まえがき
振り返ってみますと,今から一世紀も前の1900年ごろの歯科補綴といえば,1歯から数歯ぐらいならば口腔内で歯に直接修復し,多数歯欠損になれば床義歯で修復していましたが,そのうち総義歯になってしまうことが多かったように思います.
総義歯になれば口腔外の模型上で作業をしなければならなくなり,その必要から平線咬合器に近いものではありますが,いろいろな咬合器が作られております.その咬合器に口腔模型を装着して作業をしてみますと,当然のことながら,上下顎の相関関係をできるだけ口腔状態に近づける要求が出てくるようになります.さらには,下顎の動きを咬合器上で再現できないものだろうかと考えて咬合器に工夫をこらすようになったのですが,実現には至りませんでした.その最大の原因は,上顎に対して自由に広範囲に動く下顎の位置を決める基準点が,わからなかったからでした.
1920年(大正9年)にB.B.McCollumがヒンジアキシス・ロケーターを開発しました.それによって,複雑に動いているように見える下顎の動きが一定の条件のもとでは円周運動をして,その回転軸を生体に記録できるようになりました.この回転軸の発見とそれを記録することで,咬合器開閉の回転軸を下顎開閉運動の回転軸と合わせることができるようになって,咬合器が大きく発展し,修復処置も大きく進歩してゆきました.この下顎の動きを咬合器で再現するために,床義歯のときは後方基準点として回転軸を用い,前方基準点として咬合床・ろう堤などで咬合高径を決めて,そのときの咬合関係を印記すればよかったのです.
その後,咬合器の機能や構造の進歩・発展と,修復器材や製作材料・技術の進歩とが相まって,有歯列の多数歯の修復を同時に行うことができるようになってきました.こうして咬合器を,義歯製作のときだけでなく有歯列の修復に使うことになりますと,咬合器での下顎の動きのより精密な再現がますます求められるようになってきます.また,多数歯の同時修復では,診断模型,製作模型,修復物の半製品,修復物などを繰り返し咬合器に同じ基準で再装着しなければならなくなります.この基準として,後方基準は回転軸ですが,前方基準として咬合位のなかで繰り返しても同じ位置で咬合する中心位の咬合記録が大きく浮かびあがってきました.
*
私の考えている中心位は,要約すると,下顎骨の下顎頭が下顎窩内で,関節円板などの軟組織を間に介在させながら,最も安定した位置で生理的に顎関節機構に異常な緊張を強いていない顎位です.さらに中心位における咬合は,すべての下顎の動きの原点であり,調和のとれた咬合の出発点であり,終末点でもあります.
ところがこの中心位の下顎頭の位置は,歯の噛み合わせ(咬合)により位置が動いてしまいます.言い換えれば,咬合により中心位が確保されていますが,不適切な修復物の咬合や調和の悪い咬合があれば,下顎頭の位置は中心位からズレた位置に動かされてしまいます.
ですから,咬合器に装着した模型を使い間接法で修復物を製作する現代の修復処置では,上下顎模型を中心位で咬合器に装着することがすべての出発点になります.こうして中心位の咬合記録は咬合器装置の基準点を求める目的から始まって,咬合関係の基準を決め,修復物の咬合を構成する基準と目標になってきています.
*
術者の求める中心位は,いつの時代でも変わっていないとは言うものの,中心位を求める目的の変化とともに強調される手技が変わってきております.
下顎の動きの回転中心軸の最後方位を基準にして,それから中心位を求めた初期のころは,下顎頭が“最後退位most retruded position”にあるほうがその位置を決めやすかったため,不慣れな術者ほど「下顎を後退位に押しやる術式」になりがちでした.そのため中心位がズレてしまっているにもかかわらず,気がつかずにこれを中心位としてしまっていることが多かったのです.
この押しやる術式を過度に行えば行うほど,逆に回転軸の位置が不安定になって中心位が決められません.その反省から,顆頭点の安定した位置を求めて「関節頭を最上方位に押しあげる術式」を加味するようになりました.これで不慣れな術者の間違いがだいぶ軽減されましたが,それでもこの術式を過度に行えば,下顎はかえって不安定になってしまい,中心位を決めるのが難しくなってしまいます.
さらに咬合器に複雑な機能が加わり,下顎運動時の咬合面の動きから下顎頭の動きの軌跡までをすべて再現しようとした時期には,咬合器の機械的な構造のために,下顎が左右限界運動のできる最後退位置を臨床では中心位として,多く用いられてきました.そして今は,顎関節機構の組織が生理的に調和のとれている顆頭安定位の顎位を中心位とし,この顎位で安定した咬合関係になることを目指しております.
*
中心位における咬合関係が大事なことは,20世紀初頭のころならいざしらず,今ではすべての歯科医が熟知しております.ところが中心位と歯牙咬合接触関係,あるいは中心位の咬合が顆頭-円板集合体(condyle-disc assembly),さらに歯牙周囲組織から総義歯の安定に及ぼす影響など,その原因と結果とその理由などについて系統的に十分に理解されているとは言いがたい状態を多く見かけます.本書は歯科修復処置のみならず,すべての歯科臨床で現れる中心位との関連について,1章の「歯」から始まり,「歯列」「顎位」「加齢変化」「欠損歯列」「修復」,そして7章の「調整」まで,私の臨床の経験則をつうじて検討させていただきました.
しかし,すべての基本になるこの中心位が,現在の発達した電子機器などを利用しても,日常臨床の場で目で見て中心位を厳密に示す方法がなく,術者の手技の結果から手に伝わる勘でしか表現できません.この勘を体得する方法は8章と9章に述べましたが,要約すれば,日常臨床で診療をする前に,まず数回患者の「アゴ」に手をそえ軽く開閉口運動をしてもらう,開閉口運動をさせる習慣を診療所全体の習慣とすることです.
*
21世紀は人間が個体を尊重する時代といわれております.口腔衛生の急速な普及と患者自身の意識の高まりにより,従来よりもカリエスによる歯の喪失は少なくなってきておりますが,今後は咬合のトラブルで歯が失われることが多くなると思われます.
ヒトの生命は空気を吸い,栄養と水を口から補給することで成り立っています.
その補給の入口になるのが歯牙・歯列による咀嚼であり,嚥下です.咀嚼は咬合で始まり,咬合で終わり,そして咬合の原点は中心位です.また,中心位の咬合は口腔のみならず頭部から頸部,さらには全身の調和の原点でもあります.
本書をつうじて,中心位の意義とその求め方につき,少しでもその視野が広がり,中心位の咬合採得が楽になれば望外の喜びです.
最後に,私が常日ごろ言いつづけ,日常の診療で生涯にわたり実践し,折にふれ皆様方にお話をし,誤解を招きかねないくらい強調してきました私のモットーを記しておきます.
“なにがなんでも,中心位”
*
本書の刊行につきまして,染谷成一郎先生,石川功和技工士,阿部二郎先生,医歯薬出版株式会社,そして「日本顎咬合学会」の諸兄姉に多大な御指導と御協力をいただきました.紙上を借りて厚く感謝の意を述べさせていただきます.
平成14年(2002年)3月
村岡 博
振り返ってみますと,今から一世紀も前の1900年ごろの歯科補綴といえば,1歯から数歯ぐらいならば口腔内で歯に直接修復し,多数歯欠損になれば床義歯で修復していましたが,そのうち総義歯になってしまうことが多かったように思います.
総義歯になれば口腔外の模型上で作業をしなければならなくなり,その必要から平線咬合器に近いものではありますが,いろいろな咬合器が作られております.その咬合器に口腔模型を装着して作業をしてみますと,当然のことながら,上下顎の相関関係をできるだけ口腔状態に近づける要求が出てくるようになります.さらには,下顎の動きを咬合器上で再現できないものだろうかと考えて咬合器に工夫をこらすようになったのですが,実現には至りませんでした.その最大の原因は,上顎に対して自由に広範囲に動く下顎の位置を決める基準点が,わからなかったからでした.
1920年(大正9年)にB.B.McCollumがヒンジアキシス・ロケーターを開発しました.それによって,複雑に動いているように見える下顎の動きが一定の条件のもとでは円周運動をして,その回転軸を生体に記録できるようになりました.この回転軸の発見とそれを記録することで,咬合器開閉の回転軸を下顎開閉運動の回転軸と合わせることができるようになって,咬合器が大きく発展し,修復処置も大きく進歩してゆきました.この下顎の動きを咬合器で再現するために,床義歯のときは後方基準点として回転軸を用い,前方基準点として咬合床・ろう堤などで咬合高径を決めて,そのときの咬合関係を印記すればよかったのです.
その後,咬合器の機能や構造の進歩・発展と,修復器材や製作材料・技術の進歩とが相まって,有歯列の多数歯の修復を同時に行うことができるようになってきました.こうして咬合器を,義歯製作のときだけでなく有歯列の修復に使うことになりますと,咬合器での下顎の動きのより精密な再現がますます求められるようになってきます.また,多数歯の同時修復では,診断模型,製作模型,修復物の半製品,修復物などを繰り返し咬合器に同じ基準で再装着しなければならなくなります.この基準として,後方基準は回転軸ですが,前方基準として咬合位のなかで繰り返しても同じ位置で咬合する中心位の咬合記録が大きく浮かびあがってきました.
*
私の考えている中心位は,要約すると,下顎骨の下顎頭が下顎窩内で,関節円板などの軟組織を間に介在させながら,最も安定した位置で生理的に顎関節機構に異常な緊張を強いていない顎位です.さらに中心位における咬合は,すべての下顎の動きの原点であり,調和のとれた咬合の出発点であり,終末点でもあります.
ところがこの中心位の下顎頭の位置は,歯の噛み合わせ(咬合)により位置が動いてしまいます.言い換えれば,咬合により中心位が確保されていますが,不適切な修復物の咬合や調和の悪い咬合があれば,下顎頭の位置は中心位からズレた位置に動かされてしまいます.
ですから,咬合器に装着した模型を使い間接法で修復物を製作する現代の修復処置では,上下顎模型を中心位で咬合器に装着することがすべての出発点になります.こうして中心位の咬合記録は咬合器装置の基準点を求める目的から始まって,咬合関係の基準を決め,修復物の咬合を構成する基準と目標になってきています.
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術者の求める中心位は,いつの時代でも変わっていないとは言うものの,中心位を求める目的の変化とともに強調される手技が変わってきております.
下顎の動きの回転中心軸の最後方位を基準にして,それから中心位を求めた初期のころは,下顎頭が“最後退位most retruded position”にあるほうがその位置を決めやすかったため,不慣れな術者ほど「下顎を後退位に押しやる術式」になりがちでした.そのため中心位がズレてしまっているにもかかわらず,気がつかずにこれを中心位としてしまっていることが多かったのです.
この押しやる術式を過度に行えば行うほど,逆に回転軸の位置が不安定になって中心位が決められません.その反省から,顆頭点の安定した位置を求めて「関節頭を最上方位に押しあげる術式」を加味するようになりました.これで不慣れな術者の間違いがだいぶ軽減されましたが,それでもこの術式を過度に行えば,下顎はかえって不安定になってしまい,中心位を決めるのが難しくなってしまいます.
さらに咬合器に複雑な機能が加わり,下顎運動時の咬合面の動きから下顎頭の動きの軌跡までをすべて再現しようとした時期には,咬合器の機械的な構造のために,下顎が左右限界運動のできる最後退位置を臨床では中心位として,多く用いられてきました.そして今は,顎関節機構の組織が生理的に調和のとれている顆頭安定位の顎位を中心位とし,この顎位で安定した咬合関係になることを目指しております.
*
中心位における咬合関係が大事なことは,20世紀初頭のころならいざしらず,今ではすべての歯科医が熟知しております.ところが中心位と歯牙咬合接触関係,あるいは中心位の咬合が顆頭-円板集合体(condyle-disc assembly),さらに歯牙周囲組織から総義歯の安定に及ぼす影響など,その原因と結果とその理由などについて系統的に十分に理解されているとは言いがたい状態を多く見かけます.本書は歯科修復処置のみならず,すべての歯科臨床で現れる中心位との関連について,1章の「歯」から始まり,「歯列」「顎位」「加齢変化」「欠損歯列」「修復」,そして7章の「調整」まで,私の臨床の経験則をつうじて検討させていただきました.
しかし,すべての基本になるこの中心位が,現在の発達した電子機器などを利用しても,日常臨床の場で目で見て中心位を厳密に示す方法がなく,術者の手技の結果から手に伝わる勘でしか表現できません.この勘を体得する方法は8章と9章に述べましたが,要約すれば,日常臨床で診療をする前に,まず数回患者の「アゴ」に手をそえ軽く開閉口運動をしてもらう,開閉口運動をさせる習慣を診療所全体の習慣とすることです.
*
21世紀は人間が個体を尊重する時代といわれております.口腔衛生の急速な普及と患者自身の意識の高まりにより,従来よりもカリエスによる歯の喪失は少なくなってきておりますが,今後は咬合のトラブルで歯が失われることが多くなると思われます.
ヒトの生命は空気を吸い,栄養と水を口から補給することで成り立っています.
その補給の入口になるのが歯牙・歯列による咀嚼であり,嚥下です.咀嚼は咬合で始まり,咬合で終わり,そして咬合の原点は中心位です.また,中心位の咬合は口腔のみならず頭部から頸部,さらには全身の調和の原点でもあります.
本書をつうじて,中心位の意義とその求め方につき,少しでもその視野が広がり,中心位の咬合採得が楽になれば望外の喜びです.
最後に,私が常日ごろ言いつづけ,日常の診療で生涯にわたり実践し,折にふれ皆様方にお話をし,誤解を招きかねないくらい強調してきました私のモットーを記しておきます.
“なにがなんでも,中心位”
*
本書の刊行につきまして,染谷成一郎先生,石川功和技工士,阿部二郎先生,医歯薬出版株式会社,そして「日本顎咬合学会」の諸兄姉に多大な御指導と御協力をいただきました.紙上を借りて厚く感謝の意を述べさせていただきます.
平成14年(2002年)3月
村岡 博
1 歯:咬合負担と負担過重
1 有歯顎での咬合調整
1.咬合調整をするのか,しないのかの判断基準
2.咬合調整をしてゆく基準
3.歯や顎関節機構に症状がなければ,咬合調整はしないのか?
4.当たるところを削っていれば,咬合面は平らになってしまう
2 早期接触
1.私の考えている早期接触とは
2.早期接触と削合調整
3.早期接触の見つけかた
3 初期接触
1.早期接触と初期接触の区別
2.初期接触と咬合調整
4 顎関節機構と初期接触・早期接触
5 咬合性外傷と外傷性咬合
1.咬合性外傷と外傷性咬合の区別
2.咬合性外傷と外傷性咬合の処置
3.自覚的症状と他覚的症状
6 負担過重
1.負担過重を起こしやすい患者
2.咬合は臼歯群,前歯群のよい調和がないと,ますます負担過重になる
3.負担過重の被害が出やすい咬合状態
2 歯列:咬合平面の調和と不調和
1 咬合と咬合平面
1.咬合平面とCR
2.咬合平面と顎運動
3.咬合平面と咀嚼
2 1歯から数歯の修復
3 片顎の修復
1.片顎の咬合平面の乱れ
2.咬合平面が乱れたまま修復したら
4 残存歯の対合関係が残っている多数歯欠損
1.CRが確保されていないことが多い
2.対合関係をCRで,咬合関係が安定するように修正
5 少数残存歯と咬合平面
1.少数残存歯による咬合平面の乱れ
2.咬合平面が乱れたまま修復したら
6 パーシャルデンチャーの咬合平面
7 少数残存歯で対合関係が天然歯でない口腔――いわゆる,すれ違い咬合状態
3 加齢変化
1 咬耗
1.咬耗した歯列の顎位
2.咬耗した歯列における修復
2 噛み癖と修復
4 顎位
1 CRは顎位の基準
2 CRの位置
1.有歯顎
2.無歯顎
3.補綴修復処置の基準は,いつでもCR
3 修復位置がCRより少し前方になってしまうのは,CR位置を求める方法が悪い
4 顎関節症の患者の後方顎位とCRとは顎位が違う
5 咬合採得時の患者の姿勢によるCRの差
1.総義歯製作の途中で決めるCRは,全体の流れのなかの一過程にすぎない
2.有歯顎修復処置のCRは,あとで変更する場が少ない
6 CRの位置は加齢変化でも変わらない
1.咬合高径が変わってもCRは変わらない
2.CRの加齢変化
3.有歯顎から無歯顎になったときのCRの変化
7 顎位の安定とCRの変化
8 顎関節機構がよくなったときのCRの変化を記録するのは,いまのところむずかしい
5 下顎運動の記録とその利用
1 パントグラフレコーディング
1.パントグラフで限界運動を記録する意味と目的
2.パントグラフレコーディングをする時期
2 ゴシックアーチトレーシング
1.ゴシックアーチトレーシングの問題点
2.ゴシックアーチトレーシングで決めたCRの位置
3.ゴシックアーチトレーシングするときの側方運動
4.ゴシックアーチトレーシングの臨床的価値
3 チェックバイト
1.チェックバイトの問題点
2.チェックバイトの臨床的価値
3.チェックバイト法の基本的な方法
6 修復
1 修復する顎位
2 多数歯補綴のCR
1.リマウント調整
2.修復物の装着
3 テンポラリークラウン・ブリッジと顎位
1.多数歯にわたる修復をするときのテンポラリークラウン・ブリッジ
2.テンポラリークラウン製作は,その時点のCRで作る
3.現在のCRが本当のCRとはかぎらない
4.レジンテンポラリークラウンでよい咬合関係ができたからといって,それを最終補綴物に移すのは問題点も多く,技術的にもたいへんむずかしい
5.レジンテンポラリークラウン・ブリッジを使う期間
7 調整
1 前方運動・側方運動と咬合の調整
2 有歯顎の補綴修復物のリコール
3 パーシャルデンチャーのリコール
4 総義歯のリコール
5 メインテナンスとして,歯周組織に関心を持ってもらう
8 CRについて
1 私が日常の臨床で行っているCRへの誘導法と咬合採得法
2 顎関節機構の異常の発見は,日常臨床のなかから
1.日常臨床で顎の動きを常に注意して見ている
2.日常臨床で顎関節機構の異常を見つける目安
3.顎の動きの異常を見たときの臨床的対応
3 総義歯のCR
9 CRの臨床テクニック
1.有歯顎
1.CRへの誘導法と咬合採得法(顎関節機構の異常が自覚的他覚的にない有歯顎)
2.CRの咬合採得法
3.注意事項
2.無歯顎
1.CRの決定と咬合採得法
2.CRへの誘導法
3.CRの記録と咬合採得
4.咬合採得をするまでに仮義歯でCRの顎位を確保しておく
5.総義歯のCRと咬合調整
参考文献
INDEX
1 有歯顎での咬合調整
1.咬合調整をするのか,しないのかの判断基準
2.咬合調整をしてゆく基準
3.歯や顎関節機構に症状がなければ,咬合調整はしないのか?
4.当たるところを削っていれば,咬合面は平らになってしまう
2 早期接触
1.私の考えている早期接触とは
2.早期接触と削合調整
3.早期接触の見つけかた
3 初期接触
1.早期接触と初期接触の区別
2.初期接触と咬合調整
4 顎関節機構と初期接触・早期接触
5 咬合性外傷と外傷性咬合
1.咬合性外傷と外傷性咬合の区別
2.咬合性外傷と外傷性咬合の処置
3.自覚的症状と他覚的症状
6 負担過重
1.負担過重を起こしやすい患者
2.咬合は臼歯群,前歯群のよい調和がないと,ますます負担過重になる
3.負担過重の被害が出やすい咬合状態
2 歯列:咬合平面の調和と不調和
1 咬合と咬合平面
1.咬合平面とCR
2.咬合平面と顎運動
3.咬合平面と咀嚼
2 1歯から数歯の修復
3 片顎の修復
1.片顎の咬合平面の乱れ
2.咬合平面が乱れたまま修復したら
4 残存歯の対合関係が残っている多数歯欠損
1.CRが確保されていないことが多い
2.対合関係をCRで,咬合関係が安定するように修正
5 少数残存歯と咬合平面
1.少数残存歯による咬合平面の乱れ
2.咬合平面が乱れたまま修復したら
6 パーシャルデンチャーの咬合平面
7 少数残存歯で対合関係が天然歯でない口腔――いわゆる,すれ違い咬合状態
3 加齢変化
1 咬耗
1.咬耗した歯列の顎位
2.咬耗した歯列における修復
2 噛み癖と修復
4 顎位
1 CRは顎位の基準
2 CRの位置
1.有歯顎
2.無歯顎
3.補綴修復処置の基準は,いつでもCR
3 修復位置がCRより少し前方になってしまうのは,CR位置を求める方法が悪い
4 顎関節症の患者の後方顎位とCRとは顎位が違う
5 咬合採得時の患者の姿勢によるCRの差
1.総義歯製作の途中で決めるCRは,全体の流れのなかの一過程にすぎない
2.有歯顎修復処置のCRは,あとで変更する場が少ない
6 CRの位置は加齢変化でも変わらない
1.咬合高径が変わってもCRは変わらない
2.CRの加齢変化
3.有歯顎から無歯顎になったときのCRの変化
7 顎位の安定とCRの変化
8 顎関節機構がよくなったときのCRの変化を記録するのは,いまのところむずかしい
5 下顎運動の記録とその利用
1 パントグラフレコーディング
1.パントグラフで限界運動を記録する意味と目的
2.パントグラフレコーディングをする時期
2 ゴシックアーチトレーシング
1.ゴシックアーチトレーシングの問題点
2.ゴシックアーチトレーシングで決めたCRの位置
3.ゴシックアーチトレーシングするときの側方運動
4.ゴシックアーチトレーシングの臨床的価値
3 チェックバイト
1.チェックバイトの問題点
2.チェックバイトの臨床的価値
3.チェックバイト法の基本的な方法
6 修復
1 修復する顎位
2 多数歯補綴のCR
1.リマウント調整
2.修復物の装着
3 テンポラリークラウン・ブリッジと顎位
1.多数歯にわたる修復をするときのテンポラリークラウン・ブリッジ
2.テンポラリークラウン製作は,その時点のCRで作る
3.現在のCRが本当のCRとはかぎらない
4.レジンテンポラリークラウンでよい咬合関係ができたからといって,それを最終補綴物に移すのは問題点も多く,技術的にもたいへんむずかしい
5.レジンテンポラリークラウン・ブリッジを使う期間
7 調整
1 前方運動・側方運動と咬合の調整
2 有歯顎の補綴修復物のリコール
3 パーシャルデンチャーのリコール
4 総義歯のリコール
5 メインテナンスとして,歯周組織に関心を持ってもらう
8 CRについて
1 私が日常の臨床で行っているCRへの誘導法と咬合採得法
2 顎関節機構の異常の発見は,日常臨床のなかから
1.日常臨床で顎の動きを常に注意して見ている
2.日常臨床で顎関節機構の異常を見つける目安
3.顎の動きの異常を見たときの臨床的対応
3 総義歯のCR
9 CRの臨床テクニック
1.有歯顎
1.CRへの誘導法と咬合採得法(顎関節機構の異常が自覚的他覚的にない有歯顎)
2.CRの咬合採得法
3.注意事項
2.無歯顎
1.CRの決定と咬合採得法
2.CRへの誘導法
3.CRの記録と咬合採得
4.咬合採得をするまでに仮義歯でCRの顎位を確保しておく
5.総義歯のCRと咬合調整
参考文献
INDEX