やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社


 臨床工学技士国家試験は第36回が終了しました.近年,臨床工学技士に求められる業務内容に変化があり,国家試験出題内容も変化しつつあります.
 臨床工学技士国家試験の出題範囲は,医学系,工学系,医用機器,安全管理と多岐にわたり,多くの内容を理解する必要があります.しかし,臨床工学技士国家試験対策の参考書は他職種と比べると種類が少なく,充実した内容のボリュームの大きい書籍,または簡潔にまとめられたコンパクトな書籍はありますが,その中間的なものはありませんでした.
 そこで,臨床工学技士養成校の教員が学生からの声を集め,学生の求める視点に立ち,国家試験対策テキストを作成しました.そのテキストは毎年バージョンアップを繰り返し,その結果多くの臨床工学技士国家試験合格者を誕生させています.学生の声を集めた国家試験対策テキストのノウハウを多くの全国の学生さんに活用してもらいたいと思い,本書の発行となりました.
 臨床工学技士国家試験はこれまで大きな変更はありませんでしたが,現在の業務内容と国家試験問題との相違により見直しが行われ,2022年3月の第35回臨床工学技士国家試験からは新たな出題基準により実施されています.本書は令和3年版国家試験出題基準(2022年)をもとに構成,最新の国家試験問題も掲載しています.また,「医学系」,「工学系」,「治療・計測,安全管理」,「生体機能代行装置」の全4巻で,臨床工学技士国家試験出題範囲をすべてカバーできます.
 本書は,各章要点のまとめ(本文)と既出国試問題(Check UP!)の2部構成となっており,まとめを理解した後は実際の国試問題を解くことにより,理解度確認まで行える構成となっています.国試問題の解説はすべて本文にまとめてあるため,何度も戻って繰り返し確認・見直しを効率的に行うことができます.また,工学系分野では,できるかぎり解説を詳しくし理解しやすい内容を心がけました.
 国試問題を分析すると多くの重複したキーワードが出題されているため,本書では必ず覚えなければいけないキーワード・重要ポイントは色文字で強調しています.そのため,1年生からでも,普段の試験対策,授業の予習・復習のまとめとしても活用できます.
 臨床工学技士国家試験に合格するためには,コツがあります.いきなり国試問題を平たく勉強する方法は効率が悪いため,まずは自信のある分野ごとに勉強し,自分に足りない知識を1つ1つ確実に理解していくことが重要です.そのうえで何度も国試問題を解き,少なくとも過去5年の問題は必ず理解(答えを暗記するのではなく,各選択肢の内容を理解)してください.
 これまで国試に合格した学生の多くは,本書の前身のテキストをサブノート的に使用し,必要な情報を補足しながら自分だけのノートを作っていました.そのため本書は,書き込みができたり付箋が貼れるよう,ある程度の余白を残しています.本書を最大限に活用することで,臨床工学技士国家試験合格の一助となれば大変嬉しく思います.
 最後に,発刊にあたりご尽力いただきました医歯薬出版のスタッフにお礼を申し上げます.
 2023年7月
 臨床工学技士国家試験研究会
 本書の使い方
 序
I.医用治療機器学
 1.治療の基礎
 2.電気的治療機器
 3.機械的治療機器
 4.光治療機器
 5.超音波治療機器
 6.内視鏡機器
 7.手術支援ロボット
 8.熱治療機器
II.生体計測装置学
 1.計測論
 2.生体情報の計測
 3.生体電気計測
 4.生体磁気計測
 5.循環系の計測
 6.呼吸系の計測
 7.ガス分析計測
 8.体温計測
III.医用画像計測
 1.超音波画像計測
 2.X線画像計測
 3.核磁気共鳴画像計測
 4.ラジオアイソトープ(RI)による画像計測
 5.内視鏡画像計測
 6.光トポグラフィ
IV.医用機器安全管理学
 1.各種エネルギーの人体への危険性
 2.安全基準
 3.電気的安全性の測定
 4.安全管理技術
 5.医療ガス
 6.システム安全
 7.電磁環境
 8.関係法規等

 過去10年間(第27〜36回)の臨床工学技士国家試験出題傾向
 過去10年間(第27〜36回)の回数別臨床工学技士国家試験合格者数・合格率

 索引