緩慢凍結法)(前田真知子ほか)
1 凍結の時期
2 手技
19.卵子,胚凍結(急速凍結法)―Cryoloop(向田哲規ほか)
1 方法
2 臨床成績
3 AS法とAHA法の臨床的重要性
20.卵子,胚凍結(急速凍結法)―Cryotop(畑 景子)
1 Cryotopとは
2 Cryotop法による胚のガラス化保存・融解プロトコール
3 凍結胚移植の実施例
4 卵子のガラス化保存
21.卵子,胚凍結(急速凍結法)―Straw(1)(佐藤節子)
1 vitrification法の手技
2 凍結融解胚移植のタイムスケジュール
3 耐凍剤の種類と毒性
22.卵子,胚凍結(急速凍結法)―Straw(2)(熊迫陽子)
1 凍結保存における安全性
2 凍結法・融解法
3 成績
23.培養液の組成とミネラルオイルの組成(中澤照喜ほか)
1 培養液の組成
2 代用血清
3 ミネラルオイルの組成
24.顕微鏡の種類と使用上の注意点(田中隆明)
1 ARTで使用する顕微鏡の種類と用途
2 実体顕微鏡の基本調整と使用方法
3 生物顕微鏡の調整方法と使用方法
4 位相差,MC,微分干渉の原理
5 蛍光顕微鏡の原理
第II章 ラボワークの管理
1.ARTラボ管理―エンブリオロジストと医師の役割分担(安部裕司ほか)
1 臨床エンブリオロジストの資格
2 当院における医師とエンブリオロジストとの役割の変遷
3 ARTラボの日常業務管理
2.私のラボ(水野里志)
1 培養室の位置
2 空気の清浄度
3 器具の配置
4 小型インキュベーターの使用
5 非常時のバックアップシステム
3.私のラボ(横山典子ほか)
1 当院の紹介
2 採卵から胚移植
3 回復室
4 培養室
4.私のラボ(清水敏夫ほか)
1 施設
2 培養室内環境
3 培養液
4 培養液の大気下変動
5 必要器材
6 ラボの日常管理
5.ラボ設計―備品整備の要点,備品管理(佐藤和文)
1 光
2 温度
3 エンドトキシン(パイロジェン)
4 インキュベーター
5 超純水製造装置
6 クリーンベンチ
7 実体顕微鏡
8 倒立顕微鏡・ICSI装置
9 遠心機
10 滅菌装置
6.ラボ設計―既成の施設を改良したラボづくり(小笠原綾子)
1 当院の紹介
2 IVFラボ
3 採卵からETまで
4 既成の施設を利用したことのメリット・デメリット
7.器具の滅菌方法と使い分け(立花郁雄)
1 高圧蒸気法
2 乾熱法
3 エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌法
4 低温プラズマ滅菌法(過酸化水素ガスプラズマ法)
8.データ整理(詠田由美ほか)
1 データ管理の注意点
2 集計表とデータベースの作成法―当院のARTデータベースの実際
3 データベースの活用―集計と統計処理の準備
4 データベースの活用―クリニカルパス
5 院内ネットワークの構築
9.事故を起こさないための対策―検査室から(鈴木香織)
1 患者・検体の扱いミス防止システム(人工授精編)
2 患者・検体の扱いミス防止システム(ARTの際の患者確認マニュアル)
10.事故を起こさないための対策―臨床面から(久慈直昭ほか)
1 医療安全管理とは
2 ARTにおける事故防止の基本的考え方
3 ARTにおけるリスク
11.感染症検体の取り扱い(五味淵秀人)
1 院内感染対策
2 取り扱いと感染予防策
第III章 基礎セミナー
1.男性生殖器と精子発生―精子形成とその制御(石川博通)
1 精巣の解剖
2 精子形成
3 視床下部―下垂体―精巣系
2.男性生殖器と精子発生―射精メカニズム(三浦一陽)
1 射精のメカニズム
2 射精障害に対する薬物療法
3 逆行性射精の精子回収法
4 脊髄損傷患者に対する精子採取法
3.女性生殖器と卵子発生―雌性生殖器と卵子発生(北井啓勝)
1 女性生殖器
2 卵子発生
3 減数分裂
4 卵子の数
5 卵胞の形成
6 成熟卵胞
7 卵子の形態
8 卵子発生とホルモン
4.女性生殖器と卵子発生―月経周期と妊娠の成立(三室卓久ほか)
1 性周期にかかわるホルモン
2 フィードバック機構
3 月経周期における変化
4 妊娠成立
5 月経周期の確立と閉経
5.受精のメカニズム―精子細胞膜と卵子の細胞膜融合までの様子(藤江道子ほか)
1 精子の精巣上体成熟
2 受精能獲得
3 hyperactivation
4 先体反応
5 透明帯反応
6.受精のメカニズム―精子の卵細胞質進入後の状態(森藤ゆきほか)
1 膜融合
2 卵活性化/第2減数分裂
3 精子核脱凝縮/前核形成
4 核融合
7.受精の生化学的現象(宮崎俊一)
1 Ca2+ オシレーション
2 精子由来のCa2+ オシレーション誘起因子
3 ホスフォリパーゼCゼータ(PLCζ)
4 PLCζの強制発現によるCa2+オシレーション
5 合成PLCζによるCa2+オシレーション
6 PLCζの活性化
7 PLCζの核移行能
8 Ca2+オシレーションの卵活性化誘発機序
8.卵管の構造と機能(澤田富夫ほか)
1 卵管の解剖・構造
2 卵管の機能
3.卵管の機能検査とその有用性
4.原因不明不妊における卵管の問題点
5.GIFTの有用性の根拠
6.卵管上皮との共培養とその効果
7.sequential mediumと卵管液
9.implantation windowとpinopodes(東口篤司ほか)
1 implantation windowとは何か
2 implantation windowを何で調べるか
3 pinopodesの定義と歴史
4 pinopodesの経時的変化
5 pinopodesの寿命
6 pinopodesの出現時期と子宮内膜厚
7 pinopodesの機能
8 pinopodesの臨床応用
10.胚発生(田中 温)
1 正常月経周期―単一排卵の機序
2 過排卵処理の原理
3 早期LHサージの卵子のクオリティ
4 卵胞血流と卵子の正常性
5 卵胞数と卵子のクオリティ
6 ICSI時の卵子の形態とクオリティ
7 過排卵処理後の卵子の形態とクオリティ
8 卵胞内卵子の成熟および染色体異常の発生のメカニズム
9 染色体異常の発生機序
10 ヒト体外成熟卵子の細胞遺伝学的検討
11 胚発生異常
11.染色体―染色体の基礎(吉田廸弘)
1 染色体の観察
2 体細胞の染色体
12.染色体―不妊症と染色体異常(中岡義晴)
1 不妊症夫婦の染色体異常
2 配偶子の染色体異常
3 胚の染色体異常
4 ICSIにより妊娠した児の染色体異常
13.凍結の原理(葛西孫三郎)
1 凍結融解操作と傷害の回避
2 胚の特性
第IV章 臨床セミナー
1.不妊原因と治療方針(福田 勝)
1 スクリーニング検査で異常が発見された場合
2 スクリーニング検査で異常が認められなかった場合
2.卵巣刺激のプロトコールと薬剤の役割(山下正紀)
1 ARTにおける卵巣刺激法の現状
2 自然周期
3 卵巣刺激法
4 CC法,CC-hMG/FSH法
5 premature LHサージの抑制
6 アゴニスト
7 アンタゴニスト
8 アンタゴニスト―アゴニスト法
3.採卵手技の工夫(京野廣一ほか)
1 採卵時に使用する資材
2 採卵のタイミング
3 麻酔法
4 採卵の実際
5 採卵時・採卵後の合併症
6 採卵終了後・帰宅後の管理
4.胚移植の方法(宇津宮隆史)
1 ET前処置
2 胚移植
3 新鮮胚移植
4 凍結胚移植
5.人工授精(IUI)(幡 洋)
1 分類
2 歴史
3 適応
4 精液の処理
5 排卵
6 人工授精の実際
7 成績
6.TESE,MESA(吉田 淳ほか)
1 精巣上体精子を採取する方法
2 精巣精子を採取する方法
3 閉塞性無精子症・非閉塞性無精子症におけるICSIの成績の比較
7.GIFT,ZIFT(田宮 親)
1 方法
2 必要機材
8.ルテアルサポート(横田佳昌ほか)
1 調節卵巣刺激の際のルテアルサポートはなぜ必要か
2 ルテアルサポートの実際
第V章 応用セミナー
1.基礎のためのIVM(舟橋弘晃)
1 IVMに使用される卵子―卵丘細胞集合体
2 卵丘細胞―卵子間の相互作用
3 Gn誘起性成熟におけるシグナル伝達
4 Gn誘起性成熟とグルコース代謝
5 卵子細胞質成熟の改善に向けた取り組み
2.臨床のためのIVM(福田愛作)
1 ARTの歴史におけるIVM―IVF技術の発達史
2 IVM―IVFの実際
3 わが国におけるIVM―IVFの現状
4 IVM―IVFの注意点と展望
3.二段階胚移植(後藤 栄ほか)
1 二段階胚移植開発の経緯
2 二段階胚移植の方法
3 二段階胚移植の成績
4.PGDのためのPCR,FISH法(竹下直樹)
1 胚生検
2 遺伝子診断
5.フローサイトメーターによるX,Y精子の分離(佐々木捷彦)
1 X,Y精子分離の指標
2 フローサイトメーターとは
3 分離操作の概略
4 フローサイトメーター法の進歩
6.卵の人為的活性化(片寄治男ほか)
1 ICSI後受精障害の原因
2 卵活性化過程における精子の役割
3 精子卵活性化因子障害の証明
4 人為的卵活性化の実際
索引
序
執筆者一覧
おもな略語一覧
第I章 ラボワークの実際
1.精子処理―良好ヒト精子の選別(兼子 智ほか)
1 ARTに供する精子は,なぜ精製しなくてはならないのか
2 精子調製の実際
3 良好精子の評価,選別―将来への展望
2.精子処理―C-IVF,ICSIに用いる精子の回収法(縄 公美)
1 精液検査
2 洗浄濃縮
3 swim up
3.精子処理―人工授精(井口めぐみほか)
1 一般的事項
2 AIHの実際
3 人工授精の至適時期
4 人工授精の臨床成績
5 副作用と対策
6 人工授精の限界
4.射出精液の凍結保存―冷蔵凍結法(佐藤和文ほか)
1 準備
2 実施
3 融解方法
4 注意事項
5.体外受精(C-IVF)(藤井好孝)
1 C-IVFの適応
2 精子の処理
3 媒精
4 受精確認
5 C-IVFにおける注意事項
6.体外受精(C-IVF)(田中恵美)
1 培養液の作製
2 採卵
3 精子調整および媒精
4 受精の確認
5 胚移植
7.体外受精(C-IVF)(當仲正丈)
1 卵巣刺激法
2 採卵法
3 前培養
4 精子処理
5 媒精
6 受精確認
7 分割確認
8 胚移植法
9 その他の注意点
8.顕微授精(ICSI)(沖津 摂)
1 採卵から成熟確認まで
2 ピペットのセッティング
3 ICSI操作時のディッシュ内培養液ドロップのレイアウト
4 ICSI操作手順
5 ICSI後の卵子の扱い
6 注入操作後の卵子変性回避のポイント
9.顕微授精(ICSI)(阿部清孝)
1 ヒアルロニダーゼ処理
2 精子の調整
3 ドロップ作成
4 ピペットの選択
5 ピペットのセッティング
6 卵母細胞のセット
7 精子吸引
8 精子不動化と吸引
9 ICSI
10.顕微授精(ICSI)(青野展也ほか)
1 卵子の裸化(ヒアルロニダーゼ処理)
2 ICSI用ディッシュの作製
3 ピペットのセッティング
4 精子の不動化処理
5 ICSIの実施
6 ICSI成功のポイント
11.胚評価法の種類と方法(元石睦郎)
1 前核形態による評価法
2 分割期胚の評価法
3 分割スピードによる評価法
4 同一割球内の多核の有無による評価法
5 胚盤胞の形態学的評価法
12.アシストハッチング―PZD法(渡邉英明)
1 準備
2 方法
3 施行時期
13.アシストハッチング―Bio-Cut BLADEによる機械的AHA法(佐藤節子)
1 適応
2 準備
3 手技
14.アシストハッチング―透明帯十字切開法(武田信好)
1 生理的なハッチングとは
2 アシストハッチングの適応
3 透明帯十字切開法の実際
4 従来のアシストハッチング法(切開法・開口法)の問題点
5 透明帯十字切開法の利点と欠点
6 受精後の透明帯の役割
7 透明帯十字切開法の施行時期
8 アシストハッチングと凍結保存法
15.アシストハッチング―薬剤処理によるアシストハッチング法(大橋いく子ほか)
1 AHAの適応
2 透明帯部分菲薄法
3 透明帯全周菲薄法
4 考察
16.精巣精子の回収と凍結(鈴木守男)
1 準備
2 精子回収
3 精子検索
4 精子凍結
5 精子融解・洗浄
17.精巣精子の回収と凍結(福永憲隆)
1 前日の準備
2 当日の準備と介助作業
3 スライドグラスを用いた処理
4 処理組織の精製
5 精子の確認・回収
6 精巣より回収した精子の凍結
18.卵子,胚凍結(緩慢凍結法)(前田真知子ほか)
1 凍結の時期
2 手技
19.卵子,胚凍結(急速凍結法)―Cryoloop(向田哲規ほか)
1 方法
2 臨床成績
3 AS法とAHA法の臨床的重要性
20.卵子,胚凍結(急速凍結法)―Cryotop(畑 景子)
1 Cryotopとは
2 Cryotop法による胚のガラス化保存・融解プロトコール
3 凍結胚移植の実施例
4 卵子のガラス化保存
21.卵子,胚凍結(急速凍結法)―Straw(1)(佐藤節子)
1 vitrification法の手技
2 凍結融解胚移植のタイムスケジュール
3 耐凍剤の種類と毒性
22.卵子,胚凍結(急速凍結法)―Straw(2)(熊迫陽子)
1 凍結保存における安全性
2 凍結法・融解法
3 成績
23.培養液の組成とミネラルオイルの組成(中澤照喜ほか)
1 培養液の組成
2 代用血清
3 ミネラルオイルの組成
24.顕微鏡の種類と使用上の注意点(田中隆明)
1 ARTで使用する顕微鏡の種類と用途
2 実体顕微鏡の基本調整と使用方法
3 生物顕微鏡の調整方法と使用方法
4 位相差,MC,微分干渉の原理
5 蛍光顕微鏡の原理
第II章 ラボワークの管理
1.ARTラボ管理―エンブリオロジストと医師の役割分担(安部裕司ほか)
1 臨床エンブリオロジストの資格
2 当院における医師とエンブリオロジストとの役割の変遷
3 ARTラボの日常業務管理
2.私のラボ(水野里志)
1 培養室の位置
2 空気の清浄度
3 器具の配置
4 小型インキュベーターの使用
5 非常時のバックアップシステム
3.私のラボ(横山典子ほか)
1 当院の紹介
2 採卵から胚移植
3 回復室
4 培養室
4.私のラボ(清水敏夫ほか)
1 施設
2 培養室内環境
3 培養液
4 培養液の大気下変動
5 必要器材
6 ラボの日常管理
5.ラボ設計―備品整備の要点,備品管理(佐藤和文)
1 光
2 温度
3 エンドトキシン(パイロジェン)
4 インキュベーター
5 超純水製造装置
6 クリーンベンチ
7 実体顕微鏡
8 倒立顕微鏡・ICSI装置
9 遠心機
10 滅菌装置
6.ラボ設計―既成の施設を改良したラボづくり(小笠原綾子)
1 当院の紹介
2 IVFラボ
3 採卵からETまで
4 既成の施設を利用したことのメリット・デメリット
7.器具の滅菌方法と使い分け(立花郁雄)
1 高圧蒸気法
2 乾熱法
3 エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌法
4 低温プラズマ滅菌法(過酸化水素ガスプラズマ法)
8.データ整理(詠田由美ほか)
1 データ管理の注意点
2 集計表とデータベースの作成法―当院のARTデータベースの実際
3 データベースの活用―集計と統計処理の準備
4 データベースの活用―クリニカルパス
5 院内ネットワークの構築
9.事故を起こさないための対策―検査室から(鈴木香織)
1 患者・検体の扱いミス防止システム(人工授精編)
2 患者・検体の扱いミス防止システム(ARTの際の患者確認マニュアル)
10.事故を起こさないための対策―臨床面から(久慈直昭ほか)
1 医療安全管理とは
2 ARTにおける事故防止の基本的考え方
3 ARTにおけるリスク
11.感染症検体の取り扱い(五味淵秀人)
1 院内感染対策
2 取り扱いと感染予防策
第III章 基礎セミナー
1.男性生殖器と精子発生―精子形成とその制御(石川博通)
1 精巣の解剖
2 精子形成
3 視床下部―下垂体―精巣系
2.男性生殖器と精子発生―射精メカニズム(三浦一陽)
1 射精のメカニズム
2 射精障害に対する薬物療法
3 逆行性射精の精子回収法
4 脊髄損傷患者に対する精子採取法
3.女性生殖器と卵子発生―雌性生殖器と卵子発生(北井啓勝)
1 女性生殖器
2 卵子発生
3 減数分裂
4 卵子の数
5 卵胞の形成
6 成熟卵胞
7 卵子の形態
8 卵子発生とホルモン
4.女性生殖器と卵子発生―月経周期と妊娠の成立(三室卓久ほか)
1 性周期にかかわるホルモン
2 フィードバック機構
3 月経周期における変化
4 妊娠成立
5 月経周期の確立と閉経
5.受精のメカニズム―精子細胞膜と卵子の細胞膜融合までの様子(藤江道子ほか)
1 精子の精巣上体成熟
2 受精能獲得
3 hyperactivation
4 先体反応
5 透明帯反応
6.受精のメカニズム―精子の卵細胞質進入後の状態(森藤ゆきほか)
1 膜融合
2 卵活性化/第2減数分裂
3 精子核脱凝縮/前核形成
4 核融合
7.受精の生化学的現象(宮崎俊一)
1 Ca2+ オシレーション
2 精子由来のCa2+ オシレーション誘起因子
3 ホスフォリパーゼCゼータ(PLCζ)
4 PLCζの強制発現によるCa2+オシレーション
5 合成PLCζによるCa2+オシレーション
6 PLCζの活性化
7 PLCζの核移行能
8 Ca2+オシレーションの卵活性化誘発機序
8.卵管の構造と機能(澤田富夫ほか)
1 卵管の解剖・構造
2 卵管の機能
3.卵管の機能検査とその有用性
4.原因不明不妊における卵管の問題点
5.GIFTの有用性の根拠
6.卵管上皮との共培養とその効果
7.sequential mediumと卵管液
9.implantation windowとpinopodes(東口篤司ほか)
1 implantation windowとは何か
2 implantation windowを何で調べるか
3 pinopodesの定義と歴史
4 pinopodesの経時的変化
5 pinopodesの寿命
6 pinopodesの出現時期と子宮内膜厚
7 pinopodesの機能
8 pinopodesの臨床応用
10.胚発生(田中 温)
1 正常月経周期―単一排卵の機序
2 過排卵処理の原理
3 早期LHサージの卵子のクオリティ
4 卵胞血流と卵子の正常性
5 卵胞数と卵子のクオリティ
6 ICSI時の卵子の形態とクオリティ
7 過排卵処理後の卵子の形態とクオリティ
8 卵胞内卵子の成熟および染色体異常の発生のメカニズム
9 染色体異常の発生機序
10 ヒト体外成熟卵子の細胞遺伝学的検討
11 胚発生異常
11.染色体―染色体の基礎(吉田廸弘)
1 染色体の観察
2 体細胞の染色体
12.染色体―不妊症と染色体異常(中岡義晴)
1 不妊症夫婦の染色体異常
2 配偶子の染色体異常
3 胚の染色体異常
4 ICSIにより妊娠した児の染色体異常
13.凍結の原理(葛西孫三郎)
1 凍結融解操作と傷害の回避
2 胚の特性
第IV章 臨床セミナー
1.不妊原因と治療方針(福田 勝)
1 スクリーニング検査で異常が発見された場合
2 スクリーニング検査で異常が認められなかった場合
2.卵巣刺激のプロトコールと薬剤の役割(山下正紀)
1 ARTにおける卵巣刺激法の現状
2 自然周期
3 卵巣刺激法
4 CC法,CC-hMG/FSH法
5 premature LHサージの抑制
6 アゴニスト
7 アンタゴニスト
8 アンタゴニスト―アゴニスト法
3.採卵手技の工夫(京野廣一ほか)
1 採卵時に使用する資材
2 採卵のタイミング
3 麻酔法
4 採卵の実際
5 採卵時・採卵後の合併症
6 採卵終了後・帰宅後の管理
4.胚移植の方法(宇津宮隆史)
1 ET前処置
2 胚移植
3 新鮮胚移植
4 凍結胚移植
5.人工授精(IUI)(幡 洋)
1 分類
2 歴史
3 適応
4 精液の処理
5 排卵
6 人工授精の実際
7 成績
6.TESE,MESA(吉田 淳ほか)
1 精巣上体精子を採取する方法
2 精巣精子を採取する方法
3 閉塞性無精子症・非閉塞性無精子症におけるICSIの成績の比較
7.GIFT,ZIFT(田宮 親)
1 方法
2 必要機材
8.ルテアルサポート(横田佳昌ほか)
1 調節卵巣刺激の際のルテアルサポートはなぜ必要か
2 ルテアルサポートの実際
第V章 応用セミナー
1.基礎のためのIVM(舟橋弘晃)
1 IVMに使用される卵子―卵丘細胞集合体
2 卵丘細胞―卵子間の相互作用
3 Gn誘起性成熟におけるシグナル伝達
4 Gn誘起性成熟とグルコース代謝
5 卵子細胞質成熟の改善に向けた取り組み
2.臨床のためのIVM(福田愛作)
1 ARTの歴史におけるIVM―IVF技術の発達史
2 IVM―IVFの実際
3 わが国におけるIVM―IVFの現状
4 IVM―IVFの注意点と展望
3.二段階胚移植(後藤 栄ほか)
1 二段階胚移植開発の経緯
2 二段階胚移植の方法
3 二段階胚移植の成績
4.PGDのためのPCR,FISH法(竹下直樹)
1 胚生検
2 遺伝子診断
5.フローサイトメーターによるX,Y精子の分離(佐々木捷彦)
1 X,Y精子分離の指標
2 フローサイトメーターとは
3 分離操作の概略
4 フローサイトメーター法の進歩
6.卵の人為的活性化(片寄治男ほか)
1 ICSI後受精障害の原因
2 卵活性化過程における精子の役割
3 精子卵活性化因子障害の証明
4 人為的卵活性化の実際
索引





