第4版(仮題)の序
本書の前身である『総論 栄養学』の初版が出されたのは,今から13年前の1988年であった.その後,栄養学分野の進歩・発展に合わせて,1990年に第2版を,1997年には第3版を発行して来た.その間,10数回にも及ぶ増刷を重ねることができたのは,編者としては望外の喜びであった.
ところが,このたび科学技術庁資源調査会編「五訂日本食品標準成分表」(2000年)が発表された一方で,2002年度からは管理栄養士・栄養士養成施設に関するカリキュラムの変更が行われることとなった.
そこで今回,すでに発表された五訂日本食品標準成分表に本書の内容を合わせるとともに,カリキュラム変更の新事態にも対応することとした.また同時に本書の内容に鑑み,その名称を新カリキュラムに準拠して『基礎栄養学』と改めた.
ここに10年以上の歴史を有する本書は,四たび装いを新たにしたことになるが,これを期に,従来にも増して本書が広く活用されることを編者・著者共々期待するものである.
2001年初冬の候 吉田 勉
はしがき
健康を願う世人の指向が著しく高められた今日において,栄養に関する正しい知識を身につけることは,現代人の備えるべき常識となりつつある.しかし一方,栄養現象は個人の食生活と健康状態の経験に密接しているため,個人的体験が科学的裏付けなしに常識化することも起こりうる.したがって,今日ほど,栄養情報の取捨選択能力が求められる時代はないといえる.
ほかの分野と同じく,栄養に関する知見も日進月歩ではあるが,栄養学を理解するために要求される基礎の大筋は,それほど大きな変動をしないものである.
本書は,基礎栄養学の分野で活躍している研究者が,実験栄養学の最新の成果をとりこみながら,しかも化学方程式はあまり使わずに,食品のもつ栄養効果について学ぶ者に必要な事項を,重点的にまとめたものである.とくに,大学・短大・専門学校などの,家政学科・食物学科あるいは栄養士・管理栄養士課程において,“栄養学”というものを学ぶ学生に対して,必須不可欠な基礎を把握させ,かつ新鮮な興味を抱かせる教材でありたいというのが,執筆者共通の願いである.
本書によって,客観性ある科学的な栄養学を身につけた学生や健康に関心をもつ人びとが,往々にして非科学的な各種の個人的体験を見直しかつ是正して,栄養学の内容をさらに深めることに役立てることは可能であろう.そのような意味で,本書はきわめて実践的な栄養学入門書でもある.
最後に,本書の出版に当たり,種々な面で配慮頂いた医歯薬出版編集部に深謝する次第である.
1988年7月 編者記す
本書の前身である『総論 栄養学』の初版が出されたのは,今から13年前の1988年であった.その後,栄養学分野の進歩・発展に合わせて,1990年に第2版を,1997年には第3版を発行して来た.その間,10数回にも及ぶ増刷を重ねることができたのは,編者としては望外の喜びであった.
ところが,このたび科学技術庁資源調査会編「五訂日本食品標準成分表」(2000年)が発表された一方で,2002年度からは管理栄養士・栄養士養成施設に関するカリキュラムの変更が行われることとなった.
そこで今回,すでに発表された五訂日本食品標準成分表に本書の内容を合わせるとともに,カリキュラム変更の新事態にも対応することとした.また同時に本書の内容に鑑み,その名称を新カリキュラムに準拠して『基礎栄養学』と改めた.
ここに10年以上の歴史を有する本書は,四たび装いを新たにしたことになるが,これを期に,従来にも増して本書が広く活用されることを編者・著者共々期待するものである.
2001年初冬の候 吉田 勉
はしがき
健康を願う世人の指向が著しく高められた今日において,栄養に関する正しい知識を身につけることは,現代人の備えるべき常識となりつつある.しかし一方,栄養現象は個人の食生活と健康状態の経験に密接しているため,個人的体験が科学的裏付けなしに常識化することも起こりうる.したがって,今日ほど,栄養情報の取捨選択能力が求められる時代はないといえる.
ほかの分野と同じく,栄養に関する知見も日進月歩ではあるが,栄養学を理解するために要求される基礎の大筋は,それほど大きな変動をしないものである.
本書は,基礎栄養学の分野で活躍している研究者が,実験栄養学の最新の成果をとりこみながら,しかも化学方程式はあまり使わずに,食品のもつ栄養効果について学ぶ者に必要な事項を,重点的にまとめたものである.とくに,大学・短大・専門学校などの,家政学科・食物学科あるいは栄養士・管理栄養士課程において,“栄養学”というものを学ぶ学生に対して,必須不可欠な基礎を把握させ,かつ新鮮な興味を抱かせる教材でありたいというのが,執筆者共通の願いである.
本書によって,客観性ある科学的な栄養学を身につけた学生や健康に関心をもつ人びとが,往々にして非科学的な各種の個人的体験を見直しかつ是正して,栄養学の内容をさらに深めることに役立てることは可能であろう.そのような意味で,本書はきわめて実践的な栄養学入門書でもある.
最後に,本書の出版に当たり,種々な面で配慮頂いた医歯薬出版編集部に深謝する次第である.
1988年7月 編者記す
第4版の序
はしがき
第1章 総論 (吉田 勉)
1-栄養と食品の定義
2-栄養学の課題
3-栄養素の分類
4-生体成分
第2章 栄養学史 (三田村敏男)
1-三大栄養素に関する研究
1)近代科学の夜明け
2)炭水化物
3)脂 質
4)タンパク質
2-微量栄養素に関する研究
1)無機質
2)ビタミン
3-エネルギー代謝に関する研究
1)エネルギー代謝とラボアジェ
2)エネルギー消費に関する研究の進展
3)栄養素のエネルギー産生量
4-栄養素の体内変化に関する研究
1)酵素の発見
2)消化管内での変化
3)栄養素の代謝
第3章 消化吸収 (宮沢栄次)
1-消化吸収の定義
2-消化作用の分類と消化酵素
1)消化作用の分類
2)消化酵素
3)消化液
3-吸収の機構と吸収後の経路
1)消化管の構造
2)吸収の機構と吸収後の経路
4-各消化管での消化吸収
1)口 腔
2)胃
3)小 腸
4)大 腸
5-消化吸収率
6-腸内菌叢
1)腸内菌叢
2)腸内菌叢の安定性と変化
3)腸内菌叢の働き
第4章 エネルギー (植木幸英)
1-エネルギーの定義と分類
1)エネルギーの定義
2)エネルギーの単位
3)カロリー
2-エネルギー代謝
1)エネルギー代謝の測定法
2)基礎代謝
3)活動代謝
3-食品のもつエネルギー
1)物理的燃焼値と生理的燃焼値
2)熱量換算係数
3)食品のエネルギー計算
4)酒のエネルギー
5)その他
4-エネルギー所要量
第5章 炭水化物 (堀口恵子)
1-炭水化物の定義と分類
1)単糖類
2)少糖類
3)多糖類
4)甘味料
2-炭水化物の消化吸収
1)デンプンの消化
2)二糖類の消化
3)多糖類の消化
4)吸 収
3-炭水化物の代謝
1)糖質の体内移動
2)血糖値と糖質の関係
3)果糖およびガラクトースの代謝
4-炭水化物の栄養
1)エネルギー源としての炭水化物
2)食物繊維の栄養効果
第6章 脂質 (石井孝彦)
1-脂質の定義と分類
1)脂肪酸
2)トリグリセリド
3)ステロール
4)リン脂質
5)リポタンパク質
6)その他のおもな脂質
2-脂質の消化吸収
1)消 化
2)吸 収
3-脂質の代謝
1)血中脂質
2)脂肪酸の分解
3)ケトン体
4)脂肪酸の生合成
5)脂肪組織中の脂肪
6)脂質と他の栄養素の相互変換
7)脂質の過酸化
4-脂質の栄養
1)脂質の摂取とその意義
2)必須脂肪酸
3)血中コレステロールと食事成分
5-脂質の適正摂取量
第7章 タンパク質 (馬場 修)
1-タンパク質の定義と分類
1)アミノ酸
2)タンパク質
2-タンパク質の消化吸収
1)消 化
2)吸 収
3-タンパク質の代謝
1)体タンパク質の分解と合成
2)アミノ酸の分解と生成
3)代謝異常
4-タンパク質の栄養
1)必須アミノ酸
2)食品タンパク質の栄養価評価
3)タンパク質の栄養に影響する因子
5-タンパク質所要量
第8章 無機質と水 (篠田粧子)
1-無機質の定義と分類
2-無機質の機能
3-おもな無機質
1)カルシウム
2)マグネシウム
3)リン
4)ナトリウムと塩素
5)カリウム
6)イオウ
7)鉄
8)銅
9)亜鉛
10)マンガン
11)ヨウ素
12)フッ素
13)コバルト
14)セレン
15)クロム
16)モリブデン
17)その他の元素
4-水の機能と出納
1)水の機能
2)水の出納
第9章 ビタミン (中嶋 m子)
1-ビタミンの定義と分類
1)ビタミンの定義
2)ビタミンの分類
2-おもな脂溶性ビタミン
1)ビタミンA
2)ビタミンD
3)ビタミンE
4)ビタミンK
3-おもな水溶性ビタミン
1)ビタミンB1
2)ビタミンB2
3)ビタミンB6
4)ナイアシン
5)パントテン酸
6)葉 酸
7)ビタミンB12
8)ビオチン
9)ビタミンC
10)その他ビタミン類似作用のある物質
付表
索引
はしがき
第1章 総論 (吉田 勉)
1-栄養と食品の定義
2-栄養学の課題
3-栄養素の分類
4-生体成分
第2章 栄養学史 (三田村敏男)
1-三大栄養素に関する研究
1)近代科学の夜明け
2)炭水化物
3)脂 質
4)タンパク質
2-微量栄養素に関する研究
1)無機質
2)ビタミン
3-エネルギー代謝に関する研究
1)エネルギー代謝とラボアジェ
2)エネルギー消費に関する研究の進展
3)栄養素のエネルギー産生量
4-栄養素の体内変化に関する研究
1)酵素の発見
2)消化管内での変化
3)栄養素の代謝
第3章 消化吸収 (宮沢栄次)
1-消化吸収の定義
2-消化作用の分類と消化酵素
1)消化作用の分類
2)消化酵素
3)消化液
3-吸収の機構と吸収後の経路
1)消化管の構造
2)吸収の機構と吸収後の経路
4-各消化管での消化吸収
1)口 腔
2)胃
3)小 腸
4)大 腸
5-消化吸収率
6-腸内菌叢
1)腸内菌叢
2)腸内菌叢の安定性と変化
3)腸内菌叢の働き
第4章 エネルギー (植木幸英)
1-エネルギーの定義と分類
1)エネルギーの定義
2)エネルギーの単位
3)カロリー
2-エネルギー代謝
1)エネルギー代謝の測定法
2)基礎代謝
3)活動代謝
3-食品のもつエネルギー
1)物理的燃焼値と生理的燃焼値
2)熱量換算係数
3)食品のエネルギー計算
4)酒のエネルギー
5)その他
4-エネルギー所要量
第5章 炭水化物 (堀口恵子)
1-炭水化物の定義と分類
1)単糖類
2)少糖類
3)多糖類
4)甘味料
2-炭水化物の消化吸収
1)デンプンの消化
2)二糖類の消化
3)多糖類の消化
4)吸 収
3-炭水化物の代謝
1)糖質の体内移動
2)血糖値と糖質の関係
3)果糖およびガラクトースの代謝
4-炭水化物の栄養
1)エネルギー源としての炭水化物
2)食物繊維の栄養効果
第6章 脂質 (石井孝彦)
1-脂質の定義と分類
1)脂肪酸
2)トリグリセリド
3)ステロール
4)リン脂質
5)リポタンパク質
6)その他のおもな脂質
2-脂質の消化吸収
1)消 化
2)吸 収
3-脂質の代謝
1)血中脂質
2)脂肪酸の分解
3)ケトン体
4)脂肪酸の生合成
5)脂肪組織中の脂肪
6)脂質と他の栄養素の相互変換
7)脂質の過酸化
4-脂質の栄養
1)脂質の摂取とその意義
2)必須脂肪酸
3)血中コレステロールと食事成分
5-脂質の適正摂取量
第7章 タンパク質 (馬場 修)
1-タンパク質の定義と分類
1)アミノ酸
2)タンパク質
2-タンパク質の消化吸収
1)消 化
2)吸 収
3-タンパク質の代謝
1)体タンパク質の分解と合成
2)アミノ酸の分解と生成
3)代謝異常
4-タンパク質の栄養
1)必須アミノ酸
2)食品タンパク質の栄養価評価
3)タンパク質の栄養に影響する因子
5-タンパク質所要量
第8章 無機質と水 (篠田粧子)
1-無機質の定義と分類
2-無機質の機能
3-おもな無機質
1)カルシウム
2)マグネシウム
3)リン
4)ナトリウムと塩素
5)カリウム
6)イオウ
7)鉄
8)銅
9)亜鉛
10)マンガン
11)ヨウ素
12)フッ素
13)コバルト
14)セレン
15)クロム
16)モリブデン
17)その他の元素
4-水の機能と出納
1)水の機能
2)水の出納
第9章 ビタミン (中嶋 m子)
1-ビタミンの定義と分類
1)ビタミンの定義
2)ビタミンの分類
2-おもな脂溶性ビタミン
1)ビタミンA
2)ビタミンD
3)ビタミンE
4)ビタミンK
3-おもな水溶性ビタミン
1)ビタミンB1
2)ビタミンB2
3)ビタミンB6
4)ナイアシン
5)パントテン酸
6)葉 酸
7)ビタミンB12
8)ビオチン
9)ビタミンC
10)その他ビタミン類似作用のある物質
付表
索引