まえがき
今般,『決定版 治癒の病理 臨床の疑問に基礎が答える』が出版される運びとなった.これも1988年の『治癒の病理 ぺリオ・エンドの臨床のために』発刊以来,非常に多くの読者の皆様によって支持・評価されてきたお蔭と心から感謝申し上げる次第である.
前刊の『新編 治癒の病理』が発刊されて11年が経過した.この10年あまりの間の歯科医学・歯科医療の進歩・発展は目覚ましく,まさに「日進月歩」である.その中で,歯科医療人がノーベル賞を最も身近に感じることができ,そして感動したのは,TRPV1チャネル(カプサイシン受容体)の発見により,デービッド・ジュリアス教授とアーデム・パタプティアン教授(共に米国)に授与された,2021年のノーベル生理学・医学賞である.トウガラシの辛味成分であるカプサイシンや43℃以上の熱に反応するTRPV1チャネルは,歯髄の中の象牙芽細胞の細胞膜にも存在するので,歯の痛みのメカニズムを的確に説明することができるのである.
今回の『決定版 治癒の病理』の出版は,「TRPV1チャネル」のような最新の科学情報を歯科臨床と関連づけて紹介することも目的の1つと考えた.そのため,広い分野から情報収集し,歯科臨床と関連する基礎医学の新しい情報をできるだけ多く紹介することに努めた.また,前刊の内容をさらに充実させるため,各編の記述を細部にわたり見直し,新しいエビデンスの追加・修正を行った.
追加・修正の主なポイントは,「第I編 歯周疾患」では,歯肉の発生,骨縁上組織付着(生物学的幅径),歯周病のAAP/EFPによる新分類,肉芽組織,リグロス(R)などである.「第II編 象牙質・歯髄複合体」では,歯根吸収,MTA,リバスクラリゼーション(再生歯内療法),を重点的に加筆した.「第III編 移植・再植・歯の移動」では,移植・再植の臨床,移植・再植歯歯根膜の保存液,Bio-implant,弱い力と強い力の組織反応,などを追加した.「第IV編 インプラント」は全面的に書き直した.具体的には,インプラント周囲組織,インプラント周囲疾患,インプラントの治癒,リモデリングの破綻,インプラントの課題と対応,などについて詳細に記述した.
治癒に関する基本的・普遍的な事項は,文章を簡潔明瞭にわかりやすく説明することを心がけた.そのため,フルカラーの図,表,イラストを多く用いて説明するようにした.特に今回の『決定版』では,読者の臨床的イメージと結びつけるため,数多くの臨床症例写真(口腔内写真,X線写真,CBCT像など)を掲載した.キーワードは側注として和文と英文を併記した.重要な付図が重複する場合は縮小図を欄外に掲載した.MEMOの項目では研究に関連する専門用語を説明した.好評の「臨床的考察」も追加・修正した.読者諸賢の忌憚のないご批判を仰ぎたい.
本書が日常の臨床における疑問に対する解答となり,臨床術式の生物学的な理解の一助となれば幸いである.
最後に,本書出版にあたり,写真の使用を快諾してくださった多くの先生方に心より感謝申し上げます.また,出版の企画に深いご理解・ご協力を賜った医歯薬出版株式会社の関係各位,特に本書編集にあたり多大なご援助を頂いた藤本憲明氏に心より御礼申し上げます.
2022年5月
下野正基
今般,『決定版 治癒の病理 臨床の疑問に基礎が答える』が出版される運びとなった.これも1988年の『治癒の病理 ぺリオ・エンドの臨床のために』発刊以来,非常に多くの読者の皆様によって支持・評価されてきたお蔭と心から感謝申し上げる次第である.
前刊の『新編 治癒の病理』が発刊されて11年が経過した.この10年あまりの間の歯科医学・歯科医療の進歩・発展は目覚ましく,まさに「日進月歩」である.その中で,歯科医療人がノーベル賞を最も身近に感じることができ,そして感動したのは,TRPV1チャネル(カプサイシン受容体)の発見により,デービッド・ジュリアス教授とアーデム・パタプティアン教授(共に米国)に授与された,2021年のノーベル生理学・医学賞である.トウガラシの辛味成分であるカプサイシンや43℃以上の熱に反応するTRPV1チャネルは,歯髄の中の象牙芽細胞の細胞膜にも存在するので,歯の痛みのメカニズムを的確に説明することができるのである.
今回の『決定版 治癒の病理』の出版は,「TRPV1チャネル」のような最新の科学情報を歯科臨床と関連づけて紹介することも目的の1つと考えた.そのため,広い分野から情報収集し,歯科臨床と関連する基礎医学の新しい情報をできるだけ多く紹介することに努めた.また,前刊の内容をさらに充実させるため,各編の記述を細部にわたり見直し,新しいエビデンスの追加・修正を行った.
追加・修正の主なポイントは,「第I編 歯周疾患」では,歯肉の発生,骨縁上組織付着(生物学的幅径),歯周病のAAP/EFPによる新分類,肉芽組織,リグロス(R)などである.「第II編 象牙質・歯髄複合体」では,歯根吸収,MTA,リバスクラリゼーション(再生歯内療法),を重点的に加筆した.「第III編 移植・再植・歯の移動」では,移植・再植の臨床,移植・再植歯歯根膜の保存液,Bio-implant,弱い力と強い力の組織反応,などを追加した.「第IV編 インプラント」は全面的に書き直した.具体的には,インプラント周囲組織,インプラント周囲疾患,インプラントの治癒,リモデリングの破綻,インプラントの課題と対応,などについて詳細に記述した.
治癒に関する基本的・普遍的な事項は,文章を簡潔明瞭にわかりやすく説明することを心がけた.そのため,フルカラーの図,表,イラストを多く用いて説明するようにした.特に今回の『決定版』では,読者の臨床的イメージと結びつけるため,数多くの臨床症例写真(口腔内写真,X線写真,CBCT像など)を掲載した.キーワードは側注として和文と英文を併記した.重要な付図が重複する場合は縮小図を欄外に掲載した.MEMOの項目では研究に関連する専門用語を説明した.好評の「臨床的考察」も追加・修正した.読者諸賢の忌憚のないご批判を仰ぎたい.
本書が日常の臨床における疑問に対する解答となり,臨床術式の生物学的な理解の一助となれば幸いである.
最後に,本書出版にあたり,写真の使用を快諾してくださった多くの先生方に心より感謝申し上げます.また,出版の企画に深いご理解・ご協力を賜った医歯薬出版株式会社の関係各位,特に本書編集にあたり多大なご援助を頂いた藤本憲明氏に心より御礼申し上げます.
2022年5月
下野正基
まえがき
第I編 歯周疾患
第1章 歯周組織の構造と機能
1 歯肉の構造と機能
1.歯肉の構造
A 歯肉上皮
1)歯肉口腔上皮
2)歯肉溝上皮
3)付着(接合)上皮
B 歯肉結合組織(歯肉固有層)
1)歯槽上線維装置
C 歯肉の血管
D 歯肉の神経
2.歯肉の発生
A 歯の発生
B エナメル質・象牙質の形成
C 顎骨の吸収とアポトーシス
D 縮合エナメル上皮の口腔上皮との癒合,そしてアポトーシス
E 歯肉の発生─縮合エナメル上皮から付着上皮への変化
F 歯肉の加齢変化
3.歯肉の機能
A 歯の位置的安定性の維持
B 防御機構(生理学的透過性関門)
1)傍細胞経路と経細胞経路
2)上皮の物質通過経路
3)口腔粘膜における透過性関門
4)角化上皮と非角化上皮の透過性関門
5)付着上皮に防御機構はあるか?
6)付着上皮にMCGは存在するか?
7)付着上皮細胞は貪食能をもっているか?
8)歯肉溝滲出液はどこからくるか?
9)歯肉溝滲出液の構成成分
10)口腔粘膜上皮のタイト結合構成タンパク質
11)ディフェンシン
C 恒常性維持(高いターンオーバー率)
D 歯との接着機構(粘膜表面のシール,基底板の形成)
1)外側基底板の構造と構成成分
2)ヘミデスモゾームの構造と構成成分
3)ラミニン-5(332)やインテグリンα6β4はどこで作られるのか?
4)内側基底板の構成成分は外側基底板の構成成分と同じか?
5)付着上皮の内側基底板には大量のラミニンが発現している
6)ラミニンとインテグリンは細胞接着のみならず細胞移動にも関与している
7)DAT細胞は動くのか?
8)細胞移動と接着の過程で,ラミニン分子とインテグリン分子が変化する
9)付着上皮は接着しながら移動する
E 非分化状態の維持(非角化)
1)歯肉上皮細胞のサイトケラチンの分布
2)4-METAレジンと再生上皮の分化
F 白血球遊走のための通路(拡大した細胞間隙)
1)細胞間隙の拡大
2)デスモゾームの構造と機能
G 機械的圧力から歯肉組織を守る保護機構
H 生物学的幅径(骨縁上組織付着:骨縁上付着組織)
1)生物学的幅径とは?
2)「骨縁上組織付着(生物学的幅径)」の歴史的経緯
3)修復物のマージンと骨縁上組織付着
4)骨縁上組織付着に影響を与える審美歯科治療
5)矯正的圧下移動と骨縁上組織付着
6)補綴装置マージンに関するWorld Workshop 2017の見解
2 歯槽骨の構造と機能
1.歯槽骨の構造
2.歯槽骨の化学組成
3.歯槽骨の細胞
A 骨芽細胞
1)骨芽細胞の分化・発生と転写因子(Cbfa-1とOsx)
2)骨芽細胞の成熟に伴う増殖と分化の相関
B 骨細胞
C 破骨細胞
1)破骨細胞の分化
4.歯槽骨の機能
A 骨のリモデリング
3 セメント質の構造と機能
1.セメント質の構造
A セメント質の細胞
1)セメント芽細胞
2)セメント細胞
3)破セメント細胞(破歯細胞)
B セメント質の線維
C セメント質の非コラーゲン性タンパク質
D セメント質に特有のタンパク質は存在するか?
2.セメント質の分類
3.セメント質の機能
4 歯根膜の構造と機能
1.歯根膜の構造
A 歯根膜の幅径
B 歯根膜を構成する成分
1)歯根膜の細胞成分
2)マラッセ上皮遺残はどのようにしてヘルトヴィッヒ上皮鞘の細胞から変化するのか?
3)ヘルトヴィッヒ上皮鞘の細胞はアポトーシスを起こすか?
4)歯根膜の細胞外質
5)その他
2.歯根膜の機能
1)支持
2)感覚
3)栄養
4)恒常性
5)再生
第2章 歯周組織の病態
1 歯周病の概念と疫学
1.歯周炎の発症・進行過程
2.実験的歯周炎の発症
3.歯周病の罹患率
2 歯周病の病因
A 細菌因子
B 宿主因子
C 環境因子
3 歯周炎の発症と進行のメカニズム
1.歯周病原性細菌の特性
A 歯周病原性細菌とは?
B 歯肉縁上プラークの形成
C 歯肉縁上プラークと歯肉縁下プラーク
D 歯周病原性細菌
E 細菌の蓄積
F 細菌性タンパク質分解酵素
G 内毒素(リポ多糖体)
2.歯周病進行の病理学的機構
A 循環障害と滲出
B ケミカルメディエーター(化学伝達物質)
C 好中球の遊走
D 炎症性細胞
E 接着分子
F 好中球の貪食能
G 免疫応答
H サイトカイン
I タンパク質分解酵素と分解抑制物質
3.歯周組織の破壊
A 結合組織の破壊
B 歯周ポケットの形成
C 歯槽骨吸収
4 歯周病の病態と病理診断
1.2018年のAAP/EFPによる新分類
A 新分類の特徴
1)ステージとグレードの分類
2)臨床的に健康な歯周組織の定義
3)プロービング時の出血
4)「生物学的幅径」の「骨縁上組織付着」への変更
5)可逆性病態と不可逆性病態
2.歯肉病変
A プラーク性歯肉炎
B 非プラーク性歯肉炎
C 歯肉増殖
1)薬物性歯肉増殖症
2)遺伝性歯肉過形成(遺伝性歯肉線維腫症)
3.歯周炎
A 慢性歯周炎(成人性歯周炎)
B 侵襲性歯周炎
C 遺伝疾患に伴う歯周炎
4.壊死性歯周疾患
5.歯周組織の膿瘍
A 歯肉膿瘍
B 歯周膿瘍
6.歯周-歯内病変
7.歯肉退縮
A 歯肉退縮の原因
B 歯肉退縮の分類
1)Millerの分類
2)Cairoらの分類
3)Cairoらの分類とMillerの分類の比較
8.咬合性外傷
A 咬合性外傷と外傷性咬合
1)過度の咬合力
2)一次性咬合性外傷と二次性咬合性外傷
3)フレミタス
4)ブラキシズムまたは歯ぎしり
B 咬合性外傷の臨床的徴候・症状
C エックス線所見
D 咬合性外傷と歯周病の進行
9.歯周病の病理診断
5 骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(薬剤関連顎骨壊死:ビスホスホネート関連顎骨壊死)
1)壊死はなぜ顎骨にのみ発生するのか?
2)どのように骨吸収抑制薬関連顎骨壊死と診断するのか?
3)どのような臨床症状を表すのか?
4)骨吸収抑制薬関連顎骨壊死発生のリスクファクターは何か?
5)骨吸収抑制薬で治療中の患者に対する歯科治療における留意点は?
6 セメント質の病変
1.セメント質剥離
1)セメント質剥離とは?
2)セメント質剥離の臨床的特徴
3)セメント質剥離の臨床症状
4)組織学的好発部位
5)エックス線所見
6)早期発見のために
7)鑑別診断すべき疾患
8)セメント質剥離の外科的対応
2.セメント質増生
3.セメント粒
4.アンキローシス
7 根尖性骨性異形成症
第3章 歯周病と全身疾患
1 歯周病と全身疾患の関係
1.歯周病は全身病である
2.歯科処置と菌血症
A 菌血症
B 細菌の血管内侵入
2 心臓血管系疾患と歯周病
A 歯周病原性細菌は血管内に侵入するか?
B 心血管系疾患発症の予測因子
C Rossの傷害反応説
D 虚血性心疾患
3 誤嚥性肺炎と歯周病
1.高齢者の肺炎
A 不顕性誤嚥
B 誤嚥性肺炎の細菌
2.誤嚥性肺炎は口腔ケアによって予防できる
4 糖尿病と歯周病
A 糖尿病とは?
B ランゲルハンス島の細胞
C インスリンの機能
D インスリン抵抗性とは?
E 糖尿病の分類
F 糖尿病の診断
G 外科的処置の判断基準
H 糖尿病の症状
I 糖尿病の合併症
J 糖尿病と歯周病との関連
5 早産・低体重児出産と歯周病
A 妊娠と歯周病
B 炎症性物質と早産
6 肥満と歯周病
A リスク因子としての肥満
B 肥満の判定基準
C 肥満関連物質(アディポサイトカイン)と歯周病
7 消化器がんと歯周病
A 大腸がんと歯周病
B 食道がんと歯周病
第4章 歯周組織の再生
1 創傷治癒
1.創傷治癒の原則と肉芽組織
A 創傷治癒の原則と再生との違い
B 肉芽組織
C 創傷治癒の機序
D 創傷治癒における肉芽組織の形成
E 肉芽組織の線維化と結合組織の改造(リモデリング)
F 「不良肉芽」は適切な用語か?
G 肉芽組織と炎症の関係は?
H 更新性組織と安定性組織
2.治癒過程における上皮の役割
2 歯肉の再生
1.歯肉切除後の上皮の再生
A 歯肉切除後に上皮はどのように再生するのか?
B 再生上皮の微細構造
2.再生上皮と接着性タンパク質の発現
3.歯肉溝の環境と上皮の角化
3 歯槽骨,セメント質,歯根膜の再生
1.歯周組織の再生における歯根膜の役割
A 歯根窩洞形成実験
B オートラジオグラフィー
C 間葉系幹細胞の増殖と分化
2.歯根膜細胞の硬組織形成能
A 歯根膜の移植実験
B 歯根膜の培養実験
3.骨誘導タンパク質
4.骨誘導と骨伝導
A 骨誘導
B 骨伝導
5.Melcherの仮説とGTR
A Melcherの仮説
B GTR(guided tissue regeneration)
C 非吸収性膜と吸収性膜
6.エムドゲイン(R)
A エムドゲインとは?
B エムドゲインの期待される作用
7.エナメルタンパク質
A エナメルタンパク質とその特性
B エナメル基質の酵素
8.リグロス(R)(FGF-2)
A リグロスとは?
B 作用機序
C リグロス使用上の注意
9.歯周組織再生に関与する成長因子,分化因子
4 長い付着上皮
1.長い付着上皮による上皮性付着
2.長い付着上皮には歯肉溝滲出液による防御機構は存在するか?
3.一度形成された長い付着上皮の短小化
A 上皮性付着から結合組織性付着への置換
B 長い付着上皮のターンオーバー
4.歯周基本治療による上皮性付着の結合組織性付着への置換
5.なぜ長い付着上皮は短くなるのか?
6.長い付着上皮の接着装置
A ラミニン,インテグリンの発現
B インテグリンα3の発現が弱い意味
7.再生上皮と4-METAレジン
A 健常歯肉上皮の4-METAレジンに対する反応
B 再生上皮とレジン界面における接着性タンパク質
C 4-METAレジンパック除去による接着性タンパク質の変化
第5章 臨床的考察
Q1─付着上皮のターンオーバー時間が非常に早いことは臨床的にどのような意味があるのか?
Q2─歯肉溝滲出液の検査から何がわかるのか?
Q3─付着上皮の歯との接着の臨床的意義は何か?
Q4─長い付着上皮による上皮性付着の臨床的意義は何か?
Q5─長い付着上皮による上皮性付着を臨床的に確認するには?
Q6─横口蓋ヒダは何のために存在するのか?
Q7─メラニンはどのようにして歯肉に発現するのか?
Q8─歯肉結合組織(歯肉固有層:歯槽上線維装置)の臨床的な意義は何か?
Q9─セメント質が吸収されにくいのはなぜか?
Q10─細胞性セメント質と無細胞性セメント質との違いは何か?
Q11─セメント質の添加はなぜ起きるか?
Q12─プラークフリーゾーンは何を意味するか?
Q13─歯肉の色や形は病態を反映しているか?
Q14─歯肉鞍部(コル)は歯肉炎の好発部位か?
Q15─歯肉縁上プラークをコントロールすると歯肉縁下プラークは増えないか?
Q16─プロービングによって付着上皮は剥がれるか?
Q17─プロービングによって生じた上皮間亀裂は修復するのか?
Q18─上皮性付着が起きるのは上皮細胞の侵入のスピードが早いためか?
Q19─応力によって骨増生は起きるか?
Q20─なぜ突然の歯肉退縮が引き起こされるのか?
Q21─歯頸部楔状欠損はどうしてできるのか?
Q22─ルートプレーニングはどこまで行えばいいのか?
Q23─歯科臨床研究をどのように再評価するか?
Q24─コクラン・ライブラリーとは?
Q25─4-METAレジンパックの臨床的意義は何か?
Q26─有髄歯と無髄歯とでは歯槽骨,セメント質,歯根膜の再生に差があるのか?
Q27─エムドゲインとGTR,どちらが効果的か?
Q28─歯肉退縮に対する根面被覆のための有効な術式は何か?
Q29─クリーピングアッタチメントはどうして起きるのか?
Q30─糖尿病患者に対する歯周治療はどうすればよいか?
Q31─抜歯後の歯槽骨吸収を防ぐ方法はあるか?
Q32─シルバーポイントが入る歯と歯肉の間の隙間はどうなっているのか?
Q33─骨欠損部における骨の再生が,欠損部周辺からブリッジ状に形成されるのはなぜか?
Q34─治癒に影響を及ぼす因子,特に上皮細胞,骨芽細胞,歯根膜由来細胞が増殖する際に影響する因子は何か?
Q35─細胞の増殖・分化に毛細血管由来の酸素分圧が関与するか?
Q36─酸素分圧の観点からは血流が重要だが,組織の治癒の過程で,酸素はどのように供給されているのか?
Q37─リグロスにおいても骨欠損が大きい場合,リグロス単独よりも補填材の併用のほうが有利か?
Q38─ソケットリフトの際,上顎洞粘膜にリグロス単独を作用させたら,骨が上顎洞内にできたが,偶然か?
Q39─エンド病変では不良肉芽は除去しなくても根管内の感染源を除去すれば病変は治癒するが,ペリオ病変ではSRPや不良肉芽を除去しないと治癒しないのはなぜか?
Q40─SRP後の治癒形態も長い上皮性付着という理解でよいか?
Q41─歯の移植の失敗にアンキローシスや炎症性歯根吸収があるが,セメント質や歯根膜の除去が歯根吸収に影響しているのではないのか?
第II編 象牙質・歯髄複合体
第6章 象牙質・歯髄複合体という考え方
第7章 構造,発生と機能
1 象牙質・歯髄複合体の構造
1.象牙質形成
2.象牙質の構造
A 象牙細管
B 管周象牙質
C 管間象牙質
D 硬化象牙質
E 球間象牙質
F 成長線
G トームス顆粒層
H セメント-象牙境
3.歯髄の構造
4.歯髄を構成する細胞
A 象牙芽細胞
1)細胞間結合装置
B 線維芽細胞
C 間葉系幹細胞
D マクロファージ
E 樹状細胞
5.歯髄の血管
6.歯髄の神経
A 歯髄神経の分布
B Aβ線維,Aδ線維,C線維
2 象牙質・歯髄複合体の発生
1.歯乳頭に由来する象牙質および歯髄
2.歯の発生過程におけるシグナル伝達
3.象牙芽細胞の分化
3 象牙質・歯髄複合体の機能
1.象牙質の特性
2.歯冠象牙質と歯根象牙質
3.石灰化の制御
4.象牙質の透過性
5.刺激の種類と象牙細管内液の移動
6.歯の痛み
A 感覚の種類
B 痛みとは?
C 適刺激と痛覚
D 痛みの分類
E 侵害受容器とは?
F 歯の痛みのメカニズム
G 象牙質・歯髄複合体における神経
H Aβ線維とプリペイン
I 動水力学説から感覚受容複合体説へ
第8章 象牙質・歯髄複合体の病態
1 修復処置によって引き起こされる象牙質・歯髄複合体の病態
1.切削による変化
A 切削による摩擦熱
B 切削による細管内液の移動
C スメア層・スメアプラグの形成
D 循環障害と炎症
E 第三象牙質形成
2.エッチングによる変化
3.修復材料の影響
A 修復材料自体の影響
B 微小漏洩による影響
C ハイブリッド層(樹脂含浸層)
4.局所麻酔による歯髄の変化
2 象牙質知覚過敏症
3 象牙質・歯髄複合体の退行性病変
1.歯髄の変性
A 空胞変性
B 硝子様変性
C 石灰変性
D アミロイド変性
E 脂肪変性
F 色素変性
2.歯髄の萎縮
A 網様萎縮
B 変性萎縮
3.歯根吸収
A 歯根吸収の分類
B 歯根吸収の一般的組織特徴
1)破骨細胞
2)破歯細胞
C 歯根内部吸収
D 歯根外部吸収
1)外部性炎症性吸収
2)外部性歯頸部性吸収
3)置換性歯根吸収(アンキローシス)
4)圧迫性歯根吸収
5)歯根表面吸収
6)一過性根尖破壊
4 象牙質・歯髄複合体の創傷治癒
1.第二および第三象牙質
2.デンティンブリッジ(象牙質橋)
3.不整象牙質(不正象牙質)
4.象牙質粒(瘤)
5.化生
5 歯髄の炎症
1.原因
A 細菌性因子
B 物理的因子
C 化学的因子
D 神経的因子
2.細菌感染の経路
A 齲蝕病巣からの感染
B 根尖孔からの感染
C 血行性感染
3.分類と経過
A 歯髄炎の分類
B 歯髄炎の経過─ドミノ理論─
C 歯髄炎の分子制御
4.歯髄充血
5.急性歯髄炎
A 急性単純性(漿液性)歯髄炎
B 急性化膿性歯髄炎
C 上行性歯髄炎
6.慢性歯髄炎
A 慢性潰瘍性歯髄炎
B 慢性増殖性歯髄炎
C 慢性閉鎖性歯髄炎
7.歯髄壊死
A 歯髄壊死の特徴
B 壊死歯髄の細菌
8.歯髄壊疽
6 歯髄および根尖病変の臨床的分類
1.歯髄疾患
A 正常歯髄
B 歯髄炎
1)可逆性歯髄炎
2)不可逆性歯髄炎
C 歯髄壊死
D 既処置歯髄
E かつて治療を始めた歯髄
2.根尖病変
A 正常根尖組織
B 根尖性歯周炎
C 急性根尖膿瘍
D 慢性根尖膿瘍
3.関連痛
7 根尖性歯周炎
1.特徴
2.原因
3.細菌の役割
4.細菌の有害因子
5.混合細菌による日和見感染
6.特定の細菌の存在と臨床症状との関係
7.根尖部歯周組織における細菌
8.根尖性歯周炎の変化
A 炎症性細胞の集積と増殖
B 組織破壊
C 歯内療法によるフレアアップ
D 根管閉塞
E 硬化性骨炎
F 歯根肉芽腫と歯根嚢胞
G 根尖性歯周炎(根尖病変)の免疫病理
H 根尖病変に類似した病変
1)根尖性セメント質骨性異形成症
第9章 象牙質・歯髄複合体の治癒
1 歯髄の創傷治癒を規制している因子
2 刺激に対する歯髄の応答
1.象牙質形成
2.修復象牙質形成と反応性象牙質形成
3.象牙質形成におけるナトリウム・カルシウム交換体とTRPVチャネルの働き
4.歯髄神経の再生
3 歯髄鎮静療法と治癒
4 覆髄法と治癒
1.直接覆髄法
2.間接覆髄法
5 歯髄切断法と治癒
1.生活歯髄切断法
2.失活歯髄切断法
6 デンティンブリッジを形成する新生象牙芽細胞の起源
7 無菌飼育ラットにおけるデンティンブリッジ形成
8 移植実験からみた歯髄の象牙質形成能
9 培養条件下における歯髄の分化能
10 MTA
1.MTAとは
2.MTAの組成
3.MTAの特性
4.臨床応用
5.病理学的所見
11 接着性レジンに対する歯髄の反応
1.歯髄の治癒能力
2.4-METAレジンの細胞増殖への影響
3.4-METAレジンの細胞毒性試験
4.イヌ歯髄への4-METAレジンの影響
5.軟組織ハイブリッド層(樹脂含浸層)
6.ヒト歯髄への影響
7.4-METAレジン応用による歯髄神経の再生
12 抜髄後の治癒
13 根管治療と治癒
1.根管治療後の治癒変化
2.根尖(歯根端)切除術に伴う組織変化
A 軟組織の創傷治癒
1)滲出期(炎症期)(〜5日)
2)増殖期(3〜7日)
3)成熟期(5〜112日)
B 硬組織の創傷治癒
14 根未完成歯の根管処置
1)アペキソゲネーシス
2)アペキシフィケーション
3)リバスクラリゼーション(再生歯内療法)
第10章 リバスクラリゼーション(再生歯内療法)
1 リバスクラリゼーション(再生歯内療法)の臨床
1.背景・名称など
2.リバスクラリゼーションの臨床的特徴
A 年齢
B 拡大した根尖孔
C 根管壁の機械的拡大
D 歯髄の診断
1)歯髄電気診
2)温度診
3)切削診
4)その他の方法
3.リバスクラリゼーションの基本的治療
1)症例の選択とインフォームドコンセント
2)第1回目の処置
3)第2回目の処置
4.リバスクラリゼーションの臨床的課題
A 根管内の滅菌・消毒薬
1)細菌の象牙細管内への侵入
2)リバスクラリゼーションの効果的薬剤
B 意図的出血
1)血餅
2)血小板
3)足場
4)局所麻酔薬
C 歯冠側封鎖
2 リバスクラリゼーション(再生歯内療法)の病理
1.リバスクラリゼーション後の治癒過程
2.再生と修復
3.リバスクラリゼーションによって形成される組織の本体
4.リバスクラリゼーション後の治癒
1)リバスクラリゼーション後に象牙質は再生されるか?
2)リバスクラリゼーション後に根管が狭窄し,歯根長が伸びるのはなぜ?
3)リバスクラリゼーションの病理学的考察のまとめ
3 リバスクラリゼーション(再生歯内療法)の課題と可能性
1.幹細胞
1)幹細胞とは
2)胚性幹細胞と組織幹細胞
3)胚性幹細胞(ES細胞)と人工多能性幹細胞(iPS細胞)
4)間葉系幹細胞
5)口腔領域の組織幹細胞
6)歯根尖幹細胞とリバスクラリゼーション
7)歯根形成におけるヘルトヴィッヒ上皮鞘の役割
8)意図的出血と幹細胞の放出
9)根未完成歯の移植と血管形成
2.成長因子
3.足場
第11章 臨床的考察
Q1─壊死歯髄に感覚はあるのか?
Q2─歯髄電気診の結果をどのように判断すればよいか?
Q3─DAMTとは何か?
Q4─3Mixの利点と欠点は何か?
Q5─間葉とは何か? どのように発生するのか?
Q6─接着性レジンは象牙質とどのように接着しているのか?
Q7─接着性レジンは硬化象牙質に接着しにくいといわれているが,臨床的にどのように対応すべきか?
Q8─熱いものや冷たいもので歯がしみるのはなぜか?
Q9─なぜ歯髄は低酸素状態でも生きられるのか?
Q10─なぜ歯髄細胞は熱刺激に対して強いのか?
Q11─象牙質知覚過敏症の治療にはどのような方法があるか?
Q12─象牙質知覚過敏抑制のための歯磨剤にはどのようなものがあるか?
Q13─レジン系・グラスアイオノマー系象牙質知覚過敏抑制材にはどのようなものがあるか?
Q14─加齢に伴って,なぜ歯髄腔は狭窄するのか?
Q15─トウガラシが歯痛の治療に使われたのは本当か?
Q16─ユージノールが鎮静効果を発揮するわけは?
Q17─根管治療をしても治癒が困難な症例とはどのようなものか?
Q18─歯根嚢胞の上皮成分はどこから生じるのか?
Q19─なぜ歯根嚢胞はゆっくり成長するのか?
Q20─特発性歯痛(非定型歯痛を含む)とは?
Q21─根管治療と歯根破折の関連は?
Q22─なぜデンティンブリッジには多数の穴があいているのか?
Q23─歯内療法は矯正治療による歯根吸収の進行を止めることができるか?
第III編 移植・再植・歯の移動
第12章 歯の移植・再植
1 歯根膜の特性
1)歯根膜の幅径
2)歯根膜の線維芽細胞
3)マラッセ上皮遺残
4)歯根膜のコラーゲン
2 歯根膜の機能
1)栄養
2)再生・恒常性
3 外科的侵襲の意義
4 歯根表面歯根膜の特性
5 再生歯根膜の構成細胞
6 歯根膜におけるマラッセ上皮遺残の機能
7 アンキローシスと歯根膜
8 成長因子(増殖因子)
9 歯に付着した歯根膜が歯槽骨を作る
10 歯根表面には約55%の歯根膜が付着している
11 再植歯根膜の細胞増殖とアポトーシス
12 移植・再植後の創傷治癒
1)移植・再植直後〜1日後
2)移植・再植3〜5日後
3)移植・再植1週後
4)移植・再植2週後
5)移植・再植3週以降
13 移植・再植の臨床
14 移植・再植歯歯根膜の保存液
1.移植・再植歯歯根膜の保存には何がよいか?
1)牛乳と卵白
2)各種の保存液
2.移植・再植歯歯根膜の保存液に関する最新トピックス
1)新しい歯根膜保存液としてのHTK液
2)国際蘇生連絡協議会応急処置特別委員会代表の包括的総説
15 Bio-implant
1.不死化細胞シートの応用
1)実験方法
2)結果
3)結論
2.歯小嚢の分離
1)実験方法
2)結果
3)結論
3.成熟動物歯根膜組織の応用
第13章 矯正学的歯の移動
1 歯の移動の時間,移動量,組織反応
2 弱い力と強い力の組織反応
1.歯の移動の時間的経過
2.強い力による壊死:まとめ
3 歯根膜の壊死を引き起こす矯正力
4 最適矯正力
5 歯周組織のリモデリングを助けるアポトーシス
6 臨床的移動様式と最適矯正力
7 垂直方向への歯の移動
8 歯根膜の幅が一定に維持される機序
第14章 歯の萌出に伴う歯の移動
1 歯の萌出のメカニズム
1.骨のリモデリング説
2.歯根形成説
3.血管圧説
4.歯根膜の牽引力説
2 歯根膜の牽引力はどのようにして生まれるのか?
3 歯の萌出に関与する因子
4 歯の萌出とアポトーシス
5 萌出後の歯の生理的移動
6 歯の萌出と歯導帯(導帯管)
7 萌出後の異常な歯の移動
8 歯周炎に伴う病的移動
9 咬合圧と歯根膜の恒常性
第15章 臨床的考察
Q1─歯の自家移植よりも再植のほうがアンキローシスを起こしやすいのはなぜか?
Q2─移植歯が歯肉結合組織によって囲まれると吸収するのか?
Q3─歯の移動からみると歯槽骨にはどのような特性があるか?
Q4─移植歯歯根膜内に神経は再生するか?
Q5─ジグリングフォースによって歯根膜内細胞はどのように変化するのか?
Q6─どの程度の力を加えると歯根膜は壊死するのか?
Q7─矯正力と外傷性咬合力に違いはあるか?
Q8─矯正力によって歯周病は起きるか?
Q9─成人患者への矯正治療で留意すべきことは何か?
第IV編 インプラント
第16章 インプラント周囲組織
1 健康なインプラント周囲組織の定義と特徴
2 歯周組織とインプラント周囲組織の違い
3 上皮組織(インプラント周囲上皮)
1.インプラント周囲上皮の防御機構
A MCG(セラミド)による生理学的透過性関門
B 細胞増殖によるターンオーバー
C インプラント周囲上皮の接着能
D インプラント周囲上皮と付着上皮の違い
E インプラント周囲の血管
4 結合組織(インプラント周囲結合組織)
5 骨組織
A 緻密骨と海綿骨
B オッセオインテグレーション
C 無定形構造物
第17章 インプラント周囲疾患
1 健康なインプラント周囲組織
2 インプラント周囲粘膜炎
A インプラント周囲粘膜炎の定義
B 健康なインプラント周囲組織からインプラント周囲粘膜炎への変換
C インプラント周囲粘膜炎の可逆性
D 長期に及ぶインプラント周囲粘膜炎─実験的インプラント周囲粘膜炎と慢性インプラント周囲粘膜炎
E 歯肉炎とインプラント周囲粘膜炎の類似点・相違点
F インプラント周囲粘膜炎リスク因子(指標)
1)一般的リスク因子(指標)
2)局所的リスク因子(指標)
3 インプラント周囲炎
A インプラント周囲炎の定義
B インプラント周囲粘膜炎からインプラント周囲炎への変換
C 疾患進行の開始と形式
1)実験的インプラント周囲炎の進行
2)インプラント周囲炎の発症と進行に関する臨床的研究
D インプラント周囲炎の特徴
1)病理組織学的特徴
2)微生物学的・免疫学的特徴
3)臨床的特徴
4)リスク因子(指標)
E インプラント周囲炎における丼状骨欠損
F インプラント周囲炎の特徴:まとめ
第18章 インプラントの治癒
1 骨のリモデリングと骨形成
2 リモデリングにおける骨細胞と骨ライニング(被覆)細胞の役割
3 骨リモデリングのプロセス
4 遠隔骨形成と接触骨形成
A 遠隔骨形成
B 接触骨形成
5 骨細胞の制御
6 骨代謝に影響を及ぼす因子
A コレステロールと脂肪酸
B ビタミンD
C 高血糖
7 骨折の治癒
8 インプラント周囲骨の治癒
A インプラント周囲骨の治癒過程
1)インプラント埋入による生体反応期
2)骨伝導期─接触骨形成への鍵
3)骨の新生期
4)骨のリモデリング
B インプラント周囲骨のリモデリング
第19章 リモデリング機序の破綻
1 過剰なインプラントトルクの骨治癒への影響─インプラント埋入時の骨の生物学
2 インプラント・アバットメント界面の微小ギャップ
3 荷重と骨リモデリング
4 咬合性外傷とインプラント
5 骨およびインプラント周囲骨の破壊と再生におけるマクロファージの役割
A 骨のマクロファージ
B マクロファージの極性─M1,M2表現型
6 インプラントと異物処理─生体親和性の高いインプラント材料は異物処理されるか?
A 異物処理機転─古典的説明
B 異物処理の平衡状態とは?─Albrektssonらによる見解は正しいか?
C マクロファージと異物処理機転
7 インプラント周囲骨のエックス線不透過像
第20章 インプラントの課題と対応
1 チタンアレルギー
2 ジルコニアインプラントの特徴
3 ジルコニアインプラントの課題
4 ジルコニアインプラントの上皮との接着
第21章 インプラント治療後の維持管理
1 インプラントのメインテナンス(インプラント支持療法)
A インプラント周囲組織の維持管理
B インプラント補綴装置のメインテナンス
C インプラント周囲粘膜炎,インプラント周囲炎への対応
1)対応の基準
2)疾患別対処法
2 インプラント支持療法
A 累積的防御療法
B 累積的防御療法のプロトコール
C 累積的防御療法の進展
第22章 臨床的考察
Q1─インプラント周囲粘膜炎の臨床的特徴は何か?
Q2─インプラント周囲粘膜炎は治療できるか?
Q3─インプラント周囲炎の臨床的特徴は何か?
Q4─インプラント周囲粘膜炎がインプラント周囲炎の前駆疾患であるとするエビデンスは何か?
Q5─インプラント周囲炎の最も重要なリスク因子は何か?
Q6─インプラント埋入部位に硬組織および軟組織の欠損が生じる主な原因は何か?
Q7─「インプラント周囲組織は健康である」と診断するためにはどのような臨床的基準を使えばよいのか?
Q8─どのような臨床的症状があれば「インプラント周囲粘膜炎である」と診断できるのか?
Q9─日常の歯科臨床のなかで,どのようにしてインプラント周囲炎の症例を位置づけたらよいのか?
Q10─上顎洞の形態を決めている因子は何か,またその機能は?
Q11─即時型インプラント埋入法と遅延型インプラント埋入法によって,インプラント周囲上皮の特徴に違いはあるのか?
Q12─インプラント埋入部に大量の骨組織が必要だが,骨を作るためにはどのような条件が必要か?
Q13─PRPとは何か?
Q14─PRFはメンブレンの代わりに使えるのか?
Q15─移植材として,Bio-Oss,DFDBA,FDBA,GEM21,β-TCP,自家骨海綿骨,自家骨緻密骨などがあるが,推奨されるのはどれか?
Q16─Bio-Ossにも種類があるが,どのように使い分けすればいいのか?
Q17─インプラントの臨床的効果は評価できるか?
Q18─インプラントの抜歯即時埋入の場合,人工骨などを移植しなくても血餅さえ保持されれば骨が形成されると考えてよいのか?
Q19─力によるインプラント周囲炎の実験モデルはあるか?
Q20─インプラント付着上皮はヘミデスモゾーム結合によりインプラントと接着しているが,歯ブラシを過度な力で歯肉に当てると,ヘミデスモゾーム結合が壊れることがあるのではないか?
Q21─インプラントのメインテナンスでのプロービングによってヘミデスモゾーム結合を壊してしまうことはないのか?
索引
第I編 歯周疾患
第1章 歯周組織の構造と機能
1 歯肉の構造と機能
1.歯肉の構造
A 歯肉上皮
1)歯肉口腔上皮
2)歯肉溝上皮
3)付着(接合)上皮
B 歯肉結合組織(歯肉固有層)
1)歯槽上線維装置
C 歯肉の血管
D 歯肉の神経
2.歯肉の発生
A 歯の発生
B エナメル質・象牙質の形成
C 顎骨の吸収とアポトーシス
D 縮合エナメル上皮の口腔上皮との癒合,そしてアポトーシス
E 歯肉の発生─縮合エナメル上皮から付着上皮への変化
F 歯肉の加齢変化
3.歯肉の機能
A 歯の位置的安定性の維持
B 防御機構(生理学的透過性関門)
1)傍細胞経路と経細胞経路
2)上皮の物質通過経路
3)口腔粘膜における透過性関門
4)角化上皮と非角化上皮の透過性関門
5)付着上皮に防御機構はあるか?
6)付着上皮にMCGは存在するか?
7)付着上皮細胞は貪食能をもっているか?
8)歯肉溝滲出液はどこからくるか?
9)歯肉溝滲出液の構成成分
10)口腔粘膜上皮のタイト結合構成タンパク質
11)ディフェンシン
C 恒常性維持(高いターンオーバー率)
D 歯との接着機構(粘膜表面のシール,基底板の形成)
1)外側基底板の構造と構成成分
2)ヘミデスモゾームの構造と構成成分
3)ラミニン-5(332)やインテグリンα6β4はどこで作られるのか?
4)内側基底板の構成成分は外側基底板の構成成分と同じか?
5)付着上皮の内側基底板には大量のラミニンが発現している
6)ラミニンとインテグリンは細胞接着のみならず細胞移動にも関与している
7)DAT細胞は動くのか?
8)細胞移動と接着の過程で,ラミニン分子とインテグリン分子が変化する
9)付着上皮は接着しながら移動する
E 非分化状態の維持(非角化)
1)歯肉上皮細胞のサイトケラチンの分布
2)4-METAレジンと再生上皮の分化
F 白血球遊走のための通路(拡大した細胞間隙)
1)細胞間隙の拡大
2)デスモゾームの構造と機能
G 機械的圧力から歯肉組織を守る保護機構
H 生物学的幅径(骨縁上組織付着:骨縁上付着組織)
1)生物学的幅径とは?
2)「骨縁上組織付着(生物学的幅径)」の歴史的経緯
3)修復物のマージンと骨縁上組織付着
4)骨縁上組織付着に影響を与える審美歯科治療
5)矯正的圧下移動と骨縁上組織付着
6)補綴装置マージンに関するWorld Workshop 2017の見解
2 歯槽骨の構造と機能
1.歯槽骨の構造
2.歯槽骨の化学組成
3.歯槽骨の細胞
A 骨芽細胞
1)骨芽細胞の分化・発生と転写因子(Cbfa-1とOsx)
2)骨芽細胞の成熟に伴う増殖と分化の相関
B 骨細胞
C 破骨細胞
1)破骨細胞の分化
4.歯槽骨の機能
A 骨のリモデリング
3 セメント質の構造と機能
1.セメント質の構造
A セメント質の細胞
1)セメント芽細胞
2)セメント細胞
3)破セメント細胞(破歯細胞)
B セメント質の線維
C セメント質の非コラーゲン性タンパク質
D セメント質に特有のタンパク質は存在するか?
2.セメント質の分類
3.セメント質の機能
4 歯根膜の構造と機能
1.歯根膜の構造
A 歯根膜の幅径
B 歯根膜を構成する成分
1)歯根膜の細胞成分
2)マラッセ上皮遺残はどのようにしてヘルトヴィッヒ上皮鞘の細胞から変化するのか?
3)ヘルトヴィッヒ上皮鞘の細胞はアポトーシスを起こすか?
4)歯根膜の細胞外質
5)その他
2.歯根膜の機能
1)支持
2)感覚
3)栄養
4)恒常性
5)再生
第2章 歯周組織の病態
1 歯周病の概念と疫学
1.歯周炎の発症・進行過程
2.実験的歯周炎の発症
3.歯周病の罹患率
2 歯周病の病因
A 細菌因子
B 宿主因子
C 環境因子
3 歯周炎の発症と進行のメカニズム
1.歯周病原性細菌の特性
A 歯周病原性細菌とは?
B 歯肉縁上プラークの形成
C 歯肉縁上プラークと歯肉縁下プラーク
D 歯周病原性細菌
E 細菌の蓄積
F 細菌性タンパク質分解酵素
G 内毒素(リポ多糖体)
2.歯周病進行の病理学的機構
A 循環障害と滲出
B ケミカルメディエーター(化学伝達物質)
C 好中球の遊走
D 炎症性細胞
E 接着分子
F 好中球の貪食能
G 免疫応答
H サイトカイン
I タンパク質分解酵素と分解抑制物質
3.歯周組織の破壊
A 結合組織の破壊
B 歯周ポケットの形成
C 歯槽骨吸収
4 歯周病の病態と病理診断
1.2018年のAAP/EFPによる新分類
A 新分類の特徴
1)ステージとグレードの分類
2)臨床的に健康な歯周組織の定義
3)プロービング時の出血
4)「生物学的幅径」の「骨縁上組織付着」への変更
5)可逆性病態と不可逆性病態
2.歯肉病変
A プラーク性歯肉炎
B 非プラーク性歯肉炎
C 歯肉増殖
1)薬物性歯肉増殖症
2)遺伝性歯肉過形成(遺伝性歯肉線維腫症)
3.歯周炎
A 慢性歯周炎(成人性歯周炎)
B 侵襲性歯周炎
C 遺伝疾患に伴う歯周炎
4.壊死性歯周疾患
5.歯周組織の膿瘍
A 歯肉膿瘍
B 歯周膿瘍
6.歯周-歯内病変
7.歯肉退縮
A 歯肉退縮の原因
B 歯肉退縮の分類
1)Millerの分類
2)Cairoらの分類
3)Cairoらの分類とMillerの分類の比較
8.咬合性外傷
A 咬合性外傷と外傷性咬合
1)過度の咬合力
2)一次性咬合性外傷と二次性咬合性外傷
3)フレミタス
4)ブラキシズムまたは歯ぎしり
B 咬合性外傷の臨床的徴候・症状
C エックス線所見
D 咬合性外傷と歯周病の進行
9.歯周病の病理診断
5 骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(薬剤関連顎骨壊死:ビスホスホネート関連顎骨壊死)
1)壊死はなぜ顎骨にのみ発生するのか?
2)どのように骨吸収抑制薬関連顎骨壊死と診断するのか?
3)どのような臨床症状を表すのか?
4)骨吸収抑制薬関連顎骨壊死発生のリスクファクターは何か?
5)骨吸収抑制薬で治療中の患者に対する歯科治療における留意点は?
6 セメント質の病変
1.セメント質剥離
1)セメント質剥離とは?
2)セメント質剥離の臨床的特徴
3)セメント質剥離の臨床症状
4)組織学的好発部位
5)エックス線所見
6)早期発見のために
7)鑑別診断すべき疾患
8)セメント質剥離の外科的対応
2.セメント質増生
3.セメント粒
4.アンキローシス
7 根尖性骨性異形成症
第3章 歯周病と全身疾患
1 歯周病と全身疾患の関係
1.歯周病は全身病である
2.歯科処置と菌血症
A 菌血症
B 細菌の血管内侵入
2 心臓血管系疾患と歯周病
A 歯周病原性細菌は血管内に侵入するか?
B 心血管系疾患発症の予測因子
C Rossの傷害反応説
D 虚血性心疾患
3 誤嚥性肺炎と歯周病
1.高齢者の肺炎
A 不顕性誤嚥
B 誤嚥性肺炎の細菌
2.誤嚥性肺炎は口腔ケアによって予防できる
4 糖尿病と歯周病
A 糖尿病とは?
B ランゲルハンス島の細胞
C インスリンの機能
D インスリン抵抗性とは?
E 糖尿病の分類
F 糖尿病の診断
G 外科的処置の判断基準
H 糖尿病の症状
I 糖尿病の合併症
J 糖尿病と歯周病との関連
5 早産・低体重児出産と歯周病
A 妊娠と歯周病
B 炎症性物質と早産
6 肥満と歯周病
A リスク因子としての肥満
B 肥満の判定基準
C 肥満関連物質(アディポサイトカイン)と歯周病
7 消化器がんと歯周病
A 大腸がんと歯周病
B 食道がんと歯周病
第4章 歯周組織の再生
1 創傷治癒
1.創傷治癒の原則と肉芽組織
A 創傷治癒の原則と再生との違い
B 肉芽組織
C 創傷治癒の機序
D 創傷治癒における肉芽組織の形成
E 肉芽組織の線維化と結合組織の改造(リモデリング)
F 「不良肉芽」は適切な用語か?
G 肉芽組織と炎症の関係は?
H 更新性組織と安定性組織
2.治癒過程における上皮の役割
2 歯肉の再生
1.歯肉切除後の上皮の再生
A 歯肉切除後に上皮はどのように再生するのか?
B 再生上皮の微細構造
2.再生上皮と接着性タンパク質の発現
3.歯肉溝の環境と上皮の角化
3 歯槽骨,セメント質,歯根膜の再生
1.歯周組織の再生における歯根膜の役割
A 歯根窩洞形成実験
B オートラジオグラフィー
C 間葉系幹細胞の増殖と分化
2.歯根膜細胞の硬組織形成能
A 歯根膜の移植実験
B 歯根膜の培養実験
3.骨誘導タンパク質
4.骨誘導と骨伝導
A 骨誘導
B 骨伝導
5.Melcherの仮説とGTR
A Melcherの仮説
B GTR(guided tissue regeneration)
C 非吸収性膜と吸収性膜
6.エムドゲイン(R)
A エムドゲインとは?
B エムドゲインの期待される作用
7.エナメルタンパク質
A エナメルタンパク質とその特性
B エナメル基質の酵素
8.リグロス(R)(FGF-2)
A リグロスとは?
B 作用機序
C リグロス使用上の注意
9.歯周組織再生に関与する成長因子,分化因子
4 長い付着上皮
1.長い付着上皮による上皮性付着
2.長い付着上皮には歯肉溝滲出液による防御機構は存在するか?
3.一度形成された長い付着上皮の短小化
A 上皮性付着から結合組織性付着への置換
B 長い付着上皮のターンオーバー
4.歯周基本治療による上皮性付着の結合組織性付着への置換
5.なぜ長い付着上皮は短くなるのか?
6.長い付着上皮の接着装置
A ラミニン,インテグリンの発現
B インテグリンα3の発現が弱い意味
7.再生上皮と4-METAレジン
A 健常歯肉上皮の4-METAレジンに対する反応
B 再生上皮とレジン界面における接着性タンパク質
C 4-METAレジンパック除去による接着性タンパク質の変化
第5章 臨床的考察
Q1─付着上皮のターンオーバー時間が非常に早いことは臨床的にどのような意味があるのか?
Q2─歯肉溝滲出液の検査から何がわかるのか?
Q3─付着上皮の歯との接着の臨床的意義は何か?
Q4─長い付着上皮による上皮性付着の臨床的意義は何か?
Q5─長い付着上皮による上皮性付着を臨床的に確認するには?
Q6─横口蓋ヒダは何のために存在するのか?
Q7─メラニンはどのようにして歯肉に発現するのか?
Q8─歯肉結合組織(歯肉固有層:歯槽上線維装置)の臨床的な意義は何か?
Q9─セメント質が吸収されにくいのはなぜか?
Q10─細胞性セメント質と無細胞性セメント質との違いは何か?
Q11─セメント質の添加はなぜ起きるか?
Q12─プラークフリーゾーンは何を意味するか?
Q13─歯肉の色や形は病態を反映しているか?
Q14─歯肉鞍部(コル)は歯肉炎の好発部位か?
Q15─歯肉縁上プラークをコントロールすると歯肉縁下プラークは増えないか?
Q16─プロービングによって付着上皮は剥がれるか?
Q17─プロービングによって生じた上皮間亀裂は修復するのか?
Q18─上皮性付着が起きるのは上皮細胞の侵入のスピードが早いためか?
Q19─応力によって骨増生は起きるか?
Q20─なぜ突然の歯肉退縮が引き起こされるのか?
Q21─歯頸部楔状欠損はどうしてできるのか?
Q22─ルートプレーニングはどこまで行えばいいのか?
Q23─歯科臨床研究をどのように再評価するか?
Q24─コクラン・ライブラリーとは?
Q25─4-METAレジンパックの臨床的意義は何か?
Q26─有髄歯と無髄歯とでは歯槽骨,セメント質,歯根膜の再生に差があるのか?
Q27─エムドゲインとGTR,どちらが効果的か?
Q28─歯肉退縮に対する根面被覆のための有効な術式は何か?
Q29─クリーピングアッタチメントはどうして起きるのか?
Q30─糖尿病患者に対する歯周治療はどうすればよいか?
Q31─抜歯後の歯槽骨吸収を防ぐ方法はあるか?
Q32─シルバーポイントが入る歯と歯肉の間の隙間はどうなっているのか?
Q33─骨欠損部における骨の再生が,欠損部周辺からブリッジ状に形成されるのはなぜか?
Q34─治癒に影響を及ぼす因子,特に上皮細胞,骨芽細胞,歯根膜由来細胞が増殖する際に影響する因子は何か?
Q35─細胞の増殖・分化に毛細血管由来の酸素分圧が関与するか?
Q36─酸素分圧の観点からは血流が重要だが,組織の治癒の過程で,酸素はどのように供給されているのか?
Q37─リグロスにおいても骨欠損が大きい場合,リグロス単独よりも補填材の併用のほうが有利か?
Q38─ソケットリフトの際,上顎洞粘膜にリグロス単独を作用させたら,骨が上顎洞内にできたが,偶然か?
Q39─エンド病変では不良肉芽は除去しなくても根管内の感染源を除去すれば病変は治癒するが,ペリオ病変ではSRPや不良肉芽を除去しないと治癒しないのはなぜか?
Q40─SRP後の治癒形態も長い上皮性付着という理解でよいか?
Q41─歯の移植の失敗にアンキローシスや炎症性歯根吸収があるが,セメント質や歯根膜の除去が歯根吸収に影響しているのではないのか?
第II編 象牙質・歯髄複合体
第6章 象牙質・歯髄複合体という考え方
第7章 構造,発生と機能
1 象牙質・歯髄複合体の構造
1.象牙質形成
2.象牙質の構造
A 象牙細管
B 管周象牙質
C 管間象牙質
D 硬化象牙質
E 球間象牙質
F 成長線
G トームス顆粒層
H セメント-象牙境
3.歯髄の構造
4.歯髄を構成する細胞
A 象牙芽細胞
1)細胞間結合装置
B 線維芽細胞
C 間葉系幹細胞
D マクロファージ
E 樹状細胞
5.歯髄の血管
6.歯髄の神経
A 歯髄神経の分布
B Aβ線維,Aδ線維,C線維
2 象牙質・歯髄複合体の発生
1.歯乳頭に由来する象牙質および歯髄
2.歯の発生過程におけるシグナル伝達
3.象牙芽細胞の分化
3 象牙質・歯髄複合体の機能
1.象牙質の特性
2.歯冠象牙質と歯根象牙質
3.石灰化の制御
4.象牙質の透過性
5.刺激の種類と象牙細管内液の移動
6.歯の痛み
A 感覚の種類
B 痛みとは?
C 適刺激と痛覚
D 痛みの分類
E 侵害受容器とは?
F 歯の痛みのメカニズム
G 象牙質・歯髄複合体における神経
H Aβ線維とプリペイン
I 動水力学説から感覚受容複合体説へ
第8章 象牙質・歯髄複合体の病態
1 修復処置によって引き起こされる象牙質・歯髄複合体の病態
1.切削による変化
A 切削による摩擦熱
B 切削による細管内液の移動
C スメア層・スメアプラグの形成
D 循環障害と炎症
E 第三象牙質形成
2.エッチングによる変化
3.修復材料の影響
A 修復材料自体の影響
B 微小漏洩による影響
C ハイブリッド層(樹脂含浸層)
4.局所麻酔による歯髄の変化
2 象牙質知覚過敏症
3 象牙質・歯髄複合体の退行性病変
1.歯髄の変性
A 空胞変性
B 硝子様変性
C 石灰変性
D アミロイド変性
E 脂肪変性
F 色素変性
2.歯髄の萎縮
A 網様萎縮
B 変性萎縮
3.歯根吸収
A 歯根吸収の分類
B 歯根吸収の一般的組織特徴
1)破骨細胞
2)破歯細胞
C 歯根内部吸収
D 歯根外部吸収
1)外部性炎症性吸収
2)外部性歯頸部性吸収
3)置換性歯根吸収(アンキローシス)
4)圧迫性歯根吸収
5)歯根表面吸収
6)一過性根尖破壊
4 象牙質・歯髄複合体の創傷治癒
1.第二および第三象牙質
2.デンティンブリッジ(象牙質橋)
3.不整象牙質(不正象牙質)
4.象牙質粒(瘤)
5.化生
5 歯髄の炎症
1.原因
A 細菌性因子
B 物理的因子
C 化学的因子
D 神経的因子
2.細菌感染の経路
A 齲蝕病巣からの感染
B 根尖孔からの感染
C 血行性感染
3.分類と経過
A 歯髄炎の分類
B 歯髄炎の経過─ドミノ理論─
C 歯髄炎の分子制御
4.歯髄充血
5.急性歯髄炎
A 急性単純性(漿液性)歯髄炎
B 急性化膿性歯髄炎
C 上行性歯髄炎
6.慢性歯髄炎
A 慢性潰瘍性歯髄炎
B 慢性増殖性歯髄炎
C 慢性閉鎖性歯髄炎
7.歯髄壊死
A 歯髄壊死の特徴
B 壊死歯髄の細菌
8.歯髄壊疽
6 歯髄および根尖病変の臨床的分類
1.歯髄疾患
A 正常歯髄
B 歯髄炎
1)可逆性歯髄炎
2)不可逆性歯髄炎
C 歯髄壊死
D 既処置歯髄
E かつて治療を始めた歯髄
2.根尖病変
A 正常根尖組織
B 根尖性歯周炎
C 急性根尖膿瘍
D 慢性根尖膿瘍
3.関連痛
7 根尖性歯周炎
1.特徴
2.原因
3.細菌の役割
4.細菌の有害因子
5.混合細菌による日和見感染
6.特定の細菌の存在と臨床症状との関係
7.根尖部歯周組織における細菌
8.根尖性歯周炎の変化
A 炎症性細胞の集積と増殖
B 組織破壊
C 歯内療法によるフレアアップ
D 根管閉塞
E 硬化性骨炎
F 歯根肉芽腫と歯根嚢胞
G 根尖性歯周炎(根尖病変)の免疫病理
H 根尖病変に類似した病変
1)根尖性セメント質骨性異形成症
第9章 象牙質・歯髄複合体の治癒
1 歯髄の創傷治癒を規制している因子
2 刺激に対する歯髄の応答
1.象牙質形成
2.修復象牙質形成と反応性象牙質形成
3.象牙質形成におけるナトリウム・カルシウム交換体とTRPVチャネルの働き
4.歯髄神経の再生
3 歯髄鎮静療法と治癒
4 覆髄法と治癒
1.直接覆髄法
2.間接覆髄法
5 歯髄切断法と治癒
1.生活歯髄切断法
2.失活歯髄切断法
6 デンティンブリッジを形成する新生象牙芽細胞の起源
7 無菌飼育ラットにおけるデンティンブリッジ形成
8 移植実験からみた歯髄の象牙質形成能
9 培養条件下における歯髄の分化能
10 MTA
1.MTAとは
2.MTAの組成
3.MTAの特性
4.臨床応用
5.病理学的所見
11 接着性レジンに対する歯髄の反応
1.歯髄の治癒能力
2.4-METAレジンの細胞増殖への影響
3.4-METAレジンの細胞毒性試験
4.イヌ歯髄への4-METAレジンの影響
5.軟組織ハイブリッド層(樹脂含浸層)
6.ヒト歯髄への影響
7.4-METAレジン応用による歯髄神経の再生
12 抜髄後の治癒
13 根管治療と治癒
1.根管治療後の治癒変化
2.根尖(歯根端)切除術に伴う組織変化
A 軟組織の創傷治癒
1)滲出期(炎症期)(〜5日)
2)増殖期(3〜7日)
3)成熟期(5〜112日)
B 硬組織の創傷治癒
14 根未完成歯の根管処置
1)アペキソゲネーシス
2)アペキシフィケーション
3)リバスクラリゼーション(再生歯内療法)
第10章 リバスクラリゼーション(再生歯内療法)
1 リバスクラリゼーション(再生歯内療法)の臨床
1.背景・名称など
2.リバスクラリゼーションの臨床的特徴
A 年齢
B 拡大した根尖孔
C 根管壁の機械的拡大
D 歯髄の診断
1)歯髄電気診
2)温度診
3)切削診
4)その他の方法
3.リバスクラリゼーションの基本的治療
1)症例の選択とインフォームドコンセント
2)第1回目の処置
3)第2回目の処置
4.リバスクラリゼーションの臨床的課題
A 根管内の滅菌・消毒薬
1)細菌の象牙細管内への侵入
2)リバスクラリゼーションの効果的薬剤
B 意図的出血
1)血餅
2)血小板
3)足場
4)局所麻酔薬
C 歯冠側封鎖
2 リバスクラリゼーション(再生歯内療法)の病理
1.リバスクラリゼーション後の治癒過程
2.再生と修復
3.リバスクラリゼーションによって形成される組織の本体
4.リバスクラリゼーション後の治癒
1)リバスクラリゼーション後に象牙質は再生されるか?
2)リバスクラリゼーション後に根管が狭窄し,歯根長が伸びるのはなぜ?
3)リバスクラリゼーションの病理学的考察のまとめ
3 リバスクラリゼーション(再生歯内療法)の課題と可能性
1.幹細胞
1)幹細胞とは
2)胚性幹細胞と組織幹細胞
3)胚性幹細胞(ES細胞)と人工多能性幹細胞(iPS細胞)
4)間葉系幹細胞
5)口腔領域の組織幹細胞
6)歯根尖幹細胞とリバスクラリゼーション
7)歯根形成におけるヘルトヴィッヒ上皮鞘の役割
8)意図的出血と幹細胞の放出
9)根未完成歯の移植と血管形成
2.成長因子
3.足場
第11章 臨床的考察
Q1─壊死歯髄に感覚はあるのか?
Q2─歯髄電気診の結果をどのように判断すればよいか?
Q3─DAMTとは何か?
Q4─3Mixの利点と欠点は何か?
Q5─間葉とは何か? どのように発生するのか?
Q6─接着性レジンは象牙質とどのように接着しているのか?
Q7─接着性レジンは硬化象牙質に接着しにくいといわれているが,臨床的にどのように対応すべきか?
Q8─熱いものや冷たいもので歯がしみるのはなぜか?
Q9─なぜ歯髄は低酸素状態でも生きられるのか?
Q10─なぜ歯髄細胞は熱刺激に対して強いのか?
Q11─象牙質知覚過敏症の治療にはどのような方法があるか?
Q12─象牙質知覚過敏抑制のための歯磨剤にはどのようなものがあるか?
Q13─レジン系・グラスアイオノマー系象牙質知覚過敏抑制材にはどのようなものがあるか?
Q14─加齢に伴って,なぜ歯髄腔は狭窄するのか?
Q15─トウガラシが歯痛の治療に使われたのは本当か?
Q16─ユージノールが鎮静効果を発揮するわけは?
Q17─根管治療をしても治癒が困難な症例とはどのようなものか?
Q18─歯根嚢胞の上皮成分はどこから生じるのか?
Q19─なぜ歯根嚢胞はゆっくり成長するのか?
Q20─特発性歯痛(非定型歯痛を含む)とは?
Q21─根管治療と歯根破折の関連は?
Q22─なぜデンティンブリッジには多数の穴があいているのか?
Q23─歯内療法は矯正治療による歯根吸収の進行を止めることができるか?
第III編 移植・再植・歯の移動
第12章 歯の移植・再植
1 歯根膜の特性
1)歯根膜の幅径
2)歯根膜の線維芽細胞
3)マラッセ上皮遺残
4)歯根膜のコラーゲン
2 歯根膜の機能
1)栄養
2)再生・恒常性
3 外科的侵襲の意義
4 歯根表面歯根膜の特性
5 再生歯根膜の構成細胞
6 歯根膜におけるマラッセ上皮遺残の機能
7 アンキローシスと歯根膜
8 成長因子(増殖因子)
9 歯に付着した歯根膜が歯槽骨を作る
10 歯根表面には約55%の歯根膜が付着している
11 再植歯根膜の細胞増殖とアポトーシス
12 移植・再植後の創傷治癒
1)移植・再植直後〜1日後
2)移植・再植3〜5日後
3)移植・再植1週後
4)移植・再植2週後
5)移植・再植3週以降
13 移植・再植の臨床
14 移植・再植歯歯根膜の保存液
1.移植・再植歯歯根膜の保存には何がよいか?
1)牛乳と卵白
2)各種の保存液
2.移植・再植歯歯根膜の保存液に関する最新トピックス
1)新しい歯根膜保存液としてのHTK液
2)国際蘇生連絡協議会応急処置特別委員会代表の包括的総説
15 Bio-implant
1.不死化細胞シートの応用
1)実験方法
2)結果
3)結論
2.歯小嚢の分離
1)実験方法
2)結果
3)結論
3.成熟動物歯根膜組織の応用
第13章 矯正学的歯の移動
1 歯の移動の時間,移動量,組織反応
2 弱い力と強い力の組織反応
1.歯の移動の時間的経過
2.強い力による壊死:まとめ
3 歯根膜の壊死を引き起こす矯正力
4 最適矯正力
5 歯周組織のリモデリングを助けるアポトーシス
6 臨床的移動様式と最適矯正力
7 垂直方向への歯の移動
8 歯根膜の幅が一定に維持される機序
第14章 歯の萌出に伴う歯の移動
1 歯の萌出のメカニズム
1.骨のリモデリング説
2.歯根形成説
3.血管圧説
4.歯根膜の牽引力説
2 歯根膜の牽引力はどのようにして生まれるのか?
3 歯の萌出に関与する因子
4 歯の萌出とアポトーシス
5 萌出後の歯の生理的移動
6 歯の萌出と歯導帯(導帯管)
7 萌出後の異常な歯の移動
8 歯周炎に伴う病的移動
9 咬合圧と歯根膜の恒常性
第15章 臨床的考察
Q1─歯の自家移植よりも再植のほうがアンキローシスを起こしやすいのはなぜか?
Q2─移植歯が歯肉結合組織によって囲まれると吸収するのか?
Q3─歯の移動からみると歯槽骨にはどのような特性があるか?
Q4─移植歯歯根膜内に神経は再生するか?
Q5─ジグリングフォースによって歯根膜内細胞はどのように変化するのか?
Q6─どの程度の力を加えると歯根膜は壊死するのか?
Q7─矯正力と外傷性咬合力に違いはあるか?
Q8─矯正力によって歯周病は起きるか?
Q9─成人患者への矯正治療で留意すべきことは何か?
第IV編 インプラント
第16章 インプラント周囲組織
1 健康なインプラント周囲組織の定義と特徴
2 歯周組織とインプラント周囲組織の違い
3 上皮組織(インプラント周囲上皮)
1.インプラント周囲上皮の防御機構
A MCG(セラミド)による生理学的透過性関門
B 細胞増殖によるターンオーバー
C インプラント周囲上皮の接着能
D インプラント周囲上皮と付着上皮の違い
E インプラント周囲の血管
4 結合組織(インプラント周囲結合組織)
5 骨組織
A 緻密骨と海綿骨
B オッセオインテグレーション
C 無定形構造物
第17章 インプラント周囲疾患
1 健康なインプラント周囲組織
2 インプラント周囲粘膜炎
A インプラント周囲粘膜炎の定義
B 健康なインプラント周囲組織からインプラント周囲粘膜炎への変換
C インプラント周囲粘膜炎の可逆性
D 長期に及ぶインプラント周囲粘膜炎─実験的インプラント周囲粘膜炎と慢性インプラント周囲粘膜炎
E 歯肉炎とインプラント周囲粘膜炎の類似点・相違点
F インプラント周囲粘膜炎リスク因子(指標)
1)一般的リスク因子(指標)
2)局所的リスク因子(指標)
3 インプラント周囲炎
A インプラント周囲炎の定義
B インプラント周囲粘膜炎からインプラント周囲炎への変換
C 疾患進行の開始と形式
1)実験的インプラント周囲炎の進行
2)インプラント周囲炎の発症と進行に関する臨床的研究
D インプラント周囲炎の特徴
1)病理組織学的特徴
2)微生物学的・免疫学的特徴
3)臨床的特徴
4)リスク因子(指標)
E インプラント周囲炎における丼状骨欠損
F インプラント周囲炎の特徴:まとめ
第18章 インプラントの治癒
1 骨のリモデリングと骨形成
2 リモデリングにおける骨細胞と骨ライニング(被覆)細胞の役割
3 骨リモデリングのプロセス
4 遠隔骨形成と接触骨形成
A 遠隔骨形成
B 接触骨形成
5 骨細胞の制御
6 骨代謝に影響を及ぼす因子
A コレステロールと脂肪酸
B ビタミンD
C 高血糖
7 骨折の治癒
8 インプラント周囲骨の治癒
A インプラント周囲骨の治癒過程
1)インプラント埋入による生体反応期
2)骨伝導期─接触骨形成への鍵
3)骨の新生期
4)骨のリモデリング
B インプラント周囲骨のリモデリング
第19章 リモデリング機序の破綻
1 過剰なインプラントトルクの骨治癒への影響─インプラント埋入時の骨の生物学
2 インプラント・アバットメント界面の微小ギャップ
3 荷重と骨リモデリング
4 咬合性外傷とインプラント
5 骨およびインプラント周囲骨の破壊と再生におけるマクロファージの役割
A 骨のマクロファージ
B マクロファージの極性─M1,M2表現型
6 インプラントと異物処理─生体親和性の高いインプラント材料は異物処理されるか?
A 異物処理機転─古典的説明
B 異物処理の平衡状態とは?─Albrektssonらによる見解は正しいか?
C マクロファージと異物処理機転
7 インプラント周囲骨のエックス線不透過像
第20章 インプラントの課題と対応
1 チタンアレルギー
2 ジルコニアインプラントの特徴
3 ジルコニアインプラントの課題
4 ジルコニアインプラントの上皮との接着
第21章 インプラント治療後の維持管理
1 インプラントのメインテナンス(インプラント支持療法)
A インプラント周囲組織の維持管理
B インプラント補綴装置のメインテナンス
C インプラント周囲粘膜炎,インプラント周囲炎への対応
1)対応の基準
2)疾患別対処法
2 インプラント支持療法
A 累積的防御療法
B 累積的防御療法のプロトコール
C 累積的防御療法の進展
第22章 臨床的考察
Q1─インプラント周囲粘膜炎の臨床的特徴は何か?
Q2─インプラント周囲粘膜炎は治療できるか?
Q3─インプラント周囲炎の臨床的特徴は何か?
Q4─インプラント周囲粘膜炎がインプラント周囲炎の前駆疾患であるとするエビデンスは何か?
Q5─インプラント周囲炎の最も重要なリスク因子は何か?
Q6─インプラント埋入部位に硬組織および軟組織の欠損が生じる主な原因は何か?
Q7─「インプラント周囲組織は健康である」と診断するためにはどのような臨床的基準を使えばよいのか?
Q8─どのような臨床的症状があれば「インプラント周囲粘膜炎である」と診断できるのか?
Q9─日常の歯科臨床のなかで,どのようにしてインプラント周囲炎の症例を位置づけたらよいのか?
Q10─上顎洞の形態を決めている因子は何か,またその機能は?
Q11─即時型インプラント埋入法と遅延型インプラント埋入法によって,インプラント周囲上皮の特徴に違いはあるのか?
Q12─インプラント埋入部に大量の骨組織が必要だが,骨を作るためにはどのような条件が必要か?
Q13─PRPとは何か?
Q14─PRFはメンブレンの代わりに使えるのか?
Q15─移植材として,Bio-Oss,DFDBA,FDBA,GEM21,β-TCP,自家骨海綿骨,自家骨緻密骨などがあるが,推奨されるのはどれか?
Q16─Bio-Ossにも種類があるが,どのように使い分けすればいいのか?
Q17─インプラントの臨床的効果は評価できるか?
Q18─インプラントの抜歯即時埋入の場合,人工骨などを移植しなくても血餅さえ保持されれば骨が形成されると考えてよいのか?
Q19─力によるインプラント周囲炎の実験モデルはあるか?
Q20─インプラント付着上皮はヘミデスモゾーム結合によりインプラントと接着しているが,歯ブラシを過度な力で歯肉に当てると,ヘミデスモゾーム結合が壊れることがあるのではないか?
Q21─インプラントのメインテナンスでのプロービングによってヘミデスモゾーム結合を壊してしまうことはないのか?
索引