やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

3,630円(税込)
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多職種で取り組む抗菌薬適正使用 第2版
AST活動はじめの一歩

定価 3,630円 (本体 3,300円+税10%)
  • 総頁数:168頁 / 2色
  • 判型:A5判
  • 発行年月:2025年6月
  • ISBN978-4-263-22700-8
  • 注文コード:227000

好評!これから抗菌薬適正使用に取り組む薬剤師・臨床検査技師・看護師などの医療スタッフ向け入門書の【改訂版】!
新しい抗菌薬・加算の要件の変更など,必要な情報が追加されたアップデート版.
多職種でAST活動に取り組むにあたり必要な情報が詰まっています!

内容紹介

Step1:抗菌薬適正使用の基礎知識について,図表を使って分かりやすく整理しています.
○目次抜粋
・抗菌薬適正使用支援(AS)およびAST
・抗菌薬使用の基本的な考え方
・主な感染症と第一選択薬
・主な原因菌と第一選択薬
・抗菌薬の種類と特徴

Step.2:AST活動で遭遇するギモンにエキスパートが分かりやすく答えます.
○Qの例
・抗菌薬の有効・無効はどの時点でどのように判断する?
・感染症の治療中にも培養検査は必要? 実施するとすればどのタイミング?
・特に注意すべき患者の観察項目は? ASTに伝達すべきなのはどのような場合?


序文

第2版 はじめに
 抗菌薬の適正使用の最大の目的は,もちろん患者の治癒率を高めることです.そのために,ASTのメンバーは苦労しながら日常の業務に励んでいるわけであり,患者さんが回復して喜んで退院されることでモチベーションも上がるのではないかと思います.ただし,昨今,多くの病院の経営が厳しくなっている状況において,ASTには経済的な面を考慮した上での活躍も期待されるようになってきています.
 国の施策である抗菌薬適正使用体制加算がAST活動の後押しになっている面は多分にあると思われます.ただし,加算を取っていない医療機関であっても,患者に早く回復してもらい,入院期間を短縮して病院の収益を上げるためには,感染症のコントロールは重要です.たとえば,難治化しやすい症例であっても,抗菌薬治療が上手く行われることで患者の予後は改善し,入院期間も短縮できます.また,周術期に適切に抗菌薬を投与して感染のリスクを下げることで,感染症が原因で回復が遅れる患者を減らすことができます.また,不要な抗菌薬の投与を減らすことは,直接的に病院の収益を上げることにつながります.このような点を考慮すると,抗菌薬の適正使用は大規模病院に限らず,どの医療機関においても取り組むべき課題であるといえます.
 さらに,日本においてはまだ薬剤耐性(AMR)の問題は海外と比べて深刻ではありませんが,MRSAやESBL産生菌は国内でもしばしばみられており,耐性菌を無視して抗菌薬の選択を行うことができるわけではありません.また,一般的に使用される抗菌薬が効かない高度な耐性菌が国内でも分離されるようになってきており,AMR対策はより重要になってきています.
 おそらく,この書籍を手に取ってくださった方は,タイトルの「多職種で取り組む」という言葉が心に留まったのではないかと思われます.ご存知のように,AST活動は誰かが孤軍奮闘すればうまくいくわけではありません.医師,薬剤師,臨床検査技師,看護師などの医療従事者が個々の専門性を生かしながら,役割を分担して相互に協力して行うことで効率的な活動ができるのではないかと思います.本書はそのような視点を重視しながら,臨床の現場で活用していただける書籍を目指して2022年6月に発刊しました.すでに初版の発刊から約3年が経過し,この間に新しい抗菌薬の発売や診療報酬の加算の要件の変更など,さまざまな変化が起こっています.それらを受けて,今回,第2版として必要な部分を改訂した書籍を出すことにしました.
 最後に編者を代表して,本書の改訂にあたりご協力いただいた執筆者の皆様,および,細かく目配りして本書の完成に尽力していただいた医歯薬出版株式会社の新宅智子様に深く感謝いたします.
 第2版を皆様の手元で活用していただき,AST活動に少しでも貢献できることを願っております.
 国際医療福祉大学医学部感染症学講座
 国際医療福祉大学成田病院感染制御部
 松本哲哉


第1版 はじめに
 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて,医療の現場でも大きな混乱が生じました.ほとんどの医療従事者がコロナを念頭に置きながら日常診療に従事せざるを得なくなり,感染症の中心はコロナとなりました.このような中で,他の感染症はインフルエンザのように激減したものもありましたが,細菌感染症が減ることはなく,院内では従来の感染症診療も並行して行われているのが現状だと思います.
 このように,コロナ禍においても日常診療における細菌感染症は相変わらず重要な位置を占めています.特に耐性菌に対しては,感染対策に加えて,抗菌薬の適正使用が重要な鍵を握っています.Antimicrobial Stewardship(AS)という用語もすでに浸透してきていますが,実際に院内の組織が十分に機能を果たしてAST活動が十分な成果を挙げている医療機関は,まだそれほど多くはないと思われます.
 多くの医療機関では,感染制御チーム(ICT)のスタッフが抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の活動も行い,余力がない中で日々の対策が取られています.さらに,2022年度診療報酬改定では,感染防止対策加算が感染対策向上加算に変更され,求められるレベルも上がってきています.このような状況において,担当者の負担は増えるばかりです.その問題を解決するためには,AST活動についても多職種がうまく連携しながら効率的に業務を果たしていくことが大切だと思われます.
 本書はこのような視点に立って,共に編集をご担当いただいた北原隆志先生,佐藤智明先生とともに,抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の活動を多職種で実施することにこだわって作成してきました.そのため,今回は特に薬剤師や臨床検査技師向けの項目も増やして全体を構成しております.また,これからAST活動に関与される方にもわかりやすい内容になるよう心がけました.
 本書がすでにAST活動に関わっておられる方にとっては気軽に読める参考書として,また,これからAST活動に関与される方にとっては入門のよき道しるべとして,身近にご利用いただける存在になることを願っております.
 最後に,コロナ禍のご多忙な状況で,本書の執筆および編集にご尽力いただいた各先生方に感謝申し上げます.また,企画の段階から完成まで根気強く本書の作成に関わっていただいた医歯薬出版の第一出版部の方々,特に新宅智子様に感謝いたします.
 国際医療福祉大学医学部感染症学講座
 国際医療福祉大学成田病院感染制御部
 松本哲哉

目次

 第2版 はじめに
 第1版 はじめに
 本書に出てくる主な原因菌
 本書に出てくる主な薬剤
 略語一覧
step 1 抗菌薬適正使用の基礎知識
 1 抗菌薬適正使用支援(AS)およびAST(松本哲哉)
  1)なぜASTが必要とされているのか? ASに取り組む意義
 2 ASTの概要(堀野哲也)
  1)ASTの活動内容
  2)各職種の働き
  3)加算の要件
 3 抗菌薬使用の基本的な考え方
  1)抗菌薬投与前にやるべきこと(渡邊裕介・中村 造)
  2)抗菌薬投与の目的に応じた考え方(渡邊裕介・中村 造)
  3)抗菌薬投与後にやるべきこと(渡邊裕介・中村 造)
  4)正しい検査材料の採取方法(清祐麻紀子)
 4 抗菌薬適正使用支援(AS)に関連する項目
  1)PK/PD(浜田幸宏)
  2)TDM(酒井義朗)
  3)薬剤感受性検査(園部一成)
  4)薬剤耐性検査(山本 剛)
  5)アンチバイオグラム(佐藤智明)
  6)サーベイランス(樫山誠也)
  7)J-SIPHE(感染対策連携共通プラットフォーム)の使用方法(桝田浩司)
  8)診療支援 Diagnostic Stewardship(DS) とは(山本 剛)
  9)微生物検査の新技術(MALDI-TOF MSと遺伝子検査)(山本 剛)
  10)ASにつながるDSの具体的な利用法(グラム染色とmecA遺伝子検査の活用法)(山本 剛)
 5 主な感染症と第一選択薬
  1)呼吸器感染症(山田康一)
   1.上気道感染症,気管支炎,COPD
   2.肺炎
  2)尿路感染症(松本哲哉)
  3)消化器感染症(腸管感染症)(山田康一)
  4)肝・胆道系感染症(山田康一)
  5)中枢神経感染症(小倉 翔・荒岡秀樹)
  6)菌血症・敗血症(血流感染症)(小倉 翔・荒岡秀樹)
  7)循環器系感染症(小倉 翔・荒岡秀樹)
  8)皮膚・軟部組織感染症(川村英樹)
  9)骨・関節感染症(川村英樹)
  10)腹腔・骨盤腔感染症(川村英樹)
  11)手術部位感染(SSI)(谷口俊文)
  12)抗菌薬関連下痢症(谷口俊文)
  13)その他(性感染症・輸入感染症)(谷口俊文)
 6 主な原因菌と第一選択薬
  1)黄色ブドウ球菌(山本 剛)
  2)腸球菌(佐藤智明)
  3)肺炎球菌(佐藤智明)
  4)インフルエンザ菌(佐藤智明)
  5)アシネトバクター属(樫山誠也)
  6)緑膿菌(樫山誠也)
  7)腸内細菌目細菌(長南正佳)
 7 抗菌薬の種類と特徴(抗菌薬の基礎知識)
  1)β-ラクタム系
   1.ペニシリン系(前田真之)
   2.セフェム系(前田真之)
   3.カルバペネム系(前田真之)
   4.ペネム系(佐村 優)
   5.モノバクタム系(佐村 優)
   6.β-ラクタマーゼ阻害薬配合剤(岡田直人)
   7.シデロフォアセファロスポリン系(岡田直人)
  2)ホスホマイシン系(浜田幸宏)
  3)グリコペプチド系(浜田幸宏)
  4)アミノグリコシド系(佐村 優)
  5)マクロライド系(丹羽 隆)
  6)リンコマイシン系(浜田幸宏)
  7)テトラサイクリン系(丹羽 隆)
  8)キノロン系(丹羽 隆)
  9)オキサゾリジノン系(北原隆志)
  10)環状リポペプチド系(酒井義朗)
  11)ポリペプチド系(酒井義朗)
  12)その他(北原隆志)
step 2 抗菌薬適正使用 実践Q&A
 1 抗菌薬(抗微生物薬)と他薬剤の併用で特に注意すべき薬剤や組み合わせを教えてください(前田真之)
 2 複数の抗菌薬の併用が有用な場合や有効な組み合わせを教えてください(中村 造)
 3 抗菌薬の用法・用量が添付文書とガイドライン等で異なる場合,どちらを重視すべきでしょうか?(渡邊裕介・中村 造)
 4 抗菌薬の有効・無効はどの時点でどのように判断すればよいでしょうか?(山田康一)
 5 注射薬から経口薬に移行可能なタイミングや条件を教えてください(山田康一)
 6 薬剤熱を疑うべき状況や対処法を教えてください(川村英樹)
 7 腎機能が低下している患者における用法・用量の調節について教えてください(浜田幸宏)
 8 術後に感染予防目的で経口セフェム系薬が投与されていますが,有効なのでしょうか?(川村英樹)
 9 カルバペネム系薬が2週間以上投与されていますが改善がみられません.ASTとしてどのようなアドバイスが妥当でしょうか?(谷口俊文)
 10 TDM(治療薬物モニタリング)の実施率を上げるための工夫について教えてください(酒井義朗)
 11 アンチバイオグラム作成や活用の際の注意点を教えてください(佐藤智明)
 12 デ・エスカレーションを推奨してもあまり受け入れてもらえません.実施率を高める工夫があれば教えてください(谷口俊文)
 13 院内の分離菌サーベイランスを行う際の注意点と活用の際の工夫を教えてください(樫山誠也)
 14 血液培養の2セット率はどうすれば高められるでしょうか?(小倉 翔・荒岡秀樹)
 15 薬剤感受性検査に加えて耐性機序の検査も必要となるのはどのような場合でしょうか?(山本 剛)
 16 感染症の治療中にも培養検査は必要でしょうか? 実施するとすればどのタイミングがよいでしょうか?(小倉 翔・荒岡秀樹)
 17 微生物検査は外注なので検査結果の報告が遅れてしまいます.何か改善できる方法があれば教えてください(佐藤智明)
 18 看護師が特に注意すべき患者の観察項目を教えてください.また,ASTに伝達すべきなのはどのような場合でしょうか?(小野和代)
 19 臨床検査技師は患者の状況がわかりにくいのですが,検査の実施にあたり特に把握しておくべき患者情報があれば教えてください(園部一成)
 20 AST活動においてAMR対策アクションプランはどのように参考にすればよいのでしょうか?(松本哲哉)

 索引

著者所属/略歴 ※本書が刊行された当時のものです.現在とは異なる場合があります.

【編者略歴】
松本哲哉【まつもとてつや】
 1987年 長崎大学医学部卒業
 同 年 長崎大学医学部附属病院第2内科入局
 1993年 長崎大学医学部大学院修了(臨床検査医学)
 同 年 東邦大学医学部微生物学講座助手
 2000年 米国ハーバード大学ブリガム&ウィメンズホスピタル,チャニング研究所(research fellow)
 2004年 東邦大学医学部微生物学講座講師
 2005年 東京医科大学微生物学講座主任教授
 2007年 東京医科大学病院感染制御部部長(2013年まで兼任)
 2016年 東京医科大学茨城医療センター感染制御部部長(2017年まで兼任)
 2018年 国際医療福祉大学医学部感染症学講座主任教授
 2020年 国際医療福祉大学成田病院感染制御部部長(兼任)
     現在に至る 医学博士

北原隆志【きたはらたかし】
 1991年 長崎大学薬学部卒業
 1993年 長崎大学大学院薬学研究科博士前期課程修了
 1993年 製薬企業中央研究所代謝研究部
 1998年 長崎大学医学部附属病院薬剤部
 2007年 長崎大学医学部・歯学部附属病院薬剤部副薬剤部長
 2011年 長崎大学病院薬剤部准教授・副薬剤部長
 2018年 山口大学大学院医学系研究科臨床薬理学講座教授
     山口大学医学部附属病院薬剤部長
     現在に至る 薬学博士

佐藤智明【さとうともあき】
 1982年 名古屋保健衛生大学衛生学部卒業
 1982年 東海大学医学部付属病院中央臨床検査部入職
 2001年 静岡県立静岡がんセンター感染症科
 2010年 山形大学医学部附属病院検査部技師長
 2014年 東京大学医学部附属病院感染制御部副技師長
 2018年 東京大学医学部附属病院検査部技師長
 2020年 国際医療福祉大学成田病院検査部技師長
 2025年 山王病院検査室室長
     現在に至る

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松本哲哉・北原隆志・佐藤智明 編著/荒岡秀樹・岡田直人・小倉翔・小野和代・樫山誠也・川村英樹・清祐麻紀子・酒井義朗・佐村優・園部一成・谷口俊文・長南正佳・中村造・丹羽隆・浜田幸宏・堀野哲也・前田真之・桝田浩司・山田康一・山本剛・渡邊裕介 執筆