やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

特集にあたって
 循環器疾患のリハビリテーションのゴールは,単に在宅生活復帰や復職だけではなく,心血管疾患の再発防止や生命予後の延長を含むものである.特に入院による急性期・前期回復期心臓リハビリテーションに引き続いて,外来通院および在宅自主トレの組み合わせで約半年間行われる後期回復期心臓リハビリテーションが生命予後延長に効果的であり,医療施設間の連携や患者への生活習慣変容のための教育が極めて重要である.
 CRでは2020年7月号で「心血管疾患のリハビリテーションup to date」という特集を組んだ.しかし,循環器疾患のリハビリテーションの進歩は著しく,この2年余りで状況が大きく変化した.
 すなわち,「循環器病対策基本法」に基づき2020年10月に「循環器病対策推進基本計画」,2021年3月に「脳卒中と循環器病克服第二次5ヵ年計画」が策定された.同年,「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」が9年ぶりに改訂された.また,2022年診療報酬改定で,回復期リハビリテーションを要する患者の状態として,「急性心筋梗塞,狭心症の発作若しくはその他急性発症した心大血管疾患の発症後又は手術後の状態」が追加された.さらに,COVID-19の猛威とICTの発展を背景に,遠隔リハビリテーションが行われるようになった.
 そこで,本特集では,循環器疾患のリハビリテーショントピックスとして,これらの最新知見と,最近特に注目される循環器疾患である肺高血圧や末梢動脈疾患のリハビリテーション,さらには今後の発展が期待される電気刺激の効果をテーマに取り上げた.この領域のトップランナーの先生方に執筆を依頼し,極めて充実した内容にすることができた.すなわち,上月先生からは,総論として「循環器病対策基本法」と「循環器病対策推進基本計画」,「脳卒中と循環器病克服第二次5ヵ年計画」における心臓リハビリテーションを,牧田先生からは心血管疾患におけるリハビリテーションに関する新しいガイドラインを,木庭先生からは回復期リハビリテーション施設における心臓リハビリテーションを,伊東先生からは遠隔心臓リハビリテーションを解説していただいた.また,福本先生からは肺高血圧と心臓リハビリテーションを,杉山先生からは末梢動脈疾患と心臓リハビリテーションを,吉村先生からは悪液質と心臓リハビリテーションをそれぞれコラムで解説していただいた.
 本特集は,新時代の循環器疾患のリハビリテーションが,患者や社会に対してどのような役割を果たせるのか,どのように「変化」していかねばならないのかを考えるにあたって最適な企画になったものと期待している.
 (編集委員会)
特集 循環器疾患のリハビリテーショントピックス
 特集にあたって
 総論:「循環器病対策基本法」,「循環器病対策推進基本計画」,「脳卒中と循環器病克服5ヵ年計画」とリハビリテーション 上月正博
 心血管疾患におけるリハビリテーションに関する新しいガイドライン 牧田 茂
 回復期リハビリテーション施設における心臓リハビリテーション 木庭新治
 遠隔心臓リハビリテーション 伊東秀崇 長谷川高志・他
 コラム:
  肺高血圧と心臓リハビリテーション 福本義弘
  末梢動脈疾患と心臓リハビリテーション 杉山拓史 安 隆則
  悪液質と心臓リハビリテーション 吉村芳弘

連載
巻頭カラー 症例でつかむ!摂食嚥下リハビリテーション訓練のコツ
 12.頭頸部がんに対する前舌保持嚥下訓練のコツ 保田祥代 小口和代・他

ニューカマー リハ科専門医
 岡田(M中)薫佳

パラアスリートに聞く パラスポーツとの出会い
 第4回 里見紗李奈選手(バドミントン)

新型コロナウイルス感染症とリハビリテーション医療
 10.リハビリテーション病棟におけるCOVID-19クラスター対応と対策 岡本隆嗣 重信順也・他

知っておきたい神経科学のキィワード
 8.内部モデル 上原信太郎 大高洋平

リハビリテーションスタッフがかかわるチーム医療最前線
 18.富山大学附属病院リハビリテーション部 服部憲明

リハビリテーションと薬剤
 16.リハビリテーションでよく処方される薬剤とその副作用:(6)ヒスタミン受容体拮抗薬 牧 宏樹

リハビリテーション医療におけるACP―治らないかもしれない障害をもつ患者に対応する―
 5.高次脳機能障害 渡邉 修

回復期・生活期リハビリテーション医療に必要な内科的管理
 7.パーキンソニズム・めまい 野ア園子

慢性疼痛のリハビリテーション
 7.運動器慢性疼痛に対するリハビリテーション医療 橋直人

リハビリテーション医学・医療と私
 第6回 私がリハ医になった(転科した)理由とリハ栄養との出会い〜ほんとはリハ医になるつもりはなかったのに〜 吉村芳弘

臨床経験
 インコボツリヌストキシンA(ゼオマイン(R))を使用してA型ボツリヌス製剤800単位で両上下肢に同時使用した脳卒中後四肢痙縮の1例 渡辺淳志 山口智弘

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