序
口腔内に装着された修復物や補綴物の良否は一般的に,概して外観のみで判断されがちであって,目に触れない途中のステップは正当に評価されない場合がほとんどです.
いうまでもなく修復処置や補綴処置は,最終的な修復物や補綴物を口腔内に装着し,正常に機能させることが目標であるといえましょう.
しかし,最終目標にいたるまでの途中の過程における操作や処置の一つひとつは,外観には触れないものの臨床経過の良否を大きく左右する重要なステップであります.
したがって,これらをなおざりにすることなく一歩一歩確実に行い,それぞれの良否を判断したうえで次のステップに進むことが,最終処置までのステップを順調にはこび,成功に導くうえで重要となります.
つまり,途中の過程における処置それぞれの良否を判断し,また必要に応じて適切な対応処置を行いうる十分な知識と臨床的な能力が要求されます.
本別冊におきましては,まず,途中過程における各処置の目的を明らかにすると同時に,適切な修復処置や補綴処置(インレー,クラウン,ブリッジによる)を行うことを前提とし,これらの途中過程において生じやすい各種トラブルへの対応の仕方,トラブル発生の原因,そしてこれらをふまえたうえでのトラブル予防法に対する考え方を示してみました.
また,技術修得をしやすくするために,図や写真を多用し,さらに通常の判型より大きいAB判とし,視覚的理解のしやすいものといたしました.実践的臨床書として,初心者からベテランの先生までご活用いただけるものと考えております.
1992年11月 編集委員 日本大学教授歯科補綴学第3講座 五十嵐孝義 昭和大学教授歯科保存学第2講座 久光 久 神奈川県横浜市丸森歯科医院 丸森英史
口腔内に装着された修復物や補綴物の良否は一般的に,概して外観のみで判断されがちであって,目に触れない途中のステップは正当に評価されない場合がほとんどです.
いうまでもなく修復処置や補綴処置は,最終的な修復物や補綴物を口腔内に装着し,正常に機能させることが目標であるといえましょう.
しかし,最終目標にいたるまでの途中の過程における操作や処置の一つひとつは,外観には触れないものの臨床経過の良否を大きく左右する重要なステップであります.
したがって,これらをなおざりにすることなく一歩一歩確実に行い,それぞれの良否を判断したうえで次のステップに進むことが,最終処置までのステップを順調にはこび,成功に導くうえで重要となります.
つまり,途中の過程における処置それぞれの良否を判断し,また必要に応じて適切な対応処置を行いうる十分な知識と臨床的な能力が要求されます.
本別冊におきましては,まず,途中過程における各処置の目的を明らかにすると同時に,適切な修復処置や補綴処置(インレー,クラウン,ブリッジによる)を行うことを前提とし,これらの途中過程において生じやすい各種トラブルへの対応の仕方,トラブル発生の原因,そしてこれらをふまえたうえでのトラブル予防法に対する考え方を示してみました.
また,技術修得をしやすくするために,図や写真を多用し,さらに通常の判型より大きいAB判とし,視覚的理解のしやすいものといたしました.実践的臨床書として,初心者からベテランの先生までご活用いただけるものと考えております.
1992年11月 編集委員 日本大学教授歯科補綴学第3講座 五十嵐孝義 昭和大学教授歯科保存学第2講座 久光 久 神奈川県横浜市丸森歯科医院 丸森英史
第1章 修復処置の目的
修復処置の治療としての目的 岩久正明
修復処置の形態・機能回復としての目的 石橋寛二・松田 葉
第2章 暫間処置の目的
暫間処置の目的 柳川敏夫・伊藤和雄・久光 久
プロビジョナルレストレーションの目的 寺西邦彦
第3章 暫間処置の要点
仮封材の選択と仮封の要点 柳川敏夫・伊藤和雄・久光 久
仮封材の選択と仮着・撤去の要点 柳川敏夫・伊藤和雄・久光 久
第4章 プロビジョナルレストレーション
プロビジョナルレストレーションの意義と評価 五十嵐孝義
プロビジョナルレストレーション製作における材料の選択 棧 淑行
プロビジョナルレストレーション製作上の要点 佐藤友彦
第5章 トラブルへの対応
修復処置
修復時の接触点の影響により歯が移動してしまった 宮下 元
仮封時に疼痛が生じてしまった 山田敏元
プロビジョナルレストレーション装着時に咬合痛が生じてしまった 新田 浩・石川 烈
仮着材除去時に疼痛を生じてしまった 奥田禮一
確認しづらい亀裂により仮封時に痛みが発生してしまった 五十嵐 洋
プロビジョナルレストレーションや仮封材が脱落してしまった 山口竜司・加藤喜郎
歯肉が窩洞内に入り込んでしまった 山田敏元
インレー試適時に歯質が破折してしまった 鈴木祐司
試適時にインレーのリムーバブルノブが取れてしまった―リムーバブルノブに頼らない試適を― 染谷成一郎
試適時には適合していたインレーが装着時に浮いてしまった 野中哲雄
コンポジット・レジン・インレーが試適時に破折してしまった 内海誠司・井上 清
5級窩洞の充填物が短期間に脱落してしまった 下河辺宏功
補綴処置
クラウン
ダウエルコアを試適したら取れなくなってしまった 西川義昌
ダウエルコア装着により歯が破折してしまった 堤 大輔
プロビジョナルレストレーション装着中にダウエルコアが破折してしまった 伊藤雄策
ダウエルコアの装着により歯肉が変色してしまった 石橋寛二・石田 聡
古い鋳造冠を利用してテンポラリークラウンを製作したら撤去できなくなってしまった 林 治幸
陶材焼付冠試適時にリムーバブルノブが取れてしまった 丸森英史
ブリッジ
プロビジョナルレストレーションが脱落してしまった 茂野啓示
プロビジョナルレストレーションが支台歯から撤去しづらい 茂野啓示
暫間補綴物装着後に舌の違和感が生じてしまった 藍 稔・佐藤雅之
テンポラリーレストレーションの仮着材が形成面から取れなくなってしまった 柏田聰明・橋本宏子・橋本武典・塚脇聡子・大草 芳
プロビジョナルレストレーション撤去時にダウエルコアが脱離してしまった 安部井寿人
プロビジョナルレストレーションのレジン咬合面が咬耗・破折してしまった 木原敏裕
ブリッジ仮着時に審美性でクレームがついた 五十嵐 洋
歯周組織との関連
陶材焼付鋳造冠をセットしたら歯肉が退縮してしまった 行田和子・五十嵐孝義
プロビジョナルレストレーションに食片が圧入されやすい 草刈 玄・山崎 稔
プロビジョナルブリッジ撤去時に支台歯に動揺がある 清水雅雪
修復処置の治療としての目的 岩久正明
修復処置の形態・機能回復としての目的 石橋寛二・松田 葉
第2章 暫間処置の目的
暫間処置の目的 柳川敏夫・伊藤和雄・久光 久
プロビジョナルレストレーションの目的 寺西邦彦
第3章 暫間処置の要点
仮封材の選択と仮封の要点 柳川敏夫・伊藤和雄・久光 久
仮封材の選択と仮着・撤去の要点 柳川敏夫・伊藤和雄・久光 久
第4章 プロビジョナルレストレーション
プロビジョナルレストレーションの意義と評価 五十嵐孝義
プロビジョナルレストレーション製作における材料の選択 棧 淑行
プロビジョナルレストレーション製作上の要点 佐藤友彦
第5章 トラブルへの対応
修復処置
修復時の接触点の影響により歯が移動してしまった 宮下 元
仮封時に疼痛が生じてしまった 山田敏元
プロビジョナルレストレーション装着時に咬合痛が生じてしまった 新田 浩・石川 烈
仮着材除去時に疼痛を生じてしまった 奥田禮一
確認しづらい亀裂により仮封時に痛みが発生してしまった 五十嵐 洋
プロビジョナルレストレーションや仮封材が脱落してしまった 山口竜司・加藤喜郎
歯肉が窩洞内に入り込んでしまった 山田敏元
インレー試適時に歯質が破折してしまった 鈴木祐司
試適時にインレーのリムーバブルノブが取れてしまった―リムーバブルノブに頼らない試適を― 染谷成一郎
試適時には適合していたインレーが装着時に浮いてしまった 野中哲雄
コンポジット・レジン・インレーが試適時に破折してしまった 内海誠司・井上 清
5級窩洞の充填物が短期間に脱落してしまった 下河辺宏功
補綴処置
クラウン
ダウエルコアを試適したら取れなくなってしまった 西川義昌
ダウエルコア装着により歯が破折してしまった 堤 大輔
プロビジョナルレストレーション装着中にダウエルコアが破折してしまった 伊藤雄策
ダウエルコアの装着により歯肉が変色してしまった 石橋寛二・石田 聡
古い鋳造冠を利用してテンポラリークラウンを製作したら撤去できなくなってしまった 林 治幸
陶材焼付冠試適時にリムーバブルノブが取れてしまった 丸森英史
ブリッジ
プロビジョナルレストレーションが脱落してしまった 茂野啓示
プロビジョナルレストレーションが支台歯から撤去しづらい 茂野啓示
暫間補綴物装着後に舌の違和感が生じてしまった 藍 稔・佐藤雅之
テンポラリーレストレーションの仮着材が形成面から取れなくなってしまった 柏田聰明・橋本宏子・橋本武典・塚脇聡子・大草 芳
プロビジョナルレストレーション撤去時にダウエルコアが脱離してしまった 安部井寿人
プロビジョナルレストレーションのレジン咬合面が咬耗・破折してしまった 木原敏裕
ブリッジ仮着時に審美性でクレームがついた 五十嵐 洋
歯周組織との関連
陶材焼付鋳造冠をセットしたら歯肉が退縮してしまった 行田和子・五十嵐孝義
プロビジョナルレストレーションに食片が圧入されやすい 草刈 玄・山崎 稔
プロビジョナルブリッジ撤去時に支台歯に動揺がある 清水雅雪