やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
国際化社会に向けて
 神奈川県立保健福祉大学教授 中村丁次

 高度情報化システムや交通機関の進歩により,世界の動きは瞬時にして私たちの生活のなかに飛び込んでくるようになりました.すべての課題が国内だけでの議論では解決できなくなり,世界の人々が同じ地球船の乗組員であり,そのなかで健康で幸せに暮らせるようにするには,どうすればよいのかを考える時代になりました.栄養の世界も例外ではありません.むしろ栄養の専門家であるがゆえに,世界的規模で広がる飢餓や生活習慣病に対して,グロ-バルな視点が必要なのかもしれません.
 私が初めて国際会議に参加したのは,27歳の時で,卒業して間もないころでした.何の経験もなく,ソウルで開催された国際ワークショップ「21世紀におけるアジア地域の栄養問題」に参加しました.会議内容の重要性と困難さはさておいても,2週間,朝から夜中まで英語だけによる会議のために,キムチの影響もあったのか,ストレスで下痢が止まらなかったことを覚えています.当時,出席したことをとても後悔しましたが,あの時いきなり国際舞台に引っ張り出されたことが現在の原動力になっていることも事実です.何でもよいから国際的活動ができるきっかけができればよいと思います.そして,そのためには,日ごろから,機会があれば英語に触れておくことが大切です.
 2008年9月8日から11日にかけて,横浜市パシフィコ横浜で第15回国際栄養士会会議(15th International Congress of Dietetics)が開催されます.4年に1回,国内外から栄養士,栄養の実践研究者が約3000人集まる会議です.主催する日本栄養士会では,外国語ができるボランティアを募っています.参加すれば国際貢献ができる一つのきっかけになることは間違いありません.


ひらけー,つぼ!
 サカエ・ヨ-ジ

 中学生のころから英語が大嫌いで今でも嫌いな私が,偶然のいたずらか,雇われ人として働いた50年のうちの20年間を,日本にいながら毎日英語が耳に入り,それに英語で反応しなければならない環境に漂いました.今日の日本人は少なくとも3年,場合によっては6年以上英語を授業として学んでいます.だから知識のつぼにはぎっしり英語が詰まっているはずです.
 しかし,つぼのふたを固く閉めてあるので英語が出てきません.そのふたを少しでも開いてもらうために役立てばと考え,May I talk with you? という chatting storyを書きました.それがこの本に紹介されています.
 2008年に開かれる国際栄養士会議までに,あなたの英語のつぼの蓋を開いてみましょう.友達と一緒に外国人とおしゃべりするときには,日本人同士も英語で話すのが礼儀です.お話ししたい相手を見つけたら,その時点から仲間同士英語で話しましょう.そして,しゃべりながら相手に近づき,こちらが英語で話していることに気づいてもらったうえで,仲間と共に親愛の笑顔で話しかけてみましょう.仲間同士の会話なら今からでも練習できますものね.
 公園で,子どもたちが「さーいしょのいーっぽ」と大きな声で叫びながら遊んでいます.そうなんです,その最初の一歩が出れば,あとは大丈夫です.「ひらけー,つぼ!」.いや,どうも.
管理栄養士・栄養士のためのチャレンジ英会話

●はじめに
 国際化社会に向けて
 ひらけー,つぼ
 国際会議にこんな名刺はいかが?
 国際会議への参加の仕方

■英会話編●Part1 英会話入門おしゃべり物語
 本文を読む前に●お話のきっかけ
 お話ししません?
  国際会議のパーティにて
  Scene /Scene
  [コラム]紹介する
 ホームパーティにて
  Scene /Scene
  [コラム]料理に使う英語
  Scene /Scene /Scene /Scene
 神戸の観光案内
  Scene /Scene
 本文を読む前に●自己紹介
  Scene1 国際会議場での自己紹介
  Scene2 討論会での自己紹介
  [コラム]講演会場での質問の心得
  ポスターセッションでの会話
 本文を読む前に●病床訪問
  病床訪問1 糖尿病教育入院の患者さんと
  病床訪問2 高コレステロール血症の患者さんと
  [コラム]管理栄養士とこれからの栄養管理

■英会話編●Part2 疾患別の栄養指導
 糖尿病患者への栄養指導
  Case 1 ストレスに悩むマレーシア人女性
  Case 2 酒とケーキが好きなアメリカ人の元外交官
  Case 3 職業柄,食べ過ぎてしまうタイ人のコック
 高血圧患者への栄養指導
  Case 4 ラーメンが好物のカナダ人エンジニア
  Case 5 加工食品を食べ過ぎていたベトナム人女性
 腎臓病患者への栄養指導
  Case 6 糖尿病性腎症のフィリピン人の高齢女性
  Case 7 慢性腎炎(ネフローゼ症候群)のオーストラリア人女性
  Case 8 慢性腎不全で単身赴任のインド人男性
  Case 9 週3回血液透析を行う韓国人の高齢女性
  [コラム]栄養アセスメント表
  [コラム]栄養教育の用語説明
  [コラム]よく出る症状〜栄養欠陥と臨床症状の例〜

■インターネット編
 インターネットで最新の英語論文を検索しよう!
  検索サイト+PubMedにアクセス
  骨粗鬆症の論文を検索してみよう
  [コラム]インターネット用語の解説

■専門用語編
 医学用語
  身体の部位
  症状
  疾患名
 栄養学用語
 英語索引