はじめに
第61回理学療法士・作業療法士国家試験は令和8年2月23日(月)に実施され,合格者は令和8年3月23日(月)に厚生労働省より発表されました.本年度の出願者数,受験者数,合格者数および合格率は以下の通りでした.
出願者数 受験者数 合格者数 合格率
理学療法士 12,951人 12,436人 11,156人 89.7%
(うち新卒者) 11,824人 11,366人 10,782人 94.9%
作業療法士 5,632人 5,426人 4,947人 91.2%
(うち新卒者) 4,978人 4,801人 4,636人 96.6%
受験者数は昨年に比べて,理学療法士は255人減(昨年:12,691人),作業療法士は267人減(昨年:5,693人)となりました.合格率は昨年と比べると,理学療法士が0.1ポイント増(昨年:89.6%),作業療法士が5.4ポイント増(昨年:85.8%)となりました.
理学療法士の合格基準は,一般問題を1問1点(160点満点),実地問題を1問3点(117点満点)とし,次のすべてを満たしている者を合格としています.
総得点 167点以上/277点
実地問題 41点以上/117点
作業療法士の合格基準は,一般問題を1問1点(158点満点),実地問題を1問3点(120点満点)とし,次のすべてを満たしている者を合格としています.
総得点 167点以上/278点
実地問題 43点以上/120点
なお,今回の試験で採点除外等の取り扱いとなった問題は,
[理学療法士]
午前 問題20,42
午後 問題30
[作業療法士]
午前 問題42,50
午後 問題34
[専門基礎(共通)]
午前 問題60,98
午後 問題57,68,75
の11問でした.
第61回の試験問題は,全体として基本的な問題が多く出題されました.過去問題が少し姿を変えて出題されているものが多いのも従来通りです.5~10年分ほどの過去問題をチェックしておくことは必須といえます.また,相対的に難易度が高いとされるX2タイプの形式が,全体の1割出題されています.「2つ選べ」の問題形式に十分に慣れておく必要があります.
理学療法専門領域は,「実習の参加レベルとその内容」を問う問題(PT午前20)が採点除外となり,その他2題が複数正答等の扱いとなりました.「周術期におけるがんのリハビリテーション」の問題(PT午前9,午後9)や「転倒予防を目的とした理学療法」の問題(PT午後27)など,従来あまりみられなかった問題もありましたが,89.7%という高い合格率が物語るように過去問題をしっかりと勉強していれば十分に合格圏内に入ることのできる問題構成でした.「職業倫理」(PT午前49)の問題は「令和6年版理学療法士作業療法士国家試験出題基準」の中で追加された「理学療法管理学」の問題で,今後も情報管理,カルテ管理,感染対策,救命処置などとともに出題されていくと思われます.反復学習によりマスターしておきましょう.
作業療法専門領域は,91.2%という高い合格率が示すように,全体として比較的平易な内容でした.過去問題を軸に学習していれば,十分に合格圏に到達できたと考えられます.一方,「初回面接のロールプレイ」を扱った問題(OT午前10)は見慣れない出題形式であり,戸惑った受験生もいたでしょう.また,「インシデントレポート」(OT午前25)や「情報管理」(OT午後22)は出題基準上「作業療法管理学」に分類され,新傾向として今後も出題されやすいテーマです.さらに,「OSCE」(OT午後30)は「臨床実習」に分類されますが,過去に例のない設問であり,受験生の対応力が問われました.精神障害分野では昨年に続き,「~症」と括弧書きの「~障害」が併記される出題がみられ,疾患名が移行期にあることがうかがえます.今後括弧書きがなくなっても冷静に対応できるよう,最新の表記を確認しておくことが重要です.
専門基礎領域は,例年同様にシンプルでありながら,複数領域をまたいだ横断的な思考力を求める構成が一層目立ちました.解剖学・生理学・運動学で得た知識を組み合わせ,動作分析や神経走行,筋機能などを総合的に捉えさせる設問が増えている点が特徴的です.また,近年みられる疫学的視点の出題も一定程度みられ,疾患の好発年齢や男女差などの知識は変わらず求められています.さらに,今年も文章量の多い選択肢が減り,短く簡潔な選択肢から医学的知識を正確に選び取る力がより重視される構成となっていました.そのため,基礎的な知識を迅速かつ正確に想起できると得点に結びつきやすかったと考えられます.総じて,過去問題を軸に基礎を確実に固めることに加え,領域間の知識を柔軟に結びつける姿勢が,これまで以上に重要となっていくでしょう.こうした出題傾向からは,実臨床を踏まえた総合的理解をより意識した方向へ向かいつつあるものと考えられます.
本書は第57回から第61回までの5年間の理学療法士・作業療法士国家試験全問題を掲載しております.本書の構成は,問題,解答,解説からなります.
問題は,可能な限り原文に則して記載し,図や写真は縮小しています.
解答は,基本的には厚生労働省が公表したものとしています.一部,厚生労働省の解答と見解が異なる問題については,その旨を明記しました.
解説は,解答を導き出すのに参考となる事柄を限られたスペースの中にメモ程度に記載しました.
本書の解答,解説などでお気づきの点,また本書の構成などについてご意見がございましたら,編集部宛にご教示くださいますようお願い申し上げます.
来る第62回の理学療法士・作業療法士国家試験には,どうか本書を存分に活用されて,見事全員が合格されますよう,編集部一同,心からお祈り申し上げます.
2026年6月
医歯薬出版編集部