やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

特集にあたって
 時間栄養とは,私たちの体内の時計遺伝子のリズムからできる概日リズム,概日時計を考慮した食事・栄養のことで,クロノニュートリションともいわれる.いつ,何を,どのくらい食べると健康によいか,すなわち,1日のうち実際に食事を摂取するタイミングや1日の食事回数,食事中のたんぱく質,脂質,炭水化物の割合,1日3食の食事の量について考慮して食事をすることで,疾病発症を予防し,健康を維持して健康寿命の延伸をめざすものである.
 この分野の研究は近年精力的に進められており,実験動物を用いた時計遺伝子の乱れがどのようなメカニズムでさまざまな病態を引き起こすのかといった研究のほか,ヒトを対象とした疫学研究,介入研究も進んでおり,報告は年々増加している.
 今回の特集は「時間栄養学UPDATE―最新研究が明らかにする健康との多彩なかかわり」と題し,総論を田原 優先生,食事摂取と血糖変動について今井佐恵子先生,運動と時間栄養学について畑本陽一先生,睡眠と時間栄養学について志内哲也先生,腸内細菌と時間栄養学について佐々木裕之先生,生活習慣の季節変動で考える時間栄養学について吉村英一先生,と第一線で活躍されている先生方にご執筆をお願いした.疾患と時間栄養学に関しては筆者が執筆した.
 本特集が,時間栄養という考え方を知っていただき,自分のリズムを感じながら健康に過ごせる毎日につながることを期待する.
 国立健康・栄養研究所栄養・代謝研究部 時間栄養研究室
 山崎聖美
特集 時間栄養学UPDATE―最新研究が明らかにする健康との多彩なかかわり
 特集にあたって(山崎聖美)
 【総論】時間栄養学研究の現状と展望(田原 優)
 疾患と時間栄養学(山崎聖美)
 食事摂取の時間と血糖変動(今井佐恵子・梶山静夫)
 運動と時間栄養学(畑本陽一)
 睡眠と時間栄養学(志内哲也)
 腸内細菌と時間栄養学(佐々木裕之)
 体重を主軸とした生活習慣の季節変動(吉村英一)

これだけは知っておきたい 口腔ケアの基本と実際(2)
 口腔ケアの実際と歯科医療者との連携
 (匠原 健・廣瀬知二)

活動レポート 栄養ケア・ステーション
 横山歯科医院 恋ヶ窪認定栄養ケア・ステーション
 (山本美菜子)

ぷろらぼ 研究室で学んでみませんか
 健康科学研究の知を社会の価値へ
 福岡大学大学院 スポーツ健康科学研究科
 スポーツ健康科学専攻 運動生理学研究室

スポット
 黙食下における学校食育の可能性(饗場直美)
 栄養知識を評価する調査票の開発(松本麻衣)

連載
リハ栄養診断推論を究める! 誌上ケースカンファレンス
 vol.2 脳梗塞発症後に糖尿病の治療が開始され,薬剤性の低栄養を呈したサルコペニア肥満が疑われる症例(二井麻里亜・小蔵要司・若林秀隆)

Case Reportに学ぶ 摂食嚥下障害の栄養アセスメントと介入のコツ(5)
 回復期リハビリテーション病棟において胃瘻を造設しない選択をした高齢女性の経過(島田直子)

宮島流! 病棟栄養士のためのケースカンファレンス活用術
 CASE 14 糖尿病性壊疽(宮島 功)

Medical Nutritionist養成講座(62)
 静脈栄養剤の種類と選択(2)(井上善文)

『日本食品標準成分表』の活用でもっと深まる 食品と調理のキソ知識(46)
 調理済み流通食品類1(渡邊智子)

ORIGAMI ART―食に活かすおりがみ/食の教養
 キウイ(西田良子・立木美保)

こんだてじまん
 じまんの一品料理 鶏だんごの担々汁(具だくさん汁)
 岐阜大学医学部附属病院(西村佳代子・他)

研究・調査
 「食形態マップ」による多職種・他施設との情報共有の有効性と今後の課題について(平山雄大・他)

News & Information
 日本栄養士会医療職域 2022年度政策事業「全国病院栄養部門実態調査」について(本川佳子)
 自治体病院 第60回全国自治体病院学会の報告(仲宗根法子)
 精神科病院 高齢患者の皮膚障害について(水井文子)
 厚生労働省・消費者庁 第4回令和4年度管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会の開催について・他
 おしらせ 日本臨床栄養協会 卒後研修委員会主催「現場で行う臨床研究塾―データを料理して成果を見える化しよう」・他

 REMARKS―編集委員のひとこと
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