序
CAD/CAMが歯科に導入されてから久しいなか,加工技術,ソフトの改善により,高品質かつ適合のよい修復物を容易に作製できるようになってきた.近年,審美的要求やアレルギー回避の観点から,さまざまな高強度セラミックスの開発や接着術式の発展とあいまって,メタルフリーレストレーションに対する関心が高まり,多くの臨床に取り入れられている.
わが国においても,2005 年にジルコニア,2006 年にナノジルコニアが認可され,審美修復の状況も大きく変わってきた.高強度,高靱性のジルコニアの登場により,それまでオールセラミックスでは禁忌とされてきた臼歯部ブリッジにも適応が可能となり,オールセラミック修復に対する信頼性も大きく向上してきた.これは CAD/CAMの応用があってはじめて可能になったものである.また,インプラント治療においても CAD/CAMが応用され,サージカルガイド,カスタムアバットメント,上部構造体などが作製されている.
このように,CAD/CAMの応用により歯科の環境も大きく変わってきた.CAD/CAMも加工技術,ソフトの改善により,以前に比べると加工精度も格段に向上している.また,一概に CAD/CAMといっても,レーザーで模型の形状を読み取るシステム,CCDカメラなどにより光学的に模型の形状を読み取るシステム,接触式のプローブによって模型の表面をなぞり形状を読み取るシステムなどさまざまな方式が存在する.
システムごとにそれぞれ特徴があり,「どの CAD/CAMを使えばよいかわからない」といった声も多く聞かれる.
そこで,各社のシステムの登場が一段落し,臨床例も増えてきたなか,CAD/CAMを整理する好機と捉え,本別冊を企画・編集した.
第1章では,ジルコニアの理工学的特徴,陶材との焼き付け強度,セメントとの接着について,第2章では,おもな CAD/CAMシステムの最新バージョンの特徴についてわかりやすく解説した.第3章ではオールセラミック修復を成功に導くための支台歯形成,印象採得,咬合調整の各臨床ステップにおけるポイントならびにフレーム設計上の注意点について述べ,第4章,第5章では,CAD/CAMシステムを応用したメタルフリー修復,インプラント臨床の症例をベースに,実際にどのような材料,CAD/CAMシステムを選択,使用したらよいかを供覧する構成とした.
本書により,各臨床に合ったシステムが選択され,明日からの臨床に役立てて頂ければ幸いである.
2008年11月
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科摂食機能保存学分野
三浦宏之
昭和大学歯学部歯科理工学教室
宮崎 隆
CAD/CAMが歯科に導入されてから久しいなか,加工技術,ソフトの改善により,高品質かつ適合のよい修復物を容易に作製できるようになってきた.近年,審美的要求やアレルギー回避の観点から,さまざまな高強度セラミックスの開発や接着術式の発展とあいまって,メタルフリーレストレーションに対する関心が高まり,多くの臨床に取り入れられている.
わが国においても,2005 年にジルコニア,2006 年にナノジルコニアが認可され,審美修復の状況も大きく変わってきた.高強度,高靱性のジルコニアの登場により,それまでオールセラミックスでは禁忌とされてきた臼歯部ブリッジにも適応が可能となり,オールセラミック修復に対する信頼性も大きく向上してきた.これは CAD/CAMの応用があってはじめて可能になったものである.また,インプラント治療においても CAD/CAMが応用され,サージカルガイド,カスタムアバットメント,上部構造体などが作製されている.
このように,CAD/CAMの応用により歯科の環境も大きく変わってきた.CAD/CAMも加工技術,ソフトの改善により,以前に比べると加工精度も格段に向上している.また,一概に CAD/CAMといっても,レーザーで模型の形状を読み取るシステム,CCDカメラなどにより光学的に模型の形状を読み取るシステム,接触式のプローブによって模型の表面をなぞり形状を読み取るシステムなどさまざまな方式が存在する.
システムごとにそれぞれ特徴があり,「どの CAD/CAMを使えばよいかわからない」といった声も多く聞かれる.
そこで,各社のシステムの登場が一段落し,臨床例も増えてきたなか,CAD/CAMを整理する好機と捉え,本別冊を企画・編集した.
第1章では,ジルコニアの理工学的特徴,陶材との焼き付け強度,セメントとの接着について,第2章では,おもな CAD/CAMシステムの最新バージョンの特徴についてわかりやすく解説した.第3章ではオールセラミック修復を成功に導くための支台歯形成,印象採得,咬合調整の各臨床ステップにおけるポイントならびにフレーム設計上の注意点について述べ,第4章,第5章では,CAD/CAMシステムを応用したメタルフリー修復,インプラント臨床の症例をベースに,実際にどのような材料,CAD/CAMシステムを選択,使用したらよいかを供覧する構成とした.
本書により,各臨床に合ったシステムが選択され,明日からの臨床に役立てて頂ければ幸いである.
2008年11月
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科摂食機能保存学分野
三浦宏之
昭和大学歯学部歯科理工学教室
宮崎 隆
総説 CAD/CAMを応用したメタルフリーレストレーションの現状と今後の展望……宮崎 隆・堀田康弘・国井 淳・栗山壮一
第1章 オールセラミックスの可能性を開くジルコニア
1 理工学的特徴……伴 清治
2 各種ジルコニアブロックの特徴……小峰 太
3 陶材との焼付強度……中村隆志
4 ジルコニアの接着……新谷明喜・五味治徳・新谷明一・横山大一郎
第2章 各種システムの特徴
1 Cercon Smart Ceramics……三浦宏之
2 Cerec……風間龍之輔
3 Decsy……宮崎 隆・堀田康弘・国井 淳
4 e.max……佐々木正二
5 Everest……樋口鎮央
6 GN-I,GM-1000……疋田一洋
7 KATANA……加藤尚則
8 LAVA……千葉豊和
9 Procera……片渕三千綱・松永興昌・新田 悟・佐藤博信
10 WOL-CERAM……高辻威志
11 ZENO Tec System……飯島俊一
第3章 導入にあたっての注意点
1 支台歯形成の注意点……小久保裕司・積田光由・福島俊士
2 印象採得の注意点……熊谷真一
3 フレーム設計の注意点……三浦宏之
4 フレーム処理の注意点……伴 清治
5 咬合調整の注意点……佐藤正樹・田中昌博・川添堯彬
第4章 CAD/CAMシステムを応用したメタルフリーレストレーションの実際
1 GN-I,GM-1000によるオールセラミッククラウン・ブリッジの臨床……疋田一洋
2 研究データが担うCAD/CAMクラウンの臨床評価……新谷明喜・岸田幸恵・八田みのり・長谷川亜紀・黒田聡一・林 捷
3 ジルコニアを応用したオールセラミック修復……三浦宏之
第5章 CAD/CAMシステムを応用したインプラント臨床
1 インプラント治療とCAD/CAMテクノロジー……萩原芳幸
2 インプラント治療の精度を高めるCAD/CAMシステム……松永興昌・服部寛子・片渕三千綱・佐藤博信
3 Proceraシステムを用いた即時荷重症例……三好敬三
4 インプラントおよびジルコニアオールセラミックを用いた咬合再構成……千葉豊和
5 CAD/CAMを用いた上部構造の製作……飯島俊一
著者一覧
第1章 オールセラミックスの可能性を開くジルコニア
1 理工学的特徴……伴 清治
2 各種ジルコニアブロックの特徴……小峰 太
3 陶材との焼付強度……中村隆志
4 ジルコニアの接着……新谷明喜・五味治徳・新谷明一・横山大一郎
第2章 各種システムの特徴
1 Cercon Smart Ceramics……三浦宏之
2 Cerec……風間龍之輔
3 Decsy……宮崎 隆・堀田康弘・国井 淳
4 e.max……佐々木正二
5 Everest……樋口鎮央
6 GN-I,GM-1000……疋田一洋
7 KATANA……加藤尚則
8 LAVA……千葉豊和
9 Procera……片渕三千綱・松永興昌・新田 悟・佐藤博信
10 WOL-CERAM……高辻威志
11 ZENO Tec System……飯島俊一
第3章 導入にあたっての注意点
1 支台歯形成の注意点……小久保裕司・積田光由・福島俊士
2 印象採得の注意点……熊谷真一
3 フレーム設計の注意点……三浦宏之
4 フレーム処理の注意点……伴 清治
5 咬合調整の注意点……佐藤正樹・田中昌博・川添堯彬
第4章 CAD/CAMシステムを応用したメタルフリーレストレーションの実際
1 GN-I,GM-1000によるオールセラミッククラウン・ブリッジの臨床……疋田一洋
2 研究データが担うCAD/CAMクラウンの臨床評価……新谷明喜・岸田幸恵・八田みのり・長谷川亜紀・黒田聡一・林 捷
3 ジルコニアを応用したオールセラミック修復……三浦宏之
第5章 CAD/CAMシステムを応用したインプラント臨床
1 インプラント治療とCAD/CAMテクノロジー……萩原芳幸
2 インプラント治療の精度を高めるCAD/CAMシステム……松永興昌・服部寛子・片渕三千綱・佐藤博信
3 Proceraシステムを用いた即時荷重症例……三好敬三
4 インプラントおよびジルコニアオールセラミックを用いた咬合再構成……千葉豊和
5 CAD/CAMを用いた上部構造の製作……飯島俊一
著者一覧








