第6版の序文
1988年に本書の前身である『総論栄養学』を発行してから17年が経過した.その間,日本食品標準成分表,日本人の栄養所要量を始め数多くのデータなどが改訂・新設されてきたが,本書もそれに合わせ5回の改訂を含む21回の修正・増刷を行ってきた.このことは編者・著者にとって望外の喜びである.
2002年には,管理栄養士・栄養士養成施設に関するカリキュラムの変更に伴い,カリキュラム名に準拠して『基礎栄養学』と改題した.また2003年には管理栄養士国家試験出題基準の発表に合わせ,本書に『摂食行動』,『臓器別エネルギー代謝』,『遺伝子発現と栄養』の項目を新規追加するなど常に栄養学の進展・発展に対応してきたつもりである.
ところで2004年10月に,5年ごとに改定される『日本人の栄養所要量(食事摂取基準)』が第7次改定の『日本人の食事摂取基準』として発表された.そこには当然のことながら多くの新しい知見が加えられており,この新基準に基づいた内容を数多く取り上げる必要が生じた.そのため,2003年初頭に第5版を発行してからあまり時を経ていない本書ではあるが,あえてこの機会に版を改めることとした.
なお,本書はあくまで『基礎栄養学』であり,食事摂取基準の内容を細かく解説する『公衆栄養学』や食事摂取基準の科学的根拠を説明する『応用栄養学』とは一線を画するので,食事摂取基準に関する新しい章を起こしてはいない.ただし,食事摂取基準の新しい概念や用語解説は本文や付表などで補った.
進行計画としては,2005年の新学期には本書の改訂版を出版するようにしたため,執筆者各位には短時間で改訂作業を進めて欲しいという無理をお願いした.それにも拘らず,ここに執筆陣の全面的な協力を頂戴してほぼ予定通りに完成できたことを編者として深く感謝するとともに,新しい内容を随所に盛りこんだ本書が各方面の読者に有効に利用されることを編者・著者一同心から願うものである.
2005年3月1日
編者記す
はしがき
健康を願う世人の指向が著しく高められた今日において,栄養に関する正しい知識を身につけることは,現代人の備えるべき常識となりつつある.しかし一方,栄養現象は個人の食生活と健康状態の経験に密接しているため,個人的体験が科学的裏付けなしに常識化することも起こりうる.したがって,今日ほど,栄養情報の取捨選択能力が求められる時代はないといえる.
ほかの分野と同じく,栄養に関する知見も日進月歩ではあるが,栄養学を理解するために要求される基礎の大筋は,それほど大きな変動をしないものである.
本書は,基礎栄養学の分野で活躍している研究者が,実験栄養学の最新の成果をとりこみながら,しかも化学方程式はあまり使わずに,食品のもつ栄養効果について学ぶ者に必要な事項を,重点的にまとめたものである.とくに,大学・短大・専門学校などの,家政学科・食物学科あるいは栄養士・管理栄養士課程において,“栄養学”というものを学ぶ学生に対して,必須不可欠な基礎を把握させ,かつ新鮮な興味を抱かせる教材でありたいというのが,執筆者共通の願いである.
本書によって,客観性ある科学的な栄養学を身につけた学生や健康に関心をもつ人びとが,往々にして非科学的な各種の個人的体験を見直しかつ是正して,栄養学の内容をさらに深めることに役立てることは可能であろう.そのような意味で,本書はきわめて実践的な栄養学入門書でもある.
最後に,本書の出版に当たり,種々な面で配慮頂いた医歯薬出版編集部に深謝する次第である.
1988年7月
編者記す
1988年に本書の前身である『総論栄養学』を発行してから17年が経過した.その間,日本食品標準成分表,日本人の栄養所要量を始め数多くのデータなどが改訂・新設されてきたが,本書もそれに合わせ5回の改訂を含む21回の修正・増刷を行ってきた.このことは編者・著者にとって望外の喜びである.
2002年には,管理栄養士・栄養士養成施設に関するカリキュラムの変更に伴い,カリキュラム名に準拠して『基礎栄養学』と改題した.また2003年には管理栄養士国家試験出題基準の発表に合わせ,本書に『摂食行動』,『臓器別エネルギー代謝』,『遺伝子発現と栄養』の項目を新規追加するなど常に栄養学の進展・発展に対応してきたつもりである.
ところで2004年10月に,5年ごとに改定される『日本人の栄養所要量(食事摂取基準)』が第7次改定の『日本人の食事摂取基準』として発表された.そこには当然のことながら多くの新しい知見が加えられており,この新基準に基づいた内容を数多く取り上げる必要が生じた.そのため,2003年初頭に第5版を発行してからあまり時を経ていない本書ではあるが,あえてこの機会に版を改めることとした.
なお,本書はあくまで『基礎栄養学』であり,食事摂取基準の内容を細かく解説する『公衆栄養学』や食事摂取基準の科学的根拠を説明する『応用栄養学』とは一線を画するので,食事摂取基準に関する新しい章を起こしてはいない.ただし,食事摂取基準の新しい概念や用語解説は本文や付表などで補った.
進行計画としては,2005年の新学期には本書の改訂版を出版するようにしたため,執筆者各位には短時間で改訂作業を進めて欲しいという無理をお願いした.それにも拘らず,ここに執筆陣の全面的な協力を頂戴してほぼ予定通りに完成できたことを編者として深く感謝するとともに,新しい内容を随所に盛りこんだ本書が各方面の読者に有効に利用されることを編者・著者一同心から願うものである.
2005年3月1日
編者記す
はしがき
健康を願う世人の指向が著しく高められた今日において,栄養に関する正しい知識を身につけることは,現代人の備えるべき常識となりつつある.しかし一方,栄養現象は個人の食生活と健康状態の経験に密接しているため,個人的体験が科学的裏付けなしに常識化することも起こりうる.したがって,今日ほど,栄養情報の取捨選択能力が求められる時代はないといえる.
ほかの分野と同じく,栄養に関する知見も日進月歩ではあるが,栄養学を理解するために要求される基礎の大筋は,それほど大きな変動をしないものである.
本書は,基礎栄養学の分野で活躍している研究者が,実験栄養学の最新の成果をとりこみながら,しかも化学方程式はあまり使わずに,食品のもつ栄養効果について学ぶ者に必要な事項を,重点的にまとめたものである.とくに,大学・短大・専門学校などの,家政学科・食物学科あるいは栄養士・管理栄養士課程において,“栄養学”というものを学ぶ学生に対して,必須不可欠な基礎を把握させ,かつ新鮮な興味を抱かせる教材でありたいというのが,執筆者共通の願いである.
本書によって,客観性ある科学的な栄養学を身につけた学生や健康に関心をもつ人びとが,往々にして非科学的な各種の個人的体験を見直しかつ是正して,栄養学の内容をさらに深めることに役立てることは可能であろう.そのような意味で,本書はきわめて実践的な栄養学入門書でもある.
最後に,本書の出版に当たり,種々な面で配慮頂いた医歯薬出版編集部に深謝する次第である.
1988年7月
編者記す
第6版の序
はしがき
第1章 総論(吉田 勉)
1-栄養と食品の定義
2-栄養学の課題
3-栄養素の分類
4-生体成分
第2章 栄養学史(三田村敏男)
1-三大栄養素に関する研究
1)近代科学の夜明け
2)炭水化物
3)脂質
4)タンパク質
2-微量栄養素に関する研究
1)無機質
2)ビタミン
3-エネルギー代謝に関する研究
1)エネルギー代謝とラボアジェ
2)エネルギー消費に関する研究の進展
3)栄養素のエネルギー産生量
4-栄養素の体内変化に関する研究
1)酵素の発見
2)消化管内での変化
3)栄養素の代謝
第3章 消化吸収(宮沢栄次)
1-消化吸収の定義
2-消化作用の分類と消化酵素
1)消化作用の分類
2)消化酵素
3)消化液
3-吸収の機構と吸収後の経路
1)消化管の構造
2)吸収の機構と吸収後の経路
4-各消化管での消化吸収
1)口腔
2)胃
3)小腸
4)大腸
5-消化吸収率
6-腸内菌叢
1)腸内菌叢
2)腸内菌叢の安定性と変化
3)腸内菌叢の働き
第4章 エネルギー
1-エネルギーの定義と分類(植木幸英)
1)エネルギーの定義
2)エネルギーの単位
3)カロリー
2-エネルギー代謝
1)エネルギー代謝の測定法
2)基礎代謝
3)活動代謝
3-臓器別エネルギー代謝(雨海照祥)
1)筋肉
2)肝臓
3)脳
4)脂肪組織
4-食品のもつエネルギー(植木幸英)
1)物理的燃焼値と生理的燃焼値
2)熱量換算係数
3)食品のエネルギー計算
4)酒のエネルギー
5)その他
5-推定エネルギー必要量
第5章 糖質(炭水化物)(渡邊令子,堀口恵子)
1-糖質の定義と分類
1)単糖類
2)二糖類
3)多糖類
4)甘味料
2-糖質の消化・吸収
1)デンプンの消化
2)二糖類の消化
3)吸収
3-糖質の代謝
1)糖質の生体内での動き
2)糖質の体内代謝
3)血糖値の維持
4-糖質の栄養
1)エネルギー源としての糖質摂取
2)スクロース・フルクトースの摂取
3)食物繊維
第6章 脂質(石井孝彦)
1-脂質の定義と分類
1)脂肪酸
2)トリグリセリド
3)ステロール
4)リン脂質
5)リポタンパク質
6)その他のおもな脂質
2-脂質の消化吸収
1)消化
2)吸収
3-脂質の代謝
1)血中脂質
2)脂肪酸の分解
3)ケトン体
4)脂肪酸の生合成
5)脂肪組織中の脂肪
6)脂質と他の栄養素の相互変換
7)脂質の過酸化
4-脂質の栄養
1)脂質の摂取とその意義
2)必須脂肪酸
3)血中コレステロールと食事成分
5-脂質の食事摂取基準
第7章 タンパク質(馬場 修)
1-タンパク質の定義と分類
1)アミノ酸
2)タンパク質
2-タンパク質の消化吸収
1)消化
2)吸収
3-タンパク質の代謝
1)体タンパク質の分解と合成
2)アミノ酸の分解と生成
3)代謝異常
4-タンパク質の栄養
1)必須アミノ酸
2)食品タンパク質の栄養価評価
3)タンパク質の栄養に影響する因子
5-タンパク質推奨量
第8章 無機質と水(篠田粧子)
1-無機質の定義と分類
2-無機質の機能
3-おもな無機質
1)カルシウム
2)マグネシウム
3)リン
4)ナトリウムと塩素
5)カリウム
6)イオウ
7)鉄
8)銅
9)亜鉛
10)マンガン
11)ヨウ素
12)フッ素
13)コバルト
14)セレン
15)クロム
16)モリブデン
17)その他の元素
4-水の機能と出納
1)水の機能
2)水の出納
第9章 ビタミン(中嶋洋子)
1-ビタミンの定義と分類
1)ビタミンの定義
2)ビタミンの分類
2-おもな脂溶性ビタミン
1)ビタミンA
2)ビタミンD
3)ビタミンE
4)ビタミンK
3-おもな水溶性ビタミン
1)ビタミンB1
2)ビタミンB2
3)ビタミンB6
4)ナイアシン
5)パントテン酸
6)葉酸
7)ビタミンB12
8)ビオチン
9)ビタミンC
10)その他ビタミン類似作用のある物質
第10章 遺伝子発現と栄養(原 一雄)
1-遺伝形質と栄養の相互作用
1)個人差とヒトゲノム
2)栄養に対する反応の個人差と遺伝
3)生活習慣病と遺伝子多型
2-後天的遺伝子変異と食品成分
1)がんのイニシエーションとプロモーション
2)栄養素とイニシエーション・プロモーション
第11章 摂食行動(西条寿夫,小野武年)
1-摂食行動の定義
1)空腹・満腹感と食欲
2)食物報酬
3)脳の役割
2-食欲調節因子
1)摂食および絶食に伴う体液性の変化
2)その他の食欲調節因子
3-摂食中枢と満腹中枢
付表1 日本人の食事摂取基準(2005年版・一部抜粋)
付表2 日常生活の活動強度の区分
付表3 各種作業のエネルギー代謝率 その1
付表4 各種作業のエネルギー代謝率 その2
索引
はしがき
第1章 総論(吉田 勉)
1-栄養と食品の定義
2-栄養学の課題
3-栄養素の分類
4-生体成分
第2章 栄養学史(三田村敏男)
1-三大栄養素に関する研究
1)近代科学の夜明け
2)炭水化物
3)脂質
4)タンパク質
2-微量栄養素に関する研究
1)無機質
2)ビタミン
3-エネルギー代謝に関する研究
1)エネルギー代謝とラボアジェ
2)エネルギー消費に関する研究の進展
3)栄養素のエネルギー産生量
4-栄養素の体内変化に関する研究
1)酵素の発見
2)消化管内での変化
3)栄養素の代謝
第3章 消化吸収(宮沢栄次)
1-消化吸収の定義
2-消化作用の分類と消化酵素
1)消化作用の分類
2)消化酵素
3)消化液
3-吸収の機構と吸収後の経路
1)消化管の構造
2)吸収の機構と吸収後の経路
4-各消化管での消化吸収
1)口腔
2)胃
3)小腸
4)大腸
5-消化吸収率
6-腸内菌叢
1)腸内菌叢
2)腸内菌叢の安定性と変化
3)腸内菌叢の働き
第4章 エネルギー
1-エネルギーの定義と分類(植木幸英)
1)エネルギーの定義
2)エネルギーの単位
3)カロリー
2-エネルギー代謝
1)エネルギー代謝の測定法
2)基礎代謝
3)活動代謝
3-臓器別エネルギー代謝(雨海照祥)
1)筋肉
2)肝臓
3)脳
4)脂肪組織
4-食品のもつエネルギー(植木幸英)
1)物理的燃焼値と生理的燃焼値
2)熱量換算係数
3)食品のエネルギー計算
4)酒のエネルギー
5)その他
5-推定エネルギー必要量
第5章 糖質(炭水化物)(渡邊令子,堀口恵子)
1-糖質の定義と分類
1)単糖類
2)二糖類
3)多糖類
4)甘味料
2-糖質の消化・吸収
1)デンプンの消化
2)二糖類の消化
3)吸収
3-糖質の代謝
1)糖質の生体内での動き
2)糖質の体内代謝
3)血糖値の維持
4-糖質の栄養
1)エネルギー源としての糖質摂取
2)スクロース・フルクトースの摂取
3)食物繊維
第6章 脂質(石井孝彦)
1-脂質の定義と分類
1)脂肪酸
2)トリグリセリド
3)ステロール
4)リン脂質
5)リポタンパク質
6)その他のおもな脂質
2-脂質の消化吸収
1)消化
2)吸収
3-脂質の代謝
1)血中脂質
2)脂肪酸の分解
3)ケトン体
4)脂肪酸の生合成
5)脂肪組織中の脂肪
6)脂質と他の栄養素の相互変換
7)脂質の過酸化
4-脂質の栄養
1)脂質の摂取とその意義
2)必須脂肪酸
3)血中コレステロールと食事成分
5-脂質の食事摂取基準
第7章 タンパク質(馬場 修)
1-タンパク質の定義と分類
1)アミノ酸
2)タンパク質
2-タンパク質の消化吸収
1)消化
2)吸収
3-タンパク質の代謝
1)体タンパク質の分解と合成
2)アミノ酸の分解と生成
3)代謝異常
4-タンパク質の栄養
1)必須アミノ酸
2)食品タンパク質の栄養価評価
3)タンパク質の栄養に影響する因子
5-タンパク質推奨量
第8章 無機質と水(篠田粧子)
1-無機質の定義と分類
2-無機質の機能
3-おもな無機質
1)カルシウム
2)マグネシウム
3)リン
4)ナトリウムと塩素
5)カリウム
6)イオウ
7)鉄
8)銅
9)亜鉛
10)マンガン
11)ヨウ素
12)フッ素
13)コバルト
14)セレン
15)クロム
16)モリブデン
17)その他の元素
4-水の機能と出納
1)水の機能
2)水の出納
第9章 ビタミン(中嶋洋子)
1-ビタミンの定義と分類
1)ビタミンの定義
2)ビタミンの分類
2-おもな脂溶性ビタミン
1)ビタミンA
2)ビタミンD
3)ビタミンE
4)ビタミンK
3-おもな水溶性ビタミン
1)ビタミンB1
2)ビタミンB2
3)ビタミンB6
4)ナイアシン
5)パントテン酸
6)葉酸
7)ビタミンB12
8)ビオチン
9)ビタミンC
10)その他ビタミン類似作用のある物質
第10章 遺伝子発現と栄養(原 一雄)
1-遺伝形質と栄養の相互作用
1)個人差とヒトゲノム
2)栄養に対する反応の個人差と遺伝
3)生活習慣病と遺伝子多型
2-後天的遺伝子変異と食品成分
1)がんのイニシエーションとプロモーション
2)栄養素とイニシエーション・プロモーション
第11章 摂食行動(西条寿夫,小野武年)
1-摂食行動の定義
1)空腹・満腹感と食欲
2)食物報酬
3)脳の役割
2-食欲調節因子
1)摂食および絶食に伴う体液性の変化
2)その他の食欲調節因子
3-摂食中枢と満腹中枢
付表1 日本人の食事摂取基準(2005年版・一部抜粋)
付表2 日常生活の活動強度の区分
付表3 各種作業のエネルギー代謝率 その1
付表4 各種作業のエネルギー代謝率 その2
索引