やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第5版 序
 近年の医療では,新たな治療技術の導入や新薬の開発などによって短いサイクルで術式等の見直しが行われ,医療の高度化が進んでいる.歯科医療に関しても,新たな診断機器や新規医療用材料の開発等によって,齲蝕をはじめとする種々の疾患について診断精度が向上しているほか,治療手順の一部改変等が行われている.本書は1996年に初版が刊行され,すでに3回の本格的な改訂が行われ今日に至っているが,このたび第5版として新たな改訂版を刊行する運びとなった.初版の刊行から20余年が経過しており,その間に歯科医学領域で多くの新知見が得られ,今日の医療に反映されている.この改訂版においても,これから小児歯科学を学ぼうとする学生諸氏のニーズに対応できるよう,最新の内容を盛り込むことをまず考慮した.
 文部科学省が2016年度改訂版として公開した歯学教育モデル・コア・カリキュラムでは,「多様なニーズに対応できる歯科医師の養成」を目指した改訂であることが冒頭で述べられている.多様なニーズの例として倫理観・医療安全,チーム医療,地域包括ケアシステム,健康長寿社会があげられているが,わが国が直面している超高齢社会の医療や福祉の担い手は,受益者より一世代あるいは二世代若い人たちであり,何よりもまずそれらの世代が精神・肉体の両面で健康を維持し,活力ある社会を構築することが健康長寿社会の実現と継続に不可欠である.出生率の低下が続いているわが国において,未来を担う子どもたちの健やかな成長を歯科医療の面から支える小児歯科医の役割は今後ますます重要になると考えられる.
 小児期における心身の発育の基本パターンは時代が移り変わっても不変である.しかし育児環境の良否,子育てに対する社会的支援の有無,社会のIT化などが小児の発達にさまざまな影響を与えているであろうことは想像に難くない.残念なことに,わが国では児童虐待の件数が20年以上にわたり増加し続けているほか,子どもの貧困が社会問題化している.このような状況におかれた子どもたちにどのような支援・医療的サポートが可能かを考え,実行に移すことも小児歯科医の役割の1つである.また今回の改訂にあたっては,チーム医療あるいは多職種連携との関連性を踏まえて,最終章の「歯科治療上注意すべき小児の全身疾患」について大幅な改訂を行った.歯学部学生をはじめ,多くの方々に本書を役立てていただけることを願っている.
 最後に,多忙な中ご執筆いただいた先生方,ならびに企画・編集・出版にご尽力いただいた医歯薬出版株式会社編集部に深謝いたします.
 2017年11月
 編 者
 白川 哲夫
 飯沼 光生
 福本 敏


第4版 序
 近年の著しい科学技術の進歩は医療に対する期待を膨らませ,人々は自身の健康とその担い手である医療従事者に大きな関心を持つようになっている.人々が求めているのは安心,安全で質の高い医療であり,それらを提供する医療従事者には優れた識見と先進の医療技術,豊かな人間性が求められている.
 歯学教育もこれらの期待に応える義務を負っているが,歯科医師の需給バランスや歯科学生の質の担保といった観点で,必ずしも十分な対応がなされたとは言えない状況があった.しかし,最近は卒前教育を巡る様々な改革・改変が進行中である.その中で特に重視されているのが,卒前臨床実習で患者を実際に診療するクリニカル・クラークシップの充実である.これを円滑に運用するには国民の理解と協力が不可欠であることから,歯学教育が内容と質の担保を厳格に実施していることを国民に提示する必要がある.その具体的な取り組みとして,臨床実習開始前モデル・コア・カリキュラムが策定され,進級認定共用試験システムが運用されるようになった.
 このモデル・コア・カリキュラムは,すべての学生が臨床実習開始前に履修すべき必須の内容を精選し,必要最小限度のものとして提示したものである.したがって,この教育内容だけでは急速に進歩する歯科医療への展開を可能とする指針にはなり得ないとの認識から,歯科大学学長・歯学部長会議は歯科学生に教育すべき内容を整理し,歯科医師養成のための手引きとすべく歯科医学教授要綱の改訂を行った.そこには,従来型の学問領域別に必要な知識・技能について整理した項目が挙げられており,臨床実習開始前モデル・コア・カリキュラムの不足部分を補完する形になっている.
 本書では2007年にともに改訂された臨床実習開始前モデル・コア・カリキュラムと歯科医学教授要綱を重視しながら内容を検討し,小児歯科学を体系的に理解しやすいような章と項目に組み立てている.本書の第1版は1996年に刊行され,2002年には第2版,2007年には第3版,そして今回の第4版と改訂がなされている.いずれも,小児を取り巻く環境が変化し,科学技術が進歩・発展していることへの対応として改訂されたものであるが,各版に共通する考え方として,「小児の心身の発育と保健への社会の関わりの意義を理解し,子どもは親のみならず地域の人々が育てる」という意識を持って小児の歯科保健医療を考えてもらうことを意図し,編集・企画している.
 最後に,多忙の中ご執筆いただいた著者の方々,及び編集・出版にご尽力頂いた医歯薬出版編集部に深謝いたします.
 2011年3月1日
 編 者
 木 裕三
 田村 康夫
 井上美津子
 白川 哲夫


第3版 序
 歯科医学・歯科医療は科学の進歩発展および社会の変化によって大きく変容する.近年の生命科学の飛躍的な発展,少子超高齢社会の到来,子育て支援の充実,子ども虐待やドメスティック・バイオレンスの増加等は,歯科医学・歯科医療関係者に知識量の爆発的増大に対応できる学習,一人ひとりのこころに寄り添った歯科医療,個人と地域・国際社会への健康の増進と疾病の予防・根絶への寄与,国際的な活動等を必要条件として求めている.
 歯科医学・歯科医療教育は,国民から信託された幅広い識見と豊かな人間性とを有し,受診者中心の医療を実践できる優れた歯科医師の養成を確実にするものでなければならない.
 文部科学省は,基礎歯科医学と臨床歯科医学・歯科医療の有機的連携を備えた「モデル・コア・カリキュラム」を公表した.また,国民の信託に応える歯科医師の養成には,国民の臨床実習に対するいっそうの理解と協力とが不可欠であることから,臨床実習開始直前の歯学生が,具有すべき知識・技能・態度を有していることを評価する「共用試験システム」の導入と,その厳格な運用を国民に公表する責 任(アカウンタビリティ)とを提示した.これらは現在軌道に乗っている.
 本書は,1996年に初版が発行され,2002年に第2版が発行された.その後小児を取り巻く社会環境の著しい変化等のため,近年心身症を示す小児や子ども虐待の増加がみられること,摂食機能の育成支援がますます重要な課題となってきたこと,地域住民に信頼される生涯のかかりつけ医が求められ,一生のスタート期にある小児および保護者,地域住民との接点になる地域口腔保健活動が重要な意義と位置を占めることから,第2版までは章の中の節として扱ってきたものを,それぞれ「小児のこころと疾患」,「摂食機能の育成支援」,「小児の地域口腔保健−集団を対象にする口腔保健管理−」として新たな章を起こす,「モデル・コア・カリキュラム」,「共用試験」に沿った「一般目標」「到達目標」を各章の初めに掲載する,カラー刷りとする,これらにより,いっそう理解が深められるように企画・編集した.
 最後に,お忙しいなかご執筆いただいた先生方,ならびに編集・出版にご尽力いただいた医歯薬出版株式会社編集部に深謝いたします.
 2007年4月1日
 編 者
 赤坂 守人
 西野 瑞穗
 佐々 龍二
 木 裕三
 田村 康夫


第2版 序
 21世紀に入り歯学教育のあり方は大きな転換期を迎えている.すなわち,少子超高齢社会の到来,生命科学の飛躍的発展による歯科医学・歯科医療関係者に求められる知識量の爆発的な増大,個人と地域・国際社会の健康の増進と疾病の予防・根絶に寄与し,国際的な活動ができる人材の必要性,そしてなによりも国民から信託された幅広い識見と豊かな人間性を有し,患者中心の医療を実践できる優れた歯科医師の養成,歯学教育はこれらに確実に対応できなければならない.
 このような歯学教育の大きな転換期にあたり,文部科学省は歯学生が卒業までに学んでおくべき態度,技能,知識に関する教育内容を精選し,現代的課題を加え基礎歯科医学と臨床歯科医学・歯科医療の有機的連携を備えた「国公私立大学共通のモデル・コア・カリキュラム」を2001年3月27日各歯科大学・大学歯学部の関係者,歯学生,国民の皆様および関係行政機関に対し公表した.
 さらに,国民の信託に応え臨床実習を充実させるためには国民の臨床実習に対するいっそうの理解と協力が不可欠であることから,臨床実習開始直前の歯学生がその具有すべき基本的知識(モデル・コア・カリキュラムに提示されたもの)と技能と態度とを有していることを評価する「共用試験システム」の導入と,その厳格な運用を国民に明示することの責任(アカウンタビリティ)を提示した.
 言うまでもなく小児歯科は,成人に至るまでの成長発達期,すなわち胎生期から20歳頃までの小児の口腔を健全に育成するための歯科医療であり,小児歯科学という学問・科学に裏付けられたものでなければならない.小児歯科では従来から全人的視点から小児に対応することが実行されているが,近年急激な少子社会の到来により,その社会の将来を見据えて小児に対する保健・医療・福祉を特に手厚くする必要性が叫ばれ,小児歯科医療の重要性が従来にも増して認識されるようになってきた.
 本書は平成7年に初版が発行された.その後,「歯科医学教授要綱」の改訂,歯科医学の技術および材料などの進歩,そして上述したような歯科医療を取り巻く社会環境の変化などがみられ,従来の小児歯科学の概念や治療法など一部修正が必要となってきた.
 そこで本改訂では,一般臨床歯科医の基礎教育を目標にした「小児歯科医学教授要綱」と,2001年3月に公表された「歯学教育モデル・コア・カリキュラム」を特に重視しながら,新しい時代に対応した小児歯科学について,理解が深められるよう編集・企画した.
 最後に,お忙しいなかご執筆をお引き受けくださった先生方,ならびに編集・出版にご尽力いただいた医歯薬出版株式会社編集部に感謝の意を表します.
 2002年2月1日
 編 者
 赤坂 守人
 西野 瑞穗
 佐々 龍二


第1版 序
 近年,歯科医学・歯科医療はかつて経験しなかったような速さで著しい変貌を遂げ,現在も変貌しつつある.それは歯科医学・歯科医療に関する研究の高度先進化,口腔領域を含めた全身の疾病構造の変化,インフォームドコンセントの徹底,高質の医療の希求,治療から予防への志向など,歯科医療に対する国民のニーズの変化などが急激に生じてきたからである.
 このような大きな変貌を遂げている歯科医療の各分野のなかで,社会環境や自然環境の変化の影響をもっとも受けやすい小児を対象とする小児歯科医療は,もっとも大きく変貌している分野の一つである.いうまでもなく小児歯科は,成人に至るまでの成長発達期,すなわち胎生期から20歳頃までの小児の口腔を健全に育成するための歯科医療であり,小児歯科学という学問・科学に裏付けられたものでなければならない.
 歯科医学・歯科医療の発展とともに,専門分化と,これを統合する総合化が進んでいる.臨床系では処置内容による歯科保存学,歯科補綴学,口腔外科学など縦割りとする技術的な分化に対し,小児歯科学は,近年の高齢者歯科と同様,横割りとする患者サイドに立った全人的視点からの分化と位置付けられ,地域の一般医,家庭医の基本と考えるべきものである.
 本書は一般臨床医の基礎教育を目標にした,「小児歯科学教授要綱」を重視した内容となっている.そのなかでも大きな特徴は,従来,小児歯科学は健全な歯列・咬合,口腔機能などの育成を目標に,口腔管理の重要性を第一義として教授してきたが,この点をさらに明解にしたこと,小児受診者への対応や,歯列・咬合の育成,歯周疾患などの項目を充実させたこと,さらに日本人小児の歯・顎顔面の発育について最新のデータを収載したこと,理解しやすいように可能なかぎり用語統一をはかったことである.
 歯学生が本書により,歯科医師として基本的に必要な小児歯科学・小児歯科医療の知識を十分に修得し,卒前臨床実習や歯科医師としての研修,また小児歯科学の進歩発展に寄与する研究活動などに連続性をはかられるよう祈念する.
 最後に,本書の出版にあたり,多大なご協力をいただいた医歯薬出版株式会社編集部に厚くお礼申し上げる.
 1996年3月1日
 編 者
 赤坂 守人
 西野 瑞穗
 佐々 龍二
第1編 小児歯科学概論
 第1章 小児と歯科保健医療(白川哲夫)
  I わが国の小児保健・医療
  II 小児保健と小児歯科医療
   1.小児保健と小児歯科医療のかかわり 2.小児の歯科医療の特色
  III 小児歯科医療における歯科医師の責務
   1.プロフェッショナリズム 2.インフォームドコンセント 3.安全・安心への配慮
第2編 成長・発達
 第2章 全身の成長・発達
  I 発育概論(香西克之)
   1.成長,発達および発育の定義 2.発育の原則 3.発育に影響する因子
   4.発育期の分類 5.各器官の発育
  II 小児の成長
   1.身体の成長の特徴 2.身体の成長の評価法
  III 小児の発達
   1.脳・神経の発達 2.原始反射 3.運動の発達 4.社会性の発達
   5.言語の発達 6.情動の発達 7.発達に及ぼすメディア社会の影響
   8.発達の評価 9.思春期の精神的特徴
  IV 小児の生理的発達(野中和明・山座治義)
   1.バイタルサイン 2.血液
  V 小児の栄養
   1.小児期の栄養 2.栄養摂取法 3.離乳 4.食育
 第3章 頭蓋,顎顔面の発育(島村和宏)
  I 頭蓋の発育
   1.頭部の成長・発育 2.発育様式 3.脳頭蓋の発育 4.顔面頭蓋の発育
  II 顎の発育
   1.上顎の発育 2.下顎の発育 3.顎関節の発育
  III 発育の評価
   1.生体計測による評価法 2.頭部エックス線規格写真法による評価法
 第4章 口腔機能の発達
  I 摂食機能の発達(飯沼光生・長谷川信乃)
   1.吸啜の発達 2.咀嚼の発達 3.嚥下の発達
  II 発語・調音
   1.発語・調音の原理 2.調音(構音)の発達 3.発達期にみられる構音障害
  III 小児の顎運動(早ア治明・齊藤一誠)
   1.顎運動の発達 2.咀嚼と顎運動
 第5章 歯の発育と異常(福本 敏・山田亜矢)
  I 歯の形成
   1.歯胚の発生と発育 2.歯の発育段階 3.歯の発育評価法
  II 歯の形成障害
   1.歯の発育時期と形成障害 2.形成障害の原因
  III 歯の異常
   1.歯数の異常 2.歯の形態異常 3.歯の構造の異常 4.歯の色調異常
   5.その他の異常
  IV 歯の萌出
   1.乳歯の萌出時期と順序 2.永久歯の萌出時期と順序
  V 歯の萌出異常
   1.萌出時期(順序)の異常 2.萌出方向(位置)の異常 3.萌出量の異常
 第6章 歯列および咬合の発育と異常
  I 歯列および咬合の定義(山ア要一・武元嘉彦)
  II 歯列および咬合の発育
   1.無歯期および乳歯列完成前期 2.乳歯列期 3.切歯交換期および第一大臼歯萌出開始期・完了期 4.側方歯群交換期 5.第二大臼歯萌出開始期・完了期
  III 歯列および咬合の異常(岩崎智憲・武元嘉彦)
   1.正常咬合とは 2.歯列および咬合異常の要因 3.代表的な咬合異常
 第7章 小児期の歯・歯周組織の特徴(八若保孝)
  I 乳歯の特徴
   1.乳歯の生物学的役割 2.乳歯の数と名称 3.乳歯の形態学的特徴
   4.乳歯の組織学的特徴 5.乳歯の物理化学的特徴 6.乳歯の生理的歯根吸収
  II 幼若永久歯の特徴
   1.幼若永久歯の形態学的・組織学的特徴 2.幼若永久歯の構造的特徴
   3.幼若永久歯歯髄の臨床的特徴
  III 小児の歯周組織
   1.歯周組織の構造 2.歯の萌出と歯周組織 3.歯槽骨の成長と歯の萌出
第3編 診察・検査・処方・治療計画
 第8章 小児への歯科的対応法(白川哲夫)
  I 基本的な診察法
   1.小児の心理的特徴と対応 2.小児患者・保護者・歯科医師の関係
   3.特別な配慮を必要とする小児への対応
  II 基本的な対応法
   1.診療環境 2.診療時の対応
  III 行動のコントロール法
   1.発達スクリーニング 2.行動変容法(行動療法) 3.身体抑制法
   4.精神鎮静法 5.全身麻酔法
  IV 小児の薬理的特性と薬物療法
   1.薬用量の決め方 2.内服薬の剤形の選択 3.小児への投与を控える薬剤
   4.坐剤の使用
 第9章 小児の歯科診療の流れ(大須賀直人)
  I 診察・検査
   1.診察・検査の目的と概要 2.診察項目
  II 診断用資料
   1.顔面写真,口腔内写真 2.歯列模型 3.エックス線写真
   4.CT(コンピュータ断層)画像 5.MRI(核磁気共鳴画像法) 6.その他の検査
  III 治療計画
  IV 定期健康診断
   1.目的 2.内容
 第10章 医療安全管理(白川哲夫)
  I 医療安全の考え方
   1.リスクマネジメント 2.クライシスマネジメント
  II ヒヤリハットと医療事故
   1.ヒヤリハット 2.医療事故 3.インシデント
  III ハインリッヒの法則と医療事故
  IV 医療安全管理体制
   1.医療安全管理体制の整備 2.インシデントの分析とフィードバック
  V 小児歯科医療における安全管理
   1.小児歯科臨床で想定される緊急事態と偶発症 2.偶発症・偶発事故への対応
   3.偶発症・偶発事故の予防
  VI 小児歯科医療における感染予防
第4編 歯・口腔の疾患
 第11章 齲蝕
  I 齲蝕の基礎(仲野道代)
   1.齲蝕の病因論 2.齲蝕の疫学 3.齲蝕の為害作用
  II 齲蝕の予防
   1.齲蝕予防の基本的な考え方 2.口腔清掃法 3.齲蝕予防のための代用糖
   4.齲蝕予防のための食事指導 5.年齢別にみた口腔衛生指導 6.齲蝕活動性
   7.フッ化物を利用した薬物応用法
  III 齲蝕治療の前処置(有田憲司)
   1.小児の局所麻酔法 2.ラバーダム法
  IV 歯冠修復法
   1.齲蝕治療の新しい流れ:MIの概念 2.小児の歯冠修復の適応症と目的
   3.歯冠修復の手順 4.乳歯の歯冠修復 5.乳歯における各種修復法
   6.幼若永久歯の歯冠修復
  V 歯内療法(苅部洋行)
   1.乳歯歯髄疾患 2.乳歯の根尖性歯周炎 3.乳歯の根管充填
   4.幼若永久歯の歯髄疾患
 第12章 歯周疾患(香西克之)
  I 歯周疾患の分類と罹患状況
  II 歯周疾患の種類と特徴
   1.歯肉炎 2.歯周炎 3.壊死性潰瘍性歯肉炎 4.歯肉退縮
  III 歯周疾患の予防
   1.歯周疾患のリスクファクター 2.小児の歯周組織の状態評価
   3.歯周疾患の予防と方法
 第13章 歯の外傷(宮新美智世)
  I 歯の外傷の状況と損傷の影響
   1.外傷の状況 2.歯と歯周組織の損傷の様式
  II 外傷の診察・検査と診断
   1.医療面接 2.診察 3.歯の外傷の臨床診断・分類
  III 歯の外傷の処置と経過
   1.外傷後に観察される所見 2.外傷歯の治療 3.歯周組織の損傷に対する処置
   4.外傷歯の処置後の留意点
  IV 学校(園)と口腔の外傷
   1.学校(園)における口腔の外傷への対応 2.外傷への対応の留意点
  V スポーツ外傷と予防
   1.マウスガード 2.小児用マウスガード製作時の留意点
  VI 外傷の予防
 第14章 口腔軟組織疾患および顎疾患
  I 口腔軟組織疾患(飯沼光生)
   1.小帯の異常 2.口唇の病変 3.歯肉の病変 4.舌の病変
   5.粘膜の病変
  II 顎疾患(顎骨の疾患)
   1.歯槽骨炎 2.顎骨骨膜炎 3.急性顎骨骨髄炎 4.歯原性腫瘍
   5.顎骨の嚢胞
  III 顎関節症(苅部洋行)
   1.咀嚼機構の解剖 2.顎関節症の定義 3.顎関節症の主症状
   4.顎関節症の疫学 5.顎関節症の病因論 6.顎関節症の診察
   7.顎関節症の診断と病態分類 8.顎関節症の管理
 第15章 外科処置(岩本 勉)
  I 抜歯
   1.乳歯の抜去 2.埋伏過剰歯 3.萌出遅延歯,萌出困難歯
  II 歯牙腫
  III 小帯・口腔粘膜の病変
  IV 裂傷の縫合
 第16章 咬合誘導
  I 咬合誘導の考え方(山ア要一・武元嘉彦)
   1.咬合誘導の目的 2.咬合誘導の分類
  II 歯列・咬合および顎顔面の診察・検査・診断
   1.口腔・顎顔面の診察 2.歯列・咬合の分析 3.画像検査
  III 歯列・咬合の正常発育を阻害する因子
   1.齲蝕 2.歯の異常 3.萌出の異常 4.軟組織の異常
  IV 口腔習癖と対応(佐伯 桂・牧 憲司)
   1.口腔習癖の種類とその影響 2.口腔習癖の処置
  V 保隙(社)藤田優子・牧 憲司)
   1.診察と診断 2.保隙装置の種類と選択 3.保隙装置の管理
  VI 動的咬合誘導法(牧 憲司)
   1.検査・診断 2.動的咬合誘導の処置法
   3.咬合発育段階による歯列,咬合異常の処置
第5編 口腔管理,健康教育,口腔保健
 第17章 小児の口腔保健
  I 保健指導(藤原 卓・星野倫範)
   1.保護者の支援(教育) 2.小児の支援 3.保健指導効果の評価
  II 乳幼児の口腔保健
   1.母子保健の現状と地域口腔保健 2.妊産婦と乳幼児の口腔保健
   3.幼稚園・保育園児の口腔保健
  III 学校歯科保健
   1.学校歯科保健の目的と学校歯科医の役割 2.学校歯科健康診断
   3.学校における健康支援
  IV 思春期の口腔保健
   思春期の口腔疾患とその対応
  V 児童虐待(渡部 茂)
   1.児童虐待の定義 2.身体的虐待による外傷所見 3.デンタルネグレクト
   4.歯科健診や歯科診療での虐待の発見 5.虐待が疑われた場合の対応と通告義務
  VI 災害と小児歯科保健・医療(大久保孝一郎・木本茂成)
   1.災害関連用語 2.災害時歯科保健活動
   3.災害時における小児の歯科的問題と対応 4.今後に向けた取り組みと備え
第6編 心身障害児および全身疾患児への歯科的対応
 第18章 障害児の歯科治療
  I 障害の概念・分類(白川哲夫)
   1.障害者の定義 2.障害の概念・分類
  II 障害と福祉・医療
   1.障害児の福祉・支援制度 2.障害児の医療
  III 障害児の口腔健康管理
   1.障害児の口腔健康管理の考え方 2.障害児の口腔機能と機能獲得の問題点
  IV 障害児の歯科的対応法
   1.診療上問題となる要因 2.障害児の歯科的対応法
  V 障害児の歯科医療全般についての留意事項
   1.一般的留意事項 2.障害児の歯科保健管理
  VI 障害の種類と口腔所見
   1.発達障害の概念と疾患名
   2.神経発達症群
   3.脳性麻痺(田村文誉)
   4.重症心身障害
   5.摂食嚥下障害
   6.感覚障害(小方清和)
   7.音声言語障害
   8.てんかん
 第19章 歯科治療上注意すべき小児の全身疾患
  I 先天性疾患
   1.遺伝子異常
    1)先天性外胚葉異形成症(新谷誠康)
    2)骨形成不全症
    3)鎖骨頭蓋骨異形成症(鎖骨頭蓋異骨症)
    4)先天性表皮水疱症
    5)筋ジストロフィー症
    6)Treacher-Collins症候群(野中和明・山座治義)
    7)Crouzon症候群
    8)Apert症候群(尖頭合指症)(白川哲夫)
    9)軟骨無形成症
    10)Marfan症候群
    11)低ホスファターゼ症(仲野和彦)
    12)Papillon―Lefevre症候群
    13)先天性色素失調症
    14)第一第二鰓弓症候群(Goldenhar症候群)
    15)Sturge―Weber症候群
    16)Beckwith―Wiedemann(EMG)症候群
   2.染色体異常(福本 敏・齋藤 幹)
   3.その他の先天異常(佐々木康成)
  II 感染症(細菌およびウイルス感染症)
   1.感染症患者の歯科治療における一般的注意 2.ウイルス感染症
   3.その他の感染症
  III 内分泌疾患(白川哲夫)
   1.甲状腺機能低下症 2.甲状腺機能亢進症 3.副甲状腺機能低下症
  IV 血液・造血器疾患
   1.貧血 2.血液凝固異常症 3.白血病 4.血小板減少性紫斑病
  V 代謝障害
   1.糖尿病 2.くる病 3.ビタミン欠乏症
  VI 腎疾患
   1.ネフローゼ症候群 2.糸球体腎炎 3.紫斑病性腎炎
  VII 循環器疾患
   1.先天性心疾患 2.急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群(川崎病,MCLS)
  VIII 呼吸器系疾患
   1.気管支喘息 2.扁桃肥大,アデノイド 3.閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
  IX 免疫・アレルギー性疾患(藤原 卓)
   1.アレルギーのメカニズム 2.歯科治療上注意すべきアレルギー 3.代表的な免疫・アレルギー性疾患 4.アレルギーの検査・診断 5.歯科治療時の注意点

 参考文献
 索引