やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第3版の序

 「エッセンシャル寄生虫病学」は,これまでに医学生を主な対象として,広く研修医や実地医家のテキストとして利用していただいた.特にメディカルな観点からの記述を企図し,内容もそのような特徴を持っていた.しかし,最近の学問的進歩や,知見の増加に伴い,版を改める必要が感じられた.そこで,総論と生物学的な項目を多田が,臨床並びに原虫生疾患の部分を大友が担当して見直しを行い,新たな版を起こすことにした.こうして出来上がった第3版は次のような特徴を持っている.
 1) 新たに寄生虫学分野の新鋭研究者12名を執筆陣に加え,内容の充実を図った.特に総論を項目ごとに分担執筆とし,寄生虫の特性についての各項の専門性を高めた.
 2) 治療薬の変遷と熱帯病治療に対応していただくため,治療の章を全面的に改訂した.
 3) 医動物の章は執筆者の交代に伴い2人の執筆者により全面改定した.
 4) 寄生虫病各論においても逐次,新しい情報を入れ,内容の刷新を図った.
 5) 国際保健あるいは医療インターネットという意識が医学生や若い医師の間に広まっているので,総論で特にこれに対応する項を新設した.
 日本が提唱して国際寄生虫対策に貢献しようとする橋本イニシアチブ(1998)が発足しようとする現在,寄生虫病に関する認識の重要性は極めて高い.さらに現実の問題として日本人の海外渡航者が1千7百万人に達する昨今,日本以外の開発途上国に分布する寄生虫病に対する知識も医家にとって必須である.このような立場から,寄生虫病を重点的に配列し,どのように診断し,どう対処するかを記載した本書は医家にとって有用であると編者らは確信し,あえてここに第3版を上梓する.
 平成11年10月
 編集担当 多田功 大友弘士

第2版の序

 本書は主として医学生の教科書として,また研修医,実地医家の参考書として寄生虫病学に関する基本的,かつ実際的な事柄を学習していただくために企図されたものである.しかし,第1版を出版してみると記載の不十分さや,出版企画時点と比較して最近のこの分野の学問的進歩・知見の増加が反映されていない点を感じた.このため,早期の改訂を企画し,執筆陣に大友を加えて1990年現在での全面的な見直しによる改訂を始め,ここに改訂第2版を出版することができた.
 第2版が初版と異なる主な点は次のようなものである.
 (1) 総論を全面的に書き直した.グローバルな視点からの寄生虫病の現状とその問題点,背景を中心に記載した.
 (2) カラー写真・図版の入れ替えと追加.視覚的に知識を吸収しやすくするため,余分の写真類を省き,必要なものを追加した.
 (3) 原虫性疾患の記載を重点的に書き改めた.これは最近の原虫病に関する研究と知見の進歩に対応するためである.
 (4) 診断,治療の項では最新の治療薬や情報を実際的な観点から記載した.
 (5) 全体的な読みやすさという観点から,一度各論で記載した欧文用語の重複する部分を省いた.さらに各論の見出しについては病原体などの名称をカッコで囲み,重要な語句はゴチックにするなどして見やすくした.
 (6) 人畜共通寄生虫病の項を削除した.これは実際的な立場から見れば,総論で理解しておけば特に問題はなく,むしろ重複になると考えたからである.
 こうして全体のボリュームを圧縮しようとした努力にもかかわらず,新知見や新しい傾向の記載で結局本書の総ページ数は初版とほぼ同じ結果となった.
 なお,第2版全体の枠組みは山口の当初の構想を生かしつつ,金子は腔腸動物から脊椎動物に至る衛生動物全般と節足動物の検査を,多田は総論,扁形動物・線形動物とこれに関する診断・検査,症候別にみた寄生虫病の部分を,大友は原生動物とこれに関する診断・検査,治療の項をそれぞれ担当した.
 今回の改訂については,初版をご利用いただいた学生,実地医家,教官の方々の貴重なご意見やご指摘に負うところも多い.第2版を上梓するにあたりこれらの方々に深くお礼を申し上げたい.今回の改訂にあたっては面倒な編集作業を担当して下さった医歯薬出版株式会社の編集部に心から感謝したい.
 内容を一新した本書によって,新しい読者にも満足していただければ幸いである.
 1991年4月
 著 者(多田功・大友弘士・金子清俊・山口富雄)



 最近,寄生虫病に関する知識が強く求められるようになってきた.その理由としては,日本国内でも横川吸虫,広節裂頭条虫などの感染症例が増加していること,ペット飼育の流行や食物の多様化に伴って,これまでの知識では対応できないような寄生虫病の発症をみていること,ダニ類をはじめ各種不快動物の異常発生に関心がもたれるようになったこと,さらに,海外への旅行者の激増とともに,熱帯・亜熱帯地方からの帰国者の間に,マラリアなど各種疾患が次第に増加していることなどがあげられる.
 さて,わが国における寄生虫の感染は,統計上からは,1960年を境として急激な減少を示してきた.確かに,第2次大戦後は,都市と農村とを問わず,高率に蔓延していた蛔虫の感染は,日本寄生虫予防会を主とする団体によって行われてきた精力的な集団検査,集団駆虫に加えるに,社会生活の向上による衛生環境の改善,野菜類の栽培における化学肥料の普及なども相まって,激減するに至った.
 ところが,わが国で人体に寄生する内部寄生虫の種類は,およそ70種にも達するが,たとえば蛔虫はそのうちの1種にすぎない.しかし,蛔虫を寄生虫の代名詞と考え,蛔虫の減少すなわち寄生虫の減少であって,そのために寄生虫病はすでに歴史的なものとなったと考えている医学関係者も少なくない.したがって,最近は,寄生虫に対する知識に乏しく,症例に対する対応が不十分なために,誤診をし,ときには致命的な例も少なくない.
 なお,寄生虫病は,熱帯病とよばれる疾患群のうちの大きな部分を占める.世界の人口の4分の3は熱帯・亜熱帯地方に居住しており,そのほとんどは開発途上国とよばれる国々である.これら地域に対する各種援助に従事する者ならびに旅行者,滞在者の増加に伴って,熱帯病に関する知識が要求されるのは当然である.にもかかわらず,わが国の若い医師たちが,経験がないのは止むを得ないとしても,知識の乏しいのは目にあまるものがある.
 本書は,医学部学生ならびに医師を主な対象として,原虫類,蠕虫類および節足動物に加えるに,病害をもたらす脊椎動物も含めた広い意味の寄生虫を記述した.さらに,人畜共通寄生虫病,症候別にみた寄生虫病などについても,臨床に携わるための知識として最少限必要な事項を記載した.
 総論,人畜共通寄生虫病,症候別にみた寄生虫病,全般的な診断,治療は山口,原虫類および衛生動物関係は金子,蠕虫類は多田が,それぞれ分担した.
 本書が,将来,医師を志す人たちにとどまらず,実地臨床に当たる医師にとって,座右の書となることを念願するものである.
 1987年2月 山口富雄・金子清俊・多田 功
 第3版の序…iii
 第2版の序…iv
 序…vi
 目次…ix
 口絵…xxi

第1編 総論

第1章 寄生虫病に悩む世界
  I 日本における寄生虫病の潮流
     1)生食嗜好により感染する寄生虫
     2)輸入寄生虫病
     3)日和見感染としての寄生虫病
     4)特殊な人間生態に基づく寄生虫病
     5)人畜共通寄生虫病
  II 橋本イニシアチブ

第2章 寄生虫と諸定義
 1.寄生
 2.寄生虫の生活史
     1)宿主の定義
     2)寄生虫感染のルート
     3)人畜共通寄生虫病
 3.寄生虫の分類

第3章 寄生虫―宿主関係
 1.寄生と寄生虫の形態的特性
     1)器官などの退化現象
     2)生殖器の異常な発育
     3)外部形態の寄生適応
 2.寄生と代謝適応
     1)グリコソーム
     2)寄生原虫のヌクレオチド合成系
     3)回虫成虫のミトコンドリアにおけるフマル酸呼吸系
     4)条虫幼虫の成長促進因子
 3.寄生虫のエスケープ(逃避)機構
  A.原虫
     1)解剖学的あるいは,物理的バリアによるエスケープ
     2)抗原変異によるエスケープ
     3)免疫学的おとり効果によるエスケープ
     4)マクロファージの食作用に対する抵抗性の獲得によるエスケープ
     5)宿主免疫応答のモディフィケーションによるエスケープ
     6)補体系の不活化によるエスケープ
  B.蠕虫
     1)宿主抗原による擬態
     2)抗原性の転換
     3)可溶性阻止抗体の放出
     4)体表を遮蔽抗体で覆うことによるエスケープ
     5)寄生虫からの抗補体因子の放出
     6)宿主免疫能の抑制によるエスケープ
 4.宿主の素因と寄生虫感染
     1)中間宿主あるいは媒介動物の素因
     2)固有宿主の素因
 5.寄生虫の遺伝子
     1)アフリカトリパノソーマ原虫のVSG抗原変異と病原性
     2)マラリア原虫抗原の変異と多型性
     3)PCRを用いたDNA診断
 6.寄生虫の病害作用

第4章 寄生虫感染と防圧
 1.寄生虫感染の自然背景
     1)気候条件
     2)地理的条件
     3)生物相
 2.伝搬者・中間宿主
     1)生態条件
     2)個体条件
 3.寄生虫感染と人間の社会
     1)食習慣
     2)衛生行動
     3)住居
     4)性差(sexとgender)
     5)職業
     6)伝統医学
     7)宗教,信仰,迷信
     8)近代化,開発
 4.寄生虫病対策
     1)寄生虫病の防圧法
     2)発展途上国で行われている代表的寄生虫防圧対策:目標と計画
 5.寄生虫病と国際保健
 6.感染症情報
     1)定期刊行物(印刷物)
     2)電子情報(インターネット)World・Wide・Web
     3)メーリングリスト,ディスカッションリスト

第2編 各論

第1章 原虫類
 1.原虫類概説
 2.根足虫(アメーバ)類
  1.赤痢アメーバ
     1)腸アメーバ症
     2)腸管外アメーバ症
     3)嚢子保有者
  2.非病原性アメーバ類
     1)大腸アメーバ
     2)ハルトマンアメーバ
     3)ポレックアメーバ
     4)歯肉アメーバ
     5)小形アメーバ
     6)ヨードアメーバ
  3.病原性自由生活アメーバ類
     1)ネグレリアフォレリ
     2)アカントアメーバカルバートソニ
     付)アメーバ性眼感染症
 3.鞭毛虫類
  A.消化器寄生鞭毛虫類
  1.ランブル鞭毛虫
  2.非病原性鞭毛虫類
     1)腸トリコモナス
     2)口腔トリコモナス
     3)ヒトエンテロモナス
     4)腸レトルタモナス
     5)メニール鞭毛虫
  3.その他の鞭毛虫
     1)二核アメーバ
  B.泌尿・生殖器寄生鞭毛虫類
  1.膣トリコモナス
  C.血液・組織寄生鞭毛虫類
  1.トリパノソーマ属
     1)ガンビアトリパノソーマ
     2)ローデシアトリパノソーマ
     3)クルーズトリパノソーマ
     4)人体非病原性トリパノソーマ
  2.リーシュマニア属
     1)内臓リーシュマニア症
     2)旧大陸の皮膚リーシュマニア症
     3)新大陸の皮膚および粘膜皮膚リーシュマニア症
 4.胞子虫類
  A.真コクシジウム目
  1.アイメリア亜目
   1.戦争イソスポーラ
   2.Eimeria stiedae
   3.人肉胞子虫
   4.Sarcocystis suihominis
   5.リンデマン肉胞子虫
   6.クリプトスポリジウムパルブム
   7.トキソプラズマゴンディ
  2.住血胞子虫亜目
   1.マラリア原虫
    1)三日熱マラリア原虫
    2)熱帯熱マラリア原虫
    3)四日熱マラリア原虫
    4)卵形マラリア原虫
  2.サルマラリア原虫
     1)サルマラリア原虫の実験室内感染事例
     2)サルマラリア原虫のヒトへの自然感染事例
     3)その他のサルマラリア原虫の人体に対する感染性
     4)サルマラリアの臨床症状
  3.マラリア
     1)急性マラリア
     2)悪性マラリア
     3)慢性マラリア
  B.ピロプラズマ目
  1.バベシア属
 5.繊毛虫類
  1.大腸バランチジウム
 6.分類学上の位置不明の原虫
  1.ニューモシスチスカリニ
  2.ブラストシスチスホミニス

第2章 扁形動物
 I 条虫類
 1.条虫類概説
  1.歴史
  2.分布
  3.分類
  4.機能形態
  5.生活史
  6.感染経路
  7.病害
 2.条虫類各論
  A.擬葉目
  1.日本海裂頭条虫
  2.マンソン孤虫
  3.大複殖門条虫
  4.芽殖孤虫
  B.円葉目
  1.無鉤条虫
  2.有鉤条虫
  3.単包条虫
  4.多包条虫
  5.小形条虫
  6.縮小条虫
  7.瓜実条虫
  8.有線条虫
 II 吸虫類
 1.吸虫類概説
 2.吸虫類各論
  A.血管寄生吸虫類
  1.日本住血吸虫
  2.マンソン住血吸虫
  3.ビルハルツ住血吸虫
  B.消化管寄生吸虫類
   1.肥大吸虫
  1.棘口吸虫類
   1.浅田棘口吸虫
   2.イロコス棘口吸虫
  2.異形吸虫類
   1.シーボルト異形吸虫
   2.有害異形吸虫
   3.横川吸虫
  C.組織寄生吸虫類
   1.肝蛭
   2.巨大肝蛭
   3.肝吸虫
   4.ネコ肝吸虫
   5.タイ肝吸虫
   6.槍形吸虫
   7.膵蛭
   8.ウエステルマン肺吸虫
   9.宮崎肺吸虫
   10.その他の肺吸虫

第3章 線形動物
 I 線虫類
 1.線虫類概説
 2.線虫類各論
  A.消化管寄生線虫類
  1.回虫
  2.イヌ回虫
  3.ネコ回虫
  4.蟯虫
  5.鉤虫
     1)ズビニ鉤虫
     2)アメリカ鉤虫
   【鉤虫症】
     3)セイロン鉤虫
     4)ブラジル鉤虫
     5)イヌ鉤虫
  6.東洋毛様線虫
  7.鞭虫
  8.フィリピン毛頭虫
  9.ラブジチス(桿線虫) 属
  10.アニサキス科
  11.糞線虫
  B.血管および組織寄生線虫類
  1.肝毛頭虫
  2.糸状虫類
     1)バンクロフト糸状虫
     2)マレー糸状虫
     3)回旋糸状虫
     4)ロア糸状虫
     5)イヌ糸状虫
  3.顎口虫類
  4.広東住血線虫
  5.コスタリカ住血線虫
  6.旋毛虫
  7.メジナ虫
  8.東洋眼虫
  C.泌尿器寄生線虫類
  1.腎虫
 II 鉤頭虫類
  1.大鉤頭虫
  2.鎖状鉤頭虫

第4章 節足動物
 1.節足動物概説
 2.蛛形綱
  A.ダニ目
  1.中気門亜目
     1)オオサシダニ科
     2)クワモ科
     3)ドゲダニ科
  2.前気門亜目
     1)ホコリダニ科
     2)シラミダニ科
     3)ツメダニ科
     4)ハダニ科
     5)ニキビダニ科
     6)ツツガムシ科
  3.無気門亜目
     1)ヒゼンダニ科
     2)チリダニ科
     3)コナダニ科
  4.マダニ亜目
  5.ダニ類による病害
   1.感染症の媒介
     1)つつがむし病
     2)日本紅斑熱
     3)ライム病
   2.寄生による病害
     1)疥癬
     2)動物疥癬
     3)皮膚毛包虫症(ニキビダニ症)
   3.吸血
   4.屋内塵中のダニによるアレルギー
   5.屋内塵中のダニによる刺咬症
  B.クモ目
     1)カバキコマチグモによる咬症
     2)ゴケグモによる咬症
  C.サソリ目
 3.倍脚綱
 4.唇脚綱
 5.昆虫綱
  A.ゴキブリ目
  B.シラミ目
     1)ヒトジラミ科
     2)ケジラミ科
  C.カメムシ目
     1)カメムシ科
     2)トコジラミ科
     3)サシガメ科
  D.チョウ目
     1)ドクガ科
     2)カレハガ科
     3)イラガ科
  E.コウチュウ目
     1)ハネカクシ科
     2)カミキリモドキ科
  F.ハチ目
  G.ハエ目
   1.長角亜目
     1)チョウバエ科
     2)ブユ科
     3)ヌカカ科
     4)蚊科
   2.短角亜目
    1.直縫短角群
     1)アブ科
    2.環縫短角群
  H.ノミ目

第5章 その他の病害性動物
 I 有毒動物
  A.加害状況からみた有毒動物の分類
  B.動物分類学上の分類
   1.腔腸動物
     1)腔腸動物による刺傷と治療
   2.棘皮動物
     1)ウニ,ヒトデによる刺傷と治療
   3.軟体動物
     1)イモガイ,ヒョウモンダコによる刺傷,咬傷と治療
   4.魚類
     1)魚類による刺傷と咬傷
     2)フグ中毒の症状と治療
   5.毒蛇
     1)毒ヘビ咬症の症状と治療
   6.ネズミと人畜共通感染症

第3編 寄生虫病の症候学

 1.発熱
  A.原虫性疾患による発熱
  B.蠕虫性疾患による発熱
 2.貧血
  A.原虫性貧血
     1)マラリア
     2)カラアザール
     3)トリパノソーマ症
  B.蠕虫性貧血
     1)鉤虫症
     2)住血吸虫症
     3)小形条虫症
     4)広節裂頭条虫症
 3.好酸球増多症
  A.好酸球増多をきたす疾患
  B.好酸球の発現部位
     1)末梢血中の好酸球増多
     2)局所の好酸球増多
     3)髄液中の好酸球増多
  C.好酸球増多のみられる寄生虫病
 4.呼吸器症状
  A.原虫性呼吸器症状
     1)アメーバ性肺膿瘍
     2)カラアザール
     3)トキソプラズマ症
     4)ニューモシスチスカリニ肺炎
  B.蠕虫性呼吸器症状
     1)回虫性肺炎(肺回虫症)
     2)イヌ回虫症
     3)鉤虫症
     4)肺イヌ糸状虫症
     5)熱帯性好酸球増多症
     6)糞線虫症
     7)肺吸虫症
     8)肺性住血吸虫症
     9)包虫症
     10)嚢虫症
  C.その他
     1)シマミミズの肺寄生
     2)ダニアレルギー
     3)舌虫症
 5.肝および脾腫大
  A.原虫性肝・脾腫大
     1)マラリア
     2)カラアザール(内臓リーシュマニア症,黒熱病)
     3)シャーガス病(アメリカトリパノソーマ症)
     4)アフリカ睡眠病(アフリカトリパノソーマ症)
     5)アメーバ性肝膿瘍
     6)トキソプラズマ症
  B.蠕虫性肝・脾腫大
     1)回虫迷入
     2)イヌ回虫症
     3)肝毛頭虫症
     4)住血吸虫症
     5)肝吸虫症
     6)肝蛭症
     7)肺吸虫症
     8)槍形吸虫症
     9)包虫症
     10)嚢虫症
 6.腹痛など胃腸症状
  A.原虫性胃腸症状
     1)アメーバ赤痢
     2)ランブル鞭毛虫症(ジアルジア症)
     3)バランチジウム症
     4)クリプトスポリジウム症
     5)イソスポーラ症
     6)ブラストシスチス症
     7)マラリア
     8)カラアザール
     9)シャーガス病
  B.蠕虫性胃腸症状
     1)回虫症
     2)アニサキス症
     3)鉤虫症
     4)蟯虫症
     5)糞線虫症
     6)毛様線虫症
     7)旋毛虫症
     8)鞭虫症
     9)腸カピラリア症
     10)コスタリカ住血線虫症
     11)旋尾線虫症
     12)住血吸虫症
     13)肝吸虫症
     14)肥大吸虫症
     15)横川吸虫症・異形吸虫症
     16)槍形吸虫症
     17)棘口吸虫症
     18)膵蛭症
     19)肺吸虫症
     20)広節裂頭条虫症
     21)大複殖門条虫症
     22)無鉤・有鉤条虫症
     23)包虫症
     24)小形条虫症
     25)縮小条虫症
     26)瓜実条虫症
     27)有線条虫症
     28)鉤頭虫感染
     29)鉄線虫類感染
  C.その他
     1)ハエ幼虫症
     2)ダニ類
 7.中枢神経症状
  A.原虫性中枢神経症状
     1)アメーバ性脳膿瘍
     2)原発性アメーバ性髄膜脳炎
     3)マラリア
     4)アフリカ睡眠病
     5)シャーガス病
     6)カラアザール
     7)トキソプラズマ症
  B.蠕虫性中枢神経症状
     1)回虫症
     2)イヌ回虫症
     3)旋毛虫症
     4)顎口虫症
     5)広東住血線虫症
     6)住血吸虫症
     7)肺吸虫症
     8)脳性および脊髄性異形吸虫症
     9)包虫症
     10)脳嚢虫症
     11)共尾虫症
     12)孤虫症
 8.眼症状
  A.原虫性眼症状
     1)シャーガス病
     2)トキソプラズマ症
     3)アカントアメーバ性眼感染症
  B.蠕虫性眼症状
     1)イヌ回虫症
     2)東洋眼虫症
     3)顎口虫症
     4)広東住血線虫症
     5)回旋糸状虫症(オンコセルカ症)
     6)ロア糸状虫症
     7)旋毛虫症
     8)肺吸虫症
     9)包虫症
     10)嚢虫症
     11)孤虫症
     12)共尾虫症
  C.その他
     1)シラミ寄生症
     2)ダニ刺咬症
 9.心障害
  A.原虫性心障害
     1)アメーバ性心外膜炎
     2)バランチジウム症
     3)カラアザール
     4)シャーガス病
     5)アフリカ睡眠病
     6)マラリア
     7)トキソプラズマ症
     8)肉胞子虫症
  B.蠕虫性心障害
     1)回虫症
     2)イヌ回虫症
     3)糸状虫症
     4)鉤虫症
     5)旋毛虫症
     6)鞭虫症
     7)糞線虫症
     8)住血吸虫症
     9)異形吸虫症
     10)肺吸虫症
     11)嚢虫症
     12)包虫症
     13)孤虫症
 10.皮膚および筋肉症状
  A.原虫性皮膚・筋肉症状
     1)アメーバ性皮膚膿瘍
     2)東洋瘤腫(熱帯リーシュマニア症)
     3)粘膜・皮膚リーシュマニア症(新世界リーシュマニア症)
     4)カラアザール
     5)トキソプラズマ症
  B.蠕虫性皮膚・筋肉症状
     1)鉤虫症
     2)顎口虫症
     3)バンクロフト糸状虫症
     4)マレー糸状虫症
     5)回旋糸状虫症(オンコセルカ症)
     6)ロア糸状虫症
     7)イヌ糸状虫症
     8)メジナ虫症
     9)旋毛虫症
     10)住血吸虫性皮膚炎
     11)肺吸虫症
     12)包虫症
     13)有鉤嚢虫症
     14)マンソン孤虫症
     15)芽殖孤虫症
  C.その他
     1)ヒル症
     2)ダニ症
     3)昆虫性皮膚炎
     4)有毒動物による刺咬症
 11.リンパ節腫大
  A.原虫性リンパ節腫大
     1)アフリカ睡眠病
     2)シャーガス病
     3)カラアザール
     4)トキソプラズマ症
  B.蠕虫性リンパ節腫大
     1)糸状虫症
 12.泌尿生殖器症状
  A.原虫性泌尿生殖器症状
     1)アメーバ症
     2)トリコモナス症
     3)マラリア
  B.蠕虫性泌尿生殖器症状
     1)糸状虫症
     2)ラブジチス類の感染
     3)蟯虫症
     4)腎虫症
     5)ビルハルツ住血吸虫症
     6)肺吸虫症
     7)包虫症
     8)孤虫症
  C.その他
     1) ハエ幼虫症

第4編 診断・検査法

第1章 原虫類
 I 腸管寄生原虫類の検査
  A.直接塗抹法(生鮮標本検査法)
  B.ハイデンハイン鉄・ヘマトキシリン染色法
  C.トリクローム染色法
  D.培養法
  E.嚢子の検出法
     1)ヨード染色法
     2)集嚢子法
  F.クリプトスポリジウムの検出法
     1)ショ糖液法
     2)Kinyoun抗酸染色法
 II 十二指腸からの原虫検出
 III 泌尿・生殖器寄生原虫の検査
     1)直接塗抹法
     2)培養法
 IV 血液寄生原虫の検査
     1)生鮮標本法
     2)血液厚層塗抹法
     3)血液薄層塗抹法
     4)アクリジンオレンジ染色法(AO染色法)
     5)マラリア原虫の感染密度測定法
     6)マラリア原虫集積法
     7)住血原虫の培養法
     8)住血原虫のDNA診断法
 V 組織寄生原虫の検査
  A.トキソプラズマの検出法
     1)生物学的検査法
     2)免疫血清学的検査法
  B.ニューモシスチスカリニの検出法
  C.アカントアメーバの検出法

第2章 蠕虫性疾患
 1.虫卵の検出
  A.虫卵検出上の注意
  B.糞便内虫卵の検出法
  1.塗抹法
     1)直接薄層塗抹法
     2)セロファン厚層塗抹法,加藤法
  2.集卵法
     1)浮遊法
     2)遠心沈殿法
  C.蟯虫卵の検出法(検肛法)
  D.喀痰からの虫卵検出法
  E.十二指腸液からの虫卵検出法
  F.糞便内虫卵数の計算法
     1)ストール法
     2)ビーバー法
  G.各種寄生虫の産卵数
  H.主要寄生虫卵
     1)虫卵の大きさ
     2)虫卵の形
     3)卵殻の色調
     4)卵 殻
     5)卵の内容
  1.主な虫卵の特徴
     1)線虫卵
     2)吸虫卵
     3)条虫卵
  2.鑑別に注意を要する虫卵
 2.幼虫の検出
  A.糞便培養法
  1.濾紙培養法
  2.ポリエチレンチューブ培養法
  3.瓦(かわら)培養法
  4.培養結果の判定
  5.日本住血吸虫のミラシジウム孵化法
  6.土壌からの線虫類幼虫検出液(ベールマン法)
  B.末梢血液の検査法
  1.血液検査法(検血法)
     1)採血時間
     2)厚層標本(濃塗標本)
     3)生鮮血液標本の観察
     4)仔虫の昼間誘発法
     5)濃縮法
  C.皮膚切片の検査法(検皮法)
  1.仔虫の鑑別
  D.その他
  1.回虫卵の培養
  2.糞線虫幼虫の分離
  3.成虫の検出
  A.材料の採取
  B.虫体の鑑別
     1)線虫
     2)吸虫
     3)条虫
  C.標本作製法
  1.線虫類
  2.吸虫類
  3.条虫類
     1)固定液・保存液・染色液
  4.中間宿主体内の幼虫検出
  A.貝類
  1.住血吸虫セルカリアの検出
  2.広東住血線虫第3期幼虫
  B.魚類,甲殻類,爬虫類など
  1.日本海裂頭条虫プレロセルコイド
  2.マンソン裂頭条虫プレロセルコイド
  3.肝吸虫メタセルカリア
  4.横川吸虫メタセルカリア
  5.肺吸虫メタセルカリア
  6.顎口虫の第3期幼虫
  7.アニサキス亜科幼虫
  C.哺乳動物
  1.有鉤嚢虫
  2.無鉤嚢虫
  3.旋毛虫
  D.蚊・ブユ

第3章 節足動物
 1.ダニ類
  A.採集法
  1.マダニ類
  2.ヒト皮膚寄生ダニ
  3.動物寄生ダニ
  4.室内塵中のダニ
  B.固定,保存および標本作成法
  1.固定法
  2.保存法
  3.標本作成法
 2.昆虫類
  A.採集法
  1.成虫の採集
  2.幼虫の採集
  B.標本作成法
  1.乾燥標本
  2.液浸標本
  3.封入標本

第4章 免疫学的検査
 1.寄生虫病における免疫学的検査
 2.免疫学的検査の種類
  1.ゲル内沈降反応
  2.凝集反応
  3.螢光抗体法
  4.酵素抗体法
     1)multiple dot-ELISA
     2)plate ELISA
  5.その他の抗体検査
 3.寄生虫病診断のための各種免疫学的検査法の適応

第5編 治療
 I 薬物療法の概念
 II 外科的治療
 III 治療効果の判定
 IV わが国で入手できる抗寄生虫薬

 索引