やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

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定価 2,200円 (本体 2,000円+税10%)
  • 総頁数:184頁 / 2色
  • 判型:B5判
  • 発行年月:2023年1月
  • ISBN978-4-263-42618-0
  • 注文コード:426180

序文

『歯科衛生学シリーズ』の誕生
 全国歯科衛生士教育協議会が監修を行ってきた歯科衛生士養成のための教科書のタイトルを,従来の『最新歯科衛生士教本』から『歯科衛生学シリーズ』に変更させていただくことになりました.2022年度は新たに改訂された教科書2点を,2023年度からはすべての教科書のタイトルを『歯科衛生学シリーズ』とさせていただきます.
 全衛協が監修及び編集を行ってきた教科書としては,『歯科衛生士教本』,『新歯科衛生士教本』,『最新歯科衛生士教本』があり,その時代にあわせて改訂・発刊をしてきました.しかし,これまでの『歯科衛生士教本』には「歯科衛生士」という職種名がついていたため,医療他職種からは職業としての「業務マニュアル」を彷彿させると,たびたび指摘されてきました.さらに,一部の歯科医師からは歯科衛生士の教育に学問は必要ないという誤解を生む素地にもなっていたようです.『歯科衛生学シリーズ』というタイトルには,このような指摘・誤解に応えるとともに学問としての【歯科衛生学】を示す目的もあるのです.
 『歯科衛生学シリーズ』誕生の背景には,全国歯科衛生士教育協議会の2021年5月の総会で承認された「歯科衛生学の体系化」という歯科衛生士の教育および業務に関する大きな改革案の公開があります.この報告では,「口腔の健康を通して全身の健康の維持・増進をはかり,生活の質の向上に資するためのもの」を「歯科衛生」と定義し,この「歯科衛生」を理論と実践の両面から探求する学問が【歯科衛生学】であるとしました.【歯科衛生学】は基礎歯科衛生学・臨床歯科衛生学・社会歯科衛生学の3つの分野から構成されるとしています.また,令和4年には歯科衛生士国家試験出題基準も改定されたことから,各分野の新しい『歯科衛生学シリーズ』の教科書の編集を順次進めております.
 教育年限が3年以上に引き上げられて,短期大学や4年制大学も2桁の数に増加し,「日本歯科衛生教育学会」など【歯科衛生学】の教育に関連する学会も設立され,【歯科衛生学】の体系化も提案された今,自分自身の知識や経験が整理され,視野の広がりは臨床上の疑問を解くための指針ともなり,自分が実践してきた歯科保健・医療・福祉の正当性を検証することも可能となります.日常の身近な問題を見つけ,科学的思考によって自ら問題を解決する能力を養い,歯科衛生業務を展開していくことが令和の時代に求められています.
 2023年1月
 一般社団法人 全国歯科衛生士教育協議会理事長
 眞木吉信


最新歯科衛生士教本の監修にあたって
 歯科衛生士教育は,昭和24年に始まり,60年近くが経過しました.この間,歯科保健に対する社会的ニーズの高まりや歯科医学・医療の発展に伴い,歯科衛生士教育にも質的・量的な充実が叫ばれ,法制上の整備や改正が行われてきました.平成17年4月からは,高齢化の進展,医療の高度化・専門化などの環境変化に伴い,引き続いて歯科衛生士の資質の向上をはかることを目的とし,修業年限が3年以上となります.
 21世紀を担っていく歯科衛生士には,これまで以上にさまざまな課題が課せられております.高齢化の進展により生活習慣病を有した患者さんが多くなり,現場で活躍していくためには,手技の習得はもちろんのこと,患者さんの全身状態をよく知り口腔との関係を考慮しながら対応していく必要があります.また,一人の患者さんにはいろいろな人々が関わっており,これらの人々と連携し,患者さんにとってよりよい支援ができるような歯科衛生士としての視点と能力が求められています.そのためには,まず業務の基盤となる知識を整えることが基本となります.
 全国歯科衛生士教育協議会は,こうした社会的要請に対応するべく,歯科衛生士教育の問題を研究・協議し,教育の向上と充実をはかって参りました.活動の一環として,昭和42年には多くの関係者が築いてこられた教育内容を基に「歯科衛生士教本」,平成3年には「新歯科衛生士教本」を編集いたしました.そして,今回,「最新歯科衛生士教本」を監修いたしました.本最新シリーズは,「歯科衛生士の資質向上に関する検討会」で提示された内容をふまえ,今後の社会的要請に応えられる歯科衛生士を養成するために構成,編集されております.また,全国の歯科大学や歯学部,歯科衛生士養成施設,関係諸機関で第一線で活躍されている先生方がご執筆されており,内容も歯科衛生士を目指す学生諸君ができるだけ理解しやすいよう,平易に記載するなどの配慮がなされております.
 本協議会としては,今後,これからの時代の要請により誕生した教本として本最新シリーズが教育の場で十分に活用され,わが国の歯科保健の向上・発展に大いに寄与することを期待しております.
 終わりに本シリーズの監修にあたり,種々のご助言とご支援をいただいた先生方,ならびに全国の歯科衛生士養成施設の関係者に,心より厚く御礼申し上げます.
 2007年1月
 全国歯科衛生士教育協議会 会長 櫻井善忠


発刊の辞
 近年,国民の健康に対する関心が高まるとともに,高齢者や要介護者の増加によって歯科医療サービスにおける歯科衛生士の役割が大きく変化してきました.そのため,歯科衛生士は口腔の保健を担う者として,これまでにも増して広い知識と高度な技能が求められるようになり,歯科医学の進歩や社会の変化に即した教育が必要になりました.
 歯科衛生士養成教育は,このような社会の要請に応じるために平成17年4月,歯科衛生士学校養成所指定規則が一部改正されて教育内容の見直しと修業年限の延長が図られ,原則として平成22年までにすべての養成機関が3年以上の教育をすることになりました.
 このような状況の下に発刊された最新歯科衛生士教本シリーズでは,基礎分野の教本として生物学,化学,英語,心理学をとりあげました.これらは,従来の歯科衛生士教本シリーズの中でも発刊していましたが,今回の最新シリーズの発刊にあたり,目次立てから新たに編纂しました.とくに生物と化学は,医療関係職種に共通する科学の基礎知識を系統的に学習できるように,高校の初歩レベルから専門基礎分野で学ぶ生化学,生理学などにつながる内容を網羅しています.
 英語は,歯科診療室における様々な場面を想定した会話文をベースに,練習問題や単語,リーディングテキストを豊富にとりあげ,教育目標のレベルに応じて幅広い授業展開ができるように心掛けました.
 また,心理学では,一般的な心理学の知識はもちろん,歯科衛生士が患者との信頼関係に基づく医療サービスを提供する能力および歯科医師や他の医療職種の人たちと円滑な人間関係を保つ能力を修得するための基盤となる内容を併せもつ教本としました.
 これらの教本がテキストとしてだけでなく,卒業後も座右の書として活用されることを期待しています.
 2007年1月
 最新歯科衛生士教本編集委員
 可児徳子 矢尾和彦 松井恭平 眞木吉信
 高阪利美 合場千佳子 白鳥たかみ


執筆の序
 歯科衛生士教育が,3年制に移行しつつあるこの時期に「歯科衛生士教本」の改訂がなされることは,意義のあることである.「ゆとり教育」の弊害は,中学,高校教育において,その基礎学力の低下という深刻な問題を引き起こしているようである.目先の必要最小限の知識のみを詰め込む教育は,将来どのような専門分野で活躍する学生にとっても,飛躍の礎を取り去るようなものである.歯科衛生士教育においては,歯科医師と同様,理科の基礎知識は必要不可欠である.しかし,このような状況下,現実には中学レベルの基礎知識も十分満たしていない学生も多数居るにも関わらず,講義時間数の制約から,平易に効率よく教育することが求められている.
 化学は,物質の性質,構造,変化に関する学問である.歯科衛生士は,まさに医療の現場で種々雑多な歯科材料などの物質を扱う立場にあり,化学の基礎知識が必要不可欠である.そこで,本書「化学」では,第1章「物質とは何だろう」で基本的な物質の本性について学び,第2章,第3章では「気体」,「水溶液」に関して学習する.また,第4章,第5章では酸化還元反応を含めた「化学反応」に関して基本的事項を中心に解説をした.さらに,第6章では,「有機化合物とは何だろう」と題して,有機化合物の基本的な構造や性質について,いままで化学を学習してこなかった学生に対しても平易に理解できるように解説をした.最終章では,人体をはじめとした生体を形成している化学物質に関して,わかり易く解説した.
 本書全体として,以上の内容を,図表を多用しながら平易に解説したが,中高レベル以上の内容も含んでいるので,本書すべてを時間内(30時間)で消化することは困難であると推察される.したがって,担当教員の判断でその内容に濃淡をつけるか,割愛していただく必要があると思われる.なお,本書は,随所に「歯科医学」と化学の関連を認識させるためにコラムを配置し,章末には知識の確認のための問題を掲載し,絶えず学生のモチベ-ションを保つように工夫をした.
 本書が,歯科衛生士専門教科を学習する上で,その理解を助け,学習意欲の向上につながれば幸いである.
 2007年1月
 執筆者代表 鶴房繁和

目次

1章 物質とは何だろう
 (1)-物質の分類
  1.混合物と純物質
  2.化合物と単体
  3.同素体
  4.元素と原子
 (2)-物質の構造
  1.原子の構造
  2.原子番号と質量数
  3.同位体
  4.分子
 (3)-原子の電子配置
  1.電子殻とそのエネルギー
  2.主な原子の電子配置
  3.価電子
  4.イオン
 (4)-元素の周期律
  1.周期律の発見
  2.周期表における元素の分類
  3.主な元素各論
 (5)-物質量
  1.原子質量単位
  2.原子量
  3.分子量,式量
  4.モル
 (6)-化学結合
  1.オクテット則(説)
  2.電子式
  3.イオン結合
  4.共有結合
  5.配位結合
  6.金属結合
  7.分子間の結合
  章末問題
2章 気体について知ろう
 (1)-気体のルール
  1.アボガドロの法則
  2.ボイルの法則,シャルルの法則
  3.理想気体の状態方程式
  4.ドルトンの分圧の法則
  5.ヘンリーの法則,気体の溶解度
 (2)-空気は何から
  1.大気中の主な気体と性質
  2.二酸化炭素と温室効果
  3.大気を汚染する気体
 (3)-気体を使う(医療,生活への応用)
  1.酸素とオゾンの殺菌性
  2.笑気(一酸化二窒素)と吸入鎮静法
  章末問題
3章 物質が水に溶けるとは
 (1)-水溶液の濃さの表し方
  1.水溶液とは何か
  2.物質が水に溶ける仕組み
  3.濃度の表し方
  4.濃度の計算
 (2)-希薄水溶液の示す不思議な性質
  1.蒸気圧降下
  2.沸点上昇
  3.凝固点降下
  4.浸透圧
 (3)-身のまりにはコロイドがいっぱい
  1.コロイド溶液とは
  2.コロイド溶液の分類
  実験 人造いくらをつくってみよう
  実験 不思議なコロイド~スライムをつくってみよう
  3.コロイドの性質
 (4)-酸とアルカリの水溶液
  1.酸とアルカリの性質
  2.酸,アルカリとは何か
  3.酸とアルカリの価数
  4.酸とアルカリの強弱
  5.水素イオン濃度とpH
  6.身近な物質のpH
  実験 身のまわりの溶液のpHをはかろう
  7.中和反応
  8.緩衝作用
  章末問題
4章 酸化とは,還元とは
 (1)-酸化と還元
  1.酸化,還元とは
  2.酸化数
  3.酸化剤,還元剤
  4.酸化還元反応式
 (2)-金属のイオン化傾向
  1.金属のイオン化列
  2.イオン化傾向と金属の反応
  章末問題
5章 化学反応では原子の組換えが起こっている
 (1)-化学反応の速さを決めているもの
  1.化学反応とは
  2.化学反応式の表し方
  3.活性化エネルギー
  4.化学反応の速さを変える要因
  実験 化学カイロをつくろう
 (2)-化学平衡って何だろう
  1.可逆反応
  2.化学平衡
  3.化学平衡の法則(質量作用の法則)
  4.ルシャトリエの原理(平衡移動の原理)
  章末問題
6章 有機化合物とは何だろう
 (1)-有機化合物の成り立ち
  1.有機化合物とは
  2.原子を結ぶ結合(共有結合とオクテット則)
 (2)-有機化合物に名前をつける
  1.炭化水素の名称
  2.主な置換基の名称
 (3)-同じ原子から違った構造が
  1.構造異性体
  2.立体異性体
 (4)-有機化合物の反応
  1.反応機構の違い(イオン反応とラジカル反応)
  2.反応タイプによる分類
 (5)-代表的な化合物と性質
  1.飽和炭化水素化合物
  2.不飽和結合を含む炭化水素化合物
  3.ハロゲン元素を含む炭化水素化合物
  4.ヒドロキシ基(水酸基)を含む化合物
  5.酸素原子を含む化合物
  6.窒素原子を含む化合物
  7.硫黄原子を含む化合物
 (6)-高分子化合物
  1.モノマーからポリマー
  2.合成ゴム
  章末問題
7章 ヒトをつくっているものは何だろう
 (1)-水はいたるところに存在する
  1.水の構造と性質
  2.水の溶媒特性
 (2)-ヒトを形づくる元素
  1.ヒトの主要無機元素
  2.イオンとしての重要な無機元素
  3.ヒトに重要な微量無機元素
 (3)-糖質
  1.単糖類
  2.二糖類
  3.多糖類
 (4)-アミノ酸とタンパク質
  1.アミノ酸の構造と性質
  2.20種のアミノ酸
  3.アミノ酸の分類
  4.タンパク質の構造
  5.アミノ酸誘導体
 (5)-脂質
  1.飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
  2.脂質の分類:脂質は大きく分けて三つに分類される
  3.脂質の生体内での動き
 (6)-核酸と核酸関連物質
  1.ヌクレオシドとヌクレオチド
  2.プリンとピリミジン
  3.遺伝子の構造
  章末問題

 コラム
  放射線の種類とエックス線写真
  イオン結合か共有結合か
  レジン接着材,プラーク(歯垢)の付着
  温度表示
  気体定数
  ジュール・トムソン効果
  過去の二酸化炭素濃度はどうして調べたのか
  京都議定書
  歯垢染色剤はなぜ赤く見えるのか
  1+1=2?
  富士山頂の山小屋で米を炊くとどうなるか?
  冬,雪道に塩をまくのはなぜ?
  栄養素と老廃物の運搬にも浸透圧が関与する
  ブラウン運動とアインシュタイン
  イオン導入法
  森林は酸性雨によって破壊されたのか?
  なぜすっぱい梅干しがアルカリ性食品なの?
  歯の詰め物が黒くなる
  う蝕(むし歯)で歯が溶ける理由
  IUPAC命名法
  ベンゼン環の置換位置表示
  光学異性体と生理作用
  オゾン層の破壊とラジカル反応
  メタノールとエタノール
  光重合(可視光線による励起)
  熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂
  う蝕と代用(代替)甘味料
  栄養学的に重要なアミノ酸について
  核酸関連物質

著者所属/略歴 ※本書が刊行された当時のものです.現在とは異なる場合があります.

【著者略歴】
鶴房繁和【つるぼうしげかず】
 1977年 東北大学大学院工学研究科博士前期課程修了
 1978年 岐阜歯科大学進学課程化学(現朝日大学)助手
 1991年 理学博士
 1992年 朝日大学教養部化学教室助教授
 1999~2013年 同大学歯学部化学教室教授

柴田 潔【しばたきよし】
 1980年 北里大学薬学部卒業
 1987年 日本歯科大学歯学部講師
 1989年 薬学博士
 1995年 同大学歯学部助教授
 2008年 日本歯科大学生命歯学部化学教室准教授

来住準一【きしじゅんいち】
 1977年 名城大学大学院薬学研究科修士課程修了
 1986年 薬学博士
 1987年 米国トーマスジェファーソン大学留学
 1995年 愛知学院大学歯学部講師
 2005年 同大学教養部化学教室助教授(現准教授)

三浦 直【みうらただし】
 1994年 東京大学大学院農学系研究科博士課程修了
 1994年 農学博士
 1994年 東京歯科大学助手
 2001年 同大学助教授(現准教授)
 2009年 同大学口腔科学研究センター・口腔インプラント学研究部門准教授

【編者略歴】
矢尾和彦【やおかずひこ】
 1965年 大阪歯科大学卒業
 1975年 歯学博士
 1991年 大阪歯科大学助教授(小児歯科学講座)
 1995~2008年 同大学歯科衛生士専門学校校長

高阪利美【こうさかとしみ】
 1974年 愛知学院大学歯科衛生士学院卒業(現愛知学院大学歯科衛生専門学校)
 1982年 愛知学院短期大学卒業
 1993年 愛知学院大学歯科衛生専門学校教務主任
 2006年 愛知学院大学短期大学部准教授
 2012年 愛知学院大学短期大学部教授
 2021年 愛知学院大学特任教授

合場千佳子【あいばちかこ】
 1980年 日本歯科大学附属歯科専門学校卒業
 1997年 明星大学人文学部卒業
 2006年 立教大学異文化コミュニケーション研究科修士課程修了
 2011年 愛知学院大学大学院歯学研究科博士課程修了(歯学博士)
 2012年 日本歯科大学東京短期大学教授

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一般社団法人全国歯科衛生士教育協議会 監修/鶴房繁和・矢尾和彦・高阪利美・合場千佳子 編集/柴田潔・来住準一・三浦直 執筆