やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

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社会・環境と健康 公衆衛生学 第4版

発行時参考価格 2,600円
  • 総頁数:188頁 / 2色
  • 判型:B5判
  • 発行年月:2011年3月
  • ISBN978-4-263-70594-0
  • 注文コード:705940

内容紹介

最新の管理栄養士国家試験ガイドラインに準拠・最近の社会情勢を的確にとらえ,具体例として取り上げて説明することにより,一歩踏み込んだ公衆衛生の知識と理解が身につくわかりやすいテキスト.

序文

第4版の序
 保健医療政策の大きな動きとして,後期高齢者医療制度の廃止と新制度の創設をあげなければなりません.2009年9月に交代した新政権が,2008年度に創設された後期高齢者医療制度を廃止し,2013年度から新しい制度に移行しようというもので,その内容は,(1)75歳以上の者もすべて国保または被用者保険に加入する,(2)公費・現役世代・高齢者の負担割合を明確化する,(3)都道府県単位の財政運営を維持する,というものです.
 すべての国民がすこやかで心豊かに生活できる活力ある社会にするために,壮年期死亡の低減,健康寿命の延伸を目指す「健康日本21」が発足してから10年経過しました.過去10年間の成果を科学的な指標によって総括し,今後とも継続するもの,軌道修正をするもの,中止するものを仕分けて,次の10年に向けた方向づけをしなければなりません.
 メキシコに端を発し,世界的な流行で猛威をふるった新型インフルエンザ(A/H1N1)は,地球規模のパンデミックとして位置づけられましたが,1年2か月後の2010年8月に,「新型インフルエンザの世界的な流行は終息し,“Post-pandemic period”に移行」と宣言され,一応危機を脱したと考えられますが,今後は,季節性インフルエンザとして流行を繰り返すことが予想されます.
 2010年4月に,宮崎県において口蹄疫が発生し,牛・豚の殺処分や埋却・消毒,ワクチン接種等の防疫措置が講じられ,家畜の移動制限区域が設けられました.9月に家畜の移動制限は解除されましたが,畜産農家の方々は多大な被害を被りました.
 短い期間にさまざまな健康危機に遭遇しましたが,関係者の適切な判断により,危機を脱することができました.しかし,いずれも公衆衛生学担当者の責任の重さを痛感させる事件といっても過言ではありません.
 今回の第4版改訂では,最近の新しい動きを的確に捉え,読者の皆様方に正しい情報が提供できるよう努めましたが,不備な点も多々あると思います.皆様方の忌憚のないご意見,ご批判をいただきたく,また,不正確な記述などを指摘していただければ幸いです.
 改訂第4版の出版にあたり,煩わしい仕事を快く引き受けてくださった医歯薬出版株式会社のスタッフ各位に厚く御礼申し上げます.
 2011年3月
 編集者を代表して 柳川 洋

第1版の序
 公衆衛生といえば,かつては乳幼児を筆頭にすべての人びとの延命を第一の目標としたものであったが,わが国では今やその目標はほぼ達成されて,世界でも有数の低乳児死亡率や高平均寿命を享受できるような時代となってきた.当然のことながら,公衆衛生の目標も高齢化対策や人生の質(quality of life)の向上などに向けられつつあるわけで,問題はこのような目標の変化に公衆衛生従事者がいかに適切に対応するかということであろう.
 公衆衛生学とは,公衆衛生活動の理論的根拠となるべきものであるが,上述したような意味では公衆衛生学も日々新たでなければならないし,事実これほど変動の激しい学問も珍しいかもしれない.今日の公衆衛生が多くの職種の人たちのチームワークによって支えられていることは周知の通りであるが,共通の学問である公衆衛生学をそれぞれの立場から勉強していただき,変貌する公衆衛生の目標にどう対応すべきかを考えてほしいというのが本書を出版した編著者らの願いである.
 本書は,主として栄養士ならびに管理栄養士をめざす人たちを対象に編さんされており,その内容構成は厚生省が定めた栄養士・管理栄養士養成カリキュラム(昭和62年改正)に忠実に従っている.すなわち,全体を15の大項目(章に相当)に分け,1項目平均3時間の講義で合計45時間,4単位となるように配列した.中項目(節に相当)は当初の予定より増えて全体で63項目となったが,いずれにしても大項目間あるいは中項目間で記述の長さにアンバランスのある点は今後改訂する必要があるかと考えている.今回は,講義時間の配分などで調整していただければ幸いである.
 本書は,もともと医歯薬出版から同じ目的で昭和43年以来出版されていた「公衆衛生学」(曽田長宗・重松逸造・黒子武道著)を全面改訂する意図で準備が進められていたが,公衆衛生分野の急速な変化と進展を考えて,それにふさわしい新著者による新著ということに方針を切換えたものである.現在,公衆衛生の第一線で活発に活躍しておられる3著者の執筆になる本書は,読者各位のご期待に十分そいうるものと確信している.本書について,忌憚のないご意見をお寄せいただければ幸いである.
 1990年3月
 重松逸造

目次

CHAPTER1 公衆衛生の意義(柳川 洋)
 1─公衆衛生の意義と目的
 2─健康と公衆衛生
 3─疾病予防の段階
 4─健康管理
CHAPTER2 公衆衛生の歴史(柳川 洋)
 1─外国の歴史
  1.古代
  2.中世
  3.17世紀,18世紀
  4.19世紀
  5.20世紀,21世紀
 2─日本の歴史
 3─年表(要約にかえて)
CHAPTER3 人口と公衆衛生(柳川 洋)
 1─人口の動向
 2─人口増減の要因
 3─人口構造と人口指標
 4─人口の高齢化と公衆衛生
CHAPTER4 保健統計(中村好一)
 1─保健統計の意義
 2─人口動態統計
  1.出生
  2.死亡
  3.乳児死亡,死産,周産期死亡
  4.婚姻と離婚
  5.人口動態統計特殊報告
 3─生命表
 4─疾病統計
 5─その他の保健統計
 6─国際疾病分類
CHAPTER5 疫学(柳川 洋)
 1─疫学の意義
 2─疫学指標
 3─疫学調査方法
  1.記述疫学
  2.分析疫学
 4─率の標準化
 5─因果関係の判定
 6─疫学研究における倫理指針
 7─リスク・アナリシス(リスク分析)
  1.リスク・アセスメント
  2.リスク・マネジメント
  3.リスク・コミュニケーション
CHAPTER6 情報とコミュニケーション(中村好一)
 1─情報とは
 2─Evidence-based Medicine
 3─情報収集
  1.文献(論文)
  2.書籍
  3.インターネット
  4.どのようなかたちの情報が信用できるか
 4─情報マネジメント
 5─個人情報の保護
 6─情報の守秘義務(セキュリティ)
CHAPTER7 保健行政(簑輪眞澄)
 1─衛生行政とは
 2─衛生行政の体系
 3─衛生行政活動
  1.概要
  2.保健所の活動
  3.地方衛生研究所
  4.市町村の業務
CHAPTER8 公衆衛生活動(簑輪眞澄)
 1─人の一生と公衆衛生
 2─母子保健
  1.特徴
  2.母子保健の現状
  3.母子保健事業
  4.母子健康手帳
  5.妊婦および乳幼児の健康診査
  6.保健指導
  7.新生児マススクリーニング
  8.エンゼルプラン
  9.健やか親子21
 3─高齢者の保健と福祉
  1.高齢者と健康
  2.老人の医療と保健
  3.ゴールドプラン21
 4─感染症対策
  1.感染症の概念
  2.感染経路
  3.感染の成立
  4.免疫
  5.感染症対策
   感染症対策の原則 感染症発生動向調査(サーベイランス) 感染源対策 感染経路対策 感受性対策
  6.感染症対策の現状
   感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 HIV感染および後天性免疫不全症候群(AIDS;エイズ) 結核
 5─難病
  1.難病とは
  2.調査研究の推進
  3.医療施設の整備
  4.医療費自己負担の軽減
  5.地域における保健医療福祉の充実と連携
  6.QOLの向上を目指した福祉施策の推進
 6─精神保健
  1.精神疾患
   精神障害とは 精神障害者の医療 地域精神保健福祉対策 精神障害者自立に向けての支援
  2.自殺
CHAPTER9 生活習慣病(萱場一則)
 1─生活習慣と健康
  1.食生活と栄養
  2.身体活動・運動
  3.睡眠・休養・ストレス
  4.喫煙
  5.飲酒
 2─主要疾患の疫学と対策
  1.悪性新生物
   発生状況 部位別の死亡状況 悪性新生物の1次予防
 3─循環器疾患の疫学と対策
  1.発症状況
  2.循環器疾患の危険因子
   肥満 血圧 耐糖能異常と糖尿病 脂質異常症 メタボリックシンドローム 食生活と栄養 仕事のストレス
 4─骨粗鬆症の疫学と対策
  1.骨粗鬆症の判定
  2.疫学
  3.健康への影響
  4.予防
 5─歯および口腔保健
CHAPTER10 健康行動科学(萱場一則)
 1─行動科学
 2─保健行動の理論
 3─疾患発症機序の行動科学的解明
  1.生活習慣と総死亡
  2.行動科学的要因と循環器疾患発症
 4─地域保健活動における行動科学
CHAPTER11 学校保健(中村好一)
 1─学校保健の概要
 2─児童・生徒の健康状態
 3─学校保健行政
 4─学校保健対策
   目的(第1条) 学校保健安全計画(第2条) 学校環境衛生(第6条) 就学時健康診断(第11条) 健康診断(第13~17条) 出席停止(第19条) 臨時休業(第20条) 学校保健技師,学校医等(第22,23条) 保健所との連携(第18条)
 5─特殊教育
 6─学校保健の最近の問題
  1.暴力行為
  2.いじめ
  3.不登校
  4.高等学校中途退学
  5.自殺
CHAPTER12 産業保健(黒沢洋一)
 1─労働と健康
 2─労働災害
 3─産業疲労
 4─職業性疾患
  1.熱中症
  2.減圧症
  3.酸欠症
  4.職業性難聴
  5.振動障害
  6.放射線障害
  7.塵肺
  8.重金属中毒
  9.有機溶剤中毒
  10.有害ガス中毒
  11.職業性がん
  12.職業性腰痛
  13.先端技術に起因する疾患
  14.VDT作業による障害
  15.過重労働による健康障害
  16.職業性皮膚障害,アレルギー
  17.メンタルヘルス
 5─産業保健体制と労働衛生管理
  1.産業保健体制
   産業保健に関する法律 職場の安全衛生管理体制 労働衛生行政
  2.労働衛生管理
   作業環境管理 作業管理 健康管理 トータルヘルスプロモーション
CHAPTER13 環境と健康(黒沢洋一)
 1─環境汚染と公害対策
  1.環境
  2.公害
   大気汚染による公害 水質汚染による公害 土壌汚染による公害 騒音・振動・地盤沈下による公害
  3.環境基準
   大気の環境基準 水質の環境基準 騒音の環境基準
 2─地球規模の環境破壊
  1.温暖化
  2.酸性雨
  3.オゾン層破壊
  4.砂漠化
  5.化学物質による汚染
 3─環境衛生
  1.空気
  2.温熱環境
  3.上水道
  4.下水道
  5.住居環境
   空気 温熱と冷暖房 採光照明 建築物環境衛生管理基準
  6.衣服衛生
  7.廃棄物
  8.動物と感染症
   動物由来感染症 ネズミ 衛生害虫
  9.電磁波と電磁界
  10.放射線
CHAPTER14 衛生法規(簑輪眞澄)
 1─衛生法規概論
  1.衛生法規の仕組み
   法とは何か 法規の序列 条文の構成
  2.衛生法規の例(管理栄養士国家試験について)
  3.衛生法規の内容
   前文,目的および定義 基準 監視および指導 手続き 組織 処分および罰則 付則
 2─現行の公衆衛生および関連領域に関する法規
  1.現行衛生法規の分類
  2.一般衛生法規
  3.労働衛生関係法規
  4.環境保全・公害防止関係法規
  5.学校保健関係法規
CHAPTER15 国際保健(萱場一則)
 1─国際保健の概念
 2─世界人口と人口問題
 3─保健水準の国際比較
 4─環境保健
 5─世界の感染症
  1.急性重症感染症
  2.マラリア
  3.結核
  4.後天性免疫不全症候群
 6─世界保健機関(WHO)
  1.組織
  2.目的
  3.活動
 7─わが国の国際保健活動
CHAPTER16 社会保障・社会福祉(簑輪眞澄)
 1─社会保障・社会福祉の概念と意義
  1.社会保障・社会福祉の概念
  2.社会保障の意義
 2─社会保険
  1.社会保険の歴史
  2.医療保険
  3.医療保険制度の問題点
  4.医療保険以外の医療保障
  5.年金保険
 3─社会福祉と保健医療
  1.概論
  2.児童福祉・母子福祉
  3.高齢者福祉
  4.介護保険法
  5.障害者福祉
CHAPTER17 医療制度(簑輪眞澄)
 1─医療サービスの制度
 2─医療計画
 3─医療施設
 4─医療従事者
 5─国民医療費

 索引

著者所属/略歴 ※本書が刊行された当時のものです.現在とは異なる場合があります.

【編著者略歴】
柳川 洋【やながわひろし】
 1966年 金沢大学大学院医学研究科修了
 1966年 米国ペンシルバニア大学医学部留学
 1967年 国立公衆衛生院疫学部室長
 1977年 自治医科大学公衆衛生学教授
 1999年 埼玉県立大学副学長
 2002年 自治医科大学名誉教授
 2003年 埼玉県立大学学長
     日本公衆衛生学会理事
     元・日本疫学会理事長,国際疫学会理事
 2007年 埼玉県立大学名誉教授
     公益社団法人地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センターアドバイザー
簑輪眞澄【みのわますみ】
 1964年 金沢大学医学部卒業
 1975年 石川県輪島保健所長
 1979年 国立公衆衛生院疫学部慢性伝染病室長
 1989年 国立公衆衛生院(現国立保健医療科学院)疫学部長
 2005年 聖徳大学人文学部生活文化学科(現人間栄養学科)教授
 2010年 同大学退職

【著者略歴】
萱場一則【かやばかずのり】
 1979年 自治医科大学医学部医学科卒業
 1987年 ワシントン大学客員研究員
 1990年 自治医科大学地域医療学講師
 1992年 新潟県ゆきぐに大和総合病院副院長
     兼農村検診センター長
 2003年 埼玉県立大学保健医療福祉学部教授
黒沢洋一【くろざわよういち】
 1983年 鳥取大学医学部卒業
 1983年 鳥取大学医学部助手
 1992年 スウェーデン国立労働衛生研究所留学
 2006年 鳥取大学医学部健康政策医学分野教授
中村好一【なかむらよしかず】
 1982年 自治医科大学卒業
 1989年 自治医科大学公衆衛生学助手
 1991年 米国テキサス大学公衆衛生学部留学
 1999年 自治医科大学公衆衛生学教授
     国際疫学会理事,日本疫学会理事

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