序文
本書の原型ともいうべき前著『骨の科学』は,今を遡ること22年前の1985年に刊行された.当時,我が国では藤田拓男先生(神戸大学名誉教授)が中心になって日本骨代謝学会が創設(1983年)されたばかりの頃で,高齢化社会の到来を予測して「骨」に関心を持つ研究者が急速に増加しつつある時代であった.骨の形態学,生化学,臨床医学(整形外科学)を専門分野としていた小澤英浩,須田立雄,橋榮明の3名の共同作業によって出版された前著は,幸いにして医学・歯学・薬学・理工学・農学・栄養学などの幅広い領域の研究者や学生諸兄から暖かく迎えられ,これまでに相当の部数を販売したと聞いている.一般書籍ならばベストセラーの仲間入りをする部数である.それは,前著が,(1)細胞レベルから組織レベルまで,骨の生命現象を幅広くカバーすることに努めたこと,(2)基礎医学的側面と臨床医学的側面が一つの書籍の中で渾然一体となるよう努めたこと,(3)「骨の生物学」についての全体像を一冊で把握することが可能となるように努めたこと,(4)骨と歯の研究のどちらにも精通している著者が執筆にあたったこと,(5)読み物としても魅力がある書物の作成に努めたこと,などの理由が挙げられると思われる.当時,類書がまったくなかったこともあり,前著は骨の研究の専門家ばかりでなく,骨の研究をこれから始めようとする初心者の方々の入門書としての役割も果たした.また,日本整形外科学会,日本リウマチ学会,日本内分泌学会,日本ビタミン学会,日本栄養・食糧学会,歯科基礎医学会の会員などの幅広い読者層からもご支持をいただいた.「骨」に関する書籍がこれほど広く愛読されたことは本書の刊行に携わってきた関係者の一人として大きな喜びであった.しかしながら,その後,形態学研究には各種の顕微鏡や組織化学などを用いた研究成果が次々と導入され,生化学研究には夥しい物量の遺伝子工学の知識と技術に基づく研究成果が加わり,前著をこのままの形で刊行することはできなくなり,本書を改訂することが各方面から要望されるようになった.
前著の改訂が最初に計画されたのは,8年前の1999年のことである.最初,前著が幅広い読者層から支持されたこともあって,旧版の体裁と内容をそのままにして,新しい研究成果を盛り込むという単純な改訂作業を考えたが,改訂方針を詳しく話し合っていくうちにそれでは済まなくなってしまった.また,前著の3名の執筆者もそれなりに年齢を重ね,前著を作成した当時のような時間的余裕もなくなった.また,発売元である医歯薬出版においても改訂作業は難航した.そして,2004年12月,前著の3名の執筆者に加えて,田中 栄,中村浩彰,森 諭史の3氏を新たに執筆者に迎えて,合計6名で新しい書籍として『新 骨の科学』の刊行に取り掛かることになった.新しく執筆者に加わった田中 栄氏は昭和大学歯学部時代の私の研究仲間であり,東京大学の大学院生時代,前著に出会ったことが契機となって「骨の生物学」に興味をもつようになり,破骨細胞の研究を始めたと聞いている.また,中村浩彰氏,森 諭史氏はそれぞれ,小澤,橋両氏と信頼できる深い師弟関係にあると同時に研究仲間でもあり,阿吽の呼吸で意志の疎通がはかれる仲であったことも本書の発行を可能にした要因の一つである.
『新 骨の科学』の編集方針は,幅広い読者層から支持された上記に挙げたような前著の特徴と読み物としてのメリットを残しつつ,その後の20年間に発見された重要な新知見をできるだけ多く取り込んで,初心者にも専門家にも魅力のある書物となるように努めた.また,書名に「科学」という言葉があるように,本書に取り上げる骨に関する基礎的・臨床的研究成果は一つひとつ厳格に検証され,「ライフサイエンス」の立場からも厳しい評価に耐えうるものだけを引用するように努めた.読者対象は,医学部・歯学部・薬学部などの大学院生や骨の研究者だけでなく,これから骨の研究を始めようと考えている人たちの興味にも耐えうるものとなるように努めた.つまり,本書の内容は最新の研究成果を細大漏らさず詳細に解説しようとするものではなく,骨という組織の全体像の把握と,骨の研究の今後の方向性を示唆できるようなものを目指したつもりである.
近年,いくつかの出版社から「骨」に関する初心者向けの解説書,最新の研究成果をやさしくまとめた特集などが数多く出版されている.『新 骨の科学』の評価を問う社会環境は『骨の科学』が出版された22年前とは様変わりしている.そのような社会環境の変化を越えて,本書が骨の専門家からも,またこれから骨の研究を始めようとする初心者からも,また関連領域の研究者からも暖かく迎えられることを祈念している.終わりに,本書の編集業務に携わってくださった医歯薬出版編集部に深甚なる感謝の念を捧げる.
本書が,「骨」の理解の一助になれば,これに勝る喜びはない.
2007年7月1日
編著者代表 須田立雄
本書の原型ともいうべき前著『骨の科学』は,今を遡ること22年前の1985年に刊行された.当時,我が国では藤田拓男先生(神戸大学名誉教授)が中心になって日本骨代謝学会が創設(1983年)されたばかりの頃で,高齢化社会の到来を予測して「骨」に関心を持つ研究者が急速に増加しつつある時代であった.骨の形態学,生化学,臨床医学(整形外科学)を専門分野としていた小澤英浩,須田立雄,橋榮明の3名の共同作業によって出版された前著は,幸いにして医学・歯学・薬学・理工学・農学・栄養学などの幅広い領域の研究者や学生諸兄から暖かく迎えられ,これまでに相当の部数を販売したと聞いている.一般書籍ならばベストセラーの仲間入りをする部数である.それは,前著が,(1)細胞レベルから組織レベルまで,骨の生命現象を幅広くカバーすることに努めたこと,(2)基礎医学的側面と臨床医学的側面が一つの書籍の中で渾然一体となるよう努めたこと,(3)「骨の生物学」についての全体像を一冊で把握することが可能となるように努めたこと,(4)骨と歯の研究のどちらにも精通している著者が執筆にあたったこと,(5)読み物としても魅力がある書物の作成に努めたこと,などの理由が挙げられると思われる.当時,類書がまったくなかったこともあり,前著は骨の研究の専門家ばかりでなく,骨の研究をこれから始めようとする初心者の方々の入門書としての役割も果たした.また,日本整形外科学会,日本リウマチ学会,日本内分泌学会,日本ビタミン学会,日本栄養・食糧学会,歯科基礎医学会の会員などの幅広い読者層からもご支持をいただいた.「骨」に関する書籍がこれほど広く愛読されたことは本書の刊行に携わってきた関係者の一人として大きな喜びであった.しかしながら,その後,形態学研究には各種の顕微鏡や組織化学などを用いた研究成果が次々と導入され,生化学研究には夥しい物量の遺伝子工学の知識と技術に基づく研究成果が加わり,前著をこのままの形で刊行することはできなくなり,本書を改訂することが各方面から要望されるようになった.
前著の改訂が最初に計画されたのは,8年前の1999年のことである.最初,前著が幅広い読者層から支持されたこともあって,旧版の体裁と内容をそのままにして,新しい研究成果を盛り込むという単純な改訂作業を考えたが,改訂方針を詳しく話し合っていくうちにそれでは済まなくなってしまった.また,前著の3名の執筆者もそれなりに年齢を重ね,前著を作成した当時のような時間的余裕もなくなった.また,発売元である医歯薬出版においても改訂作業は難航した.そして,2004年12月,前著の3名の執筆者に加えて,田中 栄,中村浩彰,森 諭史の3氏を新たに執筆者に迎えて,合計6名で新しい書籍として『新 骨の科学』の刊行に取り掛かることになった.新しく執筆者に加わった田中 栄氏は昭和大学歯学部時代の私の研究仲間であり,東京大学の大学院生時代,前著に出会ったことが契機となって「骨の生物学」に興味をもつようになり,破骨細胞の研究を始めたと聞いている.また,中村浩彰氏,森 諭史氏はそれぞれ,小澤,橋両氏と信頼できる深い師弟関係にあると同時に研究仲間でもあり,阿吽の呼吸で意志の疎通がはかれる仲であったことも本書の発行を可能にした要因の一つである.
『新 骨の科学』の編集方針は,幅広い読者層から支持された上記に挙げたような前著の特徴と読み物としてのメリットを残しつつ,その後の20年間に発見された重要な新知見をできるだけ多く取り込んで,初心者にも専門家にも魅力のある書物となるように努めた.また,書名に「科学」という言葉があるように,本書に取り上げる骨に関する基礎的・臨床的研究成果は一つひとつ厳格に検証され,「ライフサイエンス」の立場からも厳しい評価に耐えうるものだけを引用するように努めた.読者対象は,医学部・歯学部・薬学部などの大学院生や骨の研究者だけでなく,これから骨の研究を始めようと考えている人たちの興味にも耐えうるものとなるように努めた.つまり,本書の内容は最新の研究成果を細大漏らさず詳細に解説しようとするものではなく,骨という組織の全体像の把握と,骨の研究の今後の方向性を示唆できるようなものを目指したつもりである.
近年,いくつかの出版社から「骨」に関する初心者向けの解説書,最新の研究成果をやさしくまとめた特集などが数多く出版されている.『新 骨の科学』の評価を問う社会環境は『骨の科学』が出版された22年前とは様変わりしている.そのような社会環境の変化を越えて,本書が骨の専門家からも,またこれから骨の研究を始めようとする初心者からも,また関連領域の研究者からも暖かく迎えられることを祈念している.終わりに,本書の編集業務に携わってくださった医歯薬出版編集部に深甚なる感謝の念を捧げる.
本書が,「骨」の理解の一助になれば,これに勝る喜びはない.
2007年7月1日
編著者代表 須田立雄
第1章 硬組織の起源とその進化(須田立雄)
1 生命の起源
(1)炭素原子の重要性
(2)生命の誕生
2 骨の起源
3 無脊椎動物から脊椎動物へ
――炭酸カルシウムからリン酸カルシウムへの変化をもたらしたもの
4 脊椎動物における骨組織の進化――外骨格から内骨格へ
5 骨は軟骨から進化したのだろうか
6 歯と骨はどちらが先に進化したか
第2章 硬組織の構造(小澤英浩,中村浩彰)
1 骨の構造
(1)肉眼的構造
(2)骨の循環系
(3)骨の神経
(4)骨の組織学的構造の特徴
2 軟骨の構造
(1)軟骨組織の特徴と種類
(2)軟骨の組織発生と成長
(3)軟骨細胞の微細形態
(4)関節と滑膜
3 歯の構造
(1)エナメル質
(2)象牙質
(3)セメント質
(4)歯根膜
第3章 骨と歯の形づくりの分子メカニズムと,組織発生ならびに成長
1 四肢の原基の構造と3つの体軸の決定(須田立雄)
(1)基部先端部軸の決定
(2)前後軸の決定
(3)背腹軸の決定
2 骨(軟骨)の形を決めるホメオボックス遺伝子(須田立雄)
3 骨(軟骨)の組織発生(膜性骨化と軟骨性骨化)(小澤英浩,中村浩彰)
(1)骨の組織発生
(2)膜性骨化
(3)軟骨性骨化
4 骨の成長(小澤英浩,中村浩彰)
(1)長さの成長
(2)径の成長
(3)内部リモデリング
5 歯の組織発生とホメオボックス遺伝子
(1)歯の組織発生(小澤英浩,中村浩彰)
(2)歯の発生とホメオボックス遺伝子(須田立雄)
第4章 硬組織の細胞とその分化
1 骨芽細胞
(1)骨芽細胞の形態学(小澤英浩,中村浩彰)
(2)骨芽細胞の分化と機能(田中 栄)
2 骨細胞
(1)骨細胞の形態学(小澤英浩,中村浩彰)
(2)骨細胞の分化と機能(田中 栄)
3 破骨細胞
(1)破骨細胞の形態学(小澤英浩,中村浩彰)
(2)破骨細胞の分化と機能(田中 栄)
4 歯の細胞(小澤英浩,中村浩彰)
(1)エナメル芽細胞
(2)象牙芽細胞
(3)セメント質形成とセメント芽細胞
(4)歯根膜の細胞
第5章 骨・軟骨・歯に特有な有機成分
1 骨基質のタンパク質(田中 栄)
(1)I型コラーゲン
(2)オステオカルシン
(3)オステオポンチン
(4)骨シアロタンパク質
(5)オステオネクチン
2 軟骨基質タンパクと多糖体(田中 栄)
(1)II型コラーゲン
(2)プロテオグリカン
3 接着性タンパク質とインテグリン(田中 栄)
4 エナメル質と象牙質に特有なタンパク質(須田立雄)
(1) エナメル質のタンパク質
(2) 象牙質に特有な非コラーゲン性タンパク質
第6章 石灰化の機構
1 リン酸カルシウムの化学とヒドロキシアパタイト(須田立雄)
(1)リン酸カルシウムの化学
(2)ヒドロキシアパタイトの結晶学
(3)ヒドロキシアパタイトの特異な性質
2 血清中のカルシウムとリン酸の活動度積(溶解度積)(須田立雄)
3 Robisonのアルカリホスファターゼ学説(須田立雄)
4 Neuman夫妻のエピタキシー学説(須田立雄)
(1)コラーゲン線維によるヒドロキシアパタイトのエピタキシー
(2)非コラーゲン性タンパク質によるエピタキシー
(3)脂質によるエピタキシー
5 基質小胞学説(小澤英浩,中村浩彰)
(1) 基質小胞の発見と形態学的特徴
(2) 基質小胞の酵素――その細胞化学的・生化学的特徴
(3) 基質小胞と脂質
(4) 基質小胞とミネラル
(5) 基質小胞とプロテオグリカン
(6) 基質小胞の形成
6 ピロリン酸とピロホスファターゼの役割(小澤英浩,中村浩彰)
第7章 骨と成長因子(田中 栄)
1 TGF-βとBMP
2 線維芽細胞増殖因子
3 エストロゲンとアンドロゲン
(1)エストロゲン
(2)アンドロゲン
第8章 血清カルシウムの恒常性とその調節機構(須田立雄)
1 生体内におけるカルシウムの働き
2 血清カルシウムの恒常性
3 副甲状腺(上皮小体)ホルモンとその役割
4 カルシトニンとその作用
5 ビタミンDとその役割
第9章 骨の量と質の測定(森 諭史)
1 骨量とその測定
(1)成長による変化
(2)計測:エックス線,DXA,超音波
2 骨質の測定
(1)構造
(2)マイクロダメージ
(3)石灰化度
(4)骨基質
(5)骨代謝回転
第10章 骨のリモデリングとモデリング(橋榮明)
1 骨リモデリング・骨モデリングの意義
2 骨リモデリング
(1)骨リモデリングにおける組織学的特徴
(2)骨リモデリング区画
(3)骨リモデリングの調節因子
(4)骨吸収と骨形成との共役(カップリング)
(5)標的化リモデリングと非標的化リモデリング
(6)高回転と低回転
3 骨モデリング
(1)マクロモデリング
(2)ミニモデリング
4 骨形態計測における構造指標と動的指標
(1)目的
(2)方法
(3)骨形態計測指標
(4)骨形態計測結果の判定
5 骨の力学生物学
(1)骨組織における力学生物学
(2)骨形成細胞における信号伝達経路と力学的ストレーンの効果
(3)メカノスタット理論とユタ・パラダイム
第11章 骨折の病態生理(森 諭史)
1 骨折の種類と好発部位
2 骨折治癒の形態学
(1)炎症期
(2)細胞増殖期
(3)仮骨形成期
(4)リモデリング期
3 骨折治癒の生化学
4 癒合治癒と偽関節
5 骨微細損傷
第12章 骨移植の病態生理と人工材料の応用(森 諭史)
1 骨移植の種類:提供者と受容者の関係による分類
(1)自家移植
(2)同種移植
(3)異種移植
(4)人工骨
2 移植骨の役割
(1)骨誘導能と骨伝導能
(2)母床骨への置換
3 骨移植の病態生理
(1)自家海綿骨移植
(2)自家皮質骨移植
(3)同種骨移植
4 骨移植の免疫反応
5 移植骨の力学的強度
6 人工骨の進歩
第13章 病的骨吸収と骨形成
1 炎症・免疫と骨吸収(田中 栄)
2 癌骨転移の病態とメカニズム(田中 栄)
3 歯周疾患と骨吸収(小澤英浩,中村浩彰)
(1)歯周疾患と細菌
(2)歯周病と全身疾患
4 病的骨形成(森 諭史)
(1)骨形成制御シグナル
(2)異所性骨化
(3)遺伝性病的骨化
(4)神経性異所性骨化
(5)人工股関節置換術後の異所性骨化
(6)反応性変性による靱帯骨化
(7)腫瘍性骨形成
第14章 骨粗鬆症(森 諭史)
1 骨粗鬆症の定義
2 骨粗鬆症の疫学
3 骨粗鬆症の病態生理
(1)内分泌学的にみた骨粗鬆症
(2)組織学的にみた骨粗鬆症
4 骨粗鬆症の診断
(1)脆弱性骨折がある場合
(2)脆弱性骨折がない場合
5 骨粗鬆症の治療
(1)運動療法
(2)食事療法
(3)薬物療法
(4)治療効果の判定
第15章 骨粗鬆症以外の代謝性骨疾患の病態生理
1 骨軟化症・くる病(森 諭史)
(1)病因・病態
(2)骨の病態
(3)臨床症状
2 原発性副甲状腺機能亢進症(森 諭史)
(1)病態
(2)骨の病態
(3)臨床症状
3 腎性骨異栄養症(森 諭史)
(1)歴史背景
(2)慢性腎不全と骨代謝異常
(3)病型
4 甲状腺機能の異常(森 諭史)
(1)甲状腺機能亢進症
(2)甲状腺機能低下症
5 Paget病(森 諭史)
(1)疫学
(2)病因
(3)骨の病態
(4)臨床症状
6 リン代謝異常とFGF-23(田中 栄)
(1)骨組織とリン
(2)FGF-23
(3)FGF-23とリン代謝異常
7 頚椎後縦靱帯骨化症(田中 栄)
(1)病態
(2)臨床症状
8 骨形成不全症(田中 栄)
(1)病態
(2)病型
(3)治療
9 大理石骨病(田中 栄)
(1)病態
(2)分類
(3)大理石骨病モデルマウス
(4)治療
10 Gsαの異常に起因する疾患(田中 栄)
(1)McCune-Albright症候群
(2)Albright hereditary osteodystrophy
和文索引
英文索引
人名索引
1 生命の起源
(1)炭素原子の重要性
(2)生命の誕生
2 骨の起源
3 無脊椎動物から脊椎動物へ
――炭酸カルシウムからリン酸カルシウムへの変化をもたらしたもの
4 脊椎動物における骨組織の進化――外骨格から内骨格へ
5 骨は軟骨から進化したのだろうか
6 歯と骨はどちらが先に進化したか
第2章 硬組織の構造(小澤英浩,中村浩彰)
1 骨の構造
(1)肉眼的構造
(2)骨の循環系
(3)骨の神経
(4)骨の組織学的構造の特徴
2 軟骨の構造
(1)軟骨組織の特徴と種類
(2)軟骨の組織発生と成長
(3)軟骨細胞の微細形態
(4)関節と滑膜
3 歯の構造
(1)エナメル質
(2)象牙質
(3)セメント質
(4)歯根膜
第3章 骨と歯の形づくりの分子メカニズムと,組織発生ならびに成長
1 四肢の原基の構造と3つの体軸の決定(須田立雄)
(1)基部先端部軸の決定
(2)前後軸の決定
(3)背腹軸の決定
2 骨(軟骨)の形を決めるホメオボックス遺伝子(須田立雄)
3 骨(軟骨)の組織発生(膜性骨化と軟骨性骨化)(小澤英浩,中村浩彰)
(1)骨の組織発生
(2)膜性骨化
(3)軟骨性骨化
4 骨の成長(小澤英浩,中村浩彰)
(1)長さの成長
(2)径の成長
(3)内部リモデリング
5 歯の組織発生とホメオボックス遺伝子
(1)歯の組織発生(小澤英浩,中村浩彰)
(2)歯の発生とホメオボックス遺伝子(須田立雄)
第4章 硬組織の細胞とその分化
1 骨芽細胞
(1)骨芽細胞の形態学(小澤英浩,中村浩彰)
(2)骨芽細胞の分化と機能(田中 栄)
2 骨細胞
(1)骨細胞の形態学(小澤英浩,中村浩彰)
(2)骨細胞の分化と機能(田中 栄)
3 破骨細胞
(1)破骨細胞の形態学(小澤英浩,中村浩彰)
(2)破骨細胞の分化と機能(田中 栄)
4 歯の細胞(小澤英浩,中村浩彰)
(1)エナメル芽細胞
(2)象牙芽細胞
(3)セメント質形成とセメント芽細胞
(4)歯根膜の細胞
第5章 骨・軟骨・歯に特有な有機成分
1 骨基質のタンパク質(田中 栄)
(1)I型コラーゲン
(2)オステオカルシン
(3)オステオポンチン
(4)骨シアロタンパク質
(5)オステオネクチン
2 軟骨基質タンパクと多糖体(田中 栄)
(1)II型コラーゲン
(2)プロテオグリカン
3 接着性タンパク質とインテグリン(田中 栄)
4 エナメル質と象牙質に特有なタンパク質(須田立雄)
(1) エナメル質のタンパク質
(2) 象牙質に特有な非コラーゲン性タンパク質
第6章 石灰化の機構
1 リン酸カルシウムの化学とヒドロキシアパタイト(須田立雄)
(1)リン酸カルシウムの化学
(2)ヒドロキシアパタイトの結晶学
(3)ヒドロキシアパタイトの特異な性質
2 血清中のカルシウムとリン酸の活動度積(溶解度積)(須田立雄)
3 Robisonのアルカリホスファターゼ学説(須田立雄)
4 Neuman夫妻のエピタキシー学説(須田立雄)
(1)コラーゲン線維によるヒドロキシアパタイトのエピタキシー
(2)非コラーゲン性タンパク質によるエピタキシー
(3)脂質によるエピタキシー
5 基質小胞学説(小澤英浩,中村浩彰)
(1) 基質小胞の発見と形態学的特徴
(2) 基質小胞の酵素――その細胞化学的・生化学的特徴
(3) 基質小胞と脂質
(4) 基質小胞とミネラル
(5) 基質小胞とプロテオグリカン
(6) 基質小胞の形成
6 ピロリン酸とピロホスファターゼの役割(小澤英浩,中村浩彰)
第7章 骨と成長因子(田中 栄)
1 TGF-βとBMP
2 線維芽細胞増殖因子
3 エストロゲンとアンドロゲン
(1)エストロゲン
(2)アンドロゲン
第8章 血清カルシウムの恒常性とその調節機構(須田立雄)
1 生体内におけるカルシウムの働き
2 血清カルシウムの恒常性
3 副甲状腺(上皮小体)ホルモンとその役割
4 カルシトニンとその作用
5 ビタミンDとその役割
第9章 骨の量と質の測定(森 諭史)
1 骨量とその測定
(1)成長による変化
(2)計測:エックス線,DXA,超音波
2 骨質の測定
(1)構造
(2)マイクロダメージ
(3)石灰化度
(4)骨基質
(5)骨代謝回転
第10章 骨のリモデリングとモデリング(橋榮明)
1 骨リモデリング・骨モデリングの意義
2 骨リモデリング
(1)骨リモデリングにおける組織学的特徴
(2)骨リモデリング区画
(3)骨リモデリングの調節因子
(4)骨吸収と骨形成との共役(カップリング)
(5)標的化リモデリングと非標的化リモデリング
(6)高回転と低回転
3 骨モデリング
(1)マクロモデリング
(2)ミニモデリング
4 骨形態計測における構造指標と動的指標
(1)目的
(2)方法
(3)骨形態計測指標
(4)骨形態計測結果の判定
5 骨の力学生物学
(1)骨組織における力学生物学
(2)骨形成細胞における信号伝達経路と力学的ストレーンの効果
(3)メカノスタット理論とユタ・パラダイム
第11章 骨折の病態生理(森 諭史)
1 骨折の種類と好発部位
2 骨折治癒の形態学
(1)炎症期
(2)細胞増殖期
(3)仮骨形成期
(4)リモデリング期
3 骨折治癒の生化学
4 癒合治癒と偽関節
5 骨微細損傷
第12章 骨移植の病態生理と人工材料の応用(森 諭史)
1 骨移植の種類:提供者と受容者の関係による分類
(1)自家移植
(2)同種移植
(3)異種移植
(4)人工骨
2 移植骨の役割
(1)骨誘導能と骨伝導能
(2)母床骨への置換
3 骨移植の病態生理
(1)自家海綿骨移植
(2)自家皮質骨移植
(3)同種骨移植
4 骨移植の免疫反応
5 移植骨の力学的強度
6 人工骨の進歩
第13章 病的骨吸収と骨形成
1 炎症・免疫と骨吸収(田中 栄)
2 癌骨転移の病態とメカニズム(田中 栄)
3 歯周疾患と骨吸収(小澤英浩,中村浩彰)
(1)歯周疾患と細菌
(2)歯周病と全身疾患
4 病的骨形成(森 諭史)
(1)骨形成制御シグナル
(2)異所性骨化
(3)遺伝性病的骨化
(4)神経性異所性骨化
(5)人工股関節置換術後の異所性骨化
(6)反応性変性による靱帯骨化
(7)腫瘍性骨形成
第14章 骨粗鬆症(森 諭史)
1 骨粗鬆症の定義
2 骨粗鬆症の疫学
3 骨粗鬆症の病態生理
(1)内分泌学的にみた骨粗鬆症
(2)組織学的にみた骨粗鬆症
4 骨粗鬆症の診断
(1)脆弱性骨折がある場合
(2)脆弱性骨折がない場合
5 骨粗鬆症の治療
(1)運動療法
(2)食事療法
(3)薬物療法
(4)治療効果の判定
第15章 骨粗鬆症以外の代謝性骨疾患の病態生理
1 骨軟化症・くる病(森 諭史)
(1)病因・病態
(2)骨の病態
(3)臨床症状
2 原発性副甲状腺機能亢進症(森 諭史)
(1)病態
(2)骨の病態
(3)臨床症状
3 腎性骨異栄養症(森 諭史)
(1)歴史背景
(2)慢性腎不全と骨代謝異常
(3)病型
4 甲状腺機能の異常(森 諭史)
(1)甲状腺機能亢進症
(2)甲状腺機能低下症
5 Paget病(森 諭史)
(1)疫学
(2)病因
(3)骨の病態
(4)臨床症状
6 リン代謝異常とFGF-23(田中 栄)
(1)骨組織とリン
(2)FGF-23
(3)FGF-23とリン代謝異常
7 頚椎後縦靱帯骨化症(田中 栄)
(1)病態
(2)臨床症状
8 骨形成不全症(田中 栄)
(1)病態
(2)病型
(3)治療
9 大理石骨病(田中 栄)
(1)病態
(2)分類
(3)大理石骨病モデルマウス
(4)治療
10 Gsαの異常に起因する疾患(田中 栄)
(1)McCune-Albright症候群
(2)Albright hereditary osteodystrophy
和文索引
英文索引
人名索引








