イントロダクション
2020年,未曾有の感染症拡大によって生活様式は一変した.2025年となった現在,かつての生活を取り戻しつつあるものの,加速したデジタルトランスフォーション(DX)は歯科の世界にも凄まじい勢いで押し寄せてきている.
この歯科DXにおいて,大きく飛躍したものの一つが「オンライン講座の充実」ではないだろうか.同時に,論文検索,ChatGPTや海外論文翻訳アプリの活用,オンライン等での意見交換などの機会も増え,情報源の多さには驚くばかりである.
一方で,アナログからデジタルへの移行期を経験してきた世代からみると,歯科DXに対していくつかの懸念も感じている.まずは,「情報過多に伴う情報選別の難しさ」である.情報収集がはるかに恵まれた環境になってきたのは確かではあるが,もはやすべてを網羅することは不可能な情報量であり,どの情報を選択するかのほうが,むしろ重要になってきているように見える.さらに,高いレベルで担保されるべき「情報の質」についても,残念ながら統制されていないようにも感じられる.結果として,「目にする情報が正しいものなのかどうか」を見極める能力こそがより必要になってきたと言える.
不安を吐露するような意見にはなるが,このような情勢から,多くの情報が錯綜するなかで「自分は勉強不足なのかもしれない」という罪悪感を抱くようにもなってくる.自分の知識が「もはや古いのでは」と感じる機会も増えてきているし,ときとして後輩や患者から自分がまったく知らない情報や質問を投げかけられる事案も増えてきているからであろう.「歯科DXを使いこなす次世代に取り残されていってしまうかもしれない」といった焦燥感が付きまとうのは筆者だけだろうか.
そこで本企画では,日常臨床で悩むことの多い「咬合再構成の難易度にまつわる因子」について,まずは1歯単位に焦点をあてて,世代間を越えて同じテーマを論じながら,来るべき次世代の歯科学問道を模索してみたいと考えている.登壇していただく先生方は,コロナ禍で始まったD-cubeというクローズド・オンライン勉強会からの有志メンバー6人である.そして,D-cube顧問である関 豊成先生には座長として司会進行をお願いさせていただいた.迷いと不安から始まった本企画ではあるが,歯科臨床に対する情熱によって,彼らの迷いや不安が確信に変わっていく様子をご覧いただければと思う.
井基普
2020年,未曾有の感染症拡大によって生活様式は一変した.2025年となった現在,かつての生活を取り戻しつつあるものの,加速したデジタルトランスフォーション(DX)は歯科の世界にも凄まじい勢いで押し寄せてきている.
この歯科DXにおいて,大きく飛躍したものの一つが「オンライン講座の充実」ではないだろうか.同時に,論文検索,ChatGPTや海外論文翻訳アプリの活用,オンライン等での意見交換などの機会も増え,情報源の多さには驚くばかりである.
一方で,アナログからデジタルへの移行期を経験してきた世代からみると,歯科DXに対していくつかの懸念も感じている.まずは,「情報過多に伴う情報選別の難しさ」である.情報収集がはるかに恵まれた環境になってきたのは確かではあるが,もはやすべてを網羅することは不可能な情報量であり,どの情報を選択するかのほうが,むしろ重要になってきているように見える.さらに,高いレベルで担保されるべき「情報の質」についても,残念ながら統制されていないようにも感じられる.結果として,「目にする情報が正しいものなのかどうか」を見極める能力こそがより必要になってきたと言える.
不安を吐露するような意見にはなるが,このような情勢から,多くの情報が錯綜するなかで「自分は勉強不足なのかもしれない」という罪悪感を抱くようにもなってくる.自分の知識が「もはや古いのでは」と感じる機会も増えてきているし,ときとして後輩や患者から自分がまったく知らない情報や質問を投げかけられる事案も増えてきているからであろう.「歯科DXを使いこなす次世代に取り残されていってしまうかもしれない」といった焦燥感が付きまとうのは筆者だけだろうか.
そこで本企画では,日常臨床で悩むことの多い「咬合再構成の難易度にまつわる因子」について,まずは1歯単位に焦点をあてて,世代間を越えて同じテーマを論じながら,来るべき次世代の歯科学問道を模索してみたいと考えている.登壇していただく先生方は,コロナ禍で始まったD-cubeというクローズド・オンライン勉強会からの有志メンバー6人である.そして,D-cube顧問である関 豊成先生には座長として司会進行をお願いさせていただいた.迷いと不安から始まった本企画ではあるが,歯科臨床に対する情熱によって,彼らの迷いや不安が確信に変わっていく様子をご覧いただければと思う.
井基普
新連載 咬合再構成の難易度を検証する 1
〜論文・書籍・オンライン講座をどのように臨床に活かすのか〜
(井基普・関 豊成・久保寺理人・白土勇貴)
特別企画 歯周病・インプラント治療におけるホットトピックス
―2024年論文編―
(辻 翔太・新井宗秀・奈良裕之・阿部健一郎)
特別企画 エビデンス,譲れないものを超えるもの
―インプラント治療の変遷から考える
(梅津清隆)
巻頭TOPIC トンガ王国歯科保健活動25年を経て
〜MissionからTeamへ
(内田千鶴・河村サユリ)
【新連載】質の高い歯周基本治療のための臨床Q&A 1
OHIでのポイント
(近藤智裕)
【新連載】補綴と外科の融合 1
インプラント
(兒玉直紀・新名主耕平)
Dr.Hiroのペリオドントロジー 7
ペリオの犯人捜し・前編
(山本浩正)
お悩み解決!パーシャルデンチャー 25・完
残存歯が1本なら部分床義歯よりも全部床義歯にしたほうがよい?
(松田謙一)
インプラントのメインテナンスを再考する 7・完
メインテナンスを最大限に活かすために:
歯科衛生士との連携と情報共有ポイント〜Our Lights of Hope〜
(齋藤花重)
高齢者歯科における義歯臨床のキーポイント 10
義歯への機能的形態の付与と高齢者のQOLの向上
〜食べたいの想いを叶える取り組み〜
(齋藤貴之)
矯正を併用した歯科治療の実践 7・完
再生療法との併用(2)
(竹内公生)
“超”長期症例から治療効果と補綴の意味を検証する 7
多数の歯を失った若年者の長期経過
(前田佳英)
Topic
歯冠部歯質が十分に確保できない場合の歯冠修復法
(渡部誠弘)
若手歯科医師によるCase Presentation
根管形成および根管洗浄に着目した感染根管治療
(中田 穰)
【新連載】「回復期」における口腔機能管理って何? ―リハと歯科の接点
「回復期」でなぜ口腔機能管理が必要なのか?
(大野友久)
じっくり深読み! カリオロジー 7
プラークは何日経つと齲蝕になる?
(大庭俊太朗)
Topic
デジタル時代のラボコミュニケーション 求められる4つのポイント
(秦 康次郎)
Topic
「リトルベビーハンドブック」が全国で運用されることになりました
(板東あけみ)
21世紀以降の厚生労働省「歯科疾患実態調査」に関する歯科疾患データ分析システム(ODAS)を用いた分析研究 3
「8020運動」,同一調査年比較「視点A」と同一出生年比較「視点B」,そして「視点C」
(三宅 雅・江國大輔)
事例に学ぶ歯科保険請求 214
令和6年度 歯科診療報酬不備事例(3)
生活歯髄切断・抜髄時の麻酔薬剤料の算定不備
(東京医療保険問題研究会)
【新連載】若手研究者へ Stay ambitious 1
(對木 悟)
日本歯科技工への観想 4
(赤司征大)
歯周治療:50年の進化と近未来 13
(吉江弘正)
健康格差社会から考える歯科医院経営 10
(浅野惇太)
経済学的視点から歯科業界を読み解く 88
(河越正明)
「顎関節症臨床医の会」だより 28
(遠藤 優)
【News & Report】
令和7年春の叙勲・褒章受章者
日本臨床歯科学会 大阪支部2025年度 第1回学術大会/北九州歯学研究会 第47回発表会/日本歯科理工学会 令和7(2025)年度第83回学術講演会/2025年救歯塾がスタート/日本臨床歯周病学会関東支部 第1回歯科技工士セッション/乳歯会・DFC・なんかよう会合同例会/日本デジタル歯科学会第16回学術大会/ダン・エリクソン氏来日講演
【Conference & Seminar】
7月〜9月の学会案内,大学卒後研修会
〜論文・書籍・オンライン講座をどのように臨床に活かすのか〜
(井基普・関 豊成・久保寺理人・白土勇貴)
特別企画 歯周病・インプラント治療におけるホットトピックス
―2024年論文編―
(辻 翔太・新井宗秀・奈良裕之・阿部健一郎)
特別企画 エビデンス,譲れないものを超えるもの
―インプラント治療の変遷から考える
(梅津清隆)
巻頭TOPIC トンガ王国歯科保健活動25年を経て
〜MissionからTeamへ
(内田千鶴・河村サユリ)
【新連載】質の高い歯周基本治療のための臨床Q&A 1
OHIでのポイント
(近藤智裕)
【新連載】補綴と外科の融合 1
インプラント
(兒玉直紀・新名主耕平)
Dr.Hiroのペリオドントロジー 7
ペリオの犯人捜し・前編
(山本浩正)
お悩み解決!パーシャルデンチャー 25・完
残存歯が1本なら部分床義歯よりも全部床義歯にしたほうがよい?
(松田謙一)
インプラントのメインテナンスを再考する 7・完
メインテナンスを最大限に活かすために:
歯科衛生士との連携と情報共有ポイント〜Our Lights of Hope〜
(齋藤花重)
高齢者歯科における義歯臨床のキーポイント 10
義歯への機能的形態の付与と高齢者のQOLの向上
〜食べたいの想いを叶える取り組み〜
(齋藤貴之)
矯正を併用した歯科治療の実践 7・完
再生療法との併用(2)
(竹内公生)
“超”長期症例から治療効果と補綴の意味を検証する 7
多数の歯を失った若年者の長期経過
(前田佳英)
Topic
歯冠部歯質が十分に確保できない場合の歯冠修復法
(渡部誠弘)
若手歯科医師によるCase Presentation
根管形成および根管洗浄に着目した感染根管治療
(中田 穰)
【新連載】「回復期」における口腔機能管理って何? ―リハと歯科の接点
「回復期」でなぜ口腔機能管理が必要なのか?
(大野友久)
じっくり深読み! カリオロジー 7
プラークは何日経つと齲蝕になる?
(大庭俊太朗)
Topic
デジタル時代のラボコミュニケーション 求められる4つのポイント
(秦 康次郎)
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「リトルベビーハンドブック」が全国で運用されることになりました
(板東あけみ)
21世紀以降の厚生労働省「歯科疾患実態調査」に関する歯科疾患データ分析システム(ODAS)を用いた分析研究 3
「8020運動」,同一調査年比較「視点A」と同一出生年比較「視点B」,そして「視点C」
(三宅 雅・江國大輔)
事例に学ぶ歯科保険請求 214
令和6年度 歯科診療報酬不備事例(3)
生活歯髄切断・抜髄時の麻酔薬剤料の算定不備
(東京医療保険問題研究会)
【新連載】若手研究者へ Stay ambitious 1
(對木 悟)
日本歯科技工への観想 4
(赤司征大)
歯周治療:50年の進化と近未来 13
(吉江弘正)
健康格差社会から考える歯科医院経営 10
(浅野惇太)
経済学的視点から歯科業界を読み解く 88
(河越正明)
「顎関節症臨床医の会」だより 28
(遠藤 優)
【News & Report】
令和7年春の叙勲・褒章受章者
日本臨床歯科学会 大阪支部2025年度 第1回学術大会/北九州歯学研究会 第47回発表会/日本歯科理工学会 令和7(2025)年度第83回学術講演会/2025年救歯塾がスタート/日本臨床歯周病学会関東支部 第1回歯科技工士セッション/乳歯会・DFC・なんかよう会合同例会/日本デジタル歯科学会第16回学術大会/ダン・エリクソン氏来日講演
【Conference & Seminar】
7月〜9月の学会案内,大学卒後研修会














