やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第5版 改訂にあたって

 第4版の発行から6年が経過した.この間,栄養問題をめぐってさまざまな状況の変化がみられる.食事摂取基準(dietary reference intake)の概念を導入した「第六次改定日本人の栄養所要量」の答申(平成11年6月.平成12年4月より使用)をはじめ,到達目標を数値で示した「健康日本21」(平成12年2月),新しい「健康づくりのための食生活指針」(平成12年8月)など,国民の健康づくりにかかわる新たな枠組みが策定され,さらに平成12年11月には「五訂日本食品標準成分表」も公表された.
 また平成12年4月には,管理栄養士の業務の明確化,および登録免許制,管理栄養士国家試験の見直しを盛り込んだ栄養士法改正が行われ,栄養士・管理栄養士の今後に大きな変化をもたらすものと思われる.
 今回はこれらの内容を盛り込み,統計・調査資料の訂正も加えて改訂を行った.公衆栄養学を学ぶ人々,公衆栄養活動に携わる人々に資することを願ってやまない.
 最後に,重ねて出版の労をとられた医歯薬出版株式会社にお礼申し上げる.
 2001年3月 著者代表 鈴木 健
I章 公衆栄養の理念と目的…1
 1.公衆栄養学とは…1
   1)生命現象…1
   2)栄養学と公衆栄養学…2
 2.食生活の視点から…3
   1)食生活と健康…3
   2)体内における栄養素の利用…4
   3)健康に影響する食生活要因…4
 3.栄養と健康…5
   1)健康の概念…5
   2)健康増進…10
   3)ライフサイクルと栄養…14
   4)疾病と栄養…19
   5)栄養リハビリテーション…23
   6)医療情報システムと健康栄養管理…26
II章 公衆栄養の方法…31
 1.はじめに―本章の目的と考え方―…31
 2.公衆栄養計画の立て方…33
   1)問題の発見と提起―公衆栄養の計画・実行・評価―…33
   2)資料の収集・検討・整理…35
   3)計画方法の種類と選定…36
   4)計画案の点検…39
 3.公衆栄養活動の進め方…40
   1)活動の目標…40
   2)人と組織…44
   3)活動に必要な資材と選定…44
   4)活動対象の把握…46
 4.公衆栄養の評価…50
   1)評価の目的…50
   2)評価の方法…50
   3)長期のマクロな人類学的評価…54
 5.公衆栄養における情報処理…55
   1)はじめに…55
   2)栄養業務に必要なハードウエアとソフトウエア…56
   3)システム全体共通事項…57
   4)栄養業務のための統計処理…57
   5)おわりに…60
III章 国民の健康・栄養・生活の推移と現状…63
 1.国民の健康・栄養状態把握の重要性…63
 2.国民の健康の推移と現状…63
   1)生命表からみた平均寿命・平均余命…63
   2)人口動態統計からみた健康問題…68
   3)医療統計からみた健康問題…72
   4)公衆衛生統計からみた健康問題…81
 3.国民栄養の推移と現状…85
   1)国民栄養調査とは…85
   2)栄養素摂取量の経年変化…86
   3)栄養所要量と比べた栄養素摂取状況…87
   4)栄養比率からみた国民栄養…88
   5)食塩摂取量…90
   6)食品摂取量の変化…92
   7)個人別栄養調査…92
   8)食事の摂取態様…94
   9)国民栄養の現状からみた改善の方向…96
 4.食料需給面からみた国民栄養…98
   1)食料需要の動向…98
   2)食料生産の動向…98
   3)食料の輸入…100
   4)食料供給面からみた国民栄養…101
 5.国民生活の推移…104
   1)GNPからみた国民生活の水準…105
   2)就業構造の変化…105
   3)消費者構造の変化と食料費の動向…105
   4)世帯形態の変化と家事への影響…106
IV章 公衆栄養活動の指針…113
 1.栄養行政…113
   1)栄養行政機構…113
   2)国の栄養行政…113
   3)都道府県の栄養行政…117
   4)保健所の栄養改善活動…118
   5)市町村の栄養改善事業…119
 2.「健康日本21」…122
   1)21世紀の国民健康づくり運動…122
   2)栄養・食生活の目標値…123
 3.栄養関係法規…126
   1)栄養士法…126
   2)栄養改善法…133
 4.栄養所要量…138
   1)栄養所要量の意義…138
   2)第六次改定日本人の栄養所要量-食事摂取基準-の概要…142
   A. エネルギー…142
   B. 脂質…148
   C. たんぱく質…150
   D. ビタミン…153
   E. 無機質(ミネラル)…164
   (付)健康づくりのための運動所要量…175
 5.栄養・食生活の指針…176
   1)疾病予防と栄養に関する検討委員会報告-昭和56年厚生省特別研究-…176
   2)新しい食生活指針(平成12年厚生省・農水省・文部省決定)…182
   3)対象特性別健康づくりのための食生活指針…183
   4)栄養改善法による栄養表示制度…183
   5)諸外国の栄養表示制度…184
   6)外食料理の栄養表示制度…185
V章 公衆栄養活動…186
 1.地域公衆栄養活動の意義…186
 2.地域公衆栄養活動の重要性…187
   1)疾病予防面からみた公衆栄養活動の重要性…187
   2)健康増進面からみた公衆栄養活動の重要性…188
   3)病態栄養面からみた公衆栄養活動の重要性…189
 3.公衆栄養活動の組織…192
   1)栄養行政と民間活動…192
   2)栄養行政機構…192
   3)地方自治体の栄養行政組織…193
 4.国の行っている主な栄養・保健関係キャンペーン活動…193
   1)食生活改善普及運動…193
   2)栄養教育としての六つの基礎食品普及運動…195
   3)健康増進普及運動…195
 5.栄養行政および栄養改善対策の変遷…196
   1)戦前の状況…196
   2)戦後の状況…199
 6.健康・体力づくり事業…206
   1)健康・体力づくり事業の重要性…206
   2)健康・体力づくり施策…207
 7.地域公衆栄養活動-食生活改善地区組織活動を中心に-…210
   1)地域公衆栄養活動としての食生活改善地区組織活動…210
   2)地区組織活動の母体…211
   3)地区組織活動に関係する社会資源…211
   4)地区診断と実践体制の整備…212
   5)食生活改善地区組織活動の事例…215
   6)地域公衆栄養活動の評価…219
 8.都道府県の活動事例…223
   1)各都道府県の栄養行政施策…223
 9.保健所の活動事例…224
   1)保健所における主な栄養改善活動…224
   2)東京都国立市における地域栄養活動…227
 10.市町村における公衆栄養活動事例…227
   1)宮城県の市町村栄養士配置による活動事例…227
VI章 諸外国における公衆栄養活動…232
 1.世界の栄養問題…232
   1)外国依存に支えられた日本人の食料…232
   2)世界にみられる食料不足と健康障害…234
   3)エネルギーや脂質の摂取過多と健康障害…237
 2.国際的な取り組み…240
   1)WHOによる公衆栄養活動…241
   2)FAOによる公衆栄養活動…241
 3.各国の公衆栄養計画・活動…243
   1)アメリカ合衆国…246
   2)イギリス…247
   3)ノルウェー…248
VII章 公衆栄養活動の課題と展望…250
 1.栄養学の諸問題と公衆栄養学…250
 2.公衆栄養活動の課題…251
   1)公衆栄養活動の展開…251
   2)公衆栄養活動と栄養士の役割…252
(付)栄養関係法規…254
 栄養士法(抄)…254
 栄養士法施行令(抄)…256
 栄養士法施行規則(抄)…257
 栄養改善法(抄)…260

付表 
1 各国の栄養所要量…265
2 健康づくりのための運動所要量について…267
3 レジャー活動のエネルギー消費量とMETS(スポーツ,運動,ゲーム,ダンス)…270