はじめに
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科 門脇 孝
■脂肪組織の調節とレプチン
わが国の食習慣,ライフスタイルの欧米化に伴い,糖尿病,高脂血症,動脈硬化症などの成人病の主要な危険因子としての肥満の重要性が注目されている.最近の報告によれば,成人の死亡率はBMI19.0〜21.9で最低であり,30〜44才の男性をとればBMIが1増加する毎に,特に心血管死が10%ずつ増加するという(N.Engl.J. Med.,338:1-7,1998.)肥満とはエネルギー摂取と消費のアンバランスにより体内に過剰な脂肪組織が蓄積した状態である.Colemanらは,脂肪組織由来の液性因子が飽食因子(satiety factor)として中枢に働きかけエネルギー摂取(摂食)とエネルギー消費のバランスを調節し,脂肪組織重量を一定に保つ機構が存在するというlipostasis仮説を提唱してきたが,長らくその実体は不明であった.
ポジショナル・クローニング法により遺伝性肥満を呈するob/obマウスの病因遺伝子として単離同定された肥満遺伝子は,分泌蛋白の特徴であるシグナルペプチドを有する167アミノ酸からなる蛋白(レプチン)をコードし,肥満組織特異的に発現する.Ob/obマウスではレプチン遺伝子がナンセンス変異を有し,レプチンが分泌されないため,satiety signalが中枢に伝えられず,結果的に過食と肥満が持続する.レプチン遺伝子異常はヒトでも高度の肥満をきたすことも証明され,レプチンはヒトでもエネルギー摂取とエネルギー消費のバランスの主要調節因子であると考えられる.
■内分泌臓器としての脂肪組織とその多様性
これまで脂肪組織は脂肪を受動的に貯めるだけの非活発な貯蔵臓器と考えられていたが,レプチンの発見はこの考えがまったく間違いであったことを証明した.実際,脂肪組織は外界からの刺激に応じて活発にレプチンやサイトカインを分泌し,全身の諸臓器に信号を送っている,重量からいえば最大の内分泌臓器である.しかも同じ脂肪組織でもその遺伝子発現や機能が区別される多様な役割分担のあることが示されている.白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞,内臓脂肪と皮下脂肪などがその一例であり,脂肪組織は重量だけではなくその機能や分布が肥満,成人病と深い関連を有するという事実も明らかになってきた.
■脂肪組織とインスリン抵抗性症候群
肥満と糖尿病,高血圧,脂質代謝異常,心血管病など成人病とを結びつけるキーワードはインスリン抵抗性である.肥満は脂肪組織量の増大であり,インスリン抵抗性は骨格筋における糖取込み障害である.この2つは異なる臓器に認められる現象であるが,それをつなぐメカニズムはどう理解されるのか.脂肪組織が内分泌臓器であるという事実から,肥大した脂肪細胞から過剰に分泌されるホルモン,サイトカイン,栄養素が骨格筋のインスリン抵抗性を引き起こすのではないかという発想が生まれた.たとえば,脂肪細胞からTNF-αが分泌され,それが骨格筋のインスリン抵抗性を引き起こすという仮説が提唱されている.実際にTNF-αはインスリン受容体を出発点とする細胞内情報伝達を抑制する.この場合,レプチンが脂肪細胞から分泌されendocrine(内分泌)のメカニズムで視床下部のレプチン受容体に働くのに対し,骨格筋の中の脂肪細胞から分泌されるTNF-αはparacrine(傍分泌)のメカニズムで周囲の骨格筋に働くことが提唱されている.また,脂肪組織から放出される遊離脂肪酸(FFA)はRandleサイクルにより骨格筋での糖の取込みや代謝を抑制することが知られている.
■脂肪組織の量,分布,質に対する治療的介入
このような脂肪細胞についての理解の深化に対応して,肥満やインスリン抵抗性,成人病の治療面でも大きな展開が起こりつつある.チアゾリジン誘導体は,とくに肥満に伴うインスリン抵抗性を改善する.本薬は糖尿病薬として開発されたが,骨格筋でのインスリン抵抗性の改善により,耐糖能異常だけでなく,脂質代謝異常も改善され,さらには高血圧も改善されるという報告がある.最近チアゾリジン誘導体の作用点が同定され,作用メカニズム解明への突破口となることが期待されている.それは驚くべきことに,脂肪細胞の分化をつかさどる核受容体型の転写因子のPPARγであった.インスリン抵抗性改善薬は,脂肪組織の重量は変えないが,脂肪細胞由来のインスリン抵抗性惹起因子(FFA・TNF-αなど)の産生を低下させ,いわば肥満とインスリン抵抗性を解離(uncouple)させると考えられている.このような脂肪細胞の質の変化は,PPARγの作用により,インスリン抵抗性を生体に付与する小型脂肪細胞が前駆脂肪細胞より生成し,FFA・TNF-αなどを産生しインスリン抵抗性を増悪させていた肥大した脂肪細胞を置きかえるためであることも提唱されている(Okuno,A.et al.:J.Clin.Invest.,in print).いずれにせよ,インスリン抵抗性改善薬のターゲットが脂肪細胞にあったという事実は,脂肪組織が骨格筋でのインスリン作用を調節するという概念をさらにサポートするものでもある.このように肥満やインスリン抵抗性の治療は今後,脂肪細胞の量だけでなく脂肪細胞の分布や質にも注目して行われることが望まれる.
東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科 門脇 孝
■脂肪組織の調節とレプチン
わが国の食習慣,ライフスタイルの欧米化に伴い,糖尿病,高脂血症,動脈硬化症などの成人病の主要な危険因子としての肥満の重要性が注目されている.最近の報告によれば,成人の死亡率はBMI19.0〜21.9で最低であり,30〜44才の男性をとればBMIが1増加する毎に,特に心血管死が10%ずつ増加するという(N.Engl.J. Med.,338:1-7,1998.)肥満とはエネルギー摂取と消費のアンバランスにより体内に過剰な脂肪組織が蓄積した状態である.Colemanらは,脂肪組織由来の液性因子が飽食因子(satiety factor)として中枢に働きかけエネルギー摂取(摂食)とエネルギー消費のバランスを調節し,脂肪組織重量を一定に保つ機構が存在するというlipostasis仮説を提唱してきたが,長らくその実体は不明であった.
ポジショナル・クローニング法により遺伝性肥満を呈するob/obマウスの病因遺伝子として単離同定された肥満遺伝子は,分泌蛋白の特徴であるシグナルペプチドを有する167アミノ酸からなる蛋白(レプチン)をコードし,肥満組織特異的に発現する.Ob/obマウスではレプチン遺伝子がナンセンス変異を有し,レプチンが分泌されないため,satiety signalが中枢に伝えられず,結果的に過食と肥満が持続する.レプチン遺伝子異常はヒトでも高度の肥満をきたすことも証明され,レプチンはヒトでもエネルギー摂取とエネルギー消費のバランスの主要調節因子であると考えられる.
■内分泌臓器としての脂肪組織とその多様性
これまで脂肪組織は脂肪を受動的に貯めるだけの非活発な貯蔵臓器と考えられていたが,レプチンの発見はこの考えがまったく間違いであったことを証明した.実際,脂肪組織は外界からの刺激に応じて活発にレプチンやサイトカインを分泌し,全身の諸臓器に信号を送っている,重量からいえば最大の内分泌臓器である.しかも同じ脂肪組織でもその遺伝子発現や機能が区別される多様な役割分担のあることが示されている.白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞,内臓脂肪と皮下脂肪などがその一例であり,脂肪組織は重量だけではなくその機能や分布が肥満,成人病と深い関連を有するという事実も明らかになってきた.
■脂肪組織とインスリン抵抗性症候群
肥満と糖尿病,高血圧,脂質代謝異常,心血管病など成人病とを結びつけるキーワードはインスリン抵抗性である.肥満は脂肪組織量の増大であり,インスリン抵抗性は骨格筋における糖取込み障害である.この2つは異なる臓器に認められる現象であるが,それをつなぐメカニズムはどう理解されるのか.脂肪組織が内分泌臓器であるという事実から,肥大した脂肪細胞から過剰に分泌されるホルモン,サイトカイン,栄養素が骨格筋のインスリン抵抗性を引き起こすのではないかという発想が生まれた.たとえば,脂肪細胞からTNF-αが分泌され,それが骨格筋のインスリン抵抗性を引き起こすという仮説が提唱されている.実際にTNF-αはインスリン受容体を出発点とする細胞内情報伝達を抑制する.この場合,レプチンが脂肪細胞から分泌されendocrine(内分泌)のメカニズムで視床下部のレプチン受容体に働くのに対し,骨格筋の中の脂肪細胞から分泌されるTNF-αはparacrine(傍分泌)のメカニズムで周囲の骨格筋に働くことが提唱されている.また,脂肪組織から放出される遊離脂肪酸(FFA)はRandleサイクルにより骨格筋での糖の取込みや代謝を抑制することが知られている.
■脂肪組織の量,分布,質に対する治療的介入
このような脂肪細胞についての理解の深化に対応して,肥満やインスリン抵抗性,成人病の治療面でも大きな展開が起こりつつある.チアゾリジン誘導体は,とくに肥満に伴うインスリン抵抗性を改善する.本薬は糖尿病薬として開発されたが,骨格筋でのインスリン抵抗性の改善により,耐糖能異常だけでなく,脂質代謝異常も改善され,さらには高血圧も改善されるという報告がある.最近チアゾリジン誘導体の作用点が同定され,作用メカニズム解明への突破口となることが期待されている.それは驚くべきことに,脂肪細胞の分化をつかさどる核受容体型の転写因子のPPARγであった.インスリン抵抗性改善薬は,脂肪組織の重量は変えないが,脂肪細胞由来のインスリン抵抗性惹起因子(FFA・TNF-αなど)の産生を低下させ,いわば肥満とインスリン抵抗性を解離(uncouple)させると考えられている.このような脂肪細胞の質の変化は,PPARγの作用により,インスリン抵抗性を生体に付与する小型脂肪細胞が前駆脂肪細胞より生成し,FFA・TNF-αなどを産生しインスリン抵抗性を増悪させていた肥大した脂肪細胞を置きかえるためであることも提唱されている(Okuno,A.et al.:J.Clin.Invest.,in print).いずれにせよ,インスリン抵抗性改善薬のターゲットが脂肪細胞にあったという事実は,脂肪組織が骨格筋でのインスリン作用を調節するという概念をさらにサポートするものでもある.このように肥満やインスリン抵抗性の治療は今後,脂肪細胞の量だけでなく脂肪細胞の分布や質にも注目して行われることが望まれる.
はじめに 門脇孝
1.脂肪細胞の実験法―遊離脂肪細胞および3T3-L1細胞の実験法 江崎治・角田伸代
遊離脂肪細胞
3T3-L1細胞
2.白色脂肪細胞の増殖と分化―成熟脂肪細胞の培養法を含む 杉原甫・戸田修二
脂肪細胞の形態と機能
脂肪細胞の肥大
前脂肪細胞の増殖と分化
単胞性脂肪細胞の増殖と分化―単胞性脂肪細胞も増殖する
脂肪細胞の他の細胞に及ぼす影響―脂肪細胞を含む皮膚再構築培養の試み
3.脂肪細胞の分化と転写制御 審良静男
PPARファミリー
C/EBPファミリーと脂肪分化
脂肪分化における転写制御カスケード
C/EBPファミリー・ノックアウトマウス
4.脂肪細胞の分化と核内受容体PPARファミリー 河田照雄
脂肪細胞分化の転写因子によるコントロール
脂肪細胞分化のマスターレギュレーター
脂肪細胞分化調節遺伝子のプログラムとネットワーク
5.脂肪細胞の分化とPI3-キナーゼ 阪上浩・他
脂肪細胞分化の制御機構
PI3-キナーゼと蛋白合成
脂肪細胞の分化におけるPI3-キナーゼの役割
脂肪細胞分化過程におけるPI3-キナーゼの活性化のメカニズム
6.エネルギー代謝の基礎と脂肪細胞 香川靖雄
脂肪細胞の代謝
短期的制御―UCP3とβ3受容体
中期的制御―レプチンとインスリン抵抗性
長期的制御―二重標識水とPPARγ
mt老化と肥満
7.内臓脂肪組織の解剖学的特性と発現遺伝子の解析 前田和久
内臓脂肪組織の解剖学的特徴に由来する機能特性
脂肪組織における発現遺伝子
内臓脂肪における発現遺伝子の特徴
内臓脂肪症候群とPAI-1
新しい脂肪組織特異的遺伝子
8.肥満における脂質蓄積の分子生物学的基礎 藤野貴広・山本徳男
リポ蛋白質受容体
脂肪酸トランスポーター(FAT/CD36)
脂肪酸活性化酵素(Acyl-CoA synthetase:ACS)
9.脂肪細胞由来因子による食欲調節機序 坂田利家
Leptin抵抗性と血液脳関門
Leptinの脳内応答部位における食欲の調節機能
Leptin情報によって作動するPOMC含有神経系
脳内ヒスタミン神経系によるleptin作用の修飾
Leptinによる末梢エネルギー代謝調節
10.レプチン産生・レプチン感受性システムと体脂肪量の調節 松岡直樹・中尾一和
肥満をつかさどる液性因子の発見
肥満遺伝子産物レプチンとその受容体
血中レプチン濃度と肥満
レプチンの作用と分泌調節
11.レプチンの内分泌・生殖機能に対する作用 村上尚・島健二
膵内分泌への作用
脳下垂体(ACTH)-副腎(グルココルチコイド)系への作用
脳下垂体前葉からのGH分泌への作用
脳下垂体前葉からのLH,FSH分泌への作用と生殖機能への作用
卵巣内分泌への作用
胎盤由来のレプチン
12.脂肪細胞におけるTNF-αの発現調節とインスリン抵抗性における意義 小林正
TNF-αの脂肪細胞での発現調節
TNF-αのインスリン作用に対する影響
13.脂肪細胞におけるインスリンシグナルと糖輸送 保坂利男・岡芳知
インスリン受容体/インスリン受容体基質
PI-3キナーゼ
PI-3キナーゼ下流のシグナル
14.β3アドレナリン受容体の生理的意義と肥満 吉田俊秀・他
脂肪組織とβ3-AR
β3-ARと肥満発症
β3-ARミスセンス変異(Trp64Arg)と体重増加
β3-ARミスセンス変異と糖尿病
β3-ARミスセンス変異と糖尿病合併症
β3-ARミスセンス変異の分子機構
β3-AR遺伝子ミスセンス変異と他の遺伝子変異との関連
ヒト用β3アゴニスト
15.脱共役蛋白質ファミリーの構造と生理的役割 斉藤昌之
UCP-1の構造
UCP-1の機能
UCP-1と褐色脂肪細胞での熱産生
UCP-2とUCP-3
UCPファミリーと肥満
16.肥満(脂肪蓄積)の分子メカニズム―遺伝性肥満動物からみて 西村治男・他
ob遺伝子とレプチン
db,fa遺伝子とレプチン容体(Ob-R)
Ay/+マウスとagouti遺伝子
tub遺伝子
fat遺伝子とcarboxypeptidase E(CPE)
17.ヒト肥満の分子メカニズム 安田和基
ヒト肥満の分類と特徴
ピマインディアン
ヒト単純性肥満の遺伝因子
ヒト肥満の環境因子
その他のトピックス
18.脂肪萎縮性糖尿病の病態 奥山牧夫
臨床像と病理所見
代謝異常
インスリン抵抗性および内分泌動態
病態の成立機転
予後および治療
●サイドメモ●
GLUT1とGLUT4
褐色脂肪細胞の増殖と分化
核内受容体
ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(phoshatidylinositol 3-kinase)とホスフォイノシチド3-キナーゼ(phosphoinositide 3-kinase)
ATP合成酵素(ATP synthase:F0F1)
ヒトゲノム解析とは
カベオラ(caveolae)
Tumor necrosis factorα(TNF-α)
レプチン抵抗性
レプチンのグルコース代謝への作用
RKCファミリー
ヒトにおける褐色脂肪組織
ob/obマウスの併体結合実験
Thrifty genotype
1.脂肪細胞の実験法―遊離脂肪細胞および3T3-L1細胞の実験法 江崎治・角田伸代
遊離脂肪細胞
3T3-L1細胞
2.白色脂肪細胞の増殖と分化―成熟脂肪細胞の培養法を含む 杉原甫・戸田修二
脂肪細胞の形態と機能
脂肪細胞の肥大
前脂肪細胞の増殖と分化
単胞性脂肪細胞の増殖と分化―単胞性脂肪細胞も増殖する
脂肪細胞の他の細胞に及ぼす影響―脂肪細胞を含む皮膚再構築培養の試み
3.脂肪細胞の分化と転写制御 審良静男
PPARファミリー
C/EBPファミリーと脂肪分化
脂肪分化における転写制御カスケード
C/EBPファミリー・ノックアウトマウス
4.脂肪細胞の分化と核内受容体PPARファミリー 河田照雄
脂肪細胞分化の転写因子によるコントロール
脂肪細胞分化のマスターレギュレーター
脂肪細胞分化調節遺伝子のプログラムとネットワーク
5.脂肪細胞の分化とPI3-キナーゼ 阪上浩・他
脂肪細胞分化の制御機構
PI3-キナーゼと蛋白合成
脂肪細胞の分化におけるPI3-キナーゼの役割
脂肪細胞分化過程におけるPI3-キナーゼの活性化のメカニズム
6.エネルギー代謝の基礎と脂肪細胞 香川靖雄
脂肪細胞の代謝
短期的制御―UCP3とβ3受容体
中期的制御―レプチンとインスリン抵抗性
長期的制御―二重標識水とPPARγ
mt老化と肥満
7.内臓脂肪組織の解剖学的特性と発現遺伝子の解析 前田和久
内臓脂肪組織の解剖学的特徴に由来する機能特性
脂肪組織における発現遺伝子
内臓脂肪における発現遺伝子の特徴
内臓脂肪症候群とPAI-1
新しい脂肪組織特異的遺伝子
8.肥満における脂質蓄積の分子生物学的基礎 藤野貴広・山本徳男
リポ蛋白質受容体
脂肪酸トランスポーター(FAT/CD36)
脂肪酸活性化酵素(Acyl-CoA synthetase:ACS)
9.脂肪細胞由来因子による食欲調節機序 坂田利家
Leptin抵抗性と血液脳関門
Leptinの脳内応答部位における食欲の調節機能
Leptin情報によって作動するPOMC含有神経系
脳内ヒスタミン神経系によるleptin作用の修飾
Leptinによる末梢エネルギー代謝調節
10.レプチン産生・レプチン感受性システムと体脂肪量の調節 松岡直樹・中尾一和
肥満をつかさどる液性因子の発見
肥満遺伝子産物レプチンとその受容体
血中レプチン濃度と肥満
レプチンの作用と分泌調節
11.レプチンの内分泌・生殖機能に対する作用 村上尚・島健二
膵内分泌への作用
脳下垂体(ACTH)-副腎(グルココルチコイド)系への作用
脳下垂体前葉からのGH分泌への作用
脳下垂体前葉からのLH,FSH分泌への作用と生殖機能への作用
卵巣内分泌への作用
胎盤由来のレプチン
12.脂肪細胞におけるTNF-αの発現調節とインスリン抵抗性における意義 小林正
TNF-αの脂肪細胞での発現調節
TNF-αのインスリン作用に対する影響
13.脂肪細胞におけるインスリンシグナルと糖輸送 保坂利男・岡芳知
インスリン受容体/インスリン受容体基質
PI-3キナーゼ
PI-3キナーゼ下流のシグナル
14.β3アドレナリン受容体の生理的意義と肥満 吉田俊秀・他
脂肪組織とβ3-AR
β3-ARと肥満発症
β3-ARミスセンス変異(Trp64Arg)と体重増加
β3-ARミスセンス変異と糖尿病
β3-ARミスセンス変異と糖尿病合併症
β3-ARミスセンス変異の分子機構
β3-AR遺伝子ミスセンス変異と他の遺伝子変異との関連
ヒト用β3アゴニスト
15.脱共役蛋白質ファミリーの構造と生理的役割 斉藤昌之
UCP-1の構造
UCP-1の機能
UCP-1と褐色脂肪細胞での熱産生
UCP-2とUCP-3
UCPファミリーと肥満
16.肥満(脂肪蓄積)の分子メカニズム―遺伝性肥満動物からみて 西村治男・他
ob遺伝子とレプチン
db,fa遺伝子とレプチン容体(Ob-R)
Ay/+マウスとagouti遺伝子
tub遺伝子
fat遺伝子とcarboxypeptidase E(CPE)
17.ヒト肥満の分子メカニズム 安田和基
ヒト肥満の分類と特徴
ピマインディアン
ヒト単純性肥満の遺伝因子
ヒト肥満の環境因子
その他のトピックス
18.脂肪萎縮性糖尿病の病態 奥山牧夫
臨床像と病理所見
代謝異常
インスリン抵抗性および内分泌動態
病態の成立機転
予後および治療
●サイドメモ●
GLUT1とGLUT4
褐色脂肪細胞の増殖と分化
核内受容体
ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(phoshatidylinositol 3-kinase)とホスフォイノシチド3-キナーゼ(phosphoinositide 3-kinase)
ATP合成酵素(ATP synthase:F0F1)
ヒトゲノム解析とは
カベオラ(caveolae)
Tumor necrosis factorα(TNF-α)
レプチン抵抗性
レプチンのグルコース代謝への作用
RKCファミリー
ヒトにおける褐色脂肪組織
ob/obマウスの併体結合実験
Thrifty genotype