第3版への序文
「十年ひと昔」というとありきたりで,脳科学の分野では「ふた昔」以上といってよいかもしれない.脳梗塞の治療法の進歩により,かつてのような中大脳動脈領域全域にわたる大梗塞をみる頻度は減少した.しかし,脳血管障害をはじめとする局在性病変,また,外傷性脳損傷による局在性またはびまん性病変,そして,神経変性疾患による系統的病変において,その起こり方は,時代が変わってもほとんど変化しない.さらに,病変の部位や質による症候の表現型は,その捉え方や名称に変遷があっても,時代が変わっても変化しない.つまり,症候学としてのみかたが洗練され,名称や分類がより適切になるという変化が生じても,1900年代から注目されてきた症候の重要性が色褪せることはない.十年ひと昔/ふた昔というのは,症候の根底にある脳の障害機序に対する理解がどれだけ進歩したかという観点での話である.
本書は,第1版が2003年,第2版が2012年の出版であり,この度,第3版を迎えることとなった.おおむね10年単位での改訂である.第2版では,機能画像をはじめとする画像技術の進歩と症候学との接近を図り,高次脳機能の神経ネットワーク論から障害学の理解を深めることに力を入れた.この10年間で,高次脳機能のほぼ全域にわたっての神経ネットワーク論が進展したことを受けて,第3版では図の整備に加えて,急性期から慢性期への回復を含めて高次脳機能障害の理解が深まるように留意した.
リハビリテーションについては,経頭蓋磁気刺激法や再生医療など,従来の介入効果を促進するような試みが取り入れられているが,なかなか劇的効果は期待できない.高次脳機能障害を有する人たちの生活機能を高めるには,「何がうまくいって,何がうまくいかないか」を見極める力量と,医学的みかたと生活場面との対応/すり合わせを多面的に考えられる思考能力が大切である.また,リハビリテーション医療だけでなく,様々な社会資源を利用すべく,幅広い多職種連携が求められる.私は,講演の最後を「継続は力なり」という表現で締めくくることが多い.急性期-回復期-生活期という区分で,医療が分断され,さらに介護保険との連携も十分とは言えないことが多い.高次脳機能障害においては,築き上げられた人格と過去の膨大な記憶(過去の栄光)と何らかの制限が生じた脳機能との葛藤が生じ,両者のすり合わせは容易ではない.互いに信頼関係を築き,一緒に考えながら継続的に対応を進めることができるとよいと思っている.
2022年1月
石合純夫
「十年ひと昔」というとありきたりで,脳科学の分野では「ふた昔」以上といってよいかもしれない.脳梗塞の治療法の進歩により,かつてのような中大脳動脈領域全域にわたる大梗塞をみる頻度は減少した.しかし,脳血管障害をはじめとする局在性病変,また,外傷性脳損傷による局在性またはびまん性病変,そして,神経変性疾患による系統的病変において,その起こり方は,時代が変わってもほとんど変化しない.さらに,病変の部位や質による症候の表現型は,その捉え方や名称に変遷があっても,時代が変わっても変化しない.つまり,症候学としてのみかたが洗練され,名称や分類がより適切になるという変化が生じても,1900年代から注目されてきた症候の重要性が色褪せることはない.十年ひと昔/ふた昔というのは,症候の根底にある脳の障害機序に対する理解がどれだけ進歩したかという観点での話である.
本書は,第1版が2003年,第2版が2012年の出版であり,この度,第3版を迎えることとなった.おおむね10年単位での改訂である.第2版では,機能画像をはじめとする画像技術の進歩と症候学との接近を図り,高次脳機能の神経ネットワーク論から障害学の理解を深めることに力を入れた.この10年間で,高次脳機能のほぼ全域にわたっての神経ネットワーク論が進展したことを受けて,第3版では図の整備に加えて,急性期から慢性期への回復を含めて高次脳機能障害の理解が深まるように留意した.
リハビリテーションについては,経頭蓋磁気刺激法や再生医療など,従来の介入効果を促進するような試みが取り入れられているが,なかなか劇的効果は期待できない.高次脳機能障害を有する人たちの生活機能を高めるには,「何がうまくいって,何がうまくいかないか」を見極める力量と,医学的みかたと生活場面との対応/すり合わせを多面的に考えられる思考能力が大切である.また,リハビリテーション医療だけでなく,様々な社会資源を利用すべく,幅広い多職種連携が求められる.私は,講演の最後を「継続は力なり」という表現で締めくくることが多い.急性期-回復期-生活期という区分で,医療が分断され,さらに介護保険との連携も十分とは言えないことが多い.高次脳機能障害においては,築き上げられた人格と過去の膨大な記憶(過去の栄光)と何らかの制限が生じた脳機能との葛藤が生じ,両者のすり合わせは容易ではない.互いに信頼関係を築き,一緒に考えながら継続的に対応を進めることができるとよいと思っている.
2022年1月
石合純夫
第3版の序文
第1章 高次脳機能障害の診療―基礎知識―
I 高次脳機能障害総論
(1)高次脳機能障害とは
(2)高次脳機能障害をみるとは
(3)診察の実際
1)病歴,画像所見などの情報確認
2)利き手(handedness)のチェック
3)患者との面接開始
4)意識レベル
5)協力性
6)左半球の脳卒中
7)右半球の脳卒中
(4)神経心理学的検査 neuropsychological tests
1)神経心理学的検査とは
2)「異常」の判定
3)標準化された検査法の重要性
4)検査の適応条件
(5)脳の側性化(lateralilzation)と高次脳機能障害
(6)脳の側性化と分離脳(split brain)
(7)脳梁離断症状 callosal disconnection syndrome
(8)半球内局在と神経ネットワーク
II 画像診断のポイント
(1)脳葉の区分と主要な脳溝
(2)脳溝の同定から脳回へ
1)中心溝 central sulcus
2)シルビウス裂 Sylvian fissure(外側溝,lateral sulcus)
3)前頭葉外側面の脳溝と脳回
4)側頭葉の脳溝
5)頭頂葉の脳溝と主要な領域
6)後頭葉内側面の脳溝と領域
(3)脳室,大脳基底核,視床など
文献
第2章 失語,失読,失書
I 失語 aphasia
(1)定義
1)発話 speech
2)聴覚性理解 auditory comprehension
3)呼称・喚語 naming・word finding
4)復唱 repetition
5)読みと書字 reading and writing
(2)診察の実際
1)発話
2)聴覚性理解
3)呼称・喚語
4)復唱
5)読みと書字
(3)検査
(4)失語型の分類手順
1)主要な失語4型の分類
2)比較的稀な失語型の分類
(5)言語の神経ネットワークの構成と機能
1)一次聴覚野から上側頭回・溝後部
2)側頭葉内のネットワーク
3)前頭-側頭-頭頂(後頭)葉が構成する腹側系ネットワーク
4)側頭葉後部と前頭葉とを結ぶ背側系ネットワーク
5)下前頭回と前頭葉内側面のネットワーク
6)下前頭回後部から中心前回中〜下部
7)皮質下性失語や視床失語の発現に関わるネットワーク
8)言語の神経ネットワークと言語処理:まとめ
(6)各失語型の症状と病巣
1)ブローカ失語 Broca aphasia
2)ウェルニッケ失語 Wernicke aphasia
3)全失語 global aphasia
4)健忘失語 amnesic(amnestic)aphasia
5)伝導失語 conduction aphasia
6)超皮質性失語群 transcortical aphasias
(A)超皮質性運動失語
(B)超皮質性感覚失語
(C)混合型超皮質性失語
(7)原発性進行性失語 primary progressive aphasia(PPA)
1)非流暢/失文法型原発性進行性失語 nonfluent/agrammatic variant PPA(nfvPPA),進行性非流暢性失語 progressive non-fluent aphasia(PNFA)
2)意味型原発性進行性失語 semantic variant PPA(svPPA),意味性認知症 semantic dementia(SD)
3)語減少型原発性進行性失語 logopenic variant PPA(lvPPA)
(8)リハビリテーションと対応
1)急性期の対応
2)病状についての説明とコミュニケーション方法の指導
3)言語聴覚療法
II 失読 alexia,失書 agraphia
(1)評価
1)基礎的検査
2)漢字と仮名に関する検査
(2)病型
1)純粋失読 pure alexia,alexia without agraphia
2)失読失書 alexia with agraphia
3)純粋失書 pure agraphia
(3)対応とリハビリテーション
文献
第3章 失行と関連症状,行為・動作・行動の障害
I 失行 apraxia(上肢の失行 limb apraxia)
(1)定義
(2)症状
1)概説
2)日常臨床でのスクリーニングテスト
3)失行は日常生活活動(ADL)の障害となるか
(3)検査と評価
1)行為の種類と失行検査の実際
(1)道具使用のパントマイム
(2)道具の使用
(3)コミュニケーション動作
(4)ジェスチャーの模倣
2)評価の進め方と記録方法
(4)責任病巣:概論
1)Liepmannの水平シェーマを基本とした行為発現の考え方と失行の病巣
2)左半球内における失行の基本的病巣部位
(5)行為の神経ネットワークと失行論
1)「使用」システム“Use”systemの考え方
2)行為の神経ネットワーク論:病巣論からのアプローチ
3)行為の神経ネットワーク論のまとめ
(6)リハビリテーション
1)訓練内容と目標の設定
2)訓練方法の実際
3)訓練効果
4)環境調整
II 失行関連症状
A 複数物品の系列的操作の障害(Liepmannの観念失行,Action Disorganization Syndrome)
(1)歴史的経緯
(2)新しい考え方
(3)リハビリテーション
B 口部失行 oral apraxia,口(部)顔面失行 orofacial apraxia,口腔顔面失行 buccofacial apraxia,顔面失行 facial apraxia
(1)定義と問題点
(2)症状
(3)検査と評価
(4)病巣
(5)発現機序
(6)対応とリハビリテーション
C 肢節運動失行 limb kinetic apraxia(LKA)
(1)定義と問題点
(2)臨床症状
(3)検査と評価
(4)病巣
(5)発現機序と肢節運動失行に関連する神経回路
(6)リハビリテーション
D 着衣障害(かつての「着衣失行」) disorders of dressing
(1)定義と問題点
(2)症状・検査
(3)病巣と発現機序
(4)リハビリテーション
III 把握現象
A 把握反射 grasp(ing)reflex
(1)定義
(2)症状
(3)検査と評価
(4)病巣
(5)発現機序
B 本能性把握反応 instinctive grasp reaction
(1)定義
(2)症状
(3)検査と評価
1)Closing reaction
2)Final grip
3)Trap reaction
4)Magnet reaction
5)Visual groping
(4)病巣
(5)発現機序
C 同側性本能性把握反応 ipsilateral instinctive grasp reaction
D 把握現象への対応
IV 行為・行動の抑制障害
A いわゆる alien hand
(1)用語の問題
(2)Alien handに属する症候
1)Signe de la main etrangere
2)拮抗失行 intermanual conflict
3)Anarchic hand
4)道具の強迫的使用 compulsive manipulation of tools
5)Bogenのalien hand
6)Posterior alien hand syndrome
(3)Alien handの整理
(4)リハビリテーションの可能性
B 使用行動と模倣行動
(1)使用行動 utilization behavior
1)定義
2)症状と検査
3)病巣と発現機序
(2)模倣行動 imitation behavior
1)定義
2)症状と検査
3)病巣と発現機序
V 運動・動作の出力,開始,維持の障害
A 運動無視 motor neglect
(1)定義
(2)症状
(3)検査と評価
(4)病巣
(5)発現機序
(6)対応とリハビリテーション
B 運動維持困難 motor impersistence
(1)定義
(2)症状
(3)検査と評価
(4)病巣
(5)発現機序
(6)対応とリハビリテーション
文献
第4章 失認と関連症状
I 視覚モダリティにおける失認と関連症状
A 視覚性(物体)失認 visual(object)agnosia
(1)定義
(2)古典的分類
(3)今日の分類と症状
1)視覚性形態失認 visual form agnosia
2)連合型視覚性失認(純粋型) associative visual agnosia
3)統合型視覚性失認 integrative visual agnosia
4)視覚性失語 optic aphasia
(4)視覚性失認を疑う場合に実施すべき検査
1)基本的視覚機能
2)形態の視知覚に関連する検査
3)物体の認知に関する検査
4)視覚性失認,視覚性失語における障害レベルのアプローチ
5)物体以外の視覚性認知に関する検査
6)言語,知能,記憶についての検査
(5)病巣・頻度
(6)物体の視覚性認知過程と視覚性失認
1)物体の形態知覚,認知,呼称の過程
2)視覚性失認のタイプと障害レベル
3)視覚性失語と障害レベル
4)脳の側性化と視覚性認知,呼称,身振りによる表現
(7)視覚性物体認知に関わる後頭側頭葉皮質:機能画像研究
1)外側後頭複合体 lateral occipital complex(LOC)
2)隣接する視覚性認知関連領域
3)視覚性失認の病巣研究とfMRI研究との接近の難しさ
(8)対応とリハビリテーション
B (後天性)相貌失認(acquired)prosopagnosia
(1)定義
(2)症状
(3)検査
1)既知(熟知)相貌の認知
2)未知相貌の認知
3)聴覚,言語を介した人物の認知・知識
4)その他
(4)病巣
(5)相貌の視覚性認知過程と相貌失認
1)認知神経科学的モデル
2)相貌認知の障害レベルと病巣との関係
3)顔認知に関するfMRI研究と相貌失認例の研究との接近
(6)リハビリテーションと対応
C 地誌的見当識障害 topographical disorientation
(1)定義
(2)症状・病巣
1)地誌的見当識障害の分類
(3)検査
1)建物・風景の認知
2)建物・風景の記憶表象
3)地図・見取り図の描画・定位
4)道順・方向の口述
5)新規の場所における道順・風景の学習
6)合併しやすく,地誌的問題を生じやすい障害に関する検査
(4)発現機序
1)「地誌的」な特異性
2)fMRI研究からの手がかり
3)場所に関する意味記憶
4)地誌的認知の神経ネットワーク
(5)リハビリテーションと対応
II 中枢性聴覚障害 central auditory disorders
A 中枢性聾(complete)central deafness(いわゆる皮質聾 'so-called'cortical deafness)
(1)定義
(2)症状
(3)検査
(4)病巣
(5)発現機序
(6)対応とリハビリテーション
B 純粋語聾 pure word deafness
(1)定義
(2)症状
(3)検査
(4)病巣と発現機序
(5)対応とリハビリテーション
C 聴覚性失認 auditory agnosia(環境音失認 environmental sound agnosia)
(1)定義
(2)症状
(3)検査
(4)病巣と発現機序
(5)経過・対応
D 失音楽 amusia(感覚性失音楽 sensory amusia)
(1)定義
(2)症状
(3)検査
(4)病巣と音楽認知の神経ネットワーク
(5)経過・対応
III 触覚性失認 tactile agnosia
(1)定義
(2)症状
(3)検査
(4)病巣
(5)発現機序
(6)対応
IV 陽性知覚症状-幻覚,錯覚など
A 陽性視覚症状 positive visual phenomena-幻視 visual hallucination,錯視 visual illusion
(1)定義
(2)症状
(3)診断・検査
(4)病巣・頻度
(5)発現機序
(6)経過・治療
B 聴覚性保続 palinacusis,auditory perseveration
(1)定義
(2)症状
(3)病巣と発現機序
(4)対応・治療
文献
第5章 無視症候群・外界と身体の処理に関わる空間性障害
I 半側空間無視 unilteral spatial neglect(hemispatial neglect)
(1)定義
(2)症状
1)急性期の臥床状態
2)ベッド上〜車椅子座位
3)移動・移乗
4)病識の問題
5)物品の認知
6)Near spaceとfar space
7)自己身体の認知
(3)検査と評価
1)急性期における評価
2)座位で行う机上検査
(1)基本的検査法
(2)BIT通常検査における半側空間無視の診断
(3)日常生活場面における半側空間無視の予測と評価
(4)半側空間無視検査と合わせて実施しておくと良い検査
(4)病巣
1)側頭頭頂接合部
2)前頭葉
3)視床,基底核
4)側頭葉
5)皮質下白質
(5)半側空間無視と空間性注意の神経ネットワーク
1)病巣の多様性と半側空間無視発現の要素
2)空間性注意の神経ネットワーク
3)半側空間無視の病巣の位置づけ
4)ネットワークの側性化
(6)発現機序
1)要素的障害についての考え方
2)感覚性注意障害と方向性運動低下
3)表象障害説
4)注意障害説
5)半側空間無視発現に関与する非空間性要因
(7)リハビリテーションと対応
1)治療・介入の考え方
2)訓練・介入の方法
3)リハビリテーションとしての課題
II 片麻痺に対する病態失認 anosognosia for hemiplegia(AHP)
(1)定義・頻度
(2)症状と診断
1)基本症状とその診断
2)多様な表現型
3)経過と症状変化
(3)合併しやすい障害
1)半側空間無視
2)自己身体に対する無視 personal neglect
3)Asomatognosia,身体パラフレニア
(4)病巣
(5)発現機序
1)複合要因説
2)運動意図障害説
3)運動麻痺の発見困難に関するメカニズム論
4)典型的な片麻痺に対する病態失認の基盤
(6)リハビリテーションと対応
III 身体に対する無視症候群
A 病巣と対側の身体部位の所属感に関する障害
(1)定義・症状
1)Asomatognosia(半側身体失認)
2)身体パラフレニア somatoparaphrenia
(2)合併症状・発現機序
(3)病巣
(4)リハビリテーション
B Personal neglect(半側身体無視)
IV Pusher症候群
(1)定義
(2)診断
(3)頻度・病巣・合併症状
(4)発現機序
(5)リハビリテーションと予後
V Balint症候群
(1)定義
(2)症状
(3)検査
(4)病巣と発現機序
(5)経過
VI 構成障害 constructional disablility
(1)定義
(2)症状
(3)検査
(4)病巣
(5)発現機序
(6)経過・対応
文献
第6章 注意・記憶・遂行機能とその障害
I 注意と注意障害 attention and attentional disorders
(1)注意の定義
(2)注意の諸側面
1)覚醒(敏捷)度 alerting, alertness
2)指向・選択 orienting
3)実行制御 executive control
4)その他
(3)臨床的な注意検査
1)注意集中力の検査
2)選択的注意(selective attention)の検査
3)持続性注意(sustained attention)の検査
4)分配性注意(divided attention)とワーキングメモリの検査
5)Trail Making Test日本版(TMT-J)
6)Attention Network Test(ANT)
(4)注意に関わる神経ネットワークと注意障害の病巣部位
(5)リハビリテーション
II 記憶障害 memory disorders
(1)記憶の分類
1)陳述記憶(declarative memory)と手続き記憶(procedural memory)
2)時間的側面からみた分類
3)エピソード記憶と意味記憶
(2)記憶障害の分類
1)エピソード記憶障害
(1)定義:前向性健忘と逆向性健忘
(2)症状
(3)検査
(4)病巣と症状の特徴
(5)リハビリテーションと対応
2)意味記憶障害 semantic memory disorders
3)その他の記憶障害と関連症状
III 遂行機能障害 executive dysfunction
(1)セットの転換 set shifting-認知機能の柔軟性
1)Wisconsin Card Sorting Test(WCST)
2)Trail Making Test日本版(TMT-J)
(2)選択的注意 selective attention
1)Stroopテスト(Stroop[color-word]test)
(3)流暢性 fluency
1)語流暢性 verbal fluency
2)デザイン流暢性 design fluency
(4)Decision makingの障害
1)ギャンブル課題 [Iowa]Gambling Task(IGT)
2)反応のパタンと障害を起こす病巣
(5)リハビリテーションと対応
文献
第7章 認知症,せん妄,外傷性脳損傷による高次脳機能障害
I 認知症
(1)定義
(2)問診
(3)検査
1)スクリーニングテスト
2)記憶検査
3)知能検査
4)遂行機能検査
5)観察法による評価
6)行動・心理症状BPSD
7)アパシー apathy
(4)病型
1)アルツハイマー型認知症 dementia of the Alzheimer type(アルツハイマー病〔Alzheimer's disease〕の病理によると考えられる認知症)
(1)定義・診断基準
(2)症状と経過
(3)画像診断
(4)治療・生活機能維持
2)レビー小体型認知症 dementia with Lewy bodies(DLB)
(1)歴史・診断基準
(2)神経心理学的症状
(3)神経精神症状
(4)神経症状
(5)画像診断・神経生理学的診断
(6)治療・対応
3)前頭側頭型認知症 frontotemporal dementia(FTD)
(1)概念,分類
(2)行動障害型前頭側頭型認知症
4)血管性認知症 vascular dementia(VaD)
(1)定義と注意点
(2)皮質下血管性認知症
(3)血管性認知障害
(4)脳卒中後認知症
II せん妄 delirium(急性錯乱状態 acute confusional state)
(1)症状
1)診断基準
2)臨床症状
3)神経心理学的検査
4)鑑別診断
(2)病因
1)危険因子
2)脳血管障害が原因の場合
(3)対応・治療
III 外傷性脳損傷(traumatic brain injury;TBI)による高次脳機能障害
(1)急性期:外傷後健忘(posttraumatic amnesia;PTA)と初期の回復
(2)回復早期の認知機能
(3)回復期の評価と予後
1)復職をはじめとする社会参加に向けて
2)神経心理学的検査
3)外傷性脳損傷で比較的多いタイプの記憶障害
(4)行動・心理症状 behavioral and psychological symptoms
(5)画像診断
(6)復職などの社会復帰
(7)社会資源の活用
文献
memo
認知機能(cognitive function)と高次脳機能
神経心理学と高次脳機能障害学
部分的脳梁離断症状
純粋発語失行 pure apraxia of speech(純粋失構音,pure anarthria,純粋語唖)
外国人アクセント症候群 foreign accent syndrome(FAS)
運動(性)失語(motor aphasia)と感覚(性)失語(sensory aphasia)
下前頭後頭束 inferior fronto-occipital fasciculus(IFOF)
交叉性失語 crossed aphasia
復唱の認知神経科学的モデル
語義失語
視床失語 thalamic aphasia
Gerstmann症候群
上肢の失行,構成障害と失書
Affordance(アフォーダンス)
概念失行
道具と対象物との関係を追求する課題
行為の種類と実施方法による難易度と失行の発現頻度
ジェスチャーの認知
失行の古典分類:観念運動失行,観念失行など
脳梁失行 callosal apraxia
下肢の失行
Contention scheduling system
運動開始困難 motor initiation disorder
間欠的運動開始困難の自験例
大脳性色覚障害 cerebral achromatopsia(dyschromatopsia)
多様式(モダリティ)失認 multimodal agnosia
左一側性病巣による視覚性失認と模写
相貌に対する健忘
右前部側頭葉病巣の問題点
発達性(先天性)相貌失認 developmental(congenital)prosopagnosia
語義聾 word meaning deafness
先天性失音楽 congenital amusia
左手の触覚性呼称障害
右半球脳血管障害後の自動車運転再開
Anosodiaphoria(病態無関心)
“Anosognosia” という用語について
身体パラフレニア患者との対話
片麻痺憎悪 misoplegia
余剰幻肢 supernumerary phantom limb,third limb
Ataxie optique
腹側性同時失認 ventral simultanagnosia
ワーキングメモリ(作動記憶,working memory)
論理的記憶 logical memory
孤立性逆向性健忘 focal(isolated)retrograde amnesia
機能性逆向性健忘 functional retrograde amnesia(心因性/解離性健忘,psychogenic/dissociative amnesia)
一過性てんかん性健忘 transient epileptic amnesia(TEA)
前脳基底部損傷 basal forebrain lesions
右半球損傷におけるconfabulation
仮名ひろいテスト
軽度認知障害 mild cognitive impairment(MCI)
MMSE実施上の注意点
アルツハイマー型認知症における非対称性の脳萎縮と血流低下
独居も悪くない
アルツハイマー型認知症と鑑別が必要な非アルツハイマー病理の疾患
人物誤認(症候群) misidentification of person
認知症と自動車運転
行政的支援対策としての診断名「高次脳機能障害」
自動車運転の再開
索引
第1章 高次脳機能障害の診療―基礎知識―
I 高次脳機能障害総論
(1)高次脳機能障害とは
(2)高次脳機能障害をみるとは
(3)診察の実際
1)病歴,画像所見などの情報確認
2)利き手(handedness)のチェック
3)患者との面接開始
4)意識レベル
5)協力性
6)左半球の脳卒中
7)右半球の脳卒中
(4)神経心理学的検査 neuropsychological tests
1)神経心理学的検査とは
2)「異常」の判定
3)標準化された検査法の重要性
4)検査の適応条件
(5)脳の側性化(lateralilzation)と高次脳機能障害
(6)脳の側性化と分離脳(split brain)
(7)脳梁離断症状 callosal disconnection syndrome
(8)半球内局在と神経ネットワーク
II 画像診断のポイント
(1)脳葉の区分と主要な脳溝
(2)脳溝の同定から脳回へ
1)中心溝 central sulcus
2)シルビウス裂 Sylvian fissure(外側溝,lateral sulcus)
3)前頭葉外側面の脳溝と脳回
4)側頭葉の脳溝
5)頭頂葉の脳溝と主要な領域
6)後頭葉内側面の脳溝と領域
(3)脳室,大脳基底核,視床など
文献
第2章 失語,失読,失書
I 失語 aphasia
(1)定義
1)発話 speech
2)聴覚性理解 auditory comprehension
3)呼称・喚語 naming・word finding
4)復唱 repetition
5)読みと書字 reading and writing
(2)診察の実際
1)発話
2)聴覚性理解
3)呼称・喚語
4)復唱
5)読みと書字
(3)検査
(4)失語型の分類手順
1)主要な失語4型の分類
2)比較的稀な失語型の分類
(5)言語の神経ネットワークの構成と機能
1)一次聴覚野から上側頭回・溝後部
2)側頭葉内のネットワーク
3)前頭-側頭-頭頂(後頭)葉が構成する腹側系ネットワーク
4)側頭葉後部と前頭葉とを結ぶ背側系ネットワーク
5)下前頭回と前頭葉内側面のネットワーク
6)下前頭回後部から中心前回中〜下部
7)皮質下性失語や視床失語の発現に関わるネットワーク
8)言語の神経ネットワークと言語処理:まとめ
(6)各失語型の症状と病巣
1)ブローカ失語 Broca aphasia
2)ウェルニッケ失語 Wernicke aphasia
3)全失語 global aphasia
4)健忘失語 amnesic(amnestic)aphasia
5)伝導失語 conduction aphasia
6)超皮質性失語群 transcortical aphasias
(A)超皮質性運動失語
(B)超皮質性感覚失語
(C)混合型超皮質性失語
(7)原発性進行性失語 primary progressive aphasia(PPA)
1)非流暢/失文法型原発性進行性失語 nonfluent/agrammatic variant PPA(nfvPPA),進行性非流暢性失語 progressive non-fluent aphasia(PNFA)
2)意味型原発性進行性失語 semantic variant PPA(svPPA),意味性認知症 semantic dementia(SD)
3)語減少型原発性進行性失語 logopenic variant PPA(lvPPA)
(8)リハビリテーションと対応
1)急性期の対応
2)病状についての説明とコミュニケーション方法の指導
3)言語聴覚療法
II 失読 alexia,失書 agraphia
(1)評価
1)基礎的検査
2)漢字と仮名に関する検査
(2)病型
1)純粋失読 pure alexia,alexia without agraphia
2)失読失書 alexia with agraphia
3)純粋失書 pure agraphia
(3)対応とリハビリテーション
文献
第3章 失行と関連症状,行為・動作・行動の障害
I 失行 apraxia(上肢の失行 limb apraxia)
(1)定義
(2)症状
1)概説
2)日常臨床でのスクリーニングテスト
3)失行は日常生活活動(ADL)の障害となるか
(3)検査と評価
1)行為の種類と失行検査の実際
(1)道具使用のパントマイム
(2)道具の使用
(3)コミュニケーション動作
(4)ジェスチャーの模倣
2)評価の進め方と記録方法
(4)責任病巣:概論
1)Liepmannの水平シェーマを基本とした行為発現の考え方と失行の病巣
2)左半球内における失行の基本的病巣部位
(5)行為の神経ネットワークと失行論
1)「使用」システム“Use”systemの考え方
2)行為の神経ネットワーク論:病巣論からのアプローチ
3)行為の神経ネットワーク論のまとめ
(6)リハビリテーション
1)訓練内容と目標の設定
2)訓練方法の実際
3)訓練効果
4)環境調整
II 失行関連症状
A 複数物品の系列的操作の障害(Liepmannの観念失行,Action Disorganization Syndrome)
(1)歴史的経緯
(2)新しい考え方
(3)リハビリテーション
B 口部失行 oral apraxia,口(部)顔面失行 orofacial apraxia,口腔顔面失行 buccofacial apraxia,顔面失行 facial apraxia
(1)定義と問題点
(2)症状
(3)検査と評価
(4)病巣
(5)発現機序
(6)対応とリハビリテーション
C 肢節運動失行 limb kinetic apraxia(LKA)
(1)定義と問題点
(2)臨床症状
(3)検査と評価
(4)病巣
(5)発現機序と肢節運動失行に関連する神経回路
(6)リハビリテーション
D 着衣障害(かつての「着衣失行」) disorders of dressing
(1)定義と問題点
(2)症状・検査
(3)病巣と発現機序
(4)リハビリテーション
III 把握現象
A 把握反射 grasp(ing)reflex
(1)定義
(2)症状
(3)検査と評価
(4)病巣
(5)発現機序
B 本能性把握反応 instinctive grasp reaction
(1)定義
(2)症状
(3)検査と評価
1)Closing reaction
2)Final grip
3)Trap reaction
4)Magnet reaction
5)Visual groping
(4)病巣
(5)発現機序
C 同側性本能性把握反応 ipsilateral instinctive grasp reaction
D 把握現象への対応
IV 行為・行動の抑制障害
A いわゆる alien hand
(1)用語の問題
(2)Alien handに属する症候
1)Signe de la main etrangere
2)拮抗失行 intermanual conflict
3)Anarchic hand
4)道具の強迫的使用 compulsive manipulation of tools
5)Bogenのalien hand
6)Posterior alien hand syndrome
(3)Alien handの整理
(4)リハビリテーションの可能性
B 使用行動と模倣行動
(1)使用行動 utilization behavior
1)定義
2)症状と検査
3)病巣と発現機序
(2)模倣行動 imitation behavior
1)定義
2)症状と検査
3)病巣と発現機序
V 運動・動作の出力,開始,維持の障害
A 運動無視 motor neglect
(1)定義
(2)症状
(3)検査と評価
(4)病巣
(5)発現機序
(6)対応とリハビリテーション
B 運動維持困難 motor impersistence
(1)定義
(2)症状
(3)検査と評価
(4)病巣
(5)発現機序
(6)対応とリハビリテーション
文献
第4章 失認と関連症状
I 視覚モダリティにおける失認と関連症状
A 視覚性(物体)失認 visual(object)agnosia
(1)定義
(2)古典的分類
(3)今日の分類と症状
1)視覚性形態失認 visual form agnosia
2)連合型視覚性失認(純粋型) associative visual agnosia
3)統合型視覚性失認 integrative visual agnosia
4)視覚性失語 optic aphasia
(4)視覚性失認を疑う場合に実施すべき検査
1)基本的視覚機能
2)形態の視知覚に関連する検査
3)物体の認知に関する検査
4)視覚性失認,視覚性失語における障害レベルのアプローチ
5)物体以外の視覚性認知に関する検査
6)言語,知能,記憶についての検査
(5)病巣・頻度
(6)物体の視覚性認知過程と視覚性失認
1)物体の形態知覚,認知,呼称の過程
2)視覚性失認のタイプと障害レベル
3)視覚性失語と障害レベル
4)脳の側性化と視覚性認知,呼称,身振りによる表現
(7)視覚性物体認知に関わる後頭側頭葉皮質:機能画像研究
1)外側後頭複合体 lateral occipital complex(LOC)
2)隣接する視覚性認知関連領域
3)視覚性失認の病巣研究とfMRI研究との接近の難しさ
(8)対応とリハビリテーション
B (後天性)相貌失認(acquired)prosopagnosia
(1)定義
(2)症状
(3)検査
1)既知(熟知)相貌の認知
2)未知相貌の認知
3)聴覚,言語を介した人物の認知・知識
4)その他
(4)病巣
(5)相貌の視覚性認知過程と相貌失認
1)認知神経科学的モデル
2)相貌認知の障害レベルと病巣との関係
3)顔認知に関するfMRI研究と相貌失認例の研究との接近
(6)リハビリテーションと対応
C 地誌的見当識障害 topographical disorientation
(1)定義
(2)症状・病巣
1)地誌的見当識障害の分類
(3)検査
1)建物・風景の認知
2)建物・風景の記憶表象
3)地図・見取り図の描画・定位
4)道順・方向の口述
5)新規の場所における道順・風景の学習
6)合併しやすく,地誌的問題を生じやすい障害に関する検査
(4)発現機序
1)「地誌的」な特異性
2)fMRI研究からの手がかり
3)場所に関する意味記憶
4)地誌的認知の神経ネットワーク
(5)リハビリテーションと対応
II 中枢性聴覚障害 central auditory disorders
A 中枢性聾(complete)central deafness(いわゆる皮質聾 'so-called'cortical deafness)
(1)定義
(2)症状
(3)検査
(4)病巣
(5)発現機序
(6)対応とリハビリテーション
B 純粋語聾 pure word deafness
(1)定義
(2)症状
(3)検査
(4)病巣と発現機序
(5)対応とリハビリテーション
C 聴覚性失認 auditory agnosia(環境音失認 environmental sound agnosia)
(1)定義
(2)症状
(3)検査
(4)病巣と発現機序
(5)経過・対応
D 失音楽 amusia(感覚性失音楽 sensory amusia)
(1)定義
(2)症状
(3)検査
(4)病巣と音楽認知の神経ネットワーク
(5)経過・対応
III 触覚性失認 tactile agnosia
(1)定義
(2)症状
(3)検査
(4)病巣
(5)発現機序
(6)対応
IV 陽性知覚症状-幻覚,錯覚など
A 陽性視覚症状 positive visual phenomena-幻視 visual hallucination,錯視 visual illusion
(1)定義
(2)症状
(3)診断・検査
(4)病巣・頻度
(5)発現機序
(6)経過・治療
B 聴覚性保続 palinacusis,auditory perseveration
(1)定義
(2)症状
(3)病巣と発現機序
(4)対応・治療
文献
第5章 無視症候群・外界と身体の処理に関わる空間性障害
I 半側空間無視 unilteral spatial neglect(hemispatial neglect)
(1)定義
(2)症状
1)急性期の臥床状態
2)ベッド上〜車椅子座位
3)移動・移乗
4)病識の問題
5)物品の認知
6)Near spaceとfar space
7)自己身体の認知
(3)検査と評価
1)急性期における評価
2)座位で行う机上検査
(1)基本的検査法
(2)BIT通常検査における半側空間無視の診断
(3)日常生活場面における半側空間無視の予測と評価
(4)半側空間無視検査と合わせて実施しておくと良い検査
(4)病巣
1)側頭頭頂接合部
2)前頭葉
3)視床,基底核
4)側頭葉
5)皮質下白質
(5)半側空間無視と空間性注意の神経ネットワーク
1)病巣の多様性と半側空間無視発現の要素
2)空間性注意の神経ネットワーク
3)半側空間無視の病巣の位置づけ
4)ネットワークの側性化
(6)発現機序
1)要素的障害についての考え方
2)感覚性注意障害と方向性運動低下
3)表象障害説
4)注意障害説
5)半側空間無視発現に関与する非空間性要因
(7)リハビリテーションと対応
1)治療・介入の考え方
2)訓練・介入の方法
3)リハビリテーションとしての課題
II 片麻痺に対する病態失認 anosognosia for hemiplegia(AHP)
(1)定義・頻度
(2)症状と診断
1)基本症状とその診断
2)多様な表現型
3)経過と症状変化
(3)合併しやすい障害
1)半側空間無視
2)自己身体に対する無視 personal neglect
3)Asomatognosia,身体パラフレニア
(4)病巣
(5)発現機序
1)複合要因説
2)運動意図障害説
3)運動麻痺の発見困難に関するメカニズム論
4)典型的な片麻痺に対する病態失認の基盤
(6)リハビリテーションと対応
III 身体に対する無視症候群
A 病巣と対側の身体部位の所属感に関する障害
(1)定義・症状
1)Asomatognosia(半側身体失認)
2)身体パラフレニア somatoparaphrenia
(2)合併症状・発現機序
(3)病巣
(4)リハビリテーション
B Personal neglect(半側身体無視)
IV Pusher症候群
(1)定義
(2)診断
(3)頻度・病巣・合併症状
(4)発現機序
(5)リハビリテーションと予後
V Balint症候群
(1)定義
(2)症状
(3)検査
(4)病巣と発現機序
(5)経過
VI 構成障害 constructional disablility
(1)定義
(2)症状
(3)検査
(4)病巣
(5)発現機序
(6)経過・対応
文献
第6章 注意・記憶・遂行機能とその障害
I 注意と注意障害 attention and attentional disorders
(1)注意の定義
(2)注意の諸側面
1)覚醒(敏捷)度 alerting, alertness
2)指向・選択 orienting
3)実行制御 executive control
4)その他
(3)臨床的な注意検査
1)注意集中力の検査
2)選択的注意(selective attention)の検査
3)持続性注意(sustained attention)の検査
4)分配性注意(divided attention)とワーキングメモリの検査
5)Trail Making Test日本版(TMT-J)
6)Attention Network Test(ANT)
(4)注意に関わる神経ネットワークと注意障害の病巣部位
(5)リハビリテーション
II 記憶障害 memory disorders
(1)記憶の分類
1)陳述記憶(declarative memory)と手続き記憶(procedural memory)
2)時間的側面からみた分類
3)エピソード記憶と意味記憶
(2)記憶障害の分類
1)エピソード記憶障害
(1)定義:前向性健忘と逆向性健忘
(2)症状
(3)検査
(4)病巣と症状の特徴
(5)リハビリテーションと対応
2)意味記憶障害 semantic memory disorders
3)その他の記憶障害と関連症状
III 遂行機能障害 executive dysfunction
(1)セットの転換 set shifting-認知機能の柔軟性
1)Wisconsin Card Sorting Test(WCST)
2)Trail Making Test日本版(TMT-J)
(2)選択的注意 selective attention
1)Stroopテスト(Stroop[color-word]test)
(3)流暢性 fluency
1)語流暢性 verbal fluency
2)デザイン流暢性 design fluency
(4)Decision makingの障害
1)ギャンブル課題 [Iowa]Gambling Task(IGT)
2)反応のパタンと障害を起こす病巣
(5)リハビリテーションと対応
文献
第7章 認知症,せん妄,外傷性脳損傷による高次脳機能障害
I 認知症
(1)定義
(2)問診
(3)検査
1)スクリーニングテスト
2)記憶検査
3)知能検査
4)遂行機能検査
5)観察法による評価
6)行動・心理症状BPSD
7)アパシー apathy
(4)病型
1)アルツハイマー型認知症 dementia of the Alzheimer type(アルツハイマー病〔Alzheimer's disease〕の病理によると考えられる認知症)
(1)定義・診断基準
(2)症状と経過
(3)画像診断
(4)治療・生活機能維持
2)レビー小体型認知症 dementia with Lewy bodies(DLB)
(1)歴史・診断基準
(2)神経心理学的症状
(3)神経精神症状
(4)神経症状
(5)画像診断・神経生理学的診断
(6)治療・対応
3)前頭側頭型認知症 frontotemporal dementia(FTD)
(1)概念,分類
(2)行動障害型前頭側頭型認知症
4)血管性認知症 vascular dementia(VaD)
(1)定義と注意点
(2)皮質下血管性認知症
(3)血管性認知障害
(4)脳卒中後認知症
II せん妄 delirium(急性錯乱状態 acute confusional state)
(1)症状
1)診断基準
2)臨床症状
3)神経心理学的検査
4)鑑別診断
(2)病因
1)危険因子
2)脳血管障害が原因の場合
(3)対応・治療
III 外傷性脳損傷(traumatic brain injury;TBI)による高次脳機能障害
(1)急性期:外傷後健忘(posttraumatic amnesia;PTA)と初期の回復
(2)回復早期の認知機能
(3)回復期の評価と予後
1)復職をはじめとする社会参加に向けて
2)神経心理学的検査
3)外傷性脳損傷で比較的多いタイプの記憶障害
(4)行動・心理症状 behavioral and psychological symptoms
(5)画像診断
(6)復職などの社会復帰
(7)社会資源の活用
文献
memo
認知機能(cognitive function)と高次脳機能
神経心理学と高次脳機能障害学
部分的脳梁離断症状
純粋発語失行 pure apraxia of speech(純粋失構音,pure anarthria,純粋語唖)
外国人アクセント症候群 foreign accent syndrome(FAS)
運動(性)失語(motor aphasia)と感覚(性)失語(sensory aphasia)
下前頭後頭束 inferior fronto-occipital fasciculus(IFOF)
交叉性失語 crossed aphasia
復唱の認知神経科学的モデル
語義失語
視床失語 thalamic aphasia
Gerstmann症候群
上肢の失行,構成障害と失書
Affordance(アフォーダンス)
概念失行
道具と対象物との関係を追求する課題
行為の種類と実施方法による難易度と失行の発現頻度
ジェスチャーの認知
失行の古典分類:観念運動失行,観念失行など
脳梁失行 callosal apraxia
下肢の失行
Contention scheduling system
運動開始困難 motor initiation disorder
間欠的運動開始困難の自験例
大脳性色覚障害 cerebral achromatopsia(dyschromatopsia)
多様式(モダリティ)失認 multimodal agnosia
左一側性病巣による視覚性失認と模写
相貌に対する健忘
右前部側頭葉病巣の問題点
発達性(先天性)相貌失認 developmental(congenital)prosopagnosia
語義聾 word meaning deafness
先天性失音楽 congenital amusia
左手の触覚性呼称障害
右半球脳血管障害後の自動車運転再開
Anosodiaphoria(病態無関心)
“Anosognosia” という用語について
身体パラフレニア患者との対話
片麻痺憎悪 misoplegia
余剰幻肢 supernumerary phantom limb,third limb
Ataxie optique
腹側性同時失認 ventral simultanagnosia
ワーキングメモリ(作動記憶,working memory)
論理的記憶 logical memory
孤立性逆向性健忘 focal(isolated)retrograde amnesia
機能性逆向性健忘 functional retrograde amnesia(心因性/解離性健忘,psychogenic/dissociative amnesia)
一過性てんかん性健忘 transient epileptic amnesia(TEA)
前脳基底部損傷 basal forebrain lesions
右半球損傷におけるconfabulation
仮名ひろいテスト
軽度認知障害 mild cognitive impairment(MCI)
MMSE実施上の注意点
アルツハイマー型認知症における非対称性の脳萎縮と血流低下
独居も悪くない
アルツハイマー型認知症と鑑別が必要な非アルツハイマー病理の疾患
人物誤認(症候群) misidentification of person
認知症と自動車運転
行政的支援対策としての診断名「高次脳機能障害」
自動車運転の再開
索引