やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 私が学生だった頃は,組織学・口腔組織学・発生学は病理学や臨床歯科医学を理解するための教養的要素が強く,歯科医師国家試験での組織学関連の出題数は今ほど多くなかったと記憶しています.近年,CBTや国家試験でも歯科基礎医学の問題が出題されるためか,学生さんの歯科基礎科目に対するモチベーションは上がっているように感じます.
 このたび,令和5年版歯科医師国家試験出題基準改定を踏まえて,『歯科国試パーフェクトマスター 口腔組織・発生学』を改訂いたしました.本書は,重要ポイントを簡潔にまとめ,カラーの組織像や模式図を多く用いて,学生さんがわかりやすいようにという編集方針に基づいて執筆されております.今回の出題基準改定において,歯科基礎医学領域での大幅な変更はありませんでしたが,最近の国家試験問題に関連する内容,画像などを加えております.コラムでは,細かいことにとらわれるのではなく,大きくとらえると理解しやすいというところを解説しました.多くの学生さんは歯科基礎医学の講義を2年生で受けており,CBTや国家試験受験前には忘れていることもあると思います.私は,本書を基本的知識の確認・整理に利用してほしいと思っています.もし,自分自身で理解不足と感じる項目があったら,教科書等で理解するよう努めてください.
 歯科医師国家試験出題基準をみると,解剖学,組織学,生理学,生化学の知識を統合して理解することを要求していることがわかります.歯科を受診する患者さんには内科的疾患をもつ方も多く,歯科治療を行う際に,全身状態を踏まえて治療を行わなければならないことと関連しているのだと思います.組織学・口腔組織学・発生学はさまざまな分野を橋渡しする科目です.基礎歯科医学と臨床歯科医学を関連づけて,自分の中でイメージしながら知識を整理していくと,応用力を身につけることができます.本書が皆さんの学修の役に立つことを願っております.
 本書のいくつかの組織像は大阪医科大学・平田あずみ准教授,松本歯科大学・佐原紀行元教授にご提供いただきました.深く感謝申し上げます.
 2022年6月 中村浩彰
Chapter 1 上皮組織
Chapter 2 支持組織
Chapter 3 筋組織
Chapter 4 神経組織
Chapter 5 リンパ性器官
Chapter 6 消化器系
Chapter 7 泌尿器系
Chapter 8 内分泌系
Chapter 9 歯の構造
Chapter 10 歯周組織の構造
Chapter 11 口腔粘膜の構造
Chapter 12 唾液腺の構造
Chapter 13 顎関節の構造
Chapter 14 歯の発生
Chapter 15 口腔・顔面領域の発生

 付録(1) 三胚葉の分化と組織発生を示す模式図
 付録(2) 令和5年版歯科医師国家試験出題基準対応表
 文献
 索引