医歯薬出版のページサイトマップ
プラクティス   TOP最新号別冊・書籍バックナンバー年間定期購読
ホーム雑誌一覧プラクティス > Vol.32 No.3
32巻3号 2015年5月号
特集 糖尿病患者への心理社会的アプローチ
−こころを切り離さないケア−
はじめに
 糖尿病患者のこころのケアの重要性が認識されるようになってから久しく,エンパワーメントの考えかたや変化ステージの理論などもかなり浸透してきた.しかし,日常診療ではまだまだ医学的な議論が主体で,心理社会面への配慮が不十分と思われる場面が少なくない.また心理的側面が議論されるのは,かなり特殊な背景や状況をかかえた症例である場合が多く,いずれにしても「こころ」が患者から切り離され,ときに特別視されているようにも感じる.米国糖尿病学会のガイドラインでは「日常診療の一部」としての心理社会的ケアの重要性が強調されており,日本糖尿病学会の「糖尿病治療ガイド」でも「心理的問題の扱い方」が提起されている.本特集では,読者があらためて糖尿病患者への心理的アプローチについて考え,真のpatient-centered care について振り返るきっかけを提供するべく,各分野に造詣の深い先生方にご執筆をお願いした.
 布井清秀先生と中島康浩先生・戸川芳枝先生・木村佐宜子先生・川逑里美先生・櫻木りゑ先生には,チームで作成されたツールを用いて,糖尿病診療にかかわるすべての人が知っておくべき基本事項について,また糖尿病と患者との各場面に即した日常診療での心理的アプローチを実践するための要諦や,チーム医療に生かすためのポイントについてご紹介いただいた.峯山智佳先生には,糖尿病患者におけるうつ病の併存と両者をつなぐ疫学的知見および両疾患を結ぶ機序を端緒とし,糖尿病内科の医療を精神科・心療内科につなぐ際のポイントについてうつ病のスクリーニングを中心にご解説いただいた.堀川直史先生には精神科のお立場から糖尿病患者における精神障害について,精神障害の現在の診断方法,糖尿病患者に多くみられる,うつ病や不安障害,摂食障害の現状をご紹介いただき,内科医が注意すべき点,精神科・心療内科と協働するためのポイントなどについてご解説いただいた.さらに,昨今,糖尿病患者の自発的な行動変容を促進するための手法として注目されている「動機づけ面接」については,村田千里先生にご解説いただいた.動機づけ面接の根底にある考えかたと基本的なスキル,さらに日頃よくありがちなやりとりと,動機づけ面接でのやりとりとの対比を具体的に紹介していただくとともに,糖尿病療養支援における動機づけ面接の可能性を示していただいた.さらに,いち早くカウンセラーを含むチーム医療をクリニックで提供されている金城瑞樹先生・池田祥子先生には,カウンセラー導入のきっかけや導入してからの効果・工夫についてご紹介いただいた.最後に,行動経済学の第一人者である西村周三先生には,わたしたち医療者が患者にできることを「行動健康経済学」をキーワードとしてご解説いただいた.医療者はついつい患者に医学的正論を押しつけているのかもしれず,西村先生がご指摘のように,わかっていてもなかなか変われず非合理的な判断をしてしまう人間の特性について理解し視野を広げることは,日常臨床の向上に必ずや寄与するであろう.
 各先生方のご尽力により,実践・研究に基づく実例や示唆に満ちた特集となったことに感謝申し上げる.本特集が読者諸賢にとって実臨床のお役に立つものであれば誠に幸いである.(国立がん研究センター中央病院 総合内科 大橋 健,国立国際医療研究センター 野田光彦)
目 次
MAIN THEME 特集  糖尿病患者への心理社会的アプローチ―こころを切り離さないケア― 
(扉)糖尿病患者への心理社会的アプローチ―こころを切り離さないケア―  大橋健・他  283
糖尿病患者のこころと心理的アプローチの基本―「パク君モデル」で考える―  布井清秀・他  285 詳細
糖尿病とうつ病―その実態と疫学的事項―  峯山智佳・他  293 詳細
糖尿病患者における精神障害―理解,治療とケア―  堀川直史・他  300 詳細
糖尿病療養支援における動機づけ面接の可能性  村田千里  309 詳細
クリニックでの心理的アプローチ  金城瑞樹・他  314 詳細
糖尿病患者を理解するための行動健康経済学入門  西村周三  319 詳細
医師・医療スタッフが行く 全国病院・クリニック訪問  多摩北部医療センター 内分泌・代謝内科 糖尿病療養指導チーム 
病棟も,病院も,地域も,家族も,支え合うチームとして  取材/辻本哲郎  246 
座談会 
投稿論文がつなぐ読者の絆―身近な発表と鍛錬の場を育んで―  野田光彦・他  250
FORUM 
病因と診断 
第3回 再注目されるグルカゴン (3)グルカゴンと膵α細胞の新たな役割と糖尿病治療  河盛段  257 
合併症I―網膜症 
第3回 糖尿病網膜症(DR)に対する分子標的治療―抗VEGF療法―  野田航介  260 
合併症II―歯周病 
第3回 医科歯科連携の有用性  栗林伸一・他  263 
薬剤 
第3回 「薬剤」―創薬の現場から―  泉澤恭子  267 
食事 
第3回 食品交換表と食事療法 食品交換表への質問から適正な活用を考える  本田佳子  270 
運動 
第3回 運動療法のこれから  田村好史  273 
実践!運動指導ワンポイント・レッスン  大西朋,田村好史  273 
検査 
第3回 血糖測定器 SMBG(Self Monitoring of Blood Glucose)とPOCT(Point of Care Testing)  石橋みどり  276 
OVERSEAS 
HbA1cと空腹時血糖によって定義された前糖尿病有病率の米国における経時推移  杉山雄大・他  323 
ESSAY(歴史)  糖尿病臨床・研究の歴史をひもとく 
21 1型糖尿病と膵島炎  葛谷健  327 
SERIES  糖尿病と保険診療 
第18回 糖尿病の治療薬―併用上の注意点を中心に―  中島尚登  331 
SPOT  たばこと糖尿病と健康寿命 
第3回 オリンピックとたばこと健康  望月友美子  340 
糖尿病の療養指導Q&A 
インスリンポンプ  広瀬正和・他  343 
果糖の影響と適切な摂取量  櫛山暁史  346 
CLINICAL RESEARCH 
DPP-4阻害薬とα-グルコシダーゼ阻害薬の併用療法がGLP-1分泌に及ぼす影響の検討  田中正巳・他  348 
CIRCLE  リス☆カン フライデー レポート 
#21 発見! ココロに響く療養指導のフレーズ  岸本美也子・他  356 
WHITE BOARD 
第35回糖尿病診療――最新の動向  262
第12回クッキーテスト研究会 開催のご案内  269
糖尿病患者への心理社会的アプローチ
32巻3号 2015年5月15日
隔月刊(A4判,120頁)
発行時参考価格 2,400円
注文コード:003203
雑誌コード:17729-05
ダウンロード購入
当社発行の雑誌は発行から1年後に論文単位でPDFファイルのダウンロード購入が可能です.
詳細はメディカルオンライン
メディカルオンライン
お問い合わせ 会社案内 About us リンクについて オンラインショップの返品について
当サイトはリンクフリーです。ご自由にリンクしてください.
Copyright (C) 2019 Ishiyaku Pub,Inc.