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『院内事故調査 実践マニュアル』 書評

『院内事故調査 実践マニュアル』
(中島 勧 監修/(公財)生存科学研究所医療政策研究会 編著)

院内事故調査にかかわるすべての方に必携の一冊!


 本書はタイトルにあるとおり,院内事故調査を行うための“実践マニュアル”である.医療事故調査の各局面で求められる事項(初期対応,緊急対応会議,事故調査委員会の準備,組織,進め方,事故調査報告書の書き方,患者・家族への対応等)に関して,基本的な考え方と具体的な行動が,明快かつわかりやすく解説されている.また,Dos(すべきこと)だけでなく,Don'ts(してはならないこと)も明記されており,さらに,医療安全担当者が直面しうる困難な状況(医療者間のコンフリクトや遺族の不満等)に対する,具体的な助言も盛り込まれている.
 また,平成27年10月1日から開始された医療事故調査制度の概要についても,改正医療法・省令・通知一式とともにコンパクトに示されており,院内事故調査と本制度との関係も触れられている.監修の中島 勧氏をはじめ執筆者,顧問の方々は,第一線の医療,法律,ジャーナリズムの実務家であり,医療の質・安全の向上を目的とした院内事故調査のあり方に対する深い洞察が,本書を貫いている.院内事故調査に初めてかかわる方,また経験者にとっても必携の一冊である.

(大阪大学医学部附属病院中央クオリティマネジメント部,中島和江/なかじまかずえ)

(「週刊 医学のあゆみ」256巻2号より転載)