高次脳機能障害のための
神経心理学的リハビリテーション
英国the Oliver Zangwill Centre での取り組み
(第1版第1刷:2020年11月10日発行)
お詫びと訂正
この度は,上記書籍をご購入いただき,誠にありがとうございました.
以下の訳注について,著作権者の許諾を得ずに転載しておりました.著作権者の方々ならびにご購入いただいた読者の方々に深くお詫びを申し上げますとともに,ここに訂正いたします.
2025年5月30日更新
頁 | 該当箇所 | 現表記 | 転載元 | 訂正文 |
---|---|---|---|---|
4 | 下から3行目〜 | *訳注)中央実行系 とは,Baddeley & Hitch (1974) の提唱したワーキングメモリーモデルにおける中心的な構成概念であり,下位システムの記憶貯蔵庫(視空間スケッチパッド・音韻ループ)と相互作用して,それらの制御と情報処理を行う認知システムである. | 松吉大輔.中央実行系.脳科学辞典,2012.https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%84%B3%E7%A7%91%E5%AD%A6%E8%BE%9E%E5%85%B8:%E8%84%B3%E7%A7%91%E5%AD%A6%E8%BE%9E%E5%85%B8%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6 | *訳注)中央実行系(central executive)は,脳機能モデルの中に考えられた,認知の各機能(記憶や注意)の制御と情報処理を行う認知システムのことである.Baddeleyら(1974年)がワーキングメモリーの機能の説明に最初に用いたが,その後,遂行機能(executive function,実行機能とも訳される)の概念に発展するなどしている. |
6 | 下から4行目〜 | *2 訳注)侵入思考:望まない非自発的な思考,認知,イメージ,不愉快な考え.強迫的なものであって,心を動揺させ,不快感を与え,除去するのが難しいと感じるものである. | 侵入思考.ウィキペディア.https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BE%B5%E5%85%A5%E6%80%9D%E8%80%83 | *2 訳注)侵入思考は,日頃過ごす中で突然沸き上がる望ましくない考えのことで,多くの人にあることがわかっている.この侵入思考に対する態度に個人差が大きく,強迫的に受けるなどの場合は病的な問題につながることがある. |
36 | 下から4行目〜 | *訳注)パーソナルコンストラクトの心理学:人間は認知構造(=パーソナルコンストラクト:個人的構成概念)とよばれる各人に固有な理解・判断の仕組みをもっており,目や耳などの感覚器を通して得た外界からの情報を,この仕組みによって情報処理することで環境を理解し,どんな行動をとるべきか決定し,さらにその結果を予測しようと努めている.この人間モデルを主体とした心理学.ケリー(Kelly GA)が提唱した. | パーソナル・コンストラクト理論;personal construct theory.心理系大学院&臨床心理士 用語まとめ.http://blog.livedoor.jp/min_tiger/archives/11191845.html | *訳注)パーソナルコンストラクトの心理学は,構成主義をもとにKelly (1955年)が提唱した心理学的理論で,この理論から独自の治療法も開発された.なお,構成主義は,環境に対する認識の方法の一つで,人は積極的に環境を認識し,行動していくとするものである. |
214 | 下から1行目 | *訳注)intrusive thought. 非自発的に起こる,望まない思考やイメージ.強迫的なものである. | ※文章を削除. | |
242 | 下から2行目〜 | *訳者注)vulnerability.哲学用語で,可傷性,傷つきやすさ,弱さなどの意味.フランスの哲学者レヴィナスによる用語. | 信達郎,ジェームス・M.バーダマン.ヴァルネラビリティー.現代人のカタカナ語辞典.https://imidas.jp/katakana/detail/Z-03-1-0003.html | *訳注)vulnerability.脆弱性,もろさ.心理学分野では,社会生活における脆弱性の意味で用いられることが多い. |
282 | 下から4行目〜 | *訳注)Reszo Balintが唱えた視空間失認のひとつで,両側の頭頂・後頭移行部が病変である.変性疾患,脳炎,低酸素脳症などで生じる.精神性注視麻痺(視線が1つの対象に固定され,そこから自発的に動かせない),視覚性運動失調(固視した対象であってもスムーズに手を伸ばしてつかめない),空間性注意障害(同時失認:注視した対象以外のものに気がつかない状態)が3主徴である. | 岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野.Balint症候群.神経所見・検査所見,2017.https://www.med.gifu-u.ac.jp/neurology/column/ | *訳注)両側の後頭葉や頭頂葉が損傷を受けると,さまざまな視空間障害を呈する病態に至ることがある.Balintが初めて症例報告し(1909年),こうした病態がバリント症候群とよばれるようになった.彼の症例は精神性注視麻痺,視覚失調,視覚性注意障害の3徴候を呈するものだったが,その後に類似した病態が数多く報告されている. |