はじめに
21世紀は前世紀に引き続き,コンピュータや情報通信技術の急速な発達,交通機関の整備や流通機構の充実に支えられて,国際関係は緊密の度合いを増していくものと予測される.このことは政治・経済だけではなく,人間生活も伝統的思想は重要であるが,それを背景にした考えだけでは物事が解決する時代ではなくなっている.このような時代性を背景に,人間の生活活動の様式は加速度的な技術革新とグローバリゼーションが進んでいる.もはや一国主義的発想は,成り立たない時代になった.
今回,管理栄養士・栄養士養成のカリキュラムが全面改正されたことは,前述のような背景があって,将来の管理栄養士・栄養士の栄養指導・教育活動に対する期待と重要性が現実のものとなってきている結果と判断される.これに対応するには,管理栄養士・栄養士を志すものは,カリキュラム改正の意義を理解し,今後ますます変革が予想される社会の期待に応えられるように,より高度な知識と技術の習得について,積極的に取り組む必要があると判断される.
本書は,平成14年度から実施されている,栄養士法の一部改正(平13.6法87)による管理栄養士・栄養士の改正カリキュラム,(社)全国栄養士養成施設協会のカリキュラム試案(平13.12),厚生労働省の管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改訂検討会報告書(平14.8),(社)全国栄養士養成施設協会発表「管理栄養士各科試験の主たる項目(例示)と出題問題数(試案)」(平14.8)などの,給食経営管理論に関する部分と,このなかに規定されてはいないが,実務上必要と判断される事柄を含めて,執筆の骨子とした.
今回のカリキュラム改正において“給食経営管理”という教育内容名から理解されるように,経営管理に相当の力点が置かれている.この趣旨は,これまでのような技術的管理栄養士から,さらに進んで高度な技術と経営を総合した管理栄養士,すなわち,栄養教育に関する高度の専門技術者であると同時に,優秀な経営管理者としての管理栄養士を目標にしていると理解される.このような観点から,これまで取り上げられてきた経営管理をさらに進めて,経営に関するほぼ全体的な事柄について,その基本的な事項を取り上げた.その意味においては,従来の給食管理とは大きく異なる内容で,必要と判断される内容は大部分網羅した.
本書は,管理栄養士課程の教科書を意識して執筆しているが,栄養士は将来,国家試験を経て管理栄養士の資格を取得し,活動することが目標であるから,将来のために,ぜひ本書をもとに学習に励んでもらいたいということが執筆者一同の心からの願いである.
なお,本書を出版するにあたり,著書や論文などを参考資料として利用させていただいた諸先生,並びに企画から上梓に至るまで,多大なご尽力をいただいた医歯薬出版株式会社の関係者各位に謝意を申し上げる次第である.
2003年3月
編著者 富岡和夫
21世紀は前世紀に引き続き,コンピュータや情報通信技術の急速な発達,交通機関の整備や流通機構の充実に支えられて,国際関係は緊密の度合いを増していくものと予測される.このことは政治・経済だけではなく,人間生活も伝統的思想は重要であるが,それを背景にした考えだけでは物事が解決する時代ではなくなっている.このような時代性を背景に,人間の生活活動の様式は加速度的な技術革新とグローバリゼーションが進んでいる.もはや一国主義的発想は,成り立たない時代になった.
今回,管理栄養士・栄養士養成のカリキュラムが全面改正されたことは,前述のような背景があって,将来の管理栄養士・栄養士の栄養指導・教育活動に対する期待と重要性が現実のものとなってきている結果と判断される.これに対応するには,管理栄養士・栄養士を志すものは,カリキュラム改正の意義を理解し,今後ますます変革が予想される社会の期待に応えられるように,より高度な知識と技術の習得について,積極的に取り組む必要があると判断される.
本書は,平成14年度から実施されている,栄養士法の一部改正(平13.6法87)による管理栄養士・栄養士の改正カリキュラム,(社)全国栄養士養成施設協会のカリキュラム試案(平13.12),厚生労働省の管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改訂検討会報告書(平14.8),(社)全国栄養士養成施設協会発表「管理栄養士各科試験の主たる項目(例示)と出題問題数(試案)」(平14.8)などの,給食経営管理論に関する部分と,このなかに規定されてはいないが,実務上必要と判断される事柄を含めて,執筆の骨子とした.
今回のカリキュラム改正において“給食経営管理”という教育内容名から理解されるように,経営管理に相当の力点が置かれている.この趣旨は,これまでのような技術的管理栄養士から,さらに進んで高度な技術と経営を総合した管理栄養士,すなわち,栄養教育に関する高度の専門技術者であると同時に,優秀な経営管理者としての管理栄養士を目標にしていると理解される.このような観点から,これまで取り上げられてきた経営管理をさらに進めて,経営に関するほぼ全体的な事柄について,その基本的な事項を取り上げた.その意味においては,従来の給食管理とは大きく異なる内容で,必要と判断される内容は大部分網羅した.
本書は,管理栄養士課程の教科書を意識して執筆しているが,栄養士は将来,国家試験を経て管理栄養士の資格を取得し,活動することが目標であるから,将来のために,ぜひ本書をもとに学習に励んでもらいたいということが執筆者一同の心からの願いである.
なお,本書を出版するにあたり,著書や論文などを参考資料として利用させていただいた諸先生,並びに企画から上梓に至るまで,多大なご尽力をいただいた医歯薬出版株式会社の関係者各位に謝意を申し上げる次第である.
2003年3月
編著者 富岡和夫
I 総論―給食経営管理を学習するにあたって
1.食生活の現状と給食の意義
1 経済成長と食生活の変化
2 ファストフードとスローフード
3 多様化した食事のとり方
2.給食の歴史
1 病院給食
2 学校給食
3 事業所給食
3.特定給食施設の概要
1 給食施設の区別
2 特定給食における栄養管理と管理栄養士・栄養士の配置
3 栄養指導員
4 指導および助言
5 勧告および命令
6 立入検査など
7 罰則
4.特定給食施設の種類と特性
1 病院
2 学校
3 社会福祉施設
4 児童福祉施設
5 事業所
6 自衛隊
7 その他の給食施設
5.特定給食の運営と実施の方法
1 運営の方法
2 実施の方法
3 食事の内容
6.特定給食施設における管理栄養士・栄養士の業務・心構えと配置
1 業務
2 心構え
3 配置
7.特定給食における管理栄養士・栄養士の将来展望
1 将来展望
2 起業
8.特定給食とISOのかかわり
1 ISO
2 標準化
3 ISO9000sとISO14000s
4 給食管理とISO
9.行政による特定給食施設の指導と関係法規
1 法規の分類
2 共通的指導
3 分野別指導
II 経営管理論
1.経営管理の意義
2.管理栄養士と経営管理
3.企業と経営組織
1 企業と会社
2 経営組織の概要
3 経営組織の形態
4.人と職場の管理
1 経営理念
2 企業の経営資源
3 職場のリーダー
5.労働に関する事項
1 労働条件を規定する法律
2 労働基準法
3 労働における男女平等
4 非正規雇用者
6.事務管理
1 事務の発生と管理
2 事務管理の対象
3 業務活動と文書・帳票
4 給食部門の事務処理
7.財務諸表と経営分析
1 会計制度と財務諸表
2 財務諸表
3 経営分析
8.原価管理
1 原価の分類
2 原価計算の方法
3 損益分岐点分析
4 ABC分析
9.生産管理・品質管理
1 生産管理
2 生産計画
3 品質管理
4 給食業務における生産管理・品質管理
10.マーケティング論
1 マーケティングとセリング
2 消費者行動とマーケティング
3 マーケティングの役割
4 マーケティング活動の基本
5 “顧客満足”とは
6 マーケティング・リサーチ
7 マーケティング戦略の策定
8 給食管理とマーケティング
III 給食業務論
III-1 栄養・献立管理
1.栄養・献立計画の立案・実施と評価
1 特定給食施設における栄養管理の意義
2 給与栄養目標量
3 日本人の食事摂取基準
4 食品構成
5 日本食品標準成分表
6 献立計画と献立作成
7 栄養出納表
8 献立の評価
2.対象別給食の特徴と献立作成の要点
1 病院給食
2 学校給食
3 福祉施設給食
4 事業所給食
5 自衛隊給食
6 緊急災害時給食
III-2 衛生・安全管理
1.衛生・安全管理の目的
2.食中毒の現状と予防対策
1 食中毒の定義と分類
2 食中毒の発生状況
3 細菌性食中毒の予防対策
4 感染症と予防対策
5 家庭における衛生管理
6 食中毒発生時の処置
3.食中毒とHACCP
1 HACCPシステム
2 HACCPによる衛生管理
4.食品に混入する異物と防止対策
1 異物の種類と防止対策
2 衛生動物の種類と防止対策
5.給食関係者の衛生管理
1 給食従事者の衛生管理
2 食材料納入業者の衛生管理
3 喫食者の衛生管理
6.食材料と調理食品の衛生管理
1 献立作成にあたっての留意事項
2 食材料の購入,検収,保管
3 調理過程の衛生
4 調理済み食品の温度管理
5 検食と保存食
6 食品の腐敗
7 大量調理の献立作成
7.院外調理と衛生管理
8.安全管理と事故対策
1 食品衛生面の事 フ防止対策
2 労働災害の防止対策
3 給食従事者の衛生・安全教育
4 施設・設備の安全管理
9.衛生・安全管理の評価
III-3 食材料管理
1.食材料管理の意義
2.食材料の種類・分類
1 食品成分表による食材料の種類
2 保管条件による食材料の分類
3.食材料の購入・払い出しと保管の技術
1 食材料の発注計画
2 食材料の納品規格
3 食材料の購入技術
4 生鮮食材料の出回り時期
5 食材料の官能識別
6 食材料の保管基準と保管要領
4.食材料管理の評価
1 食材料の購入価格の分析
2 計数による食材料管理の評価
III-4 施設・設備管理
1.施設・設備管理の意義
2.施設・設備管理の現状
3.施設・設備管理の計画
1 給食施設の位置
2 給食施設の区分
3 給食施設の面積と特性
4.環境関連設備
1 建築上の設備
2 給排水設備
3 熱源・電気設備および照明
4 換気・空調設備
5 厨芥処理設備
5.機械・器具
1 調理機器選定の基本
2 調理機器の種類と用途
6.什器・食器
7.施設・設備能力と生産性
8.施設・設備の保全活動
9.設備のレイアウト
10.食事環境の設計と設備
1 食事環境整備の意義
2 食事環境の設置
III-5 作業管理
1.作業管理の目的
2.作業計画
1 作業計画の必要性
2 作業計画の実際
3.大量調理の方法・技術
1 大量調理の特徴
2 クックチルシステム
4.調理作業工程管理
1 大量調理の作業管理
2 「大量調理施設衛生管理マニュアル」の趣旨
3 調理作業工程
5.提供管理
1 配食作業
2 配膳作業
6.洗浄・清掃管理
1 食器洗浄
2 調理器具・機械の洗浄と消毒
3 その他の清掃作業
4 廃棄物処理
7.作業管理の評価
1 作業研究
2 疲労調査
付表
1.日本人の食事摂取基準(2005年版)
2.調理による食品の重量変化率
3.調理方法の概要
4.大量調理施設衛生管理マニュアル
索引
1.食生活の現状と給食の意義
1 経済成長と食生活の変化
2 ファストフードとスローフード
3 多様化した食事のとり方
2.給食の歴史
1 病院給食
2 学校給食
3 事業所給食
3.特定給食施設の概要
1 給食施設の区別
2 特定給食における栄養管理と管理栄養士・栄養士の配置
3 栄養指導員
4 指導および助言
5 勧告および命令
6 立入検査など
7 罰則
4.特定給食施設の種類と特性
1 病院
2 学校
3 社会福祉施設
4 児童福祉施設
5 事業所
6 自衛隊
7 その他の給食施設
5.特定給食の運営と実施の方法
1 運営の方法
2 実施の方法
3 食事の内容
6.特定給食施設における管理栄養士・栄養士の業務・心構えと配置
1 業務
2 心構え
3 配置
7.特定給食における管理栄養士・栄養士の将来展望
1 将来展望
2 起業
8.特定給食とISOのかかわり
1 ISO
2 標準化
3 ISO9000sとISO14000s
4 給食管理とISO
9.行政による特定給食施設の指導と関係法規
1 法規の分類
2 共通的指導
3 分野別指導
II 経営管理論
1.経営管理の意義
2.管理栄養士と経営管理
3.企業と経営組織
1 企業と会社
2 経営組織の概要
3 経営組織の形態
4.人と職場の管理
1 経営理念
2 企業の経営資源
3 職場のリーダー
5.労働に関する事項
1 労働条件を規定する法律
2 労働基準法
3 労働における男女平等
4 非正規雇用者
6.事務管理
1 事務の発生と管理
2 事務管理の対象
3 業務活動と文書・帳票
4 給食部門の事務処理
7.財務諸表と経営分析
1 会計制度と財務諸表
2 財務諸表
3 経営分析
8.原価管理
1 原価の分類
2 原価計算の方法
3 損益分岐点分析
4 ABC分析
9.生産管理・品質管理
1 生産管理
2 生産計画
3 品質管理
4 給食業務における生産管理・品質管理
10.マーケティング論
1 マーケティングとセリング
2 消費者行動とマーケティング
3 マーケティングの役割
4 マーケティング活動の基本
5 “顧客満足”とは
6 マーケティング・リサーチ
7 マーケティング戦略の策定
8 給食管理とマーケティング
III 給食業務論
III-1 栄養・献立管理
1.栄養・献立計画の立案・実施と評価
1 特定給食施設における栄養管理の意義
2 給与栄養目標量
3 日本人の食事摂取基準
4 食品構成
5 日本食品標準成分表
6 献立計画と献立作成
7 栄養出納表
8 献立の評価
2.対象別給食の特徴と献立作成の要点
1 病院給食
2 学校給食
3 福祉施設給食
4 事業所給食
5 自衛隊給食
6 緊急災害時給食
III-2 衛生・安全管理
1.衛生・安全管理の目的
2.食中毒の現状と予防対策
1 食中毒の定義と分類
2 食中毒の発生状況
3 細菌性食中毒の予防対策
4 感染症と予防対策
5 家庭における衛生管理
6 食中毒発生時の処置
3.食中毒とHACCP
1 HACCPシステム
2 HACCPによる衛生管理
4.食品に混入する異物と防止対策
1 異物の種類と防止対策
2 衛生動物の種類と防止対策
5.給食関係者の衛生管理
1 給食従事者の衛生管理
2 食材料納入業者の衛生管理
3 喫食者の衛生管理
6.食材料と調理食品の衛生管理
1 献立作成にあたっての留意事項
2 食材料の購入,検収,保管
3 調理過程の衛生
4 調理済み食品の温度管理
5 検食と保存食
6 食品の腐敗
7 大量調理の献立作成
7.院外調理と衛生管理
8.安全管理と事故対策
1 食品衛生面の事 フ防止対策
2 労働災害の防止対策
3 給食従事者の衛生・安全教育
4 施設・設備の安全管理
9.衛生・安全管理の評価
III-3 食材料管理
1.食材料管理の意義
2.食材料の種類・分類
1 食品成分表による食材料の種類
2 保管条件による食材料の分類
3.食材料の購入・払い出しと保管の技術
1 食材料の発注計画
2 食材料の納品規格
3 食材料の購入技術
4 生鮮食材料の出回り時期
5 食材料の官能識別
6 食材料の保管基準と保管要領
4.食材料管理の評価
1 食材料の購入価格の分析
2 計数による食材料管理の評価
III-4 施設・設備管理
1.施設・設備管理の意義
2.施設・設備管理の現状
3.施設・設備管理の計画
1 給食施設の位置
2 給食施設の区分
3 給食施設の面積と特性
4.環境関連設備
1 建築上の設備
2 給排水設備
3 熱源・電気設備および照明
4 換気・空調設備
5 厨芥処理設備
5.機械・器具
1 調理機器選定の基本
2 調理機器の種類と用途
6.什器・食器
7.施設・設備能力と生産性
8.施設・設備の保全活動
9.設備のレイアウト
10.食事環境の設計と設備
1 食事環境整備の意義
2 食事環境の設置
III-5 作業管理
1.作業管理の目的
2.作業計画
1 作業計画の必要性
2 作業計画の実際
3.大量調理の方法・技術
1 大量調理の特徴
2 クックチルシステム
4.調理作業工程管理
1 大量調理の作業管理
2 「大量調理施設衛生管理マニュアル」の趣旨
3 調理作業工程
5.提供管理
1 配食作業
2 配膳作業
6.洗浄・清掃管理
1 食器洗浄
2 調理器具・機械の洗浄と消毒
3 その他の清掃作業
4 廃棄物処理
7.作業管理の評価
1 作業研究
2 疲労調査
付表
1.日本人の食事摂取基準(2005年版)
2.調理による食品の重量変化率
3.調理方法の概要
4.大量調理施設衛生管理マニュアル
索引


