やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 皆さん,はじめまして! 医学博士の町田志樹です.このたびは「看護学生のミカタ 町田先生の解剖生理学TV神経編」をご購入いただき,誠にありがとうございます.講義を始める前に,簡単に自己紹介と本書の使い方を説明します.

町田先生 自己紹介
 現在,私は大学にて看護学科をはじめ,複数の学科で解剖学などの講義を担当しています.皆さん,解剖生理学はお好きですか? そう聞くとどうしても「覚えることが多い」,「内容が難しい」などといった理由から「NO」と答える方が多いです.私はそんな解剖生理学を「正しく・楽しく・分かりやすく伝える」ことをいつも心がけ,講義に臨んでいます.また,これまでに解剖学・生理学関連の書籍を9冊出版し,医療職従事者に対する講習会は北海道から沖縄まで,合計で200回以上担当しています.本書ではこれまでの私のノウハウを総動員し,苦手な人が多く,また国家試験でも最も多く出題されている「神経」をテーマに講義をさせていただきます.

解剖生理学の勉強のポイント
 普段,看護学生から受ける相談内容の圧倒的1位が「勉強法」についてです.ということで,まず多くの方が悩む解剖生理学の勉強法について説明したいと思います.私は勉強というものは,トレーニングと同じだと考えています.効率よくトレーニングを行うためには,正しい運動を何度も反復して行う必要があります(部活経験者は,基礎練習を思い出してください).その際に間違った運動の方法で行ったり,反復する数が少なかったりすれば,効果は出ませんよね? ぜひ,皆さんには本書を1度ではなく,何度も利用していただきたいです.効率のよい学習を行い,看護師国家試験合格を目指しましょう!

本書の特徴と使い方
 本書の最大の特徴は,私の講義動画を,どこでも何回でも視聴できる点です.また,看護師国家試験問題を切り口に,皆さんが覚えなくてはいけない最低限の知識をまとめ,さらに関連する疾患まで理解できる内容となっています.本書を使う流れは,以下がオススメです.

 (1)初めて読む章はテキストを手元に置き,本文も読みながら視聴する.
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 (2)ある程度,内容を理解したら,テキストなしで視聴する.(電車での通学中などもOK)
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 (3)テキストの重要用語を中心に,理解しているかセルフチェック(同級生と問題を出し合うのも有用)

 私は学習に,もっとスマホを活用するべきだと思っています.ぜひ,自宅・学校・電車移動のスキマ時間を活用し,解剖生理学の知識を身に付けていきましょう! もし本書についての質問やご意見などがあれば,いつでもどうぞ

 2023年7月
 町田志樹
第1講 中枢神経の基本構造
 中枢神経と末梢神経
 中枢神経の組織と灰白質・白質
 間脳と脳幹
 脊髄円錐,頸膨大と腰膨大
第2講 髄膜とクモ膜下出血
 髄膜の構造
 脳脊髄液の産生と吸収
 髄膜とその周辺構造
 クモ膜下出血の病態
第3講 大脳皮質の機能局在
 大脳皮質の溝と回
 主要な3つの溝による大脳皮質の4区分
 大脳皮質の機能局在
 優位半球と劣位半球
 高次の精神機能をつかさどる連合野
第4講 脳の疾患
 脳卒中の分類と脳出血の好発部位
 髄膜における出血
第5講 錐体路とその障害
 上行伝導路と下行伝導路
 錐体路の機能と経路
 大脳基底核と内包後脚
 脳梗塞の病態
 ウィリスの動脈輪
第6講 小脳の機能と疾患
 小脳の位置と機能
 小脳失調による症状
第7講 脊髄と脊髄損傷
 脊髄の位置関係と構造
 脊椎損傷と脊髄損傷
 脊髄損傷による障害
第8講 脳神経12対の概要
 脳神経とは
 脳神経12対の作用と種類
第9講 三叉神経と顔面神経
 三叉神経と顔面神経
 顔面神経支配の表情筋
 三叉神経支配の咀嚼筋
 味覚の受容
第10講 活動電位
 神経細胞の構造
 静止電位
 興奮の伝導
 有髄神経線維における跳躍伝導
第11講 神経の疾患
 ギラン・バレー症候群
 多発性硬化症
第12講 神経伝達物質
 伝導と伝達
 神経伝達物質による伝達
 神経伝達物質の種類と効果器
 運動神経と筋細胞の関係
第13講 神経伝達物質が関わる疾患
 重症筋無力症
 うつ病
 高齢者のうつ病
第14講 Parkinson(パーキンソン)病
 パーキンソン病の病態
 パーキンソン病の4大症状
第15講 自律神経
 神経の分類
 自律神経の全身分布
 交感神経と副交感神経の各作用
 副交感神経を含む脳神経
第16講 視床下部
 間脳の構造と位置関係
 視床・視床下部の機能
第17講 体温調節
 体温調節の働き
 熱産生の要因
 熱放散の要因
 体温のセットポイント
第18講 視覚器
 眼球の構造
 眼球中膜の構造と機能
 白内障と緑内障
 眼球内膜の構造と機能
 眼球内の光の通路
 視覚の伝導路
第19講 平衡聴覚器(外耳・中耳)
 耳の区分と外耳・中耳の構造
 中耳の構造と機能
第20講 平衡聴覚器(内耳)
 内耳の位置と構造
 内耳の機能と関連する構造物
 平衡覚と前庭動眼反射
第21講 ホメオスタシス
 ホメオスタシスとは
 浸透圧とpHの調節機構
 正のフィードバックと負のフィードバック
 サーカディアンリズムとメラトニン