やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

発刊にあたって

 われわれが,福岡の地で1991年に「院内感染防止対策に関する講演会」を開始してからすでに10年という節目を越えました.講演会で噴出した質問は,実に千数百にも及びました.解答返送に汗だくとなりながら,1995年には代表的な140の質問に答える形で質疑応答集をまとめましたが,これは多くの施設で,参考書として使っていただきました.
 新世紀を迎え10年目という節目にあたり,多くの質問をいただいた皆様方に感謝の意を表するために,また前回の質疑応答集の改訂進化版として,このたび本書を刊行することにいたしました.ここに掲載されている内容の特徴は,10年間多くの方々が医療現場で悩まれて,講演会に持ち寄られた「生の声」であります.
 これら一つひとつの「生の声」に答えることがわれわれの使命でもありましたが,本書はそれらをまとめただけでなく,感染防止対策に関する最近の話題や感染症新法の骨子などをも盛り込んで解説いたしました.また,それぞれの項目について,キーワード風の索引をつけて使いやすさを工夫してみました.
 21世紀は,病院感染防止対策もEBM(evidence-based medicine:科学的論拠に基づいた医学・医療)の時代と思われます.その序曲としてのわが国の感染症新法は,明治時代からの伝染病予防法が1999年,実に101年ぶりに改訂されたものです.したがって,MRSA対策が叫ばれ始めた頃の超過剰防衛対策は,EBMにより論拠のない非合理的な対策として淘汰されつつあります.
 本書が,皆様方の仕事着のポケットの中に納まり,いつでもどこでも必要なときに顔を出してEBMを実践するための力強い相談相手として働いてくれることを祈ります.
 最後になりましたが,これらの貴重な質問をいただきました皆様に深く感謝いたします.また,本書編集幹事として多大な労をお取りいただきました済生会福岡総合病院麻酔科 松田和久先生,ならびに講演会と本書の編集,刊行にご協力いただきました丸石製薬株式会社に深甚の謝意を表します.
 2001年7月吉日 九州大学大学院医学研究院 麻酔・蘇生学教授 高橋成輔

発刊に贈る言葉

 博多において,「院内感染防止対策に関する講習会」が1991年に初めて開催されてより10年を迎えるにあたって編纂された「院内感染予防対策Q & A 200」ですが,その内容の豊富さと適切なコメントは,きっと読者の皆様方のお役に立つ,わかりやすい実用書となることと思います.
 世はevidence-based medicine(EBM)の時代であり,感染対策においても実証に基づいた対策evidence-based precaution(EBP)が叫ばれ,EBPであるか否かの再評価に基づいて,これまで採用されてきた対策が見直されています.
 その結果,何となく採用され続け,実証に基づいていない対策の切り捨てという作業が進められています.粘着マット,消毒薬マット,過度な履物交換と着衣交換,一般化した超高性能空調,消毒薬噴霧,厳しすぎる区域分けzoning,手術室への移送車乗り換えなどが,感染率低減という効果をもたらしてきたでしょうか.感染率低減という実証のない対策は不要かつ不経済なものではないでしょうか.本当に遵守しなければならない対策は何でしょうか.このような疑問が,国際的にも次々と出されてきました.ここに,感染対策の第二世代が到来したといえましょう.
 このような時代に,これまでの講習会で出された数多くの質問から重要なものを,しかも広範囲に選択して,一問一問丁寧に,かつ的確に回答しておられる本書は,感染対策第二世代の貴重な道標となるでしょう.かくも素晴らしい道標をお作りになった高橋成輔教授,松田和久先生はじめ本書編集委員会関係各位のご尽力に強く畏敬の念を抱くものであります.
 本書の目指すものが一人でも多くの方々に理解され,感染対策に効果をあげ,医療の質の向上に寄与することを切望してやみません.
 2001年7月 関東病院 院長 小林寛伊
発刊にあたって
発刊に贈る言葉

Section 1 MRSA・VRE
 Q1 MRSA感染患者・保菌者に対して,現在ではどの程度の隔離が必要と考えるべきですか?(病棟)
 Q2 MRSA感染患者と保菌者の保菌量の差はどの程度あるのですか?(看護部)
 Q3 MRSAの乾燥抵抗性はどの程度でしょうか?また,MRSAは温水で消毒可能と聞きますが,どの程度の温度で死滅するのですか?(薬局)
 Q4 MRSA感染患者の周囲には,どれくらいのMRSAがばらまかれるのでしょうか?(看護婦)
 Q5 MRSAの院内感染を把握するため,入院時に全患者の鼻腔保菌検査をするべきですか?また,保菌者の場合は手術前に鼻腔の除菌をすべきでしょうか?(外来)
 Q6 Staphylococcus aureusにおけるMRSAの割合が,過去10年間で40%前後と安定している当院の感染対策の評価はどのようになるでしょうか?(看護部)
 Q7 MRSA感染防止のために,個室に易感染患者を入室させていますが,優先順位について迷うときがあります.MRSAの感染を受けやすい順について教えてください.(外科)
 Q8 MRSAでも隔離していない患者もいるのですが,術後や免疫力低下患者との同室はやはり避けるべきでしょうか? 何か基準になるようなものがありますか?(内科病棟)
 Q9 耳漏,眼脂からMRSAを排菌している患者の対応・隔離をどのように考えたらよいでしょうか?また,どの程度の感染防止を行うべきでしょうか?(病棟)
 Q10 MRSAにて隔離した場合,隔離解除の基準を教えてください.(看護部)
 Q11 MRSAは一般の黄色ブドウ球菌(MSSA)より消毒剤抵抗性は高いのですか? また,MSSAの感染防止対策はMRSAと同様でよいのですか?(手術室)
 Q12 MRSA患者用のガウンをホルマリン顆粒で消毒していますが,人体に悪い,効果がない,時代遅れといわれています.また,紫外線ロッカーは紫外線が当たらないところには効果がないといわれています.どのような方法がよいのでしょうか?(管理)
 Q13 MRSA感染患者の病室へ入・退室するとき,下肢(ガウンより出ているところ)を消毒剤噴霧を行うよう指示がありましたが,必要ですか?(外科)
 Q14 MRSA隔離解除した病室の環境消毒は必要ですか,また,その消毒はどのようにすればよいですか?(看護部)
 Q15 MRSA,HBV,HCV,緑膿菌患者の手術後,室数の関係上,ベッドなどを塩化ベンザルコニウムにて清拭消毒し,すぐに次の患者を入れています.いかがでしょうか?(手術室)
 Q16 MRSA感染患者の隔離病室や手術室の環境消毒に紫外線照射を1〜2時間行っていますが,紫外線照射は不要でしょうか?(手術部)
 Q17 MRSAのため隔離した部屋にオゾンを使用していますが,使用の是非について教えてください.(看護部)
 Q18 塩化ベンザルコニウムを使用して,沐浴槽を消毒しています.以前,沐浴槽からMRSAが出て原因を調べたところ,沐浴槽を洗うスポンジから検出されました.両性界面活性剤に変えたほうがよいでしょうか?(NICU)
 Q19 大部屋において気管支喘息の大発作で,気管切開を受けMRSAが皮膚,カテーテル尿から出ている患者のベッド交換の必要があり,消毒用エタノールによる清拭・噴霧消毒を行いましたが,それでよかったのでしょうか?(病棟)
 Q20 MRSA患者のリネン類の持ち出し,また消毒法について教えてください.(看護部)
 Q21 臀部に褥瘡ができている寝たきり患者で褥瘡部だけからMRSAが検出され,それ以外(痰,尿,便など)からは出ていません.実際必要な隔離の程度はどの程度か教えてください.(病棟)
 Q22 看護婦の鼻咽頭の培養からMRSAが出た場合,看護婦自身を守るため,また他に広めないための方法を教えてください.抗菌剤やポビドンヨードでの鼻腔除菌,うがいまで必要でしょうか?(手術室)
 Q23 MRSA感染対策で粘着マット,消毒剤マット,スリッパの履き替えは有用でしょうか?(看護部)
 Q24 本人・家族へのMRSA対策に関する指導の方法について教えてください.(外来)
 Q25 MRSAの排菌のある患者が数人います.MRSA感染患者が入浴したお湯を替えずに,他の患者を入浴させることは可能でしょうか?(病棟)
 Q26 鼻腔より胃管チューブを挿入する際,鼻腔内のMRSAを消化管に移行させてしまう可能性はあるでしょうか? それにより症状の発症は起こる可能性はありますか? また予防方法はあるのでしょうか?(手術部)
 Q27 尿からのみMRSAが排菌されている患者では,感染防止のために尿路カテーテル留置して隔離をしないでよいですか? また留置しない場合,一般のトイレで排尿してもよいですか?(内科)
 Q28 尿路カテーテルを留置するとMRSA陽性になる高齢者が多いのですが,その際,消毒剤や抗菌剤を使用して,MRSAを陰性にしたほうがよいでしょうか?(看護部)
 Q29 MRSA感染患者の透析終了後のリネン,環境などの消毒について教えてください.(透析センター)
 Q30 MRSA感染患者が透析する部屋は個室がよいのですか? 使用器具や血液汚染したものの消毒法はどのようにすればよいでしょうか?(透析センター)
 Q31 透析室などでのMRSA感染患者と,他の患者と同室にて処置を行う場合の注意事項や,ガウンテクニックやマスクなどについて教えてください.(透析室)
 Q32 歩行不可能なMRSA感染患者に対しては,ワンフロアの透析室の隅でロールカーテンで仕切りをし,穿刺・回収時のみガウンテクニックを行っていますが,手洗いのみでよいのではないでしょうか?(透析室)
 Q33 ワンフロアで個室が1室しかない透析室では,もし,MRSA感染患者,O157感染患者,結核患者,易感染患者などが同日に重なった場合,透析する場所はどのようにすべきでしょうか?(透析センター)
 Q34 新生児室で新生児のMRSA感染が3件続きました.新生児室,分娩室はスリッパに履き替え,手洗いし,授乳その他を行っています.今後,MRSAを未然に防ぐにはどうすればよいでしょうか?(新生児室)
 Q35 MRSA感染患者の理学療法を行う際の感染防止対策・消毒はどの程度必要でしょうか?(薬局)
 Q36 在宅医療の患者で,喀痰から多量MRSAを排菌している場合,訪問看護時,感染防止対策はどのようにすればいいでしょうか? 特に器具の消毒,服装,家族の方への説明について教えてください.(看護部)
 Q37 バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)は常在菌になって国内に広がっていくのですか?(看護部)
 Q38 CDCのガイドラインではVREについて環境消毒が必要とされているが,VREは環境においてどの程度生存しているのでしょうか?(薬局)
 Q39 VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)に対する消毒剤感受性のデータはありませんか?(看護部)
 Q40 VREや多剤耐性緑膿菌などの抗生物質耐性グラム陰性桿菌が問題となっていますが,これらの菌もMRSA同様の感染防止対策をとるべきでしょうか?(検査部)
 Q41 VREの治療方針について教えてください.(薬局)
 Q42 当院では,バンコマイシンの使用量が多いのではと思っているのですが,何か指針はないのでしょうか?(薬局)

Section 2 結核菌
 Q43 結核菌は呼吸器内に入り込んで感染を起こすといわれますが,髪や服,あるいは空中での結核菌はどのくらいの期間生存しているのでしょうか?(手術室中材)
 Q44 病院で結核患者が出たとき,同時期に同病棟に入院していた患者は感染していないかチェックしていく必要があると思われますが,どの程度の期間でどのような検査を行っていけばよいのですか?(看護部)
 Q45 当院では結核菌検査は外注で行っていますが,同定まで時間がかかり,その間での院内感染も考えられるため,対策を検討しています.何かよい方法はありませんか?(中央検査科)
 Q46 ツベルクリン反応について下記の点について教えてください.(1) ブースター効果のとらえ方について 例:1回目,2回目が陽性の場合 2回目に強陽性になった場合 1回目より2回目のほうが小さかった場合" 今後の実施時期について 例:何年おきに実施すべきなのでしょうか? 患者発生時に実施しなければならないのでしょうか?(薬局)
 Q47 医療従事者のツベルクリン反応やBCG接種の徹底を行うべきでしょうか?(検査部)
 Q48 新採用者,転勤者,結核患者の接触者にはツベルクリン反応をしていますが,陰性の場合は,BCGをしたほうがよいでしょうか? 患者さんが,培養で(+)と出た場合,どの時点からどこまで接触者として届け出るのでしょうか?(管理部)
 Q49 ツベルクリン反応検査を実施した結果,水泡,硬結を伴う大きな発赤がみられ,強陽性と判定されました.その場合,結核の症状がみられなくても化学予防は行うべきでしょうか?(検査部)
 Q50 子供の頃,結核初期感染にかかりましたが,昨年行った検査ではツベルクリン反応が陰性となっていました.なぜでしょうか? BCGなどの接種を受け免疫を再度つくる必要があるでしょうか?(麻酔科)
 Q51 膀胱癌の治療にBCG療法を行っていますが,患者の尿から結核菌が検出されました.この菌が院内感染の原因となる可能性があるでしょうか?(中央検査科)
 Q52 結核の化学療法における最近の考え方(薬物名,投与スケジュールなど)はどのようになっているのでしょうか?(薬剤部)
 Q53 化学療法を途中でやめ結核菌に耐性ができてしまった患者は,どのような治療がなされますか?(薬剤部)
 Q54 家族に結核患者が出ると,家族全員のツベルクリン反応検査を行い,陽性の人には内服薬投与が開始されますが,もともと成人ではBCGを接種していて陽性の人が多いと思います.内服薬投与は必要ですか?(看護部)
 Q55 結核菌に有効な消毒剤にはどのようなものがあり,またそれはどのような効果がありますか?(手術室)
 Q56 結核患者発生時,専門病院へ転院後の病室の消毒方法は,どのように行えばよいでしょうか?(看護部)
 Q57 結核患者の転院後,患者が使用したリネン類,カーテン,床頭台についての消毒はどのように行えばよいでしょうか?(手術室)
 Q58 結核病棟におけるベッド,マットレスの消毒方法を教えてください.(検査科)
 Q59 結核菌を排菌している患者の手術室内の消毒はどのように行えばよいですか? 室内消毒や器械の処理の具体的な方法を教えてください.(手術室)
 Q60 処置時に肺外結核からの感染は起こらないのでしょうか?(手術室)
 Q61 結核の感染防止における紫外線の評価をお教えください.(看護部)
 Q62 N95マスクを一回ごとの使い捨てではなく,何日かにわたって使用しています.乾燥させて保管するときはどこで保管するのがよいでしょうか?(手術室)
 Q63 排菌していない結核入院患者が,歯科で治療する際,歯科医と介助者などは普通のディスポーザブルマスクをすればよいでしょうか? 専用のものを使用したほうがよいでしょうか?(病棟)
 Q64 結核菌を含む検査材料を扱う際に,安全キャビネットを使用するよう指示を受けましたが,クリーンベンチで代用できますか?(検査科)
 Q65 結核病棟での陰圧空調が不可能な場合,施設設備上でのよい方法はありませんか? また,ポータブルの陰圧装置はありませんか?(手術室)
 Q66 結核菌排菌状態にある症例にやむを得ず手術を行う場合,その対応や手術室の換気はどのようにすべきでしょうか?(呼吸器科)
 Q67 ある学会で報告されていた空調に関するアンケート結果で,空調システムの有無で結核の感染率が変わらなかったという結果が出ていました.この結果をどのように解釈したらよいでしょうか?(看護部外来)
 Q68 一般に非定型抗酸菌はヒトに感染しないといわれていますが,ヒトに感染する抗酸菌もありますか?どのような感染経路で非定型抗酸菌の感染は起こりますか? また,細菌検査はできますか?(薬局)
 Q69 非定型抗酸菌症の患者の手術に,感染対策の必要はありますか?(手術部)

Section 3 血液媒介病原体
 Q70 B型肝炎ワクチンの効果期間についてどの程度でしょうか? また,再接種はどの時点で行えばよいでしょうか?(手術室)
 Q71 入職時,B型肝炎ワクチン接種を行うにあたり,どこまで行うべきでしょうか.(薬剤部)
 Q72 B型肝炎感染患者の血液が廊下に1カ所でも落ちていると,見えないところにもあるのではと不安になりますが,それでも床の次亜塩素酸ナトリウムでの清拭消毒は不要でしょうか?(手術室)
 Q73 C型肝炎患者の使用したガーグルベースの消毒法は?(病棟)
 Q74 HIV感染患者手術における感染対策の具体的ポイントは?(手術室)
 Q75 HIV感染患者に使用した手術用のベッド,麻酔器や部屋の消毒はどのようにすればよいでしょうか?(手術室)
 Q76 ディープキスでエイズに感染したという話が新聞に掲載されましたが,唾液を介してエイズに感染するのでしょうか?(看護部)
 Q77 HTLV-1陽性患者の血中ウイルス量は非常に少ないので,血液は感染扱いする必要はないでしょうか?(放射線部)

Section 4 その他の微生物
 Q78 Pseudomonas putidaによる感染が報道されていましたが,どのような細菌ですか? 消毒はどのようにすればよいでしょうか?(薬局)
 Q79 Burkholderia cepacia(Pseudomonas Cepacia)の院内感染にはどのようなものがありますか? また,どのようなものが感染源になっているのですか?(看護部)
 Q80 ペストやジフテリアの病原体の感染経路に有効な消毒剤にはどんなものがありますか?(薬局)
 Q81 24時間循環風呂に関してレジオネラ対策はどのようにすればよいですか? 老人は入浴剤を希望されますが,入浴剤を使用した場合,残留塩素がゼロになります.どのような対策を講じればよいでしょうか? 風呂の入れ替えは週に1回です.(デイサービスセンター)
 Q82 O157の感染者の中で二次感染の感染経路はどのようなものがありますか?(看護部)
 Q83 O157の感染者の二次感染の防止対策を教えてください.(看護部)
 Q84 O157感染者の場合,入浴はシャワーのみで,浴槽に入ることはだめなのでしょうか?(病棟)
 Q85 O157やロタウイルス感染患者の下痢便は,ポータブル便器に排泄し,クレゾール消毒を行っています.一般の水洗トイレでの排泄はさせてもよいでしょうか?(看護部)
 Q86 O157は,トイレ洗面所の蛇口からでも感染してしまうと聞きましたが,その対策はどのようにすればよいのでしょうか? 常に消毒剤を持っていく必要はあるのですか?(病棟)
 Q87 O157は乾燥した便中でも生存しているのですか?(薬剤部)
 Q88 O157の抗生剤の投与は,感染を前提に投与を開始するのですか? また,抗生剤の投与期間はどのくらいがよいのでしょうか? 長期投与は耐性という問題があると思いますが…….(病棟)
 Q89 赤痢と疫痢はどこが違うのでしょうか? また,大腸菌とO157はどこが違いますか?(薬剤部)
 Q90 MRSAのように多剤耐性の淋菌,梅毒トレポネーマがあるのでしょうか? その場合は何を使って治療すればよいのですか?(薬剤部)
 Q91 先天性梅毒児の再発防止についてどうすればよいか教えてください.また,母の治療は,産科,泌尿器科,どこで治療するのがよいのでしょうか?(看護部)
 Q92 アスペルギルスの肺炎の感染防止について,教えてください.(看護部)
 Q93 ヘルペスウイルスについて,感染経路,隔離必要性,消毒効果,衣類の消毒について教えてください.(看護部)
 Q94 クロイツフェルト・ヤコブ病の感染経路は?(薬剤部)
 Q95 クロイツフェルト・ヤコブ病に感染した患者の衣類,寝具の消毒方法,またその患者に使用した器械および器具,床の消毒方法(もっとも適した消毒剤)を教えてください.(病棟)
 Q96 疥癬虫にはどのような消毒剤が有効ですか?(病棟)
 Q97 疥癬の院内感染防止対策について教えてください.(臨床支援)
 Q98 疥癬の患者(一般の疥癬とノルウェー疥癬を区別して)の室内消毒,壁,床などの消毒は必要ですか? もし必要なら,その適切な消毒法は何ですか? また,殺虫剤を床に散布しても大丈夫ですか?(検査部)
 Q99 糞線虫症疾患の患者がいますが,現在レスピレーターをつけ,末期を迎えています.その患者に使用した器材,寝衣などの消毒法を教えてください.(病棟)
 Q100 マイコプラズマの概要と有効な消毒剤を教えてください.(看護婦)
 Q101 トキソプラズマについての説明と,それに対する有効な消毒剤を教えてください.(看護婦)

Section 5 器具・器械類
 Q102 排菌している患者の場合,手術後の麻酔回路の消毒はどのようにすればよいですか?(手術室)
 Q103 人工呼吸器や麻酔器の外部回路やアンビューバッグの消毒方法にはどのような方法がありますか?(手術室)
 Q104 アンビューバッグの消毒でグルタラールは使用できますか? 残存薬の気道に与える影響について教えてください.(看護部)
 Q105 麻酔器具などの消毒を,現在ホルムアルデヒドガス自動消毒・中和装置で行っています.ホルムアルデヒドガスの利点・欠点・消毒効果を教えてください.(手術室)
 Q106 患者に使用中の吸引チューブの消毒に0.1%グルコン酸クロルヘキシジン液を使用し,患者使用前に滅菌精製水で洗っていますが,常水に代えてもよいでしょうか?(看護部)
 Q107 気管切開をした患者さんの痰からMRSAが出ている場合,吸引チューブの消毒に使用する消毒剤は何がよいでしょうか.いろいろ試しましたが,のどがかぶれることも多く困っています.(病棟)
 Q108 気管,鼻口腔内吸引用カテーテルの保管は,マスキンィエタノール(原液)に浸して保管しています.消毒液は汚染が目立つ場合を除いて,通常1回/週で交換しています.この頻度は適当でしょうか?(看護部)
 Q109 吸引びんに消毒剤を入れたほうがよいでしょうか.もし入れておくならどのような薬剤を使用すればよいですか?(病棟)
 Q110 内視鏡の消毒でグルタラールを使用していますが,抗酸菌の検出がみられました.死菌と思われますが,どう考えたらよいでしょうか?また,その対策を教えてください.(病棟)
 Q111 内視鏡や器具の内腔は,グルタラール製剤消毒後どのくらいの水によるリンスが必要ですか?(看護部)
 Q112 産科のクベース(保育器)の消毒方法について教えてください.(看護部)
 Q113 NICUで,保育器の中に紫外線装置を入れて消毒していますが,よろしいですか?(看護部)
 Q114 IVHボトル交換や,側管注射をする場合,グルコン酸クロルヘキシジン液・滅菌綿花で消毒していますが,イソプロパノール・未滅菌綿花の消毒効果とどのように違いますか? また,消毒用エタノール綿花ではどうでしょうか?(外来)
 Q115 現在,バイアル(ヒューマリン・ヘパリン・内視鏡用くもり止めなど)の消毒にポビドンヨードを使用しているのですが,消毒用エタノール綿での代用を考えております.この件に関してどのように対応したらよいでしょうか?(薬剤部)
 Q116 IVH実施中の患者への側管からの管注時,ポビドンヨード消毒後すぐ管注していますが,アルコール綿花での消毒では消毒効果が落ちますか?(病棟)
 Q117 三方活栓の消毒はどのようにすればよいでしょうか?(病棟)
 Q118 歯科器具をラスレスアルコール(防錆剤)に浸しておいたものをそのままタービンバーにつけて使用したり,超音波消毒(両性界面活性剤入り)したものを当日に足したりしていますが,薬品の残留は人体に影響がないでしょうか? また,超音波消毒について教えてください.(歯科)
 Q119 現在,アルジネート印象材の消毒をグルタラールに浸漬して行っています.現状のままでよいのでしょうか? 他に消毒液があれば教えてください.(看護部)
 Q120 バイトブロックや喉頭鏡の消毒方法にはどんなものがあるでしょうか?(手術室)
 Q121 ネブライザー器具の消毒法を教えてください.(看護部)
 Q122 洗面タオルの消毒は,100℃,3時間の熱湯消毒で十分ですか?(薬剤科)
 Q123 便からMRSAが検出されている患者には専用の便器を使用していますが,その便器の消毒法は?(脳外科)
 Q124 内腔の狭い器具はなかなか十分な洗浄ができませんが,なにかポイントがあれば教えてください.(中央材料室)
 Q125 現在,器材の消毒は材質や菌などの種類によって消毒剤の種類を替えていますが,1種類にすることはできませんか?(病棟)

Section 6 人体
 Q126 手洗いは「少なくとも10秒間,激しく擦り合わせる」と聞きましたが,文献によっては,15〜20秒や30秒などと時間がまちまちです.その根拠を教えてください.(手術室)
 Q127 衛生学的手洗いテクニックとはどのようなものなのですか?(看護部)
 Q128 通常の衛生学的手洗いに,消毒剤は必要なのでしょうか.石鹸を用い洗い残しがないよう30秒以上かけるなど,手洗い方法をきちんと守ればよいのではないですか?(中央材料室)
 Q129 手術時手指消毒に洗浄剤含有のクロルヘキシジンスクラブ,またはポビドンヨードスクラブが用いられていますが,実際使用した際の両者の効果を比較して教えてください.(看護部)
 Q130 看護婦がグルコン酸クロルヘキシジンによる手術時手洗いを行う際,手指全体のブラッシングを省略したいならば,もみ洗いは何分ほど行えばよいでしょうか?(手術部)
 Q131 手術時の手洗いには,本当に滅菌水を使用しなければならないのでしょうか?(手術室)
 Q132 手術室,NICUなどの手洗いにどのような消毒剤を使用すべきでしょうか? 手指の菌を完全に陰性にする必要はありますか?(中央臨床検査部)
 Q133 クロルヘキシジンスクラブでのブラッシング消毒後,手あれ防止の皮膚保護剤を使用したいのですが,消毒直後使用してもよいですか?(未熟児室)
 Q134 手洗いは「一処置一手洗い」が望まれていますが,それが十分行われていないことがよく問題に取り上げられています.どの程度行われているものでしょうか.また,行われない理由はどのようなことでしょうか?(看護部)
 Q135 手洗い率を向上させるよい方法はどのようなものでしょうか?(看護部)
 Q136 高齢者の看護でオムツ交換の際,プラスチックグローブを多数使用するので,「経費がかかる,使いすぎ」といわれました.オムツ着用・経管栄養で全面介助の必要な患者を介護するうえでプラスチックグローブをどのように考えるとよいでしょうか?(病棟)
 Q137 皮膚をアルコール綿で消毒した場合,消毒効果時間はどのくらい持続しますか?(看護部)
 Q138 アトピー性皮膚炎患者の皮膚消毒に強酸性水を使っていますがどうでしょうか?(薬剤部)
 Q139 IVHのカテーテル刺入部の皮膚消毒にはクロルヘキシジンアルコールとポビドンヨードのどちらが適しているでしょうか?(看護部)
 Q140 透析開始・回収時,シャント部の皮膚消毒に用いる有効な消毒剤と消毒法に関して教えてください.(透析センター)
 Q141 患者の体温低下を防ぐため,皮膚消毒にポビドンヨードを使用しています.この場合ポビドンヨードは暖めると消毒効果は低下するのでしょうか?(外来)
 Q142 容器内のアルコール綿花の使用期限について注意点を教えてください.(薬剤部)
 Q143 粘膜や病的皮膚(熱傷,褥瘡など)の消毒はグルコン酸クロルヘキシジンと塩化ベンザルコニウムのどちらがよいですか?(薬局)
 Q144 膀胱洗浄に消毒剤(ポビドンヨードなど)を使用することが否定的だと聞きましたが,詳しく教えてください.(病棟)
 Q145 消毒用アルコールのみで新生児の臍帯処置をしていますが,この場合の消毒効果・安全性について教えてください.また,50%イソプロピルアルコールではどうでしょうか?(薬局)
 Q146 患者が亡くなり,遺体の清拭をするとき,消毒剤は必要ですか?(看護部)

Section 7 環境
 Q147 ハウスキーピングの職員を教育するためのマニュアルはないでしょうか?(看護部)
 Q148 床掃除の際,消毒剤を使用する必要性はないとのことですが,病棟でも手術室でもそれは同じですか?(看護部)
 Q149 通常の病室は清掃のみ行っていますが,感染症患者の病室も清掃のみでよいのですか?(看護部)
 Q150 他病院で行われている室内消毒法やどのような消毒剤が使用されているかについて教えてください.(薬局)
 Q151 床のローテーション消毒は必要ですか? また,床の清掃法について教えてください.(ICU)
 Q152 床や器具の消毒・体温計の消毒で,隔月ごとローテーション消毒を行っていますが,効果はあるのでしょうか? 他によい消毒法はありますか?(病棟)
 Q153 手術室の床の消毒に0.05%塩化ベンザルコニウムを使用しています.モップを乾燥・滅菌できないので,モップを使用後0.1%塩化ベンザルコニウムに浸して,翌日使用しています.その際一度水道水ですすぐべきですか?(手術室)
 Q154 手術室の天井や壁の手の触れない部分(上の方)の清掃・消毒について,どのように考え,実施すればよいでしょうか?(手術部)
 Q155 中心静脈栄養輸液(TPN)をクリーンルームにて調製しています.作業終了後に清掃し,消毒用エタノールを噴霧しているのですが,清拭したほうがよいでしょうか?(薬剤部)
 Q156 床が血液・体液・排泄物で汚染された場合,塩素系消毒薬(次亜塩素酸溶液など)を使用しますが,ヨーロッパでは1%(10,000ppm),米国および日本では0.5%(5,000ppm)となっています.それぞれの根拠はどこにあるのでしょうか?(薬剤科)
 Q157 室内消毒に紫外線照射を用いる際の利点・問題点について教えてください.(薬剤部)390
 Q158 病院の通常環境で,床を消毒することは不要とのことですが,重症心身障害者病棟では床を這ったりゴロゴロすることが多く,なめることもあるため,きれいな生活環境を維持するためにも消毒が必要ではないでしょうか?(病棟,看護部)
 Q159 粘着マットは感染防止に意味がないと聞きましたが,空調が十分でなく,毎日汚れているので粘着マットを使用したほうがよいと思うのですが,いかがですか?(手術室)
 Q160 マットレスにはホルマリン燻蒸は有用性がないと聞きましたが,エタノール清拭だけだと中のマットまで浸透しません.どうすればよいですか?(薬局)
 Q161 環境の微生物検査の考え方と,床面の具体的な細菌検査方法を教えてください.(手術室)
 Q162 手術室での環境細菌検査で,落下細菌検査を行おうと思いますが,落下細菌検査の評価について教えてください.また,細菌採取時間(ふたを開けている時間)は何分くらいが適当ですか?(手術室)
 Q163 施設内で年に1度の環境検査を行っていますが,必要ですか?(薬剤部)

Section 8 消毒剤
 Q164 グルタラールは血液その他有機物の付着があっても消毒できるので,使用物品はいっさい洗浄しないで,そのまま漬け込み,消毒が終了してから洗浄したほうがよいのでしょうか?(材料部)
 Q165 グルタラールは使用後,下水道に流していますが,それによる環境に対しての不都合はありますか?(看護部)
 Q166 一次消毒を病棟で行っていますが,ウイルス感染患者使用器具はグルタラールで消毒しています.有機物の除去を前段階で行えば,両性界面活性剤で十分でしょうか?(手術室)
 Q167 感染症患者に使用した器具・器械は,グルタラールに1時間浸漬していますが,時間の短縮はできますか?(薬剤部)
 Q168 グルタラールへの浸漬時間が長ければ,器械・器具に及ぼす影響がありますか?(薬剤部)
 Q169 グルタラールやウエルパスィ,クロルヘキシジンスクラブなどはなぜ薬価がないのですか?(薬局)
 Q170 呼吸器回路などのシリコン製品は,薬液に対しての表示がありません.グルタラールが上記の素材に及ぼす影響を知りたいので教えてください.(看護部)
 Q171 腹腔鏡や胸腔鏡の器械をホルマリンボックスで消毒していますが,どの程度の効果が期待できるのでしょうか?(手術室)
 Q172 ホルムアルデヒドガスやエチレンオキサイドガスの毒性,副作用について教えてください.(看護部)
 Q173 ウエルパスィを開封後,ポンプにて使用していますが,長期間使用してもアルコールは揮発しませんか?(薬剤部)
 Q174 消毒剤耐性菌を防ぐため,ウエルパスィと他の擦り込み式消毒剤を1カ月ごとに交換しています.有効な方法でしょうか?(看護部)
 Q175 酒精綿で皮膚発赤を生じる人に対して,代用品は何を使えばよいでしょうか?(薬剤部)
 Q176 無水エタノールは殺菌効果が低いと聞きましたが,本当ですか?(薬剤部)
 Q177 哺乳びんを0.125%次亜塩素酸ナトリウムで消毒しています.十分に水洗しないと経口摂取することになりますが,その毒性は?(看護部)
 Q178 野菜の消毒を次亜塩素酸ナトリウムで行うようにいわれていますが,毒性について教えてください.また,次亜塩素酸ナトリウムは野菜の消毒に何%で使用するのですか?(薬局)
 Q179 経管栄養や喀痰吸引,吸入などの器具やチューブ類の洗浄消毒に「哺乳びん・乳首の殺菌消毒」の効能・効果のみの「家庭用品」の次亜塩素酸ナトリウムを用法・用量に従って80倍希釈で使用しています.これでよいでしょうか?(看護部)
 Q180 ポビドンヨードとグルコン酸クロルヘキシジンの消毒効果の違いについて教えてください.(薬剤部)
 Q181 クロルヘキシジン製剤には5%と20%の製品がありますが,その使い分けがあれば教えてください.(薬剤部)
 Q182 クロルへキシジンを水道水で希釈した場合,沈殿が発生することがありますが,なぜですか? どの程度で生じますか? またその対策は?(看護部)
 Q183 消毒剤は,綿球やガーゼなどに吸着して,濃度低下すると聞きました.どの程度吸着や消毒剤濃度の低下がありますか.(薬剤部)
 Q184 酸性水の現在の評価はどのようになっていますか?(薬剤部)
 Q185 器具の処理方法について,一次洗浄はせずに,中央材料室で一括して行ったほうがよいのですか? また,できない場合の一次洗浄の方法について教えてください.(薬剤科)
 Q186 消毒液を使用する際,口切りを行っているのですが,その有効性について教えてください.(病棟)
 Q187 消毒剤を滅菌する際,どの程度の濃度低下がありますか?(薬剤部)
 Q188 日本病院薬剤師会は,消毒剤による医療事故を防止する指針のなかで,「環境消毒や器具消毒に使用する希釈調製した消毒剤は,着色することが望ましい」としています.各色素添加時の安定性に関して教えてください.(薬剤部)
 Q189 消毒用エタノールや塩化ベンザルコニウムなどの消毒剤を患者が誤飲した際の治療法についての資料を紹介してください.(薬剤部)
 Q190 院内における消毒薬のマニュアル化について,使用薬品,使用濃度をはっきり決めたほうがよいですか?(薬剤科)

Section 9 その他
 Q191 ベストと思われる院内感染対策マニュアル本を一冊教えてください.(検査)
 Q192 ICN(感染管理看護婦)とリンクナースの業務内容の差について教えてください.(看護部)
 Q193 当院医師の感染に対する意識が低いので,何か改善策などはありませんか?(手術室)
 Q194 麻酔科医のなかには,手洗いなどの基本的な感染防止対策も行わず,人工骨頭置換術や人工血管バイパスなどの麻酔と平気で携わっている人がいます.この場合,麻酔科医に納得し,協力してもらえる文献などを教えてください.(手術部)
 Q195 好中球減少の患者に,生もの(果物,サラダ)を食べさせてもよいのでしょうか?(薬剤部)
 Q196 OP室を併用した外科病棟です.病棟についてはすべて厳重にする必要がありますか? 医療者:スリッパの履き替え,マスク,帽子患者が室外に出るとき:マスク,帽子(外科)
 Q197 ヘパリン生食水を多用している当院では,感染対策として,作製した時点を明記する,常温に放置しない,などの措置をとっていますが,他に何か効果的な方法はありますか?(薬剤部)
 Q198 CDCでは,輸液フィルターは必要ないとのことですが,その根拠を教えてください.(手術室)
 Q199 輸液フィルターはまったく不要なものでしょうか?(手術室)
 Q200 抗菌グッズ(ガウンなど)の効果はあるのでしょうか?(看護部)
    関連資料

索引

【監修】高橋成輔 九州大学大学院医学研究院 麻酔・蘇生学教授
【編集】「院内感染予防対策Q&A200」編集委員会幹事 松田和久 福岡県済生会福岡総合病院 麻酔科