やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 衛生学・公衆衛生学は医療従事者の基本知識であり,共通言語ともいえる学問です.近年の歯科医師国家試験の状況では,必修問題としての出題範囲では正答率は9割近いものの,総論では6割に満たない正答率となる傾向にあります.このことから,丸暗記に頼った学習で完結し,各項目の相互の関連把握に至らず,知識としての理解度が低いまま試験に挑む受験生が多いことがみてとれます.
 衛生学・公衆衛生学は出題数が多いため,思うように得点できないと,国家試験合格はきわめてむずかしいといっても過言ではありません.
 さらに令和5年版歯科医師国家試験出題基準の改定では近年の歯科医療をめぐる状況の変化を鑑みた出題を行う旨が明記され,高齢化等による疾病構造の変化に伴った新しい歯科診療体制に関する内容や医療安全,職業倫理についての出題が増えるとされています.
 これらの課題を乗り越えるためには,「臨床とのかかわりが少ない」「覚えることが膨大」というイメージではなく,「基本的な事象や制度」が「地域社会へどのようにかかわるのか」との身近な問題として捉えることが重要です.本書はその点に配慮して,覚えるべきポイントを簡潔にまとめました.
 衛生学・公衆衛生学は範囲が広いので要点がまとまったものを反復して学習するのが近道です.本書で学んだ読者のみなさんが,衛生学・公衆衛生学をマスターして歯科医師国家試験に合格することを祈念しております.そして正しく衛生学・公衆衛生学の知識を身につけて,それを生かして歯科医師として活躍されることを願っています.
 2022年9月
 野村義明
 山本 健
Chapter 1 医療倫理
Chapter 2 健康,予防の概念と社会環境
Chapter 3 疫学とその応用
Chapter 4 スクリーニング検査
Chapter 5 統計解析
Chapter 6 人口統計
Chapter 7 保健統計
Chapter 8 社会保障
Chapter 9 地域医療
Chapter 10 地域保健
Chapter 11 母子保健
Chapter 12 学校保健
Chapter 13 成人保健
Chapter 14 産業保健
Chapter 15 高齢者保健
Chapter 16 障害者・障害児の保健・福祉
Chapter 17 国際保健
Chapter 18 感染症の予防
Chapter 19 食品保健
Chapter 20 国民栄養の現状
Chapter 21 環境保健
 付録 関連法規一覧
 参考文献
 索引