やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 はじめて学ぶ人の身になり,疾患の生ずるメカニズムを中心に,治療,看護(家族を含めたケア),予防法について解説しました.お互い密接不可分な関係にあるこれらの知識は膨大にのぼるため,ともすれば独立した記述に陥りがちです.
 本書はまるごと全体像を理解するための手段となるよう編集に工夫をしました.すなわち解剖・生理に基づいた疾患のメカニズムと対応(治療・看護)について,骨組みとなる重要な事項をお互いが関連しあうように図解・列挙しました.次にこれらの骨格に必要最小限度の肉付けとして解説ページを分けました.図解ページに設けた余白は読者が納得・理解したことを自分の言葉で表現するためのものです.新たな知識を得た時にはこれらの余白以外にもどんどん書き込みをしてください.ノート代わりに使用して欲しいと思います.
 内科,外科,小児科,婦人科,精神科など各領域の代表的な疾患を精選しました.すべて頻度の高い,各領域内で共通する内容を含む重要な疾患です.実際臨床の場では,疾患の数はこの100倍以上もあるでしょう.医療系の知識・技術の修得にはきりがありません.高校までのように教科書の範囲を勉強すればいいわけではないのです.仮に指定された教科書や参考書を全て読破し理解できたからといってそれで十分ではありません.知識・技術は日々ふえ,変化していきます.昨日までの常識は今日からは非常識ということもめずらしくありません.他に比べ医療の分野はその傾向が強いと思われます.
 しかし重要なポイントを外さずに理解していれば疾患や情報の多さは恐るに足りません.まずこの1冊を通読してみて下さい.人はどんな病気にかかりそのためにどんな問題が生じ,どんな対策が必要であるのか,見晴し台から眺める景色のように理解できると思います.細部についてはそれぞれ専門の書物にあたればいいのです.他の多くのテキストを読むにあたってこの1册がよい道案内となり,あなた自身のノート作りのお手本になることを確信します.
 最後に,本書が完成するまで多大なご協力をいただいた医歯薬出版の編集部に厚く御礼申しあげます.
 2005年7月
 編者
◯ 本書の使い方

●1 呼吸機能障害
  呼吸困難(小林裕幸/狩野太郎)
  気管支喘息(小林裕幸/廣瀬規代美)
  肺がん(小林裕幸/狩野太郎)
●2 循環機能障害
  動脈硬化(林 陸郎/中西陽子)
  心不全(林 陸郎/青山みどり)
  貧血(林 陸郎/飯田苗恵)
  出血傾向(林 陸郎/飯田苗恵)
  ショック(林 陸郎/青山みどり)
  高血圧(林 陸郎/廣瀬規代美)
  虚血性心疾患(林 陸郎/青山みどり)
●3 消化・吸収/栄養代謝機能障害
  高脂血症(林 陸郎/中西陽子)
  糖尿病(下村洋之助/二渡玉江)
  肥満(下村洋之助/二渡玉江)
  胃・十二指腸潰瘍(岡村信一/中西陽子)
  胃がん(岡村信一/青山みどり)
  肝炎(長嶺竹明/廣瀬規代美)
  肝硬変(長嶺竹明/廣瀬規代美)
  大腸がん(岡村信一/青山みどり)
  肝がん(長嶺竹明/青山みどり)
●4 排泄機能障害
  前立腺肥大症(下村洋之助/狩野太郎)
  腎結石症・尿管結石症(下村洋之助/中西陽子)
  腎不全(下村洋之助/中西陽子)
●5 内部環境調節機能障害
  酸-塩基平衡異常(アシドーシス・アルカローシス)(門井雄司/小林万里子)
  浮腫と脱水(高張性・低張性脱水)(門井雄司/小林万里子)
  甲状腺機能亢進症(石井秀和/小林万里子)
  甲状腺機能低下症(石井秀和/小林万里子)
  乳がん(飯野佑一/二渡玉江)
●6 身体防御機能障害
  全身性エリテマトーデス(武田淳史/廣瀬規代美)
  関節リウマチ(武田淳史/中西陽子)
  褥瘡(とこずれ)(林 陸郎/飯田苗恵)
  細菌感染症(武田淳史/小林万里子)
  ウイルス感染症(武田淳史/小林万里子)
●7 脳・神経系機能障害
  脳血管障害(脳出血,脳梗塞)(下村洋之助/廣瀬規代美)
●8 感覚機能障害
  意識障害(林 陸郎/二渡玉江)
  難聴(林 陸郎/二渡玉江)
  白内障・緑内障(林 陸郎/二渡玉江)
●9 運動機能障害
  骨折(林 陸郎/青山みどり)
  変形性関節症(林 陸郎/青山みどり)
  骨粗鬆症(林 陸郎/堀込和代)
●10 性・生殖機能障害
  子宮筋腫(村上優子/河内美江)
  子宮がん(村上優子/河内美江)
●11 精神機能障害
  統合失調症(椎原康史/田村文子)
  気分障害(うつ病/躁うつ病)(椎原康史/田村文子)

 ・執筆分担
 (図解ページ(1)(2)(3),解説ページ(1)(2)の執筆者/ 図解ページ(4),解説ページ(3)(4)の執筆者)