はじめに
日本大学医学部先進医学総合研究センター分子細胞免疫・アレルギー学 羅 智靖
アレルギー疾患の有病率は,近年とくに先進工業国において著しく上昇している.このことは,アレルギー素因をもつ人におけるアレルギーの顕在化を促進するなんらかの環境因子の関与,あるいは環境との相互作用を考える必要を示唆している.総人口の1/3を超える人々がアトピー性皮膚炎や気管支喘息,花粉症など,なんらかのアレルギー疾患に罹患している現況は,アレルギーが病気であるという側面を越えて,ヒトが脳の産物として自らつくり出した文明,あるいは環境に対して不適応をきたし,それらを拒絶しているかのようにみえる.アレルギーがあたかも一種の文明病であるかの様相を呈しているのは,ヒトに対して警告を発しているのかもしれない.そのため,アレルギーの病因,病態の分子的な解明とともに,その診断,予防,治療に向けての速やかな対応が要求される.
アレルギーは基本的には過敏に,そして過剰に発現して生体に有害となった免疫反応として理解される.そして明らかに家族集積性のある疾患であり,遺伝的素因を背景にして個体と環境との相互作用のなかで発症に至るものである.さらに,アレルギーは多因子疾患であり,いまだ明解な結果の得られていないのが現状であるが,遺伝的素因,いわゆるアトピー素因を規定する遺伝子の探索が精力的に展開されている.この遺伝的素因の解明は,将来的にはまず診断,そして予防に向けての応用が期待される.また,環境因子の解析も,ようやく分子レベルの研究が開始されようとしている.
アレルギーを惹起する抗原については,ダニ,スギ花粉などの主要アレルゲンのエピトープ解析がなされ,組換え体を用いた治療への応用がすでにはじまっている.IgEを産生させやすいアレルゲンエピトープがあり,その分子機構についても探索が開始されている.
FcRをはじめとする抗原認識に関与するレセプターの原型(プロトタイプ)は,高親和性IgEレセプター(Fc ε R I)にある.リガンド結合サブユニットとシグナル伝達サブユニットが脂質を介した非共有結合によって緩く会合した多サブユニットレセプターとしてはじめて分離・精製されたのがFc ε R Iであり,そのトリガーにレセプターの凝集が必要であることが明らかになったのも,このレセプターをもって嚆矢とする.アレルギー反応の鍵となる分子がこのFc ε R Iで,その遺伝子発現の制御機構についても明らかにされつつあり,治療への応用も期待される.
マスト細胞のシグナル伝達も例外ではなく,アダプター分子を介したsignaling complexの形成が必須であることが示され,新しい治療の標的になりうるかもしれない.このマスト細胞の分化機構についても遺伝子レベルの解析が進んでいる.
一方で,モデル動物,遺伝子操作動物の分野でも個体レベルでのアレルギーの解明に向けて大きな進展が予想される.
2年前にこの特集を組んでからも,学問の進歩は真に速く,重要な新しい発見が次々にもたらされ,早晩また新しい特集を組む必要に迫られることは必至であると思われるが,ひとまずアレルギーの分子医学的解明の現在の位置の確認をめざす本書が,アレルギーの克服のために多少とも同志の皆様のお役に立てれば幸いである.
日本大学医学部先進医学総合研究センター分子細胞免疫・アレルギー学 羅 智靖
アレルギー疾患の有病率は,近年とくに先進工業国において著しく上昇している.このことは,アレルギー素因をもつ人におけるアレルギーの顕在化を促進するなんらかの環境因子の関与,あるいは環境との相互作用を考える必要を示唆している.総人口の1/3を超える人々がアトピー性皮膚炎や気管支喘息,花粉症など,なんらかのアレルギー疾患に罹患している現況は,アレルギーが病気であるという側面を越えて,ヒトが脳の産物として自らつくり出した文明,あるいは環境に対して不適応をきたし,それらを拒絶しているかのようにみえる.アレルギーがあたかも一種の文明病であるかの様相を呈しているのは,ヒトに対して警告を発しているのかもしれない.そのため,アレルギーの病因,病態の分子的な解明とともに,その診断,予防,治療に向けての速やかな対応が要求される.
アレルギーは基本的には過敏に,そして過剰に発現して生体に有害となった免疫反応として理解される.そして明らかに家族集積性のある疾患であり,遺伝的素因を背景にして個体と環境との相互作用のなかで発症に至るものである.さらに,アレルギーは多因子疾患であり,いまだ明解な結果の得られていないのが現状であるが,遺伝的素因,いわゆるアトピー素因を規定する遺伝子の探索が精力的に展開されている.この遺伝的素因の解明は,将来的にはまず診断,そして予防に向けての応用が期待される.また,環境因子の解析も,ようやく分子レベルの研究が開始されようとしている.
アレルギーを惹起する抗原については,ダニ,スギ花粉などの主要アレルゲンのエピトープ解析がなされ,組換え体を用いた治療への応用がすでにはじまっている.IgEを産生させやすいアレルゲンエピトープがあり,その分子機構についても探索が開始されている.
FcRをはじめとする抗原認識に関与するレセプターの原型(プロトタイプ)は,高親和性IgEレセプター(Fc ε R I)にある.リガンド結合サブユニットとシグナル伝達サブユニットが脂質を介した非共有結合によって緩く会合した多サブユニットレセプターとしてはじめて分離・精製されたのがFc ε R Iであり,そのトリガーにレセプターの凝集が必要であることが明らかになったのも,このレセプターをもって嚆矢とする.アレルギー反応の鍵となる分子がこのFc ε R Iで,その遺伝子発現の制御機構についても明らかにされつつあり,治療への応用も期待される.
マスト細胞のシグナル伝達も例外ではなく,アダプター分子を介したsignaling complexの形成が必須であることが示され,新しい治療の標的になりうるかもしれない.このマスト細胞の分化機構についても遺伝子レベルの解析が進んでいる.
一方で,モデル動物,遺伝子操作動物の分野でも個体レベルでのアレルギーの解明に向けて大きな進展が予想される.
2年前にこの特集を組んでからも,学問の進歩は真に速く,重要な新しい発見が次々にもたらされ,早晩また新しい特集を組む必要に迫られることは必至であると思われるが,ひとまずアレルギーの分子医学的解明の現在の位置の確認をめざす本書が,アレルギーの克服のために多少とも同志の皆様のお役に立てれば幸いである.
はじめに 羅 智靖
■アレルギーの遺伝的背景
1.IL-4,IL-13シグナル伝達分子の遺伝的多型とアレルギーとの関連 杉本理恵・出原賢治
Association between allergy and polymorphisms in IL-4 and IL-13 signal-transducing molecules
◯IL-4,IL-13とアレルギー発症との関連
◯IL-4,IL-13のシグナル伝達機構
◯IL-4の遺伝的多型
◯IL-4R α鎖の遺伝的多型
◯IL-13の遺伝的多型
2.β 2アドレナリン受容体遺伝子多型と気管支喘息の病態 棟方 充
β 2-adrenergic receptor polymorphisms and pathophysiology of bronchial asthma
◯肺におけるβ 2アドレナリン受容体
◯β 2アドレナリン受容体遺伝子とその多型
◯β 2アドレナリン受容体遺伝子多型の臨床的意義
3.Fc εRI β遺伝子多型とアトピー 藤田 毅・羅 智靖
Atopy and genetic variations in Fc epsilon RI beta gene
◯高親和性IgEレセプター(FcεRI)分子の構造と機能
◯FcεRIβ遺伝子多型とアトピー疾患
◯高スループットSSCP解析システムによるFcεRIβ多型解析
4.Th1/Th2細胞とアレルギー 白川太郎・他
TH1/Th2 balance in allergy
◯MosmannらによるTh1/Th2理論の確立とアレルギー疾患
◯アレルギーにおけるTh2優位性は可逆的か
◯アレルギー疾患はTh1/Th2理論だけでは説明できない
■アレルギーと環境
5.寄生虫感染とアレルギー 名和行文
Parasitic infection and allergy
◯動物実験からみた寄生虫感染とアレルギー
◯疫学からみた寄生虫感染とアレルギー
◯九州での疫学調査からみた寄生虫感染とアレルギー
6.ディーゼル排気微粒子のアレルギーにおける役割 吉野 伸
The role of diesel exhaust particles in allergy
◯DEP
◯DEPによるアレルギー性気道炎の誘導および促進―気管支喘息における役割
◯DEPによるアレルギー性鼻炎の誘導および促進―花粉症における役割
◯DEPによるコラーゲン関節炎の促進―自己免疫疾患における役割
◯DEPによる経口トレランス誘導の阻止および経口免疫誘導―食物アレルギーにおける役割
◯DEPに含有されるTh1およびTh2免疫応答促進物質
7.ダニとアレルギー 伊藤幸治
Mites and allergy
◯ダニの分類上の位置とアレルギーに関与するダニの種類
◯ダニのアレルゲンとしての重要性
◯ダニアレルゲンの独立性
◯ダニと遅発型喘息反応
◯非アトピー性喘息とダニ抗体
◯ダニアレルゲン解析
◯疾患によるDer f1とDer f2との関係
◯ダニ回避
◯ダニアレルゲンの除去法
◯ダニアレルゲン免疫療法(減感作療法)
■アレルギーと抗原
8.アレルゲンエンジニアリング―ダニ主要アレルゲンDer f 2の改変 高井敏朗
Allergen engineering:protein engineering of the major house dust mite allergen Der f2 for allergen-specific immunotherapy
◯アレルギー疾患における免疫ネットワーク
◯アレルゲン特異的免疫療法(減感作療法)
◯ダニアレルゲン
◯アレルゲンエンジニアリング―安全かつ効果的なアレルゲン特異的免疫療法のためのDer f 2の改変
9.IgE抗体H鎖可変部領域遺伝子のレパートリー 坂東由紀・羅 智靖
Receptoire of immunoglobulin E heavy chain variable region genes
◯免疫グロブリン重鎖可変部領域遺伝子構成と抗原認識部位形成機構
◯B細胞の分化とVhレパートリー
◯疾患とB細胞Vhレパートリー
◯抗原のIgEエピトープ
◯IgE Vhレパートリー
10.T細胞エピトープを利用したスギ花粉症治療薬の開発 平原一樹・他
Allergen-peptide immunotherapy against Japanese cedar pollinosis
◯アレルゲンペプチド免疫療法
◯ヒトT細胞エピトープの決定
◯マウスT細胞エピトープによる経口免疫寛容現象の誘導
◯T細胞エピトープ連結ペプチドの開発
◯今後の展望
■IgEとIgEレセプター
11.高親和性IgE受容体(Fc ε RI)α鎖の遺伝子発現制御機構 西山千春・羅 智靖
Expression mechanism of FcεRIα-chain gene
◯FcεRIの細胞特異的発現を決定する構成因子
◯FcεRIの発現を誘導する因子
◯FcεRIα鎖の遺伝子構造
◯FcεRIα鎖遺伝子の発現制御領域に結合する転写調節因子
12.IgEによるFc ε RIの発現増強 山口正雄
IgE enhances mast cell and basophil FcεRIexpression
◯IgE濃度がFcεRI発現量を制御する
◯FcεRI発現量とFcεRIβ鎖
◯FcεRI発現量と細胞機能
◯IgEによるFcεRI発現量増加は健常時でも重要
◯今後の課題
13.可溶化Fc εRI αによるIgE産生抑制 柳原行義・羅 智靖
Inhibition of IgE synthesis buy a soluble form of FcεRIα
◯可溶化FcεRIαの構造と機能
◯可溶化FcεRIαによるIgE産生の抑制作用
◯可溶化FcεRIαによるIgE産生の抑制機序
◯可溶化FcεRIαのCε mRNAの発現に対する作用
14.抗原特異的IgEトランスジェニックマウスの解析―誘発型アレルギーモデルとして 松岡邦枝・久保秀一
Establishment of antigen-specific IgE transgenic mice
◯抗原特異的IgEトランスジェニックマウスの樹立
◯IgE高発現によるIgEレセプターの発現増強
◯アナフィラキシーの誘発
◯皮内反応の誘発
15.血小板のFc ε RI 長谷川俊史・他
Fc ε R Ion human plateletes
◯ヒト血小板および巨核球はFcεRIの遺伝子を発現している
◯ヒト血小板は細胞表面にFcεRIを発現している
◯ヒト巨核球におけるFcεRIの細胞表面への発現
◯ヒト血小板はFcεRIを介して活性化する
◯I型アレルギー反応における血小板上のFcεRIの役割
■マスト細胞
16.マスト細胞に発現するBASH/SLP-76ファミリーシグナル伝達分子 後飯塚僚
A BASH/SLP-76-related adaptor protein expressed in mast cells
◯MISTの単離とその発現様式
◯MISTの分子構造
◯Fc εレセプターシグナル伝達系におけるMIST
◯マスト細胞の脱顆粒反応におけるMISTの役割
◯Fc εレセプターシグナル伝達系におけるMISTとSLP-76,LATの相互作用
◯サイトカインによるMISTの発現制御
17.低親和性抗原によるマスト細胞のアンタゴニズム 鳥越智香子
Antagonism by low affinity ligand in mast cell
◯IgEレセプターを介した細胞内シグナル開始機構
◯キネティックプルーフリーディング
◯アンタゴニズム
◯アンタゴニズムの分子機構
◯構造的基盤
18.サイトカインによるマスト細胞のプライミング 斎藤博久
Priming by cytokines of human mast cells
◯マスト細胞の分化増殖とサイトカイン
◯マスト細胞に対するプライミング作用
◯マスト細胞と遅発炎症反応
19.マスト細胞におけるBtkの役割 成田雅美・川上裕子
Functions of Bruton's tyrosine kinase in mast cells
◯Btkの発見,構造と発現
◯マスト細胞の活性化とアポトーシスにおけるBtkの役割
◯Btkの活性化と制御の機序
◯Btkのシグナル伝達への関与
20.抑制性シグナル伝達分子 小野栄夫・他
Inhibitory signal transduction
◯抑制性シグナル伝達分子
◯抑制性受容体
◯抑制性シグナル伝達のメカニズム
21.マスト細胞の分化機構 実宝智子・北村幸彦
Mast cell development
◯マスト細胞の起源
◯マスト細胞の分化・増殖因子
◯マスト細胞欠損動物
◯マスト細胞の分化に影響する因子
■好酸球
22.好酸球とケモカイン,ケモカインレセプター 平井浩一・長瀬洋之
Chemokines and chemokine receptors regulating eosinophil function
◯好酸球とケモカイン受容体
◯ケモカイン,ケモカイン受容体発現調節
◯ケモカイン受容体と好酸球集積
23.新しいケモカイン―エカレクチン 平島光臣
Ecalectin as a novel eosinophil chemoattractant
◯ナチュラルメディエーターとしてのエカレクチン
◯エカレクチンとガレクチン
◯エカレクチンの現在と将来の展望
◯エカレクチン産生の調節
24.好酸球の活性化機構―接着分子による好酸球の活性化機構 飯島宏治・紀太博仁
Regulation of eosinophil activation by adhesion molecules
◯好酸球と接着分子
◯β 2インテグリンを介した活性化機構
◯β 1インテグリンを介した活性化機構
◯接着分子を介したシグナル伝達機構
■マウスモデル
25.アトピー疾患モデルとしてのNC/Ngaマウス 松田浩珍・田中あかね
NC/Nga mice as a model for atopic dieseases
◯NC/Ngaマウスの歴史
◯NC/Ngaマウスの臨床症状と病理組織学的所見
◯NC/Ngaマウスの血中IgE値
◯高IgE血症の発生メカニズム
◯NC/Ngaマウスの皮膚バリア機能
◯FK-506のアトピー性皮膚炎治療への応用
◯アトピー性喘息モデルとしてのNC/Ngaマウス
◯アトピー性眼疾患モデルとしてのNC/Ngaマウス
26.マスト細胞活性化におけるFcレセプターβ鎖の役割―β鎖遺伝子欠損マウスの解析を中心として 古本恭子・羅 智靖
Specific role of the Fc receptorε subunit on mast cells
◯β鎖を会合するFc受容体
◯マスト細胞活性化の分子機構
◯β鎖欠損マウス
サイドメモ
IgEの産生機構
一塩基多型(single nucleotide polymorphisms:SNPs)
PCR-SSCP(single strand conformation polymorphism)
ブタ回虫と内臓幼虫移行症
ディーゼル車の燃料:軽油
ダ二数,種類,ダニアレルゲン
免疫グロブリンH鎖可変部領域遺伝子
アレルゲンペプチド免疫療法の現在
IL-4によるFcεRI発現量制御
トランススプライシング
RANTES
raft
マスト細胞の造血発生
FcεRIの活性化とprotein tyrosine kinase(PTK)
SHIP/SHP
ケモカインのシグナル伝達
ITAMとITIM
■アレルギーの遺伝的背景
1.IL-4,IL-13シグナル伝達分子の遺伝的多型とアレルギーとの関連 杉本理恵・出原賢治
Association between allergy and polymorphisms in IL-4 and IL-13 signal-transducing molecules
◯IL-4,IL-13とアレルギー発症との関連
◯IL-4,IL-13のシグナル伝達機構
◯IL-4の遺伝的多型
◯IL-4R α鎖の遺伝的多型
◯IL-13の遺伝的多型
2.β 2アドレナリン受容体遺伝子多型と気管支喘息の病態 棟方 充
β 2-adrenergic receptor polymorphisms and pathophysiology of bronchial asthma
◯肺におけるβ 2アドレナリン受容体
◯β 2アドレナリン受容体遺伝子とその多型
◯β 2アドレナリン受容体遺伝子多型の臨床的意義
3.Fc εRI β遺伝子多型とアトピー 藤田 毅・羅 智靖
Atopy and genetic variations in Fc epsilon RI beta gene
◯高親和性IgEレセプター(FcεRI)分子の構造と機能
◯FcεRIβ遺伝子多型とアトピー疾患
◯高スループットSSCP解析システムによるFcεRIβ多型解析
4.Th1/Th2細胞とアレルギー 白川太郎・他
TH1/Th2 balance in allergy
◯MosmannらによるTh1/Th2理論の確立とアレルギー疾患
◯アレルギーにおけるTh2優位性は可逆的か
◯アレルギー疾患はTh1/Th2理論だけでは説明できない
■アレルギーと環境
5.寄生虫感染とアレルギー 名和行文
Parasitic infection and allergy
◯動物実験からみた寄生虫感染とアレルギー
◯疫学からみた寄生虫感染とアレルギー
◯九州での疫学調査からみた寄生虫感染とアレルギー
6.ディーゼル排気微粒子のアレルギーにおける役割 吉野 伸
The role of diesel exhaust particles in allergy
◯DEP
◯DEPによるアレルギー性気道炎の誘導および促進―気管支喘息における役割
◯DEPによるアレルギー性鼻炎の誘導および促進―花粉症における役割
◯DEPによるコラーゲン関節炎の促進―自己免疫疾患における役割
◯DEPによる経口トレランス誘導の阻止および経口免疫誘導―食物アレルギーにおける役割
◯DEPに含有されるTh1およびTh2免疫応答促進物質
7.ダニとアレルギー 伊藤幸治
Mites and allergy
◯ダニの分類上の位置とアレルギーに関与するダニの種類
◯ダニのアレルゲンとしての重要性
◯ダニアレルゲンの独立性
◯ダニと遅発型喘息反応
◯非アトピー性喘息とダニ抗体
◯ダニアレルゲン解析
◯疾患によるDer f1とDer f2との関係
◯ダニ回避
◯ダニアレルゲンの除去法
◯ダニアレルゲン免疫療法(減感作療法)
■アレルギーと抗原
8.アレルゲンエンジニアリング―ダニ主要アレルゲンDer f 2の改変 高井敏朗
Allergen engineering:protein engineering of the major house dust mite allergen Der f2 for allergen-specific immunotherapy
◯アレルギー疾患における免疫ネットワーク
◯アレルゲン特異的免疫療法(減感作療法)
◯ダニアレルゲン
◯アレルゲンエンジニアリング―安全かつ効果的なアレルゲン特異的免疫療法のためのDer f 2の改変
9.IgE抗体H鎖可変部領域遺伝子のレパートリー 坂東由紀・羅 智靖
Receptoire of immunoglobulin E heavy chain variable region genes
◯免疫グロブリン重鎖可変部領域遺伝子構成と抗原認識部位形成機構
◯B細胞の分化とVhレパートリー
◯疾患とB細胞Vhレパートリー
◯抗原のIgEエピトープ
◯IgE Vhレパートリー
10.T細胞エピトープを利用したスギ花粉症治療薬の開発 平原一樹・他
Allergen-peptide immunotherapy against Japanese cedar pollinosis
◯アレルゲンペプチド免疫療法
◯ヒトT細胞エピトープの決定
◯マウスT細胞エピトープによる経口免疫寛容現象の誘導
◯T細胞エピトープ連結ペプチドの開発
◯今後の展望
■IgEとIgEレセプター
11.高親和性IgE受容体(Fc ε RI)α鎖の遺伝子発現制御機構 西山千春・羅 智靖
Expression mechanism of FcεRIα-chain gene
◯FcεRIの細胞特異的発現を決定する構成因子
◯FcεRIの発現を誘導する因子
◯FcεRIα鎖の遺伝子構造
◯FcεRIα鎖遺伝子の発現制御領域に結合する転写調節因子
12.IgEによるFc ε RIの発現増強 山口正雄
IgE enhances mast cell and basophil FcεRIexpression
◯IgE濃度がFcεRI発現量を制御する
◯FcεRI発現量とFcεRIβ鎖
◯FcεRI発現量と細胞機能
◯IgEによるFcεRI発現量増加は健常時でも重要
◯今後の課題
13.可溶化Fc εRI αによるIgE産生抑制 柳原行義・羅 智靖
Inhibition of IgE synthesis buy a soluble form of FcεRIα
◯可溶化FcεRIαの構造と機能
◯可溶化FcεRIαによるIgE産生の抑制作用
◯可溶化FcεRIαによるIgE産生の抑制機序
◯可溶化FcεRIαのCε mRNAの発現に対する作用
14.抗原特異的IgEトランスジェニックマウスの解析―誘発型アレルギーモデルとして 松岡邦枝・久保秀一
Establishment of antigen-specific IgE transgenic mice
◯抗原特異的IgEトランスジェニックマウスの樹立
◯IgE高発現によるIgEレセプターの発現増強
◯アナフィラキシーの誘発
◯皮内反応の誘発
15.血小板のFc ε RI 長谷川俊史・他
Fc ε R Ion human plateletes
◯ヒト血小板および巨核球はFcεRIの遺伝子を発現している
◯ヒト血小板は細胞表面にFcεRIを発現している
◯ヒト巨核球におけるFcεRIの細胞表面への発現
◯ヒト血小板はFcεRIを介して活性化する
◯I型アレルギー反応における血小板上のFcεRIの役割
■マスト細胞
16.マスト細胞に発現するBASH/SLP-76ファミリーシグナル伝達分子 後飯塚僚
A BASH/SLP-76-related adaptor protein expressed in mast cells
◯MISTの単離とその発現様式
◯MISTの分子構造
◯Fc εレセプターシグナル伝達系におけるMIST
◯マスト細胞の脱顆粒反応におけるMISTの役割
◯Fc εレセプターシグナル伝達系におけるMISTとSLP-76,LATの相互作用
◯サイトカインによるMISTの発現制御
17.低親和性抗原によるマスト細胞のアンタゴニズム 鳥越智香子
Antagonism by low affinity ligand in mast cell
◯IgEレセプターを介した細胞内シグナル開始機構
◯キネティックプルーフリーディング
◯アンタゴニズム
◯アンタゴニズムの分子機構
◯構造的基盤
18.サイトカインによるマスト細胞のプライミング 斎藤博久
Priming by cytokines of human mast cells
◯マスト細胞の分化増殖とサイトカイン
◯マスト細胞に対するプライミング作用
◯マスト細胞と遅発炎症反応
19.マスト細胞におけるBtkの役割 成田雅美・川上裕子
Functions of Bruton's tyrosine kinase in mast cells
◯Btkの発見,構造と発現
◯マスト細胞の活性化とアポトーシスにおけるBtkの役割
◯Btkの活性化と制御の機序
◯Btkのシグナル伝達への関与
20.抑制性シグナル伝達分子 小野栄夫・他
Inhibitory signal transduction
◯抑制性シグナル伝達分子
◯抑制性受容体
◯抑制性シグナル伝達のメカニズム
21.マスト細胞の分化機構 実宝智子・北村幸彦
Mast cell development
◯マスト細胞の起源
◯マスト細胞の分化・増殖因子
◯マスト細胞欠損動物
◯マスト細胞の分化に影響する因子
■好酸球
22.好酸球とケモカイン,ケモカインレセプター 平井浩一・長瀬洋之
Chemokines and chemokine receptors regulating eosinophil function
◯好酸球とケモカイン受容体
◯ケモカイン,ケモカイン受容体発現調節
◯ケモカイン受容体と好酸球集積
23.新しいケモカイン―エカレクチン 平島光臣
Ecalectin as a novel eosinophil chemoattractant
◯ナチュラルメディエーターとしてのエカレクチン
◯エカレクチンとガレクチン
◯エカレクチンの現在と将来の展望
◯エカレクチン産生の調節
24.好酸球の活性化機構―接着分子による好酸球の活性化機構 飯島宏治・紀太博仁
Regulation of eosinophil activation by adhesion molecules
◯好酸球と接着分子
◯β 2インテグリンを介した活性化機構
◯β 1インテグリンを介した活性化機構
◯接着分子を介したシグナル伝達機構
■マウスモデル
25.アトピー疾患モデルとしてのNC/Ngaマウス 松田浩珍・田中あかね
NC/Nga mice as a model for atopic dieseases
◯NC/Ngaマウスの歴史
◯NC/Ngaマウスの臨床症状と病理組織学的所見
◯NC/Ngaマウスの血中IgE値
◯高IgE血症の発生メカニズム
◯NC/Ngaマウスの皮膚バリア機能
◯FK-506のアトピー性皮膚炎治療への応用
◯アトピー性喘息モデルとしてのNC/Ngaマウス
◯アトピー性眼疾患モデルとしてのNC/Ngaマウス
26.マスト細胞活性化におけるFcレセプターβ鎖の役割―β鎖遺伝子欠損マウスの解析を中心として 古本恭子・羅 智靖
Specific role of the Fc receptorε subunit on mast cells
◯β鎖を会合するFc受容体
◯マスト細胞活性化の分子機構
◯β鎖欠損マウス
サイドメモ
IgEの産生機構
一塩基多型(single nucleotide polymorphisms:SNPs)
PCR-SSCP(single strand conformation polymorphism)
ブタ回虫と内臓幼虫移行症
ディーゼル車の燃料:軽油
ダ二数,種類,ダニアレルゲン
免疫グロブリンH鎖可変部領域遺伝子
アレルゲンペプチド免疫療法の現在
IL-4によるFcεRI発現量制御
トランススプライシング
RANTES
raft
マスト細胞の造血発生
FcεRIの活性化とprotein tyrosine kinase(PTK)
SHIP/SHP
ケモカインのシグナル伝達
ITAMとITIM