特集にあたって
生活や社会参加を目指して患者の治療を行うリハビリテーション医療現場では,患者が常に抱える症状や病態・障害に対して,これを適切にコントロールし,また患者が社会復帰を目指し,これと向き合えるように支援しながら治療を行う必要がある.こうした場面に漢方医学や鍼灸治療が活用できることがある.
西洋医学は,患者の状態を科学的根拠から判断し,その原因を取り除くことで治療を行うものであり,現代医学の主流としてこれに基づいた医学教育が行われている.一方で,東洋医学は西洋医学とは異なる診察と病態判断を行い,漢方薬や鍼灸治療で治療する.全人的に患者を診察し治療する漢方医学や,慢性疼痛,脳卒中後遺症や痙縮等に対する鍼治療は,治療として効果的である可能性やエビデンス等が既に示されているものもある.実際に西洋医学で治療しにくい症状や病態に対してアプローチできる東洋医学は,リハビリテーション医療現場における患者の治療手段として大きな助けになると考えられる.
本特集では,こうしたリハビリテーション医療現場で実際に活用できる東洋医学の診察・診断方法やその治療法について,その考え方やエビデンス,また使用の際の副作用や注意点等について,東洋医学を専門,あるいは精通した先生方にご執筆いただいた.
漢方治療について,美津島隆先生にはリハビリテーション医療で活用できる漢方治療の総論として,その診断学や,西洋医学との違いについて解説いただいた.加藤士郎先生らには,内科系疾患を中心に漢方治療のエビデンスをはじめ,事例を踏まえた処方の実際や,具体的にはサルコペニア・老年系疾患・嚥下障害等に有効な漢方治療について解説いただいた.河原章浩先生らにはリハビリテーション科・整形外科の医療現場で活用できる漢方薬について,その効果判定の方法や副作用等について解説いただいた.
鍼灸治療については,粕谷大智先生にリハビリテーション医療に役立つ鍼灸治療の総論として,そのエビデンスや診断学と適応や処方について,また今後の日本の鍼灸治療の展望について解説いただいた.伊藤和憲先生には,医療現場で役立つ鍼灸治療の実際について,適応やエビデンス,副作用の他に,チーム医療としての鍼灸治療について解説いただいた.寺澤佳洋先生からは海外でも注目されている鍼灸治療について,その実情や医療サービスとしての現状について,各国の医療事情も踏まえてご紹介いただいた.
本特集では西洋医学と東洋医学の特徴と利点や欠点を踏まえて,リハビリテーション医療現場で実際に活用できる漢方薬や鍼灸治療の有効性にフォーカスした内容となっている.実際の診療現場で東洋医学を適切に活用し,あるいは併用することで,今後のリハビリテーション治療における一助となれば幸いである.
(編集委員会 企画担当:藤原清香)
生活や社会参加を目指して患者の治療を行うリハビリテーション医療現場では,患者が常に抱える症状や病態・障害に対して,これを適切にコントロールし,また患者が社会復帰を目指し,これと向き合えるように支援しながら治療を行う必要がある.こうした場面に漢方医学や鍼灸治療が活用できることがある.
西洋医学は,患者の状態を科学的根拠から判断し,その原因を取り除くことで治療を行うものであり,現代医学の主流としてこれに基づいた医学教育が行われている.一方で,東洋医学は西洋医学とは異なる診察と病態判断を行い,漢方薬や鍼灸治療で治療する.全人的に患者を診察し治療する漢方医学や,慢性疼痛,脳卒中後遺症や痙縮等に対する鍼治療は,治療として効果的である可能性やエビデンス等が既に示されているものもある.実際に西洋医学で治療しにくい症状や病態に対してアプローチできる東洋医学は,リハビリテーション医療現場における患者の治療手段として大きな助けになると考えられる.
本特集では,こうしたリハビリテーション医療現場で実際に活用できる東洋医学の診察・診断方法やその治療法について,その考え方やエビデンス,また使用の際の副作用や注意点等について,東洋医学を専門,あるいは精通した先生方にご執筆いただいた.
漢方治療について,美津島隆先生にはリハビリテーション医療で活用できる漢方治療の総論として,その診断学や,西洋医学との違いについて解説いただいた.加藤士郎先生らには,内科系疾患を中心に漢方治療のエビデンスをはじめ,事例を踏まえた処方の実際や,具体的にはサルコペニア・老年系疾患・嚥下障害等に有効な漢方治療について解説いただいた.河原章浩先生らにはリハビリテーション科・整形外科の医療現場で活用できる漢方薬について,その効果判定の方法や副作用等について解説いただいた.
鍼灸治療については,粕谷大智先生にリハビリテーション医療に役立つ鍼灸治療の総論として,そのエビデンスや診断学と適応や処方について,また今後の日本の鍼灸治療の展望について解説いただいた.伊藤和憲先生には,医療現場で役立つ鍼灸治療の実際について,適応やエビデンス,副作用の他に,チーム医療としての鍼灸治療について解説いただいた.寺澤佳洋先生からは海外でも注目されている鍼灸治療について,その実情や医療サービスとしての現状について,各国の医療事情も踏まえてご紹介いただいた.
本特集では西洋医学と東洋医学の特徴と利点や欠点を踏まえて,リハビリテーション医療現場で実際に活用できる漢方薬や鍼灸治療の有効性にフォーカスした内容となっている.実際の診療現場で東洋医学を適切に活用し,あるいは併用することで,今後のリハビリテーション治療における一助となれば幸いである.
(編集委員会 企画担当:藤原清香)
特集 リハビリテーション医療で活用できる東洋医学
特集にあたって(藤原清香)
リハビリテーション医療で活用できる漢方治療:総論(美津島 隆)
内科系疾患のリハビリテーション医療に活用できる漢方治療(加藤士郎 玉野雅裕・他)
漢方治療の処方の実際(河原章浩 小川恵子)
リハビリテーション医療に役立つ鍼灸治療:総論(粕谷大智)
リハビリテーション医療に役立つ鍼灸治療:治療とその実際(伊藤和憲)
鍼灸治療の海外での取り組みや治療の実際,医療サービスとしての現状(寺澤佳洋)
新連載 リハなひと
1.感情環境デザイナー/作業療法士 杉本聡恵さん
連載
巻頭カラー デザインが拓くリハビリテーションの未来
9.AI技術を活用したスマートコーチング技術(栗田雄一)
ニューカマー リハ科専門医
(草野 謙)
知っていてほしい義肢装具とその実際
3.上肢装具(補装具)(井上美紀 種井健太)
地域リハビリテーションの現状と今後
4.広域支援センターにおける地域リハビリテーション(埼玉県)(斉藤正身 岡持利亘)
知っておきたい神経科学のキィワード
23.運動錯覚(金子文成)
リハビリテーション診療におけるEvidence-Based Practice
9.Evidence-Based Practice教育(有家尚志)
リハビリテーション医療における安全管理の一工夫
II.回復期リハビリテーション病院における安全管理:5.回復期リハビリテーション病院における災害対策と設備管理〜病院産業医の視点から〜(小倉康平)
認知症の基礎知識とリハビリテーション
7.生活障害に対する分析の視点と支援(谷川良博 糸原郁美)
学会報告
第7回 日本リハビリテーション医学会秋季学術集会を終えて(帖佐悦男)
2024年 国内リハビリテーション関連学会案内
投稿規定
特集にあたって(藤原清香)
リハビリテーション医療で活用できる漢方治療:総論(美津島 隆)
内科系疾患のリハビリテーション医療に活用できる漢方治療(加藤士郎 玉野雅裕・他)
漢方治療の処方の実際(河原章浩 小川恵子)
リハビリテーション医療に役立つ鍼灸治療:総論(粕谷大智)
リハビリテーション医療に役立つ鍼灸治療:治療とその実際(伊藤和憲)
鍼灸治療の海外での取り組みや治療の実際,医療サービスとしての現状(寺澤佳洋)
新連載 リハなひと
1.感情環境デザイナー/作業療法士 杉本聡恵さん
連載
巻頭カラー デザインが拓くリハビリテーションの未来
9.AI技術を活用したスマートコーチング技術(栗田雄一)
ニューカマー リハ科専門医
(草野 謙)
知っていてほしい義肢装具とその実際
3.上肢装具(補装具)(井上美紀 種井健太)
地域リハビリテーションの現状と今後
4.広域支援センターにおける地域リハビリテーション(埼玉県)(斉藤正身 岡持利亘)
知っておきたい神経科学のキィワード
23.運動錯覚(金子文成)
リハビリテーション診療におけるEvidence-Based Practice
9.Evidence-Based Practice教育(有家尚志)
リハビリテーション医療における安全管理の一工夫
II.回復期リハビリテーション病院における安全管理:5.回復期リハビリテーション病院における災害対策と設備管理〜病院産業医の視点から〜(小倉康平)
認知症の基礎知識とリハビリテーション
7.生活障害に対する分析の視点と支援(谷川良博 糸原郁美)
学会報告
第7回 日本リハビリテーション医学会秋季学術集会を終えて(帖佐悦男)
2024年 国内リハビリテーション関連学会案内
投稿規定














