やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第4版改訂にあたって

 1997年に初版が出版されてから6年が経過しました.2000年に介護保険制度が施行されて,在宅で療養する人々に大きな影響を与えたと同時に,看護する者にとっても大変目まぐるしく,また,「介護」と比較しながら「看護」を考える年月でもありました.
 訪問看護をもっと利用したくても看護師の人数が少ないから希望どおりの訪問がしてもらえない,あるいは,訪問看護を依頼したが医療処置ができないと断られたなどのお話を聞くことがあります.看護を地域に広げる努力をしてきた私たちは非常に残念に思います.
 「在宅看護論」の授業,演習,実習を通して,在宅看護に興味をもち,地域で看護する看護職者が増えるように,そして,地域で生活する療養者および障害者や,そのご家族と一緒に看護を考えていくために,なんらかのお役に立ちたいと本書を出版しました.6年の経過を通して,あらためて出版した時の初心に戻り,今回の改訂に取り組みました.
 第4版の改訂では,『現代社会と在宅看護論』に在宅看護で学んでいただきたい内容を追加し,『地域で療養する人と社会資源』に「訪問看護ステーションの管理と経営」を加え,内容をわかりやすくしました.『基本的生活行動と訪問看護とのかかわり』にアセスメントの項目を,『在宅での医療処置』の章に病院から在宅へ移行する継続看護を追加し,その章の最後に「災害時の被災予防」を加えました.『ケアマネジメント』の章の公的介護保険に関しては2003年の新しい内容に変え,「介護支援専門員のサービス提供の実際」を追加しました.『在宅看護の変遷』の章に「在宅療養者の権利」の追加と「諸外国における在宅看護」も内容を刷新いたしました.
 そして,本書の特徴でもある,すっきりと見やすく,読みやすい内容はいままでどおりです.ボリュームを増やさないで内容を豊富にする努力をいたしましたがいかがでしょうか.本書をお読みいただき,率直なご意見を聞かせていただけることを願っております.
 2003年12月
 木下由美子


第3版改訂にあたって

 看護婦(士)課程のなかに新カリキュラムとして「在宅看護論」が誕生してから3年が経過し,ちょうど本年2000年の春には,本書で学習した卒業生を送り出したことになります.
 看護教育の場においては,その「在宅看護論」を学習した学生が実習を経験し,平成11年度の看護婦(士)国家試験を受けたことで,授業や演習の目標が考えやすくなったものと思われますが,1997年に出版された本書をテキストとして使用してくださった方々が看護職として働いていることを思うとき,患者さんの退院後の生活を考えた看護を適切に行えているだろうかと,編著者として責任を感じるところです.
 この時期にあたって,幸い多くの方々に活用していただいている本書の内容を,在宅看護の本来の姿にさらに近づけることを願って,改訂第3版として内容の刷新を図りました.
 今回の改訂では,在宅看護にとって欠かせない継続看護の視点を強調するとともに,前回の増補時に加えた公的介護保険制度の実施後の問題をはじめ,近年の在宅看護にかかわる大きな動きに沿って全編を見直し,ページ数が許す限り追加・修正を行いました.さらに,介護保険制度における訪問看護と介護保険施設などについて加えると同時に,「地域における社会資源の特徴」では,地域数を増やして最新の資料に沿った各地域の特徴の紹介に努めました.
 在宅では生活と健康問題をマッチさせ,療養者の意思や希望を尊重しながら看護を考えていかなければなりません.在宅看護,医療機関から地域へ継続する看護の一層の充実のために本書がお役に立てることを願いつつ,読者の皆様からのご意見,ご批判を賜りたいと存じます.
 2000年11月
 木下由美子


序文

 平成9年度より「在宅看護論」が新しく看護婦課程のカリキュラムに加えられることになりました.その背景には,健康に問題のある高齢者の増加や,医療施設への入院よりも生活の場である在宅で過ごしたいという療養者の希望があるなど,これまでおもに医療機関で行われていた看護が,療養者の自宅で行われるようになり,看護を提供する場が変化してきたことがあげられます.看護を学び,将来は医療機関で働こうと考えている人たちにとっては,働く場所が増えたと考えてよいでしょう.
 しかし,在宅では医療機関のような医療設備は整っていません.また,“医療職は自分ひとりしかいない”という環境で,どフような看護をすればよいのかわからず,不安を抱くこともあるでしょう.そこで,在宅看護について一緒に考えていくために,このテキストを出版することになりました.
 本書の特徴は,在宅看護を初めて経験する人に「在宅看護は責任は重いが,看護を楽しく進めることができて,やりがいがある」と感じていただけるように構成しました.各章の節ごとに,学習のねらいとキーワードを設けて,そこでは具体的に何を学ぶべきかをわかりやすくしました.在宅看護での留意点については,ワンポイントアドバイスで紹介しています.若い人たちにはちょっと苦手な「訪問時の在宅のマナー」も,実習前に読むときっと役に立つはずです.また,学内演習を必要とするところは演習の欄を設けました.
 地域看護の分野では,平成9年度に地域保健法が施行となり,平成12年を目標に公的介護保険制度の準備が進行中です,本書には,この分野の現段階での新しい情報が網羅されています.公的介護保険が制度化された段階ではさらに改訂が必要となるでしょう.
 なお,本書の執筆者は教育および在宅看護の分野で活躍されている方々であり,また,これからの在宅看護を担う世代の方にもご協力をいただきました.本書が多くの方のお目にとまり,教科書としてご採用いただけることを心より念願いたしております.本書をお読みいただきましたご感想など,忌憚のないご意見,ご批判をいただければ幸いでございます.
 1996年12月吉日 木下由美子

第2版増補にあたって

 平成12年4月に公的介護保険制度が開始されるにあたり,地域看護学の一分野である在宅看護論においても変化をともなうことから,次のような点を中心に本書の増補を行いました.すなわち,公的介護保険制度をわかりやすく解説し最新の情報を追加しました.さらに,公的介護保険制度と在宅看護論の中では最も関連する訪問看護,その看護を実践する訪問看護ステーションについて最近の動向を反映させて内容充実を図りました.
 今後とも新しい情報・動向を視野に入れながら,在宅看護論の基礎づくりを考えていきたいと思います.
 2000年1月 木下由美子
もくじ

■■1在宅で看護するということ

■1 現代社会と在宅看護論 (木下由美子)
 【1】在宅ケアを取り巻く最近の変化
   1)医療・福祉・保健の変化―――― 人口構成の変化 医療の変化 福祉の変化 保健の変化
   2)家族の変化
   3)在宅の選択
 【2】地域看護と在宅看護
    公衆衛生看護学から地域看護学への改正
    地域看護学とは
    在宅看護の位置づけ
    在宅看護の対象
    在宅看護の学習が必要な職場
 【3】在宅看護の目的と特性,そして学び
   1)在宅看護の目的 ―― 地域で生活し療養する人の援助
   2)在宅看護の特性 ―― 在宅(訪問)看護と医療機関内(病棟)看護の比較 療養者が自己決定したことへの援助 ケアマネジメントの能力 単独の看護判断に伴う責任 効果的な施設利用への援助 医療機関と同レベルの看護と応用的なケア
   3)在宅看護での学び―――共に築く看護 生活を支える看護
 保健・医療・福祉職との協働と支援 責任がとれる看護 選ばれる看護
■2 地域で療養する人と社会資源 (木村恵子)
 【1】地域で生活する人・療養する人
   1)健康レベルからみた対象者の特性―――健康レベルによるケアの段階
   2)個人の特性からみた対象者の特性―――年齢 役割 家族のライフサイクル
   3)地域の特性―――地域の生活習慣・生活信条への理解
 【2】地域で療養する人を支える保健・医療・福祉
   1)社会資源とはなにか―――― 社会資源とは 供給主体からみた社会資源の分類 サービスの内容や特徴からみた社会資源の分類 サービスの機能からみた社会資源の分類 
   2)社会資源を活用するプロセス―――― 社会資源を活用するために 介護保険法における社会資源活用のプロセス 障害者(児)の社会資源活用のプロセス 社会資源活用と看護職の役割
   3)地域で療養する人を支えるサービス―――訪問介護(ホームヘルプ) 訪問入浴サービス 訪問リハビリテーション 通所介護(デイサービス) 通所リハビリテーション(デイケア) 短期入所介護(ショートステイ) 痴呆対応型共同生活(グループホーム)における介護 シルバーサービス(民間企業による介護サービス)
 【3】地域で療養する人を支える専門職と連携
   1)地域で療養する人を支える専門職とその役割
   2)他職種との連携方法―――チームケアの構造 連携するうえで重要なこと
   3)他職種との連携の実際―――事例:介護保険制度を利用して半年が経過した高齢女性 本人・家族の希望と総合的な援助の方針 援助内容 訪問看護師とホームヘルパーとの連携 訪問看護師と作業療法士との連携 本事例における連携の効果
 【4】地域で療養する人を支える居住環境・日常生活用具
   1)居住環境を整えるための住宅改修―――適切な居住環境のためのアセスメント 住宅改修のポイント
   2)日常生活用具のいろいろ―――生活の自立度を上げるための用具の活用 適切な用具の選択

■3 地域で療養する人を支える訪問指導と訪問看護
 【1】訪問指導および訪問看護実施機関 (木村恵子)
   1)行政が行う訪問看護―――保健所 市町村
   2)医療機関(病院・診療所)が行う訪問看護―――在宅療養への移行を支える
   3)訪問看護ステーションが行う訪問看護―――老人医療受給者を対象とした訪問看護 健康保険受給者を対象とした訪問看護 介護保険要介護認定者
   4)民間経営が行う訪問看護―――多様なニーズへの対応
 【2】訪問看護ステーション 31(1〜6)木村恵子,7)野島あけみ)
   1)訪問看護ステーション創設の目的―――訪問看護ステーション創設の目的 期待される効果
   2)訪問看護ステーションの設置―――訪問看護ステーションの設置数 どこが開設主体となるか 訪問看護ステーションの実施形態
   3)訪問看護ステーションの従事者―――管理者および活動に従事する者 職種別にみた従事者数
   4)訪問看護サービスの流れと特徴―――訪問看護サービスの提供手順 複数の病院・診療所の医師との連携 他機関との連携
   5)訪問看護ステーションの利用者―――基本的属性 利用者の要介護度 利用者の痴呆の状況
   6)訪問看護サービスの内容―――サービスの内容 訪問数と1回の訪問時間 緊急連絡体制
   7)訪問看護ステーションの管理と経営―――訪問看護ステーションの運営 管理者業務・役割 訪問看護ステーションの経営・管理 訪問看護ステーションの収益とは
 【3】継続看護 40(1)2)木下由美子,3)木村恵子)
   1)退院計画
   2)継続看護
    (1)医療機関側 (2)訪問看護側
   3)在宅から施設へ―――安心した在宅生活をすごすために 在宅から施設への看護の一貫性 継続看護の体制 継続看護のための看護師の役割 〔演習〕
    □地域による社会資源の特徴
     北海道(平山さおり) 宮城県(瀬川香子) 茨城県(松田ひとみ) 東京都荒川区(松村美枝子) 福井県鯖江市(廣部すみえ) 愛知県名古屋市(江藤真紀) 広島県(松成裕子) 大分県大分市(工藤節美) 沖縄県(川崎道子) 
■4 在宅ケアと現代家族 (齋藤泰子)
 【1】在宅看護ではなぜ家族とのかかわりが重要となるのか
 【2】家族の機能・役割・形態はどう変わったか
   1)家族とは-家族の形態の変化
   2)家族の機能とその変化
 【3】家族のヘルスケア機能を考える
   1)家族生活と家族のヘルスケア機能
   2)介護者としての家族とヘルスケア機能
   3)家族の中に病人がいるということ
 【4】「家族を理解するための諸理論」はどのように応用できるか
   1)家族を理解するための諸理論
    (1)家族システム理論 70(2)家族危機理論 71(3)家族発達理論
   2)どのように看護に応用できるか
 【5】家族看護過程(アセスメント〜看護診断・計画立案〜計画の実施〜評価)
   1)家族看護アセスメント
   2)看護診断
   3)家族看護計画を立てる
   4)家族援助の実際
   5)家族看護過程の評価
 【6】家族看護-看護職に新たに求められる視点
   1)家族の健康管理
   2)独居の生活自立困難者の看護
   3)虐待をさせないための看護

■■2 地域で療養する人の理解

■地域で療養する人にみられるおもな疾患・症状の特徴と在宅ケア
 【1】在宅で療養する慢性疾患のある人へのケア (篠原柳子)
   1)糖尿病
   2)心不全
   3)慢性閉塞性肺疾患
   4)慢性腎不全
   5)関節リウマチ
    事例1:陳旧性肺結核による呼吸不全で在宅酸素療法を行っている人へのケア
 【2】在宅で療養する身体に障害がある人へのケア  (宮崎歌代子)
   1)糖尿病網膜症による視覚障害
   2)脳卒中後遺症
    事例2:脳梗塞後遺症(左不全麻痺,運動性失語,まだら痴呆)の人へのケア
 【3】在宅で療養する難病のある人へのケア (遠藤信子)
   1)全身性エリテマトーデス(SLE)
   2)パーキンソン病(PD)
   3)筋萎縮性側索硬化症(ALS)
    事例3:筋萎縮性側索硬化症の人へのケア
 【4】在宅で療養する悪性腫瘍のある人へのケア (篠原柳子)
   1)悪性腫瘍
   2)癌性疼痛のケア
    事例4:甲状腺癌術後骨転移のある人へのケア(骨折で再入院するまでの期間)
 【5】在宅で療養する感染症のある人へのケア (宮崎歌代子)
   1)肺結核症
   2)HIV感染症
   3)MRSA感染症
    事例5:肺気腫・慢性呼吸不全でMRSAを保菌している人へのケア
 【6】在宅で療養する精神障害のある人へのケア (遠藤信子)
   1)統合失調症
   2)気分障害
   3)神経症
    事例6:統合失調症の人へのケア
 【7】在宅で療養する痴呆のある人へのケア (遠藤信子)
 【8】在宅で療養する終末期を迎えた人へのケア (宮崎歌代子)
   1)老いて死に逝く人
   2)癌(悪性新生物)で亡くなる人
    事例7:癌の告知を受けケアチームのネットワークで在宅死を迎えられた人へのケア

■■3 在宅看護の展開(在宅の特徴を踏まえて)

■1 在宅看護での看護過程の特徴 (原 礼子)
  人間関係展開のプロセスと問題解決のプロセス
 看護過程の構成要素
   在宅看護の看護過程-定期的な評価と目標設定の修正
   1)アセスメント―――情報の組み立てによる対象者の理解 情報収集における文化的影響 豊富で質のよい情報を得るには 何のために情報を集めるのか どのような情報を集めるのか どこから情報を集めるのか 情報収集にあたっての注意点 在宅看護における基礎情報項目とアセスメント項目 初回訪問の重要性
   2)看護診断―――何を優先してケアを提供していくか
   3)計画立案―――訪問看護の実践計画 計画立案にあたっての留意点
   4)実 施―――計画の確認と修正 実施上の留意点
   5)評 価―――評価の内容 効果的な評価を行うには 在宅看護の評価のもう1つの側面
   6)事例を通しての具体的な在宅看護の展開―――事例:外国暮らしで脊髄腫瘍と診断されて帰国したBさん 初回訪問:基本的情報・アセスメント 〔演習〕 5回目の訪問:再アセスメント・計画修正
   7)記録―――在宅看護における記録の役割 記録にあたっての注意点 記録様式
   8)訪問看護の終結
■2 在宅看護・訪問時の面接技術 (木下由美子)
 【1】初回訪問の面接技術
   1)看護者を知ってもらう―――自己紹介 第一印象の重要性
   2)相手を知る―――情報収集 非言語的コミュニケーション 信頼関係の形成 信頼関係を形成するには 話に集中できる条件を整える
 【2】面接の条件
   1)場の設定―――決定者は誰か 面接の場に多人数いる場合
   2)コミュニケーションの障害がある場合―――感覚器の障害 言語障害 〔演習〕
■3 基本的生活行動と訪問看護とのかかわり (奥山則子・松村美枝子)
 【1】食事
  「食べる」本人と「つくる」介護者を考えた援助 食品の入手と調理 アセスメント
   1)本人の食事への援助―――食事の評価は身体全体,生活全体から 事例1 事例2 事例3 食事は安全・安楽に 事例4 生活機能の維持・発達を促す 事例5
   2)介護者への援助―――負担を軽くするには 適切な食事内容 事例6 家族と療養者との献立の工夫と楽しみ 事例7 〔演習〕 
 【2】排泄
  援助を受ける気兼ねと介護者の負担 アセスメント
   1)自立のための排泄援助や用具の活用―――排泄環境の整備 障害や自立度に合った用具の選択 尿路感染症の予防 事例8
   2)失禁への対応―――排泄間隔や失禁の種類の観察 オムツの選択と活用 排泄時のサインを見つける
   3)排泄のトラブル―――― 便秘と下痢 不潔行為を伴うトラブルへの対応 〔演習〕
 【3】清潔
   保健衛生と快適な生活への援助 アセスメント
   1)身体の清潔―――― 入浴のプラス要因とマイナス要因 入浴前後の観察と浴室の環境整備 湯の温度と体への影響 市販入浴剤への注意 入浴が無理な場合 事例9 事例10 事例11
   2)頭髪,口腔その他の清潔―――― 身だしなみの援助 なぜ口腔ケアが必要か 障害者(児)への口腔ケア 事例12 事例13 〔演習〕
 【4】寝具・寝衣・衣服・更衣
   アセスメント
   1)寝 具―――― 寝具の選択と清潔への配慮 ベッドと布団の利点と布団利用時の工夫 ベッド選びのポイント 事例14 掛け物の選び方と注意点 シーツの選び方と工夫 枕の選び方
   2)寝衣・衣服―――― 衣服の選択と購買への配慮 寝衣,肌着の選び方と工夫 事例15
   3)更衣の援助―――― 更衣を援助するときの配慮と工夫 〔演習〕
 【5】睡眠
  不眠への理解と介護者の睡眠の確保 アセスメント
   1)安眠のための援助―――― 環境の整備 不眠予防の工夫 事例16
   2)眠剤服用時の援助―――― 不眠の原因除去と服薬の指導
   3)介護者への援助―――― 介護者の睡眠確保への対策
 【6】移動
   介護者への移動技術の指導 アセスメント
   1)体位変換―――― 体位変換時の良肢位の保持の工夫 移動のための工夫
   2)移動の援助と補助器具―――― 起き上がりと起立の援助 移乗 歩行の援助 事例17
   3)車いす利用の援助―――― 機種の選択と作り替え 車いすでの外出 事例18 〔演習〕
   4)住宅改造―――― 在宅療養継続のための住宅改造 事例19 災害時の備え
 【7】リハビリテーションと生きがい
  リハビリテーションにおける看護者の役割 アセスメント
   1)リハビリテーションへの動機づけ―――― リハビリテーションへの意欲を引き出すために 事例20 事例21
   2)継続のための援助―――― 無理なく楽しく続けられる工夫 事例22 事例23 事例24
   3)介護者への援助―――― 療養者と介護者の関係と看護者のアプローチ 家族調整のためのアイデア提供 小児リハビリと家族へフ共感 事例25 〔演習〕
 【8】服薬
  服薬管理の重要性 アセスメント
   1)服薬管理と指導―――服薬状況の把握 服薬目的と服薬方法の理解 療養者に対する内服の工夫と指導 薬の保管
   2)薬と副作用―――副作用の早期発見に対する本人と家族への指導 副作用にとくに注意が必要な薬 薬と食べ合わせ飲み合わせ 在宅訪問服薬管理指導 事例26
■4 在宅での医療処置
 【1】在宅医療処置のある患者の継続看護 203(野田京子)
   1)継続看護と指導料―――継続看護の必要性 情報不足が招く入院患者の不安 退院時の指導料 訪問開始前に訪問看護師が調整すべきこと 診療報酬と衛生材料
   2)在宅医療処置のある患者の継続看護の実際―――事例:褥瘡処置と胃瘻,膀胱留置カテーテルがあり退院したAさん 訪問看護師から医療機関の看護師への連携
 【2】医療処置の実際
   1)感染の予防と対応 (鹿渡登史子)
   2)創や褥瘡の手当て (藤田智子)
   3)人工肛門,人工膀胱 (藤田智子)
   4)間欠的自己導尿・膀胱留置カテーテル・膀胱洗浄(峯久美子)
   5)経管栄養法(峯久美子)
   6)中心静脈栄養法(藤田智子)
   7)酸素療法(藤田智子)
   8)気管カニューレ(峯久美子)
   9)人工呼吸療法(峯久美子)
   10)CAPD(連続携行式腹膜透析)(藤田智子)
   11)持続皮下注入法(鹿渡登史子)
   12)緊急時の対応(鹿渡登史子)
   13)死後の処置(鹿渡登史子)
 【3】災害時の被災予防 239(廣部すみえ)
   1)日頃の安全対策の点検と指導―――食料と水の確保 医薬品の入手方法のシステム化 防火設備の点検と防災用具の準備 ベッドの周囲の安全対策 避難方法の確認と家族との連絡方法の取り決め 医師および訪問看護師,ケアマネジャーへの連絡方法の明示 町内の福祉係や民生委員への連絡方法の確認 緊急通報装置の設置    2)災害時の対応と訪問看護師の役割
   (1)急性期の対応(発災から3日間) 242(2)亜急性期(発災後3日〜3週程)の対応
   (3)復旧・復興期(3週〜3年程)

■■4 ケアマネジメント

■1 ケアマネジメントの理解(白井京子)
   1)ケアマネジメントの実際―――事例:ひとり暮らしの老婦人の退院後の生活への不安 ケアマネジメントの内容
   2)ケアマネジメントの必要性―――社会資源活用へのアプローチ なぜケアマネジメントが必要か 要援護者の抱える問題の複雑化・多様化 社会資源の多様化・専門分化 家族機能の低下 ケアの質の評価が求められている
   3)ケアマネジメントの定義―――要援護者の全面的生活支援システム 保健・医療・福祉の一体化 本来のケアマネジメントと公的介護保険制度における「ケアマネジメント」の違い
   4)ケアマネジメントの目標―――要援護者の自立とQOL向上への援助 要援護者の自己決定への働きかけ
■2 ケアマネジメントのプロセス(白井京子)
   1)入口―――要援護者を発見するには
   2)アセスメント―――何が問題か,どんなニーズをもっているか 生活全体のアセスメント 問題を把握するためのアセスメント アセスメントを効果的に行うには 「在宅ケアアセスメントマニュアル」
   3)計画―――ケア目標の設定とケア計画 その地域で入手可能な社会資源のチェック 要援護者が選択するための話し合い 社会資源
   4)実施―――手続き,ケアの供給,サービスの管理
   5)評価―――ケアが目標を達成しているか
   6)終結
■3 ケアマネジャー(白井京子)
   1)誰がケアマネジャーになるか―――保健・医療・福祉の専門家によるケアチーム
   2)ケアマネジメント機関―――ケア計画と実施の決定権をもつ機関
   3)ケアマネジャーの役割と資質―――ケアマネジャーの役割 ケアマネジャーの資質
■4 公的介護保険 (1)〜5)白井京子,6)7)三戸部由喜子)
   1)介護保険制度導入の背景―――要介護者の増加 介護の長期化と重度化 介護者の高齢化 老後に関する介護への不安 医療費の増大と介護環境
   2)介護保険制度のねらい―――利用しやすいものにする 適切な介護サービスが受けられるようにする 公平なものにする 効率的なものにする 
   3)介護保険制度のしくみ―――保険給付の対象者 介護保険の財源 保険給付の内容 申請から介護保険のサービスをうけるまで 要介護認定の方法 要介護認定別の在宅介護サービスの利用限度額,サービスの標準例
   4)介護支援専門員(ケアマネジャー)と訪問看護師との連携
   5)介護保険の現状の問題・課題―――地域格差の課題 経済的負担 在宅より施設を選択 訪問看護への影響 評価
   6)介護支援専門員―――居宅介護支援事業 介護支援専門員の意義 介護支援専門員の役割と機能 介護支援専門員の位置づけ 介護支援専門員の基本姿勢 
   7)介護支援専門員のサービス提供の実際―――事例 ケアマネジャー訪問:情報収集 ケアプランの検討,作成 プランの評価,サービスの調整 ケア会議

■■5 在宅看護の変遷

■1 日本の在宅看護 275(沖 壽子)
 【1】訪問看護の制度的成り立ち
   1)在宅看護の歴史―――在宅看護の芽生え 公衆衛生看護の発展 公共としての公衆衛生看護が開始 第二次大戦後の公衆衛生看護 在宅を支える多様な基盤 訪問看護制度が保健医療制度に 法律改正による訪問看護の拡大 看護婦3年課程に「在宅看護論」 介護保険法成立
   2)訪問看護と法律―――老人保健法と訪問看護制度 健康保険法と訪問看護制度 介護保険法と訪問看護 診療報酬と訪問看護 訪問看護と「保健師助産師看護師法」および「医師法」との関連
   3)今後の在宅看護に関連する制度的な動き―――保健所法から地域保健法へ 伝染病予防法が100年ぶりに改正 健康増進法の制定 「身体拘束ゼロ作戦」の推進 看護師の質向上のための検討 ALS患者の在宅療養の支援 
 【2】在宅療養者の権利
   1)人権の尊重と権利―――人権の尊重 すべての人々に健康を 患者の権利 ノーマリゼーション(normalization) 
   2)在宅看護に求められる倫理―――看護職の倫理規程 在宅看護に求められる看護職者の倫理とは 
■2 諸外国における在宅看護(鳩野洋子)
  各国の在宅看護関連事項
   1)イギリス
   2)スウェーデン
   3)カナダ
   4)アメリカ
   5)オーストラリア
   6)アジア
●ワンポイントアドバイス:社会資源利用に対する偏見・抵抗感にどう対応する? 核家族 家族システム理論 糖尿病療養指導士とは 訪問看護はおもしろい 今日は何のために訪問するの? 訪問カバンには何が入っているの? 今日の訪問は来てよかった,来なくてもよかった 訪問滞在時間は短めに 洗濯物や洗い物は少なく 各家庭のやり方に合わせる 訪問の最後の一言 訪問から戻ったら 「激変緩和措置」

●ワンポイント「在宅でのマナー」:訪問時間の約束 訪問する前に 言葉づかい コートはどこで? 雨の日,雪の日の訪問 脱いだ靴はどこに? 訪問中のマナー あなたの座る場所は? お茶やお菓子を出されたときは? 手洗い ごみの始末

■参考文献・URL一覧
■索 引

   [図一覧]
 1-1 年齢3区分別人口構成割合の推移
 1-2 ゴールドプラン21施策の概要図
 1-3 地域看護と在宅看護
 1-4 ライフサイクル例
 1-5 社会資源の分類(自立した生活を送る視点からの分類と具体的内容)
 1-6 社会資源を活用した在宅療養生活
 1-7 介護保険制度における社会資源活用のプロセス
 1-8 在宅支援費制度(障害者(児))における社会資源活用のプロセス
 1-9 地域で療養する人を支えるチームケア
 1-10 住宅改修のポイント
 1-11 おもな生活用具
 1-12 訪問看護ステーションの開設主体別事業所数
 1-13 訪問看護ステーション利用者の性別・年齢
 1-14 訪問看護ステーション利用者の要介護度(介護保険法による利用者)
 1-15 訪問看護ステーション利用者の年齢階級別痴呆の状況(介護保険法による利用者)
 1-16 訪問看護ステーションの要介護度別訪問回数(介護保険法による利用者)
 1-17 訪問看護ステーションの要介護度別滞在時間(介護保険法による利用者)
 1-18 継続看護システム
 1-19 普通世帯の平均世帯人員および世帯人員別割合の推移
 1-20 出生数および合計特殊出生率の年次推移
 1-21 ジェットコースター・モデル修正版(石原)
 1-22 Mさんのニ族構成
 1-23 事例(Mさん)宅の間取り図
 1-24 Mさん家族の援助ニーズの構造
 2-1 高血糖の症状
 2-2 低血糖の症状
 2-3 糖尿病の合併症は全身に出る
 2-4 アルコール飲料の2単位(160kcal)相当量
 2-5 基本的なシックデイ・ルール
 2-6 気道浄化の方法
 2-7 腹式呼吸法
 2-8 排痰訓練のしかた
 2-9 体位ドレナージ
 2-10 糖尿病足病変の発症・進展機序
 2-11 糖尿病患者の足病変(潰瘍・壊疽)の発生部位
 2-12 足病変のチェック
 2-13 脳卒中の分類
 2-14 中途障害者の典型的な障害受容過程
 2-15 脳卒中の再発防止-日常生活上の注意
 2-16 癌の進行状況に対応した在宅医療の区分
 2-17 マズロー(Maslow,A.H.)の欲求の階層
 2-18 痛みの観察と記録
 2-19 肺結核症発症の流れ
 2-20 HIV感染からAIDS発症まで
 2-21 MRSA保菌者への在宅ケア
 2-22 場所別死亡者数
 2-23 全人的痛みの理解
 3-1 看護過程の構成要素
 3-2 在宅看護の看護過程
 3-3 Bさんの家族状況
 3-4 訪問看護記録票(1)
 3-5 訪問看護記録票(2)
 3-6 訪問看護記録票(3)
 3-7 訪問看護記録票(4)
 3-8 食事のときの姿勢
 3-9 改造された浴室
 3-10 洗髪のしかた
 3-11 すのこを敷いて通気性を良くした布団
 3-12 巻きスカートの利用
 3-13 襟元を暖かくする工夫
 3-14 良肢位保持の工夫
 3-15 履きやすい
 3-16 Aさん,かかりつけ医,訪問看護ステーションの関係図
 3-17 褥瘡の処置
 3-18 自己導尿セット
 3-19 テルフュージョンポンプ用チューブセット
 3-20 携帯用輸液ポンプ
 3-21 在宅中心静脈栄養のルート
 3-22 酸素供給装置
 3-23 火気厳禁
 3-24 気管カニューレ
 3-25 在宅に使用する人工呼吸器
 3-26 APDシステム
 3-27 ツインバッグシステム
 3-28 シリンジ注入ポンプ
 3-29 ディスポーザブル持続注入器
 3-30 救急蘇生法の手順
 4-1 Aさんの援助の変化(週計画)
 4-2 Aさんを支える社会資源
 4-3 社会資源と要援護者の関係
 4-4 ケアマネジメントの模式図
 4-5 生活全体の目標を評価するケアマネジメント
 4-6 ケアコーディネーション,ケースマネジメント,ケアマネジメントの語義上の関係
 4-7 ケアマネジメントのプロセス
 4-8 要援護者の発見
 4-9 アセスメントの2段階
 4-10 アセスメントを行う人
 4-11 ケア計画表
 4-12 社会資源の種類
 4-13 ケア計画管理表
 4-14 各領域の専門家が把握する要援護者の生活
 4-15 ケアマネジャーの役割
 4-16 介護保険制度のねらい
 4-17 申請から介護保険のサービスを受けるまでの流れ
 4-18 居宅サービス計画の作成手順
 4-19 居宅サービス計画書(1)
 4-20 居宅サービス計画書(2)
    [表一覧]
 1-1 在宅(訪問)看護と医療機関内(病棟)看護の比較
 1-2 地域で療養する人を支えるおもな社会資源(高齢者を中心に)
 1-3 地域で療養する人を支えるおもな社会資源(心身障害者(児)を中心に)
 1-4 ホームヘルパーの行うサービス内容
 1-5 シルバーサービスの種類と具体例
 1-6 地域で療養する人を支えるおもな職種とその役割
 1-7 Aさんのケア計画
 1-8 訪問看護ステーション運営にかかわる責務
 1-9 訪問看護ステーションの経営・管理のおもな内容
 1-10 訪問看護ステーションにかかわる法律
 1-11 世帯構造別にみた世帯数および構成割合の年次比較
 1-12 世帯構造別にみた65歳以上の者のいる世帯数および構成割合の年次比較
 1-13 家族のライフサイクル段階別にみた基本的発達課題
 2-1 フットケアのためのアセスメント
 2-2 外食の注意点
 2-3 低血糖症の予防と対処
 2-4 運動療法当日のチェックと運動を中止すべき症状
 2-5 うっ血性心不全の食事
 2-6 Hugh-Jonesの呼吸困難の重症度分類
 2-7 身体弛緩法(リラクゼーション)
 2-8 腎不全の食事療法
 2-9 関節リウマチの病期の分類(Steinbrocker,194   9)
 2-10 機能障害度のACR改訂分類基準(アメリカリウマチ学会,199   2)
 2-11 糖尿病足病変のハイリスク群
 2-12 足病変の予防・早期発見・治療
 2-13 リハビリテーションにかかわる各分野の役割
 2-14 糖尿病のフットケア
 2-15 Yahrの重症度分類と生活機能障害度
 2-16 S氏の在宅ケアの役割分担
 2-17 痛みの閾値に影響する因子
 2-18 結核症の特徴
 2-19 肺結核症の発病リスクの大きい人
 2-20 HIV感染者/AIDS患者の届出状況
 2-21 エイY患者の心理的ストレス/病気の進行と感情的反応
 2-22 感染者・ケア提供者の感染予防
 2-23 MRSAに対する易感染性患者
 2-24 感染リスクと予防対策
 2-25 終末期のケアを在宅で行うことの,利点,不利な点
 2-26 ターミナルの各段階における患者と家族のケア
 2-27 末期癌患者にみられる身体および精神症状
 2-28 癌患者が終末期を在宅で迎えられる条件
 3-1 在宅看護における基礎情報項目
 3-2 看護診断のためのアセスメントの枠組み
 3-3 コミュニケーションの種類
 3-4 湯の温度と体への影響
 3-5 不眠を訴える場合の観察ポイント
 3-6 リハビリテーションの種類
 3-7 看護師などによる退院指導を評価するおもな診療報酬
 3-8 在宅療養指導管理料一覧
 3-9 Aさんの衛生材料等の供給体制
 3-10 Aさん(要介護度   5)の療養にかかる費用
 3-11 在宅医療に使用する消毒剤
 3-12 褥瘡の分類と治療法
 3-13 臭いとガスに関連する食品
 3-14 気管カニューレのトラブルと対応
 3-15 アラームが鳴ったときのチェックポイント
 3-16 地域で暮らす療養者の被災予防
 3-17 地域で暮らす療養者の災害時の対応
 4-1 在宅ケアアセスメント表の構成
 4-2 在宅ケアプラン指針の30領域
 4-3 特定疾病(15疾病名)
 4-4 介護保険の財源
 4-5 保険給付の内容
 4-6 要介護度の1次判定の基準
 4-7 サービス利用限度額
 4-8 サービスの標準例:要介護3
 4-9 介護保険の単価
 4-10 課題分析標準項目
 4-11 サービスの費用内訳
 5-1 在宅看護の歴史
 5-2 患者の権利(患者の権利に関する世界医師会 リスボン宣言による)
 5-3 「看護者の倫理綱領」
 5-4 各国の在宅看護関連事項の現状