やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

特集にあたって
 脳神経内科疾患の多くに合併する,摂食嚥下障害・栄養障害は,療養上のQOLを損なうのみならず,誤嚥性肺炎・窒息等生命予後に直結する.
 脳神経内科疾患における摂食嚥下・栄養障害の病態や対策は,系統的に学ぶ機会は多くなく,日常診療で難渋することもある.
 2024年5月に開催された第65回日本神経学会学術大会では,このテーマが公募教育コースとして採択され,日本神経摂食嚥下・栄養学会の理事が担当したが,予想を上回る多くの会員が視聴し,この分野の医療への関心の高さがうかがわれた.
 本特集では,
  摂食嚥下障害の基礎知識
  代表的な脳神経内科疾患の
   疾患病態
   摂食嚥下・栄養障害の病態と予後との関連
   エビデンスを踏まえた医療的ケア
  外科的治療
 を脳神経内科・リハビリテーション科・耳鼻咽喉科の専門医より解説いただいた.疾患については,日常的に摂食嚥下障害・栄養障害を合併することの多い疾患の中から,今回は脳卒中・筋萎縮性側索硬化症・パーキンソン病と類縁疾患・多系統萎縮症を取り上げた.
 脳神経内科疾患の摂食嚥下・栄養障害にかかわる,医師を含むすべての医療職が知識や最新の知見を共有し,関連職種との連携の在り方についても,ともに考えることを目指す.
 2023年に日本神経摂食嚥下・栄養学会より『脳神経内科疾患の摂食嚥下・栄養ケアハンドブック:患者・家族とケアスタッフのための手引きとQ&A(医歯薬出版)』という摂食嚥下障害の患者・家族,医療職・介護職も含めたメンバーの「実臨床」における知識の共有を目指した書籍が上梓された.
 このたびの特集では,さらに専門的な知見での摂食嚥下リハビリテーションの構築と最新のエビデンスを呈示し,医師を含めた幅広い医療職に求められる内容を目指している.
 一部の嚥下造影所見については,動画の理解を助けるため,QRコード等で動画へのアクセスが可能となっている.
 今回の特集では紹介できなかった小児脳神経内科疾患・筋疾患・重症筋無力症・脊髄小脳変性症・認知症等は,次の機会にぜひ紹介させていただきたい.
 〔企画者:野ア園子(関西労災病院脳神経内科,日本神経摂食嚥下・栄養学会代表理事)〕
特集 脳神経内科の摂食嚥下リハビリテーションと栄養管理
 特集にあたって(野ア園子)
 摂食嚥下障害の基礎知識(下畑享良)
 脳卒中の摂食嚥下リハビリテーションと栄養管理─特に脳梗塞について(巨島文子)
 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の摂食嚥下リハビリテーション医療と栄養管理(野ア園子)
 パーキンソン病・類縁疾患の摂食嚥下リハビリテーション医療と栄養管理(平野牧人)
 多系統萎縮症の摂食嚥下リハビリテーション医療と栄養管理(長尾龍之介,伊藤瑞規・他)
 重症嚥下障害の外科的治療(藤本保志)

TOPICS 効率よく安全に:裏切らない筋トレ法
 (谷本道哉)

連載
リハなひと
 作業療法士 那須識徳さん

巻頭カラー リハビリテーション科医が知っておくべき最新の義肢構成パーツ
 10.最新のコンピューター制御足部(野坂利也)

最新版! 摂食嚥下機能評価―スクリーニングから臨床研究まで
 10.VFの手順と(食物を用いた)評価(日本摂食嚥下リハビリテーション学会)(武原 格)

ニューカマー リハ科専門医
 (赤塚 功)

リハビリテーション科医師に必要な診察,評価手技
 13.ICUにおける評価法(新見昌央)

リハビリテーション科医に必要な消化器疾患の知識と近年の進歩
 8.大腸疾患(辻仲眞康,柴田 近)

障害福祉サービスとリハビリテーション
 7.自立訓練(生活訓練)(菊地尚久)

“こんなときどうする?” リハビリテーション臨床現場のモヤモヤ解決! 令和版
 形態変更・スキルアップ編 (2)患者のデータをうまく管理したい(横山美帆)

おさえておきたい転倒・転落予防の基本知識と現場での応用
 6.転倒・転落の主な原因と対策:(5)排泄障害(笠井健司,下地 尚・他)

知っておきたい! がんサポーティブケア
 3.発熱性好中球減少症(febrile neutropenia;FN)(岩ア博道)

リハビリテーション関連職の現状と展望
 11.言語聴覚士(内山量史)

学会報告
 第8回日本安全運転医療学会学術集会(桑野真和)

 ご挨拶 CR編集委員代表退任にあたって(江藤文夫)
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