やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

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社会・環境と健康 公衆衛生学 2017年版

発行時参考価格 2,600円
  • 総頁数:200頁 / 2色
  • 判型:B5判
  • 発行年月:2017年2月
  • ISBN978-4-263-70678-7
  • 注文コード:706780

定評あるテキストを最新データに更新してアップデート!

内容紹介

●使いやすく学びやすい定評ある公衆衛生学のテキストが各種データを最新に更新した2017年版として刊行.
●社会情勢を的確にとらえ,具体例で取り上げ説明するなど,一歩踏み込んだ公衆衛生の知識が身につくテキスト

序文

2017年版の序
 つい最近,2015年国勢調査の基本集計の結果が公表されました.それによると,5年前の国勢調査に比べて,初めてわが国の人口は減少しました.これは,1920年の調査開始以来経験のなかった現象です.一方,人口の高齢化は着実に進み,65歳以上の高齢者の割合は26.6%となり,初めて4人に1人を越えました.わが国は世界でも最も高齢化の進んだ国となりました.
 このような人口特性の変化に伴い,必然的に悪性新生物,心疾患,脳血管疾患など,いわゆる生活習慣病の罹患と死亡が増加し,公衆衛生,予防医学の役割がますます重要になってきました.特に死亡の3分の2を占める生活習慣病の予防には,第一に食生活の改善が重要です.そのためには管理栄養士,栄養士の役割と責任がますます重くなります.
 2017年版では,このような社会情勢の変化を考慮しつつ,新しい時代の公衆衛生のあり方を学んでいただきたいという期待を持って編集いたしました.生活習慣病予防を中心に据えた公衆衛生活動を展開するためには,管理栄養士・栄養士はもとより,保健師,看護師,臨床検査技師,歯科衛生士など,保健医療分野の専門職の方々がチームワークを組み,お互いの職責と役割を理解しつつ仕事を進めていかなければなりません.その意味で,本書は上述の幅広い保健医療職を目指す学生諸君の教科書として,また,第一線で公衆衛生および保健予防活動に従事している方々の活動の手引き書として役立つことを考慮しました.
 今回の改訂で特に注意したことは,国内外の新しい動きをできるだけ見逃さないようにするとともに,毎年変わる統計数字についてもできるだけ新しいものに差し替え,読者の皆様方にタイムリーな正しい情報が提供できるようにしたことです.また,第10章・第11章については,新しい著者に加わっていただき,内容をスリムにまとめ,大きく見直しをしました.第10章「保健・医療・福祉のしくみ」では,出生前から高齢期までライフステージ別に,社会保険,社会福祉,公的扶助,保健医療・公衆衛生という4つの分野の社会保障制度のまとめを掲載しました.また,第11章「医療制度」では,日本の医療制度の概要を図としてまとめました.さらに,平成27年度から施行された「難病の患者に対する医療等に関する法律」による指定難病の医療費助成を含め,公費負担医療について,目的による分類別に整理して掲載しました.国民医療費は前述の人口の高齢化の影響などにより年々増加し,約40兆円となり,医療のあり方はとても重要な課題となっています.そのようななかで,在宅医療にかかわる医療連携体制や,中・長期的な地域医療構想が策定されるようになりました.
 本書の内容については,まだまだ不十分な点もあると思います.何とぞ皆様方の忌憚のないご意見,ご批判をいただきたく,また,不正確な記述などを指摘していただければ幸いです.
 最後に,改訂に当たり煩わしい仕事を快く引き受けてくださった医歯薬出版株式会社のスタッフ各位に厚く御礼申し上げます.
 2017年1月
 編者 柳川 洋,尾島 俊之



第1版の序
 公衆衛生といえば,かつては乳幼児を筆頭にすべての人びとの延命を第一の目標としたものであったが,わが国では今やその目標はほぼ達成されて,世界でも有数の低乳児死亡率や高平均寿命を享受できるような時代となってきた.当然のことながら,公衆衛生の目標も高齢化対策や人生の質(quality of life)の向上などに向けられつつあるわけで,問題はこのような目標の変化に公衆衛生従事者がいかに適切に対応するかということであろう.
 公衆衛生学とは,公衆衛生活動の理論的根拠となるべきものであるが,上述したような意味では公衆衛生学も日々新たでなければならないし,事実これほど変動の激しい学問も珍しいかもしれない.今日の公衆衛生が多くの職種の人たちのチームワークによって支えられていることは周知の通りであるが,共通の学問である公衆衛生学をそれぞれの立場から勉強していただき,変貌する公衆衛生の目標にどう対応すべきかを考えてほしいというのが本書を出版した編著者らの願いである.
 本書は,主として栄養士ならびに管理栄養士をめざす人たちを対象に編さんされており,その内容構成は厚生省が定めた栄養士・管理栄養士養成カリキュラム(昭和62年改正)に忠実に従っている.すなわち,全体を15の大項目(章に相当)に分け,1項目平均3時間の講義で合計45時間,4単位となるように配列した.中項目(節に相当)は当初の予定より増えて全体で63項目となったが,いずれにしても大項目間あるいは中項目間で記述の長さにアンバランスのある点は今後改訂する必要があるかと考えている.今回は,講義時間の配分などで調整していただければ幸いである.
 本書は,もともと医歯薬出版から同じ目的で昭和43年以来出版されていた「公衆衛生学」(曽田長宗・重松逸造・黒子武道著)を全面改訂する意図で準備が進められていたが,公衆衛生分野の急速な変化と進展を考えて,それにふさわしい新著者による新著ということに方針を切換えたものである.現在,公衆衛生の第一線で活発に活躍しておられる3著者の執筆になる本書は,読者各位のご期待に十分そいうるものと確信している.本書について,忌憚のないご意見をお寄せいただければ幸いである.
 1990年3月
 重松逸造

目次

CHAPTER 1 健康と公衆衛生
 (柳川 洋)
 1─健康の概念
 2─公衆衛生の概念
 3─疾病予防と健康管理
  1 疾病予防の段階
  2 健康管理
 4─公衆衛生の歴史
  1 外国の歴史
   古代 中世 17世紀,18世紀 19世紀 20世紀,21世紀
  2 日本の歴史
  3 年表(要約にかえて)
CHAPTER 2 環境と健康
 (黒沢洋一)
 1─生態系と環境の保全
 2─地球規模の環境破壊
  1 温暖化
  2 酸性雨
  3 オゾン層破壊
  4 砂漠化
  5 化学物質による汚染
 3─環境汚染と健康影響
  1 環境汚染
   大気汚染 水質汚染 土壌汚染 騒音 放射線
  2 公害
   大気汚染による公害 水質汚染による公害
   土壌汚染による公害 騒音・振動・地盤沈下による公害
 4─環境衛生
  1 気候,季節
  2 空気
  3 温熱
  4 上水道と下水道
   上水道 下水道
  5 住居環境
   空気 温熱と冷暖房 採光照明 建築物環境衛生管理基準
   電磁波と電磁界 衣服衛生 廃棄物処理 動物と感染症
CHAPTER 3 健康,疾病,行動にかかわる統計
 1─保健統計とは(柳川 洋)
 2─人口静態統計
  1 人口の動向
  2 人口増減の要因
  3 人口構造と人口指標
  4 人口の高齢化と公衆衛生
 3─人口動態統計(中村好一)
  1 出生
  2 死亡
  3 乳児死亡,死産,周産期死亡
  4 婚姻と離婚
  5 人口動態統計特殊報告
 4─生命表
 5─疾病統計
 6─その他の保健統計
 7─国際疾病分類
 8─政府統計の総合窓口(e-Stat)
CHAPTER 4 疫学
 (柳川 洋)
 1─疫学の概念
 2─疫学指標
 3─バイアスと交絡の制御(率の標準化)
 4─疫学の方法
  1 記述疫学
  2 分析疫学
 5─スクリーニング
  1 意義
  2 妥当性
  3 評価の指標
  4 スクリーニング実施の条件
 6─因果関係の判定
 7─疫学研究と倫理
 8─リスク・アナリシス(リスク分析)
  1 リスク・アセスメント
  2 リスク・マネジメント
  3 リスク・コミュニケーション
CHAPTER 5 情報とコミュニケーション
 (中村好一)
 1─情報とは
 2─エビデンスに基づいた医療(EBM)および保健対策(EBPH)
 3─情報収集
  1 文献(論文)
  2 書籍
  3 インターネット
  4 どのようなかたちの情報が信用できるか
 4─情報マネジメント
 5─個人情報の保護
 6─情報の守秘義務(セキュリティ)
CHAPTER 6 生活習慣(ライフスタイル)の現状と対策
 (萱場一則)
 1─生活習慣と健康
  1 食生活と栄養
  2 身体活動・運動
  3 睡眠・休養・ストレス
  4 喫煙
  5 飲酒
CHAPTER 7 主要生活習慣病の疫学と予防対策
 (萱場一則)
 1─悪性新生物
  1 死亡状況
  2 部位別の死亡状況
  3 悪性新生物の1 次予防
   悪性新生物の危険因子
 2─循環器疾患の疫学と対策
  1 死亡と罹患の状況
  2 循環器疾患の危険因子
   肥満 血圧 耐糖能異常と糖尿病 脂質異常症
   メタボリックシンドローム 食生活と栄養 仕事のストレス
 3─骨粗鬆症の疫学と対策
  1 骨粗鬆症の判定
  2 有病と罹患
  3 健康への影響
  4 予防
 4─歯および口腔保健
CHAPTER 8 感染症対策
 (牧野伸子)
 1─感染症と疫学
 2─感染症法の概要
 3─予防接種法の概要
 4─検疫法の概要
 5─主要感染症の疫学
  1 結核
  2 後天性免疫不全症候群(AIDS)
 6─世界の感染症
   エボラ出血熱 中東呼吸器症候群(MERS)
   重症急性呼吸器症候群(SARS)
CHAPTER 9 精神保健対策
 (堤 明純)
 1─精神障害者の現状
 2─精神保健対策
  1 精神保健対策の歴史
  2 医療体制
  3 地域における精神保健福祉活動
  4 福祉サービスと社会復帰支援
 3─自殺対策
 4─虐待・暴力対策
 5─職場のメンタルヘルス
CHAPTER 10 保健・医療・福祉のしくみ
 (島田美喜)
 1─社会保障の概念
 2─保健・医療・福祉における行政のしくみ
  1 保健医療福祉行政とは
  2 国と地方公共団体の役割
  3 衛生行政の体系
   一般衛生行政(地域保健行政) 労働衛生行政(産業保健行政)
   環境衛生(保健)行政 学校保健行政
 3─保健医療福祉に関する法令
  1 法令とは
  2 保健医療福祉に関する主な法令
   一般衛生行政に関する法令 保健医療関係職種に関する法令
   医療制度に関する法令 生活・環境衛生に関する法令
   感染症に関する法令 労働衛生に関する法令
   学校保健に関する法令 社会福祉に関する法令
CHAPTER 11 医療制度
 (中村美詠子)
 1─日本の医療制度
  1 概要
  2 歴史
 2─医療保険制度
  1 社会保険
  2 医療保険
  3 高齢者医療制度
  4 公費負担医療
 3─医療提供体制
  1 医療施設
  2 医療従事者
 4─医療費
 5─医療法と医療計画
  1 医療法
  2 医療計画
CHAPTER 12 福祉制度
 (尾形由起子)
 1─社会福祉
  1 社会保障・社会福祉の概念
  2 社会福祉の概論
  3 児童福祉・母子福祉
  4 高齢者福祉
 2─社会福祉施設
 3─障害者福祉
  1 障害者対策の始まり
  2 3障害が一本化された障害者自立支援法
 4─障害者福祉施設
 5─在宅ケア,訪問介護
 6─福祉関連法規
CHAPTER 13 地域保健
 (柳川 洋)
 1─地域保健活動の概要
 2─地域保健法
 3─健康危機管理
CHAPTER 14 母子保健
 (尾島俊之)
 1─母子保健事業
 2─母子保健法
 3─母子健康手帳
 4─乳幼児健康診査
 5─保健指導
 6─新生児マススクリーニング
 7─健やか親子21
 8─少子化対策
CHAPTER 15 成人保健
 (尾島俊之)
 1─生活習慣病の発症予防と重症化予防
 2─特定健康診査・特定保健指導
 3─高齢者の医療の確保に関する法律
CHAPTER 16 高齢者保健・介護
 (尾島俊之)
 1─高齢者保健・介護の概要
 2─介護保険法
 3─介護予防
 4─要介護認定とケアマネジメント
 5─地域包括支援センター
 6─介護施設,老人保健施設
 7─地域包括ケアシステム
CHAPTER 17 産業保健
 (黒沢洋一)
 1─労働と健康
 2─労働安全衛生法
 3─労働安全衛生対策
  1 作業環境管理
  2 作業管理
  3 健康管理
 4─産業保健従事者
 5─労働衛生行政
 6─職業と健康障害
  1 産業疲労
  2 職業病
   熱中症 減圧症 酸欠症 職業性難聴
   振動障害 放射線障害 じん肺 重金属中毒
   有機溶剤中毒 有害ガス中毒 職業性がん
   職業性腰痛 先端技術に起因する疾患
   VDT作業による障害 過重労働による健康障害
   職業性皮膚障害,アレルギー メンタルヘルス
 7─労働災害
CHAPTER 18 学校保健
 (中村好一)
 1─学校保健の概要
 2─学校保健統計─児童・生徒の健康状態
 3─学校保健安全法
 4─学校保健従事者
 5─学校保健安全対策
 6─学校給食
 7─栄養教諭
 8─学校感染症
CHAPTER 19 国際保健
 (萱場一則)
 1─地球規模の健康問題
  1 国際保健の概念
  2 保健水準の国際比較
  3 世界人口と人口問題
  4 健康の保持に必要な水と食料の確保
   水資源の確保 食糧問題
 2─国際協力
  1 国際協力の概念と歴史
  2 わが国の国際保健活動
 3─世界保健機関(WHO)
  1 組織
  2 目的
  3 活動
   WHOの基本政策 ミレニアム開発目標(MDGs)
 4─その他の保健関連の主要国際機関
  1 国連児童基金(UNICEF)
  2 国連人口基金(UNFRA)
  3 国連エイズ合同計画(UNAIDS)
  4 国際連合食糧農業機関(FAO)

 索引

著者所属/略歴 ※本書が刊行された当時のものです.現在とは異なる場合があります.

【編者略歴】
柳川 洋【やながわひろし】
 1966年 金沢大学大学院医学研究科修了
 1966年 米国ペンシルバニア大学医学部客員研究員
 1967年 国立公衆衛生院疫学部室長
 1977年 自治医科大学公衆衛生学教授
 1999年 埼玉県立大学副学長
 2002年 自治医科大学名誉教授
 2003年 埼玉県立大学学長
 2007年 埼玉県立大学名誉教授
 元・日本疫学会理事長,元・国際疫学会理事

尾島俊之【おじまとしゆき】
 1987年 自治医科大学医学部卒業
 1992年 愛知県設楽保健所長
 1995年 自治医科大学公衆衛生学助手
 2002年 米国UCLA公衆衛生大学院留学
 2006年 浜松医科大学健康社会医学講座教授
 日本混合研究法学会副理事長
 日本疫学会理事

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柳川洋・尾島俊之 編著/尾形由起子・萱場一則・黒沢洋一・島田美喜・堤明純・中村美詠子・中村好一・牧野伸子 著