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ホーム雑誌一覧PRACTICE > Vol.34 No.6
34巻6号 2017年11月号
特集 炭水化物と糖尿病を再考する
−糖でみる食事から健康寿命まで−
特集にあたって
 炭水化物の摂取量(quantity)や質(quality)は,糖尿病の食事療法,さまざまな薬物治療の効果や安全性,患者の長期予後・健康寿命に広範な影響をもつと考えられている.糖尿病治療を患者個々に最適化(オーダーメード化)するうえで,炭水化物摂取のプリンシパルと個別化の許容度が懸案課題となってきている.
 巻頭の特集1 では帝塚山学院大学の津田謹輔先生に炭水化物の至適摂取量について解説いただいた.エネルギー源として利用されやすい糖質の利点を生かすよう,基本となる糖質摂取量に,身体活動量に見合う追加摂取量を上乗せする2 階建てのコンセプトを提案されている.炭水化物の質のよい全粒穀類・野菜・くだもの・豆類・乳製品からの摂取を推奨した米国糖尿病学会のステートメントもご紹介いただいている.
 炭水化物を効率よく栄養化する生体機構のひとつがインクレチンである.特集2 では食後高血糖と炭水化物の関連―インクレチンによる調節機構,薬物治療との関連―として秋田大学の菅沼由美先生・成田琢磨先生に解説いただいた.糖尿病患者ではインクレチン,特にGLP-1 の効果を高めることが食後血糖値の是正に有効である.α-グルコシダーゼ阻害薬・DPP-4 阻害薬・GLP-1 受容体作動薬のそれぞれの治療効果について,最新の研究成果を交えて解説されている.
 特集3 ではカーボカウントによる血糖管理を取り上げた.炭水化物の見積もりによる基礎カーボカウント・応用カーボカウントの概念は,血糖値の変動を予測し,薬物治療によって適正に抑制するうえで強力な支援ツールである.日本糖尿病学会は2017 年にカーボカウントの指導テキストを刊行している.その取りまとめに尽力された静岡県立総合病院の井上達秀先生に解説いただいた.
 2 型糖尿病患者では,インスリン抵抗性によりブドウ糖の処理能力(耐糖能)は低下している.特集4 ではいずれもブドウ糖負荷の軽減につながる低炭水化物食とSGLT2 阻害薬による糖排出促進の類似点と相違点について,京都府立医科大学の福井道明先生に解説いただいた.それぞれの有効性・安全性を詳細に解説し,たんぱく質や脂肪の量・質にも配慮するよう具体的な提案をいただいている.
 特集5 では食物繊維の多様な機能的側面と糖尿病との関連について,白十字病院の岩瀬正典先生,九州大学の藤井裕樹先生・中村宇大先生に解説いただいた.食物繊維は摂取量が増加するほど糖代謝は改善し,糖尿病患者の長期予後も良好となる疫学調査が示されている.不足する食物繊維を補完することが日本人の食事全体の課題である.
 特別寄稿として,女子栄養大学の香川靖雄先生から炭水化物と健康寿命の総説を頂戴した.炭水化物の摂取量や栄養素比率の原則は,長期的な健康状態や健康寿命を根拠に規定されるべきであるという論説には説得力がある.高齢者のサルコペニア予防についてもたんぱく質摂取量の維持と糖質摂取とのバランスについて言及いただいた.健康長寿の規範を示される香川先生の理論と実践を学ぶ絶好の機会となっている.
 炭水化物と糖尿病の関係は,糖尿病が世に現れてからの不朽のテーマである.しかし世相が変わり,寿命が延び,糖尿病治療が進歩したことにより,その論点が大きく変貌しつつあることを読者の皆様が実感いただければ,編者として望外の喜びである.(虎の門病院 内分泌代謝科 糖尿病・代謝部門 森 保道,虎の門病院 健康管理センター 本田律子)
目 次
MAIN THEME 特集  炭水化物と糖尿病を再考する―糖でみる食事から健康寿命まで― 
特集にあたって  森保道・他  581
1.炭水化物の至適摂取量  津田謹輔  583 詳細
2.食後高血糖と炭水化物の関連―インクレチンによる調節機構,薬物治療との関連―  菅沼由美・他  591 詳細
3.カーボカウントによる血糖管理  井上達秀  597 詳細
4.SGLT2阻害薬による糖排出と低炭水化物食の類似点・相違点  福井道明  605 詳細
5.食物繊維の多様な機能的側面と糖尿病  岩瀬正典・他  611 詳細
<特別寄稿>炭水化物と健康寿命  香川靖雄  618 詳細
医師・医療スタッフが行く 全国病院・クリニック訪問  新潟医療生活協同組合木戸病院 
体験型教育入院に集約された糖尿病チーム医療の結晶  取材/大平俊介  576 
FORUM 
病因と診断 
第3回 1型糖尿病の病因 環境因子,新たな展開  阿比留教生  629 
合併症I―循環器疾患 
第3回 糖尿病と不整脈  坂東泰子・他  635 
合併症II―皮膚疾患 
第3回 糖尿病患者によくみられる皮膚疾患(3)糖尿病の治療に伴って生じる皮膚疾患  山上淳  638 
薬剤 
第3回 SU薬によるKATPチャネルを介した虚血心筋保護作用(プレコンディショニング)減弱の可能性  長嶋一昭  640 
食事 
第3回 FGM(flash glucose monitoring)を活用した栄養指導  座光寺知恵子  643 
運動 
第3回 糖尿病患者さんがじっとしていられなくなる! 糖尿病運動療法のすすめ(3)患者参加型療養支援DVD「運動療法のすすめ」  田中永昭  646 
自己管理 
第3回 糖尿病の自己管理―日常生活におけるセルフケア―  土田由紀子・他  648 
OVERSEAS 
アルブミン尿増加と夜間高血圧高値の関連性は糖尿病患者や慢性腎臓病患者でより顕著である  井内卓次郎・他  653 
SERIES  糖尿病と保険診療 
第33回 1型糖尿病  中島尚登  657 
SPOT  眠りと代謝と体内時計 
第6回 リズムとタイミングとメラトニン  海老澤尚  664 
糖尿病の療養指導Q&A 
経口GLP-1受容体作動薬  大西由希子  667 
食事誘発性熱産生と糖尿病食事療法への影響  Mア秀崇  669 
CLINICAL RESEARCH 
理学療法士が行う糖尿病患者に対するフットケアの提案―糖尿病患者の足部関節可動域制限に関する検討から―  石黒友康・他  672 
年齢,腎機能からみたメトホルミン使用に関する実態調査  清水裕行・他  678 
CIRCLE  リス☆カン フライデー レポート 
#35 残薬多し!  岸本美也子・他  684 
CONGRESS 
(社)東京臨床糖尿病医会 第156回特別例会  本田正志  690 
WHITE BOARD 
第2回糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ研究会のご案内  590
第29回分子糖尿病学シンポジウムに関するご案内  637
日本糖尿病医療学学会 第1回関東地方会  642
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炭水化物と糖尿病を再考する
34巻6号 2017年11月15日
隔月刊(A4判,120頁)
定価 2,592円(本体 2,400円+税8%)
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