序文
本書はタイトルのとおり,インプラントシステム特定に特化した書籍である.そこから始まるトラブル・リカバリーなどについては他書を参考にされたい.
医歯薬出版から『このインプラントなに?』を発刊するにあたり編集メンバーに加わって以来,多くの同業者から,「このインプラントなに?」という問い合わせをいただいてきた.直接,友人・知人からの問い合わせもあれば,「そのまた友人が困っている」などという問い合わせも多い.現状,私はそういった方々と同様に一歯科医師であり,誠心誠意回答するものの,必ずしも責任をもって断定できるわけではない.手掛けた書籍の名に傷がつかないか悩むこともある.
そんななか,とある勉強会でご一緒させていただいて以来,友人である田島先生から,インプラントシステム特定に関するAIシステムの構築に乗り出したと連絡を受けた.AIが回答するのであれば,非常にフェアであり,そういった個人的な日々の悩みに光が射すように感じ,会談(というか会食)を重ねアイデアを出し合ったものの,いかんせんAI事業には莫大な時間と費用が掛かる.その完成までに,現状の情報ないしノウハウを皆様に広く伝えることが先決と考え,本書の企画が始まった.
一読いただければおわかりのように,田島先生の卓抜した情報収集並びに分析能力は十分に本書に発揮されている.さらに,彼はInstagramやnoteといったインターネットツールでもそういった情報を惜しみなく公開しているので,そちらもご覧いただきたい.そして,それらが結実しAIシステムが完成する日を楽しみにしつつ,本書の執筆をお手伝いさせていただいたことを振り返りながら,日々いらっしゃる患者さんのために,手にした歯科関係諸氏のために,本書がお役に立つよう願いを込めて序文とさせていただく.
竹島明道
序文
いま,歯科業界は診療技術の転換期にあると感じている.口腔内スキャナー,模型,エックス線,CT画像,フェイススキャンなどのデータを組み合わせた治療計画の立案から3Dプリントを使用した技工物製作などの技術が目覚ましいスピードで進化している.
社会においては,誰もが簡便に使用できる「ChatGPT」などのAIの出現により,仕事内容や求められる能力に変革が起き始めている.我々歯科関係者もこのような波に乗り遅れることなく,歯科と最新テクノロジーとのクロスクリエイティビティ(cross creativity:歯科×〇〇)の考えを持ち,歯科業界を盛り上げていく必要があると感じている.
筆者は「歯科×AI」,特に「歯科エックス線画像×AI」をテーマに2018年から研究しており,そのうちの一つにインプラントを特定するAI開発も行っている.10万枚以上のデータを用いて5社以上のAI開発会社と研究を行ったが,臨床で利用できるレベルのAI開発ができていないのが現状である.AI開発のために作成した詳細なインプラントデータ(すべてのインプラントメーカーに確認済み)を筆者だけが保有しているのはもったいないと思い,自分で作成したウェブサイト「歯と口腔外科の役立つお話」(https://www.dental-oral-surgery.com/)を中心にInstagram,Twitter,noteでの情報提供を2021年から行っている.
そのようななか,『このインプラントなに?』の著者の一人で,インプラントに関する幅広い知識をお持ちの竹島先生と会食をしていた際に,本書企画のお話をいただいた.竹島先生と定期的に打ち合わせを重ね,本書に記載している「インプラント11分類とそのフローチャート」,「ドライバー適合に関する情報」,「右ねじのエックス線現象」等についての内容を中心として書籍化が実現した次第である.
本書が少しでも皆様方のインプラント臨床のご参考になれば幸いである.
田島聖士
本書はタイトルのとおり,インプラントシステム特定に特化した書籍である.そこから始まるトラブル・リカバリーなどについては他書を参考にされたい.
医歯薬出版から『このインプラントなに?』を発刊するにあたり編集メンバーに加わって以来,多くの同業者から,「このインプラントなに?」という問い合わせをいただいてきた.直接,友人・知人からの問い合わせもあれば,「そのまた友人が困っている」などという問い合わせも多い.現状,私はそういった方々と同様に一歯科医師であり,誠心誠意回答するものの,必ずしも責任をもって断定できるわけではない.手掛けた書籍の名に傷がつかないか悩むこともある.
そんななか,とある勉強会でご一緒させていただいて以来,友人である田島先生から,インプラントシステム特定に関するAIシステムの構築に乗り出したと連絡を受けた.AIが回答するのであれば,非常にフェアであり,そういった個人的な日々の悩みに光が射すように感じ,会談(というか会食)を重ねアイデアを出し合ったものの,いかんせんAI事業には莫大な時間と費用が掛かる.その完成までに,現状の情報ないしノウハウを皆様に広く伝えることが先決と考え,本書の企画が始まった.
一読いただければおわかりのように,田島先生の卓抜した情報収集並びに分析能力は十分に本書に発揮されている.さらに,彼はInstagramやnoteといったインターネットツールでもそういった情報を惜しみなく公開しているので,そちらもご覧いただきたい.そして,それらが結実しAIシステムが完成する日を楽しみにしつつ,本書の執筆をお手伝いさせていただいたことを振り返りながら,日々いらっしゃる患者さんのために,手にした歯科関係諸氏のために,本書がお役に立つよう願いを込めて序文とさせていただく.
竹島明道
序文
いま,歯科業界は診療技術の転換期にあると感じている.口腔内スキャナー,模型,エックス線,CT画像,フェイススキャンなどのデータを組み合わせた治療計画の立案から3Dプリントを使用した技工物製作などの技術が目覚ましいスピードで進化している.
社会においては,誰もが簡便に使用できる「ChatGPT」などのAIの出現により,仕事内容や求められる能力に変革が起き始めている.我々歯科関係者もこのような波に乗り遅れることなく,歯科と最新テクノロジーとのクロスクリエイティビティ(cross creativity:歯科×〇〇)の考えを持ち,歯科業界を盛り上げていく必要があると感じている.
筆者は「歯科×AI」,特に「歯科エックス線画像×AI」をテーマに2018年から研究しており,そのうちの一つにインプラントを特定するAI開発も行っている.10万枚以上のデータを用いて5社以上のAI開発会社と研究を行ったが,臨床で利用できるレベルのAI開発ができていないのが現状である.AI開発のために作成した詳細なインプラントデータ(すべてのインプラントメーカーに確認済み)を筆者だけが保有しているのはもったいないと思い,自分で作成したウェブサイト「歯と口腔外科の役立つお話」(https://www.dental-oral-surgery.com/)を中心にInstagram,Twitter,noteでの情報提供を2021年から行っている.
そのようななか,『このインプラントなに?』の著者の一人で,インプラントに関する幅広い知識をお持ちの竹島先生と会食をしていた際に,本書企画のお話をいただいた.竹島先生と定期的に打ち合わせを重ね,本書に記載している「インプラント11分類とそのフローチャート」,「ドライバー適合に関する情報」,「右ねじのエックス線現象」等についての内容を中心として書籍化が実現した次第である.
本書が少しでも皆様方のインプラント臨床のご参考になれば幸いである.
田島聖士
1 インプラント特定の意義
(竹島明道,田島聖士)
1 他院埋入インプラントの問題点
2 正しく評価することの必要性
3 法医学的な重要性
1―法医学と法歯学
2―法歯学におけるエックス線画像について
3―事件や事故における法歯学の重要性
2 他院埋入インプラントは,こう評価する
(田島聖士)
1 インプラントをどう特定していくか
1―インプラントカードによる特定
2―前医へ確認する
3―インプラントメーカーおよびインプラントに詳しい歯科医師へ確認する
4―インプラント保証会社(ガイドデント社等)に確認する
5―本書のようなインプラントの種類を解説している書籍を参考にする
2 インプラント特定のための分類
1―インプラント分類のために確認する項目および項目の定義
2―インプラントの11分類
3―分類後の確認事項
3 インプラント特定のステップ
1―インプラント11分類のフローチャート
2―インプラントの特定
4 インプラント特定をした12症例
1―症例 1(左側2本のインプラント)
2―症例 2
3―症例 3
4―症例 4
5―症例 5
6―症例 6
7―症例 7
8―症例 8
9―症例 9
10―症例10
11―症例11
12―症例12
3 エックス線撮影の要点
(田島聖士)
1 インプラント特定のためのエックス線撮影
1―正放線投影と偏心投影など,水平的角度づけによる複数枚の撮影が容易であること
2―垂直的角度づけの違いによりスレッドの正確なエックス線撮影が可能となること:「右ねじのエックス線現象」を利用する
3―医療被曝による実効線量(Sv)が極めて小さいこと(ALARAの原則)
2 パノラマエックス線写真によるインプラント特定について
4 ドライバーの適合
(田島聖士)
1 各種インプラントドライバーについて
2 ドライバーの適合からインプラントの種類を絞り込む
3 各種インプラントドライバーとの互換性
4 インプラント補綴時に役立つトルクに関する情報
1―トルクについて
2―スクリューの締結と増し締めについて
3―スクリューの締結力について
5 その他の手がかりの探し方―特定のための参考資料
(竹島明道,田島聖士)
1 ロット番号はどこに記載されているか
2 プラットフォーム部の形状はどうなっているか
3 その他の手がかり
・資料1「インプラント販売期間による絞り込み」
・資料2「インプラント会社およびインプラント販売の変遷」
6 市販されていないインプラントであった場合の対応法
(田島聖士)
1 販売が終了しているインプラントのサポートについて
1―ステリオスインプラント(ノーベル・バイオケア・ジャパン)
2―エンドポアインプラント(東京歯科産業)
3―ミューワンインプラントの2ピース(山八歯材工業)
4―TRIインプラント(TRIデンタルインプランツ)
2 インプラントの互換性など
1―エクスターナル ヘックスコネクション(プラットフォーム径4.1mm)
2―マルチユニットアバットメントを介してエクスターナル ヘックスコネクション(プラットフォーム径4.8mm)になるタイプ
3―インターナル オクタゴンコネクション(回転防止機構あり)+8°テーパーのコネクションタイプ
4―インターナル オクタゴンコネクション(回転防止機構なし)+8°テーパーのコネクションタイプ=ITIソリッドスクリューインプラントのコネクションタイプ
5―インターナル オクタゴンコネクションの回転防止機構あり(synOcta構造)のインプラント体には,回転防止機構なしのアバットメントも適合する
6―インターナル ヘックスコネクション(プラットフォーム径3.5mm)
7―11°モース テーパー嵌合のコニカルコネクション
8―インターナル コニカルコネクション(CC)
3 TRIインプラント
1―TRI VENT(1.25mmHex)
2―TRI OCTA(1.25mmHex)
4 サードパーティー(多くは歯科技工所,ラボ)によるアバットメント製作等の対応
1―サードパーティーとは
2―サードパーティーによる技工物のメリットとデメリット
3―サードパーティーの見極め
7 将来的な方向性(AI診断)
(田島聖士)
1 インプラントAIの開発について
1―インプラントAI開発の現状
2―インプラント特定に関するこれからの方向性
2 これまでに開発した歯科AIについて
1―各種歯科疾患(う蝕,根尖病巣,根分岐部病変,顎骨嚢胞)の診断支援AI(特許取得済み)
2―歯式AI(歯の数と番号を自動検出するAI)
3―歯科健診AI(これらのAIを統合しAI歯科健診表の作成と前回との比較もできるシステムを備えたもの,特許出願中:特許願書2022-115476)
3 歯科AIにおける今後の展望
1―AIと共存するこれからの社会
2―歯科AIの将来的な方向性
文献
索引
(竹島明道,田島聖士)
1 他院埋入インプラントの問題点
2 正しく評価することの必要性
3 法医学的な重要性
1―法医学と法歯学
2―法歯学におけるエックス線画像について
3―事件や事故における法歯学の重要性
2 他院埋入インプラントは,こう評価する
(田島聖士)
1 インプラントをどう特定していくか
1―インプラントカードによる特定
2―前医へ確認する
3―インプラントメーカーおよびインプラントに詳しい歯科医師へ確認する
4―インプラント保証会社(ガイドデント社等)に確認する
5―本書のようなインプラントの種類を解説している書籍を参考にする
2 インプラント特定のための分類
1―インプラント分類のために確認する項目および項目の定義
2―インプラントの11分類
3―分類後の確認事項
3 インプラント特定のステップ
1―インプラント11分類のフローチャート
2―インプラントの特定
4 インプラント特定をした12症例
1―症例 1(左側2本のインプラント)
2―症例 2
3―症例 3
4―症例 4
5―症例 5
6―症例 6
7―症例 7
8―症例 8
9―症例 9
10―症例10
11―症例11
12―症例12
3 エックス線撮影の要点
(田島聖士)
1 インプラント特定のためのエックス線撮影
1―正放線投影と偏心投影など,水平的角度づけによる複数枚の撮影が容易であること
2―垂直的角度づけの違いによりスレッドの正確なエックス線撮影が可能となること:「右ねじのエックス線現象」を利用する
3―医療被曝による実効線量(Sv)が極めて小さいこと(ALARAの原則)
2 パノラマエックス線写真によるインプラント特定について
4 ドライバーの適合
(田島聖士)
1 各種インプラントドライバーについて
2 ドライバーの適合からインプラントの種類を絞り込む
3 各種インプラントドライバーとの互換性
4 インプラント補綴時に役立つトルクに関する情報
1―トルクについて
2―スクリューの締結と増し締めについて
3―スクリューの締結力について
5 その他の手がかりの探し方―特定のための参考資料
(竹島明道,田島聖士)
1 ロット番号はどこに記載されているか
2 プラットフォーム部の形状はどうなっているか
3 その他の手がかり
・資料1「インプラント販売期間による絞り込み」
・資料2「インプラント会社およびインプラント販売の変遷」
6 市販されていないインプラントであった場合の対応法
(田島聖士)
1 販売が終了しているインプラントのサポートについて
1―ステリオスインプラント(ノーベル・バイオケア・ジャパン)
2―エンドポアインプラント(東京歯科産業)
3―ミューワンインプラントの2ピース(山八歯材工業)
4―TRIインプラント(TRIデンタルインプランツ)
2 インプラントの互換性など
1―エクスターナル ヘックスコネクション(プラットフォーム径4.1mm)
2―マルチユニットアバットメントを介してエクスターナル ヘックスコネクション(プラットフォーム径4.8mm)になるタイプ
3―インターナル オクタゴンコネクション(回転防止機構あり)+8°テーパーのコネクションタイプ
4―インターナル オクタゴンコネクション(回転防止機構なし)+8°テーパーのコネクションタイプ=ITIソリッドスクリューインプラントのコネクションタイプ
5―インターナル オクタゴンコネクションの回転防止機構あり(synOcta構造)のインプラント体には,回転防止機構なしのアバットメントも適合する
6―インターナル ヘックスコネクション(プラットフォーム径3.5mm)
7―11°モース テーパー嵌合のコニカルコネクション
8―インターナル コニカルコネクション(CC)
3 TRIインプラント
1―TRI VENT(1.25mmHex)
2―TRI OCTA(1.25mmHex)
4 サードパーティー(多くは歯科技工所,ラボ)によるアバットメント製作等の対応
1―サードパーティーとは
2―サードパーティーによる技工物のメリットとデメリット
3―サードパーティーの見極め
7 将来的な方向性(AI診断)
(田島聖士)
1 インプラントAIの開発について
1―インプラントAI開発の現状
2―インプラント特定に関するこれからの方向性
2 これまでに開発した歯科AIについて
1―各種歯科疾患(う蝕,根尖病巣,根分岐部病変,顎骨嚢胞)の診断支援AI(特許取得済み)
2―歯式AI(歯の数と番号を自動検出するAI)
3―歯科健診AI(これらのAIを統合しAI歯科健診表の作成と前回との比較もできるシステムを備えたもの,特許出願中:特許願書2022-115476)
3 歯科AIにおける今後の展望
1―AIと共存するこれからの社会
2―歯科AIの将来的な方向性
文献
索引