やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

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社会・環境と健康 公衆衛生学 第3版

発行時参考価格 2,600円
  • 総頁数:190頁 / 2色
  • 判型:B5判
  • 発行年月:2007年1月
  • ISBN978-4-263-70498-1
  • 注文コード:704980

内容紹介

栄養士教育のカリキュラムに沿い,全体を4単位4編に分け,各編を1単位15回の議義,演習に適するよう配分.全体にわたり栄養士の公衆衛生活動をキメ細かに詳述した最新版.

序文

第3版の序
 1990年に重松逸造先生の編集のもとに初版が刊行されてから17年になります.本書は,もともと医歯薬出版株式会社から1968年以来刊行されていた『公衆衛生学』(曽田長宗,重松逸造,黒子武道著)を受け継いで出版された40年の歴史を有する教科書で,主に管理栄養士・栄養士を専攻する大学,短大,専門学校の学生を対象としていました.最近は,看護系,体育系,その他の保健医療福祉にまたがる幅広い分野の学生の支持をいただいています.
 この度,重松逸造先生より,公衆衛生に関わる急速な社会情勢の変化に対応できるよう,全体の見直しをするとともに,昨今の研究成果・健康政策に基づく記述のアップデートを図るようにというご指示をいただき,簑輪眞澄,柳川洋が編集を担当することになりました.両人は大変重い責任を背負うことになりましたが,長い歴史のある本書をさらに発展・充実させるとともに,できるだけ理解しやすい教科書とすることを基本方針に,全力投球で編集作業を行ったつもりです.
 わが国では,2000年3月に策定された「健康日本21」をベースにして,生活習慣病予防を中心とした国民の健康づくり運動が展開されているので,第3版より新たな章「生活習慣病」をおこし,疾病発生の危険因子として重視すべき生活習慣の中から,栄養・食生活,身体活動・運動,休養・心の健康づくり,たばこ,アルコール,歯の健康などを取り上げました.また,生活習慣病の中で特に注目すべきものとして,がん,循環器疾患,糖尿病などの疫学像,予防対策,健康管理についてまとめるとともに,この健康づくり運動を普及し,効果を上げるために必要な基礎的な科学として「健康行動科学」をとりあげました.さらに,管理栄養士および保健師国家試験出題基準ガイドラインを意識しつつ,保健医療福祉分野の幅広い読者対象を想定しました.
 第3版より,公衆衛生分野で活躍中の萱場一則教授(埼玉県立大学),中村好一教授(自治医科大学),黒沢洋一教授(鳥取大学)の新進気鋭にも加わっていただきました.
 本書の出版に当たり,編集に関わる煩わしい仕事をお引き受け下さった医歯薬出版株式会社の担当者各位に厚く御礼申し上げます.
 2007年1月
 編集者を代表して 柳川 洋

第2版の序
 本書の第1版は1990年3月に出版されたので,現在まですでに10年以上を経過したことになるが,この時期は20世紀最後の10年間ということもあって,21世紀へ受け継ぐための変革がいろいろな分野で試みられてきた.その結果については,いずれ厳正な評価がくだされねばならないが,このような変革に対する迅速,適切な対応が今日の公衆衛生学にも求められていることは確かといえよう.
 この時期における変革で最も目立つことの一つは,人口高齢化の急速な進展に対する対応措置で,公衆衛生の分野においてもいくつかの対策や提案が行われている.保健,医療,福祉の連携強化もその一例で,このような立場から高齢者介護を一元的に実施することを目的とした介護保険制度が2000年4月より発足したことは周知の通りである.
 また,2000年3月には厚生省によって「健康日本21」がとりまとめられた.これは,21世紀を迎えるに当たり,すべての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会をつくるため,生活習慣を改善して健康な寿命を延ばそうという,「一次予防」に重点を置いた健康づくり運動である.10年後(2010年)の達成を目指した目標値が具体的に設定されており,公衆衛生の実践活動に大きな期待が寄せられている.
 以上のほかにも,この10年間で問題となったトピックスとしては,新興・再興感染症,内分泌攪乱化学物質(いわゆる環境ホルモン),健康危機管理体制などがあり,また2001年1月よりはわが国の中央省庁が1府12省庁体制に再編成されたことは,1885年における内閣制度誕生以来の大改革といってよい.公衆衛生分野に関係の深い厚生省と労働省が統合され,厚生労働省として再発足したが,縦割り行政の弊害が除かれて,たとえば地域保健と産業保健の密接な連携が期待されている.
 本書の第2版では,3人の著者がそれぞれの分担にしたがって,これらの変革にできるだけ対応するように努力していただいたが,変革途上の問題も少なくなく,これらは次の改訂の機会まで待たざるを得ないことになった.読者各位の御了承をお願いする次第である.
 なお,本書体裁の変更として,第2版では2色刷りを採用し,また文頭にキーワードを出すなど,読みやすくしたつもりである.これらの点についても,読者各位の御意見をお寄せいただければ幸いである.
 2001年1月
 重松逸造

第1版の序
 公衆衛生といえば,かつては乳幼児を筆頭にすべての人びとの延命を第一の目標としたものであったが,わが国では今やその目標はほぼ達成されて,世界でも有数の低乳児死亡率や高平均寿命を享受できるような時代となってきた.当然のことながら,公衆衛生の目標も高齢化対策や人生の質(quality of life)の向上などに向けられつつあるわけで,問題はこのような目標の変化に公衆衛生従事者がいかに適切に対応するかということであろう.
 公衆衛生学とは,公衆衛生活動の理論的根拠となるべきものであるが,上述したような意味では公衆衛生学も日々新たでなければならないし,事実これほど変動の激しい学問も珍しいかもしれない.今日の公衆衛生が多くの職種の人たちのチームワークによって支えられていることは周知の通りであるが,共通の学問である公衆衛生学をそれぞれの立場から勉強していただき,変貌する公衆衛生の目標にどう対応すべきかを考えてほしいというのが本書を出版した編著者らの願いである.
 本書は,主として栄養士ならびに管理栄養士をめざす人たちを対象に編さんされており,その内容構成は厚生省が定めた栄養士・管理栄養士養成カリキュラム(昭和62年改正)に忠実に従っている.すなわち,全体を15の大項目(章に相当)に分け,1項目平均3時間の講義で合計45時間,4単位となるように配列した.中項目(節に相当)は当初の予定より増えて全体で63項目となったが,いずれにしても大項目間あるいは中項目間で記述の長さにアンバランスのある点は今後改訂する必要があるかと考えている.今回は,講義時間の配分などで調整していただければ幸いである.
 本書は,もともと医歯薬出版から同じ目的で昭和43年以来出版されていた「公衆衛生学」(曽田長宗・重松逸造・黒子武道著)を全面改訂する意図で準備が進められていたが,公衆衛生分野の急速な変化と進展を考えて,それにふさわしい新著者による新著ということに方針を切換えたものである.現在,公衆衛生の第一線で活発に活躍しておられる3著者の執筆になる本書は,読者各位のご期待に十分そいうるものと確信している.本書について,忌憚のないご意見をお寄せいただければ幸いである.
 1990年3月
 重松逸造

目次

1 公衆衛生の意義(柳川 洋)
 1─公衆衛生の意義と目的
 2─健康と公衆衛生
 3─疾病予防の段階
 4─健康管理
2 公衆衛生の歴史(柳川 洋)
 1─外国の歴史
  1・古代
  2・中世
  3・17世紀,18世紀
  4・19世紀
  5・20世紀,21世紀
 2─日本の歴史
 3─年表(要約にかえて)
3 人口と公衆衛生(柳川 洋)
 1─人口の動向
 2─人口増減の要因
 3─人口構造と人口指標
 4─人口の高齢化と公衆衛生
4 保健統計(中村好一)
 1─保健統計の意義
 2─人口動態統計
  1・出生
  2・死亡
  3・乳児死亡,死産,周産期死亡
  4・婚姻と離婚
  5・人口動態統計特殊報告
 3─生命表
 4─疾病統計
 5─その他の保健統計
 6─国際疾病分類
5 疫学(柳川 洋)
 1─疫学の意義
 2─疫学指標
 3─疫学調査方法
  1・記述疫学
  2・分析疫学
 4─率の標準化
 5─因果関係の判定
 6─疫学研究における倫理指針
 7─リスク・アナリシス(リスク分析)
  1・リスク・アセスメント
  2・リスク・マネジメント
  3・リスク・コミュニケーション
6 情報とコミュニケーション(中村好一)
 1─情報とは
 2─Evidence-based Medicine
 3─情報収集
  1・文献(論文)
  2・書籍
  3・インターネット
  4・どのようなかたちの情報が信用できるか
 4─情報マネジメント
 5─個人情報の保護
 6─情報の守秘義務(セキュリティ)
7 保健行政(簑輪眞澄)
 1─衛生行政とは
 2─衛生行政の体系
 3─衛生行政活動
  1・概要
  2・保健所の活動
  3・地方衛生研究所
  4・市町村の業務
8 公衆衛生活動(簑輪眞澄)
 1─人の一生と公衆衛生
 2─母子保健
  1・特徴
  2・母子保健の現状
  3・母子保健事業
  4・母子健康手帳
  5・妊婦および乳幼児の健康診査
  6・保健指導
  7・新生児マススクリーニング
  8・エンゼルプラン
  9・健やか親子21(21世紀初頭における母子保健の国民運動計画〈2001~10年〉)
 3─高齢者の保健と福祉
  1・高齢者と健康
  2・老人保健事業
  3・ゴールドプラン21
 4─感染症対策
  1・感染症の概念
  2・感染経路
  3・感染の成立
  4・免疫
  5・感染症対策
   感染症対策の原則 感染症発生動向調査(サーベイランス) 感染源対策 感染経路対策 感受性対策
  6・感染症対策の現状
   感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律 HIV感染および後天性免疫不全症候群(AIDS;エイズ) 結核
 5─難病
  1・難病とは
  2・調査研究の推進
  3・医療施設の整備
  4・医療費自己負担の軽減
  5・地域における保健医療福祉の充実と連携
  6・QOLの向上を目指した福祉施策の推進
 6─精神保健
  1・精神疾患
   精神障害とは 精神障害者の医療 地域精神保健福祉対策 精神障害者自立に向けての支援
  2・自殺
9 生活習慣病(萱場一則)
 1─生活習慣と健康
  1・食生活と栄養
  2・身体活動・運動
  3・睡眠・休養・ストレス
  4・喫煙
  5・飲酒
 2─主要疾患の疫学と対策
  1・悪性新生物
   発生状況 部位別の死亡状況 悪性新生物の1次予防
 3─循環器疾患の疫学と対策
  1・発症状況
  2・循環器疾患の危険因子
   肥満 血圧 耐糖能異常と糖尿病 高脂血症 メタボリック症候群 食生活と栄養 仕事のストレス
 4─骨粗鬆症の疫学と対策
  1・骨粗鬆症の判定
  2・疫学
  3・健康への影響
  4・予防
 5─歯および口腔保健
10 健康行動科学(萱場一則)
 1─行動科学
 2─保健行動の理論
 3─疾患発症機序の行動科学的解明
  1・生活習慣と総死亡
  2・行動科学的要因と循環器疾患発症
 4─地域保健活動における行動科学
11 学校保健(中村好一)
 1─学校保健の概要
 2─児童・生徒の健康状態
 3─学校保健行政
 4─学校保健対策
  目的(第1条) 学校保健安全計画(第2条) 学校環境衛生(第3条) 就学時健康診断 健康診断(第6条,第8条) 出席停止(第12条) 臨時休業(第13条) 学校保健技師,学校医等(第15条) 保健所との連携(第20条)
 5─特殊教育
 6─学校保健の最近の問題
  1・暴力行為
  2・いじめ
  3・不登校
  4・高等学校中途退学
12 産業保健(黒沢洋一)
 1─労働と健康
 2─労働災害
 3─産業疲労
 4─職業性疾患
  1・熱中症
  2・減圧症
  3・酸欠症
  4・職業性難聴
  5・振動障害
  6・放射線障害
  7・塵肺
  8・重金属中毒
  9・有機溶剤中毒
  10・有害ガス中毒
  11・職業性がん
  12・職業性腰痛
  13・先端技術に起因する疾患
  14・VDT作業による障害
  15・過重労働による健康障害
  16・職業性皮膚障害,アレルギー
  17・メンタルヘルス
 5─産業保健体制と労働衛生管理
  1・産業保健体制
   産業保健に関する法律 職場の安全衛生管理体制 労働衛生行政
  2・労働衛生管理
   作業環境管理 作業管理 健康管理 トータルヘルスプロモーション
13 環境と健康(黒沢洋一)
 1─環境汚染と公害対策
  1・環境
  2・公害
   大気汚染による公害 水質汚染による公害 土壌汚染による公害 騒音・振動・地盤沈下による公害
  3・環境基準
   大気の環境基準 水質の環境基準 騒音の環境基準
 2─地球規模の環境破壊
  1・温暖化
  2・酸性雨
  3・オゾン層破壊
  4・砂漠化
  5・化学物質による汚染
 3─環境衛生
  1・空気
  2・温熱環境
  3・上水道
  4・下水道
  5・住居環境
   空気 温熱と冷暖房 採光照明 建築物環境衛生管理基準
  6・衣服衛生
  7・廃棄物
  8・動物と感染症
   動物由来感染症 ネズミ 衛生害虫
  9・電磁波と電磁界
  10・放射線
14 衛生法規(簑輪眞澄)
 1─衛生法規概論
  1・衛生法規の仕組み
   法とは何か 法規の序列 条文の構成
  2・衛生法規の例(管理栄養士国家試験について)
  3・衛生法規の内容
   前文,目的および定義 基準 監視および指導 手続き 組織 処分および罰則 付則
 2─現行の公衆衛生および関連領域に関する法規
  1・現行衛生法規の分類
  2・一般衛生法規
  3・労働衛生関係法規
  4・環境保全・公害防止関係法規
   学校保健関係法規
15 国際保健(萱場一則)
 1─国際保健の概念
 2─世界人口と人口問題
 3─保健水準の国際比較
 4─環境保健
 5─世界の感染症
  1・急性重症感染症
  2・マラリア
  3・結核
  4・後天性免疫不全症候群
 6─世界保健機関(WHO)
  1・組織
  2・目的
  3・活動
 7─わが国の国際保健活動
16 社会保障・社会福祉(簑輪眞澄)
 1─社会保障・社会福祉の概念と意義
  1・社会保障・社会福祉の概念
  2・社会保障の意義
 2─社会保険
  1・社会保険の歴史
  2・医療保険
  3・医療保険制度の問題点
  4・医療保険以外の医療保障
  5・年金保険
 3─社会福祉と保健医療
  1・概論
  2・児童福祉・母子福祉
  3・高齢者福祉
  4・介護保険法
  5・障害者福祉
17 医療制度(簑輪眞澄)
 1─医療サービスの制度
 2─医療計画
 3─医療施設
 4─医療従事者
 5─国民医療費
索引

著者所属/略歴 ※本書が刊行された当時のものです.現在とは異なる場合があります.

【編著者略歴】
柳川 洋【やながわひろし】
 1966年 金沢大学大学院医学研究科修了
 1966年 米国ペンシルバニア大学医学部留学
 1967年 国立公衆衛生院疫学部室長
 1977年 自治医科大学公衆衛生学教授
 1999年 埼玉県立大学副学長
 2002年 自治医科大学名誉教授
 2003年 埼玉県立大学学長
     日本公衆衛生学会理事
     元・日本疫学会理事長,国際疫学会理事
簑輪 眞澄【みのわますみ】
 1964年 金沢大学医学部卒業
 1975年 石川県輪島保健所長
 1979年 国立公衆衛生院疫学部慢性伝染病室長
 1989年 国立公衆衛生院(現国立保健医療科学院)疫学部長
 2005年 聖徳大学人文学部生活文化学科(現人間栄養学科)教授
【著者略歴】
萱場 一則【かやばかずのり】
 1979年 自治医科大学医学部医学科卒業
 1987年 ワシントン大学客員研究員
 1990年 自治医科大学地域医療学講師
 1992年 新潟県ゆきぐに大和総合病院副院長
     兼農村検診センター長
 2003年 埼玉県立大学保健医療福祉学部教授
黒沢 洋一【くろさわよういち】
 1983年 鳥取大学医学部卒業
 1983年 鳥取大学医学部助手
 2002年 鳥取大学医学部助教授
 2006年 鳥取大学医学部教授
中村 好一【なかむらよしかず】
 1982年 自治医科大学卒業
 1989年 自治医科大学公衆衛生学助手
 1991年 米国テキサス大学公衆衛生学部留学
 1999年 自治医科大学公衆衛生学教授
     国際疫学会理事,日本疫学会理事,
     日本公衆衛生学会理事

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柳川洋・簔輪眞澄 編著/萱場一則・黒沢洋一・中村好一 著