やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

Medical Technology
34巻11号
輸血製剤の適正使用のために −輸血検査,輸血管理はどのように行うべきか

『Medical Technology』 34巻11号

(2006年11月15日発行)
図の差し替え,本文の訂正

この度は,上記雑誌をご購入下さいまして誠にありがとうございました.
以下の箇所に関して誤りがございましたので,ここに訂正するとともに深くお詫び申し上げます.

2006年12月26日更新

図の差し替え
p.1164

本文の訂正
p.1165 (3) TRC (Transcription Reverse Transcription Concerted Reaction)法
 用語解説の2)から6)を参照しながら ,反応の進行状況図4を見て頂きたい.標的RNAの特定領域にscissor プローブがハイブリダイズする(図4-@).またreverse primerが標的RNAにアニーリングしてRTにより相補的なcDNAが伸長される(図4-@).この時,RNAとDNAが二本鎖を形成した時のみに特異的にRNAを加水分解する RTのRNaseH活性により ,scissor プローブとハイブリダイズしたRNA部分(図4-A)と ,合成されたcDNAと二本鎖を形成した鋳型RNA(図4-B)は分解される(図4-B ,C). 5末端にT7 RNAポリメラーゼのプロモーター配列を有したforward primerがRTによって合成されたcDNAの特異的な配列にアニーリングし、cDNAを鋳型として、 RT (機能3)により DNAが合成される(図4-D).その後,5末端2本鎖T7プロモーター配列をT7 RNAポリメラーゼが認識し, cDNAを鋳型として , RNAが合成される(4-E. 合成された RNAにさらに reverse primerがハイプリダイズし,このサイクルが繰り返される事により,標的 RNAと同じ配列を有した RNAが大量に合成される.蛍光増感していないINAF probeが増幅された標的RNAと二本鎖を形成し,蛍光色素が二本鎖に入り込むことにより蛍光増感する(図4-F)(東ソーTRC解説URL:http://www.tosoh.co.jp/science/trc/trc.htmlより).
 TRC法は逆転写酵素(Reverse Transcriptase, RTすなわち RNA依存性DNAポリメラーゼでRNaseH活性と DNA依存性DNAポリメラーゼ活性を有する)とT7 RNAポリメレース(DNA依存性RNAポリメラーゼ)との協奏反応によるRNA増幅検出法である.これにINAF (Intercalation Activating Fluorescence Probe)を使用し,このプローブが標的RNAと二本鎖を形成し ,蛍光色素が二本鎖に入り込むことにより蛍光増感する.現時点では一定温度で反応を行うため反応後30分で結果を判定することができる.ただし,リアルタイムPCRと同様に高価な機器が必要となる.
 研究用試薬が、東ソーからノロウイルスRNA検出試薬TRCRtest Noro1およびNoro2として販売されている.この反応系はシングルチューブ反応で,機器を用いた検出を行うため反応後に蓋を開ける必要がない.そのためコンタミネーションの問題はほぼないといえる.プロダクトが疫学調査に利用できないのは,リアルタイムRT-PCRの系と同様である.
p.1166

◆用語解説◆

2)転写酵素 (reverse transcriptase, RT)
 標的RNAにアニーリングするreverse primerを起点に鋳型RNAに相補的なcDNAを合成する酵素.TRC法で使用されるRTは a) RNA dependent DNA ポリメラーゼ活性 , b)RNaseH活性, c) DNA dependent DNA ポリメラーゼ活性を有する .