はじめに
在宅医療は療養者の生活の質（QOL）の観点から，あるべき姿として提唱されています．そしてそれを支援する一つの方法が訪問看護です．介護保険や入院期間の短縮化の流れを受けて，従来は入院治療の対象であった高度な医療・看護技術を必要とする人々が訪問看護の対象者として増加しています．
現在，医療依存度が高い療養者の訪問看護に代表されるのは，在宅自己注射，在宅自己腹膜灌流，在宅血液透析，在宅酸素療法，在宅中心静脈栄養法，在宅成分栄養経管栄養法，在宅自己導尿，在宅人工呼吸，在宅持続陽圧呼吸療法，在宅悪性腫瘍患者，在宅寝たきり患者処置，在宅自己疼痛管理，在宅肺高血圧症患者などの「在宅療養者指導管理料」算定の対象者といえるでしょう．新しい技術や機器の開発などにより，在宅医療の範囲は広がり，訪問看護婦は在宅療養支援のために療養者宅で医療処置を安全に実施することが求められ，また，療養者本人も入院時以上に自己管理が求められ，家族の理解と協力が一層必要となっています．そのため，訪問看護婦は退院時の情報を基に療養者のセルフケア能力や家族介護力を高め，さらに，生活上の注意，状態観察のポイント，緊急時の対処方法など，具体的に個人の状況に合わせて一緒に考え，療養者や家族が安心して療養生活を続けていけるように支援することが重要となります．
従来より，在宅での医療処置ケアに関する看護書は多く出版されています．しかし，入院（退院）から在宅でのケアまでが継続して書かれているものは少ないように思います．編者らは医療機関からの訪問看護を通し，在宅療養指導管理の視点から，療養・処置の概要，退院に向けて指導される内容や在宅で行われる看護ケアが一冊に整理されたものがあればと常日頃より考えてきました．そのような意図でまとめたのが本書です．
本書の特徴は，在宅療養指導管理の各療法・処置に対する看護ケア内容を充実させるために，また関心のある療法から読んでいただけるように系統別に在宅療養指導とナーシングケアシリーズ（6冊）としました．また，本書は各療法・処置の「概要と適応」「診療報酬と費用負担」「療養の実際」「退院計画と退院指導」「在宅看護」「発生しやすい問題」「社会資源」「ケーススタディ」の8項目から構成されており，それぞれの療法がトータルに理解できること，さらにそれぞれの項目に写真・イラストなどを多く取り入れ具体的にわかりやすいように工夫をしました．
本シリーズが訪問看護婦のみならず，介護を行うご家族，在宅看護を学ぶ看護学生，あるいは退院指導を行う医療機関の看護職，協働し療養者のケアにあたる関係者の皆様に活用していただけることを心より願っております．そして，本書をお読みいただきましたご意見，ご感想をお寄せいただければ幸いです．
編者
在宅医療は療養者の生活の質（QOL）の観点から，あるべき姿として提唱されています．そしてそれを支援する一つの方法が訪問看護です．介護保険や入院期間の短縮化の流れを受けて，従来は入院治療の対象であった高度な医療・看護技術を必要とする人々が訪問看護の対象者として増加しています．
現在，医療依存度が高い療養者の訪問看護に代表されるのは，在宅自己注射，在宅自己腹膜灌流，在宅血液透析，在宅酸素療法，在宅中心静脈栄養法，在宅成分栄養経管栄養法，在宅自己導尿，在宅人工呼吸，在宅持続陽圧呼吸療法，在宅悪性腫瘍患者，在宅寝たきり患者処置，在宅自己疼痛管理，在宅肺高血圧症患者などの「在宅療養者指導管理料」算定の対象者といえるでしょう．新しい技術や機器の開発などにより，在宅医療の範囲は広がり，訪問看護婦は在宅療養支援のために療養者宅で医療処置を安全に実施することが求められ，また，療養者本人も入院時以上に自己管理が求められ，家族の理解と協力が一層必要となっています．そのため，訪問看護婦は退院時の情報を基に療養者のセルフケア能力や家族介護力を高め，さらに，生活上の注意，状態観察のポイント，緊急時の対処方法など，具体的に個人の状況に合わせて一緒に考え，療養者や家族が安心して療養生活を続けていけるように支援することが重要となります．
従来より，在宅での医療処置ケアに関する看護書は多く出版されています．しかし，入院（退院）から在宅でのケアまでが継続して書かれているものは少ないように思います．編者らは医療機関からの訪問看護を通し，在宅療養指導管理の視点から，療養・処置の概要，退院に向けて指導される内容や在宅で行われる看護ケアが一冊に整理されたものがあればと常日頃より考えてきました．そのような意図でまとめたのが本書です．
本書の特徴は，在宅療養指導管理の各療法・処置に対する看護ケア内容を充実させるために，また関心のある療法から読んでいただけるように系統別に在宅療養指導とナーシングケアシリーズ（6冊）としました．また，本書は各療法・処置の「概要と適応」「診療報酬と費用負担」「療養の実際」「退院計画と退院指導」「在宅看護」「発生しやすい問題」「社会資源」「ケーススタディ」の8項目から構成されており，それぞれの療法がトータルに理解できること，さらにそれぞれの項目に写真・イラストなどを多く取り入れ具体的にわかりやすいように工夫をしました．
本シリーズが訪問看護婦のみならず，介護を行うご家族，在宅看護を学ぶ看護学生，あるいは退院指導を行う医療機関の看護職，協働し療養者のケアにあたる関係者の皆様に活用していただけることを心より願っております．そして，本書をお読みいただきましたご意見，ご感想をお寄せいただければ幸いです．
編者
■在宅酸素療法…… 鹿渡（I〜III・V）/宮崎（IV・VI〜VIII）
I．概要と適応
1）目的
2）定義
3）適応対象
4）適応基準
5）禁忌
6）導入フローチャート
II．診療報酬と費用負担
1）診療報酬
2）費用負担
III．療法の実際
1）機器の種類と特徴
酸素供給機器
2）付属器具
吸入器具 /呼吸同調式酸素供給調節器
3）機器の使用方法および管理
1．クロレート・キャンドル型酸素発生装置
機器の使用方法 /機器の管理
2．設置型および携帯型酸素供給装置
機器の使用方法 /機器の管理
IV．退院計画と退院指導
在宅酸素療法カード /酸素療養日記の記載 /呼吸法の練習 /検査の説明 /日常現れやすい症状観察のポイント /運動療法 /痰をうまく出すコツ /感染予防 /栄養・食事 /排泄 /入浴 /睡眠 /禁煙 /薬 /外出 /ピークフローメータ（最大呼気流量計）でピークフローを測る /病気に合わせた住まいの工夫 /療養者・家族への支援 /サポートシステム /試験外泊
V．在宅看護
1）看護目標
2）在宅看護計画
観察計画 /ケア計画 /教育計画
3）療法指導管理の中止，終了
VI．発生しやすい問題
1 合併症・トラブル
1）身体症状に関して
低酸素血症 /高炭酸ガス血症 /呼吸器感染症
2）酸素療法に関して
気道粘膜（鼻粘膜，口腔内）の損傷 /皮膚の損傷 /酸素療法に対する不安や抑うつ，抵抗感 /酸素療法の自己中断
3）介護に関して
介護者の疲労 /転倒 /熱傷・火災 /凍傷 /酸素療法の自己中断
2 急性増悪症状の対応
1）連絡・受診の判断基準
2）救急車の要請
VII．社会資源
在宅酸素療法患者に関連するサービス
1）医療費助成
身体障害者（身体障害者福祉法第15条） /障害年金 /公害健康被害補償法 /労働者災害補償保検法
2）日常生活の援助
介護保険で利用できるサービス /高齢者福祉サービス（区市町村が行うサービス）
3）保健サービス
(1)保健所・保健センターの活動
(2)保健師の訪問指導
4）患者会
VIII．ケーススタディ
1 ハイリスク児の外来受診援助
訪問看護師による外来受診援助のポイント
1）状態に応じた受診方法
2）主治医，病棟看護師，外来看護師との連携
3）家族への指導・援助
2 酸素療法中に生じた熱傷
酸素療法中における火気の危険性と指導のポイント
掲載業者連絡先
■在宅肺高血圧症…… 小田
I．概要と適応
1）適応対象・目的
2）原発性肺高血圧症
3）導入フローチャート
II．診療報酬と費用負担
1）診療報酬
2）費用負担
III．療法の実際
1）使用製剤
PGI2製剤
2）使用機器
3）付属器具
薬液カセット /フィルター付き延長チューブ /コールドポーチ /保冷剤
4）その他の必要物品
5）薬液・機器の使用方法と管理
薬液・機器の使用方法 /薬液・機器の管理 /整備点検 /必要物品の供給方法 /環境整備
IV．退院計画と退院指導
緊急時の対応 /療養日誌の記録 /日常現れやすい症状観察のポイント /感染予防 /栄養・食事 /排泄 /入浴 /禁煙 /薬 /副作用とその対処方法 /廃棄物の処理 /外出 /妊娠・出産 /療養者・家族への支援 /サポートシステム /試験外泊 /こんなとき，どうする?
V．在宅看護
1）看護目標
2）在宅看護計画
観察計画 /ケア計画 /教育計画
VI．発生しやすい問題
合併症・トラブル
1）身体症状に関して
右心不全・急性増悪 /呼吸気感染 /感染
2）カテーテル・チューブに関して
カテーテルの閉塞 /カテーテルの損傷 /カテーテル抜去 /チューブの閉塞 /チューブの接続がはずれた
3）介護に関して
介護者の疲労
VII．社会資源
原発性肺高血圧症に関連するサービス
1）医療費助成
身体障害者（身体障害者福祉法 第15条） /特殊疾病の医療費助成など /小児慢性疾患
2）日常生活の援助
介護保険で利用できるサービス /高齢者福祉サービス（区市町村が行うサービス）
VIII．ケーススタディ
病院訪問看護師による退院調整のポイント
1）関係職種との連携
2）退院前訪問
掲載業者連絡先
I．概要と適応
1）目的
2）定義
3）適応対象
4）適応基準
5）禁忌
6）導入フローチャート
II．診療報酬と費用負担
1）診療報酬
2）費用負担
III．療法の実際
1）機器の種類と特徴
酸素供給機器
2）付属器具
吸入器具 /呼吸同調式酸素供給調節器
3）機器の使用方法および管理
1．クロレート・キャンドル型酸素発生装置
機器の使用方法 /機器の管理
2．設置型および携帯型酸素供給装置
機器の使用方法 /機器の管理
IV．退院計画と退院指導
在宅酸素療法カード /酸素療養日記の記載 /呼吸法の練習 /検査の説明 /日常現れやすい症状観察のポイント /運動療法 /痰をうまく出すコツ /感染予防 /栄養・食事 /排泄 /入浴 /睡眠 /禁煙 /薬 /外出 /ピークフローメータ（最大呼気流量計）でピークフローを測る /病気に合わせた住まいの工夫 /療養者・家族への支援 /サポートシステム /試験外泊
V．在宅看護
1）看護目標
2）在宅看護計画
観察計画 /ケア計画 /教育計画
3）療法指導管理の中止，終了
VI．発生しやすい問題
1 合併症・トラブル
1）身体症状に関して
低酸素血症 /高炭酸ガス血症 /呼吸器感染症
2）酸素療法に関して
気道粘膜（鼻粘膜，口腔内）の損傷 /皮膚の損傷 /酸素療法に対する不安や抑うつ，抵抗感 /酸素療法の自己中断
3）介護に関して
介護者の疲労 /転倒 /熱傷・火災 /凍傷 /酸素療法の自己中断
2 急性増悪症状の対応
1）連絡・受診の判断基準
2）救急車の要請
VII．社会資源
在宅酸素療法患者に関連するサービス
1）医療費助成
身体障害者（身体障害者福祉法第15条） /障害年金 /公害健康被害補償法 /労働者災害補償保検法
2）日常生活の援助
介護保険で利用できるサービス /高齢者福祉サービス（区市町村が行うサービス）
3）保健サービス
(1)保健所・保健センターの活動
(2)保健師の訪問指導
4）患者会
VIII．ケーススタディ
1 ハイリスク児の外来受診援助
訪問看護師による外来受診援助のポイント
1）状態に応じた受診方法
2）主治医，病棟看護師，外来看護師との連携
3）家族への指導・援助
2 酸素療法中に生じた熱傷
酸素療法中における火気の危険性と指導のポイント
掲載業者連絡先
■在宅肺高血圧症…… 小田
I．概要と適応
1）適応対象・目的
2）原発性肺高血圧症
3）導入フローチャート
II．診療報酬と費用負担
1）診療報酬
2）費用負担
III．療法の実際
1）使用製剤
PGI2製剤
2）使用機器
3）付属器具
薬液カセット /フィルター付き延長チューブ /コールドポーチ /保冷剤
4）その他の必要物品
5）薬液・機器の使用方法と管理
薬液・機器の使用方法 /薬液・機器の管理 /整備点検 /必要物品の供給方法 /環境整備
IV．退院計画と退院指導
緊急時の対応 /療養日誌の記録 /日常現れやすい症状観察のポイント /感染予防 /栄養・食事 /排泄 /入浴 /禁煙 /薬 /副作用とその対処方法 /廃棄物の処理 /外出 /妊娠・出産 /療養者・家族への支援 /サポートシステム /試験外泊 /こんなとき，どうする?
V．在宅看護
1）看護目標
2）在宅看護計画
観察計画 /ケア計画 /教育計画
VI．発生しやすい問題
合併症・トラブル
1）身体症状に関して
右心不全・急性増悪 /呼吸気感染 /感染
2）カテーテル・チューブに関して
カテーテルの閉塞 /カテーテルの損傷 /カテーテル抜去 /チューブの閉塞 /チューブの接続がはずれた
3）介護に関して
介護者の疲労
VII．社会資源
原発性肺高血圧症に関連するサービス
1）医療費助成
身体障害者（身体障害者福祉法 第15条） /特殊疾病の医療費助成など /小児慢性疾患
2）日常生活の援助
介護保険で利用できるサービス /高齢者福祉サービス（区市町村が行うサービス）
VIII．ケーススタディ
病院訪問看護師による退院調整のポイント
1）関係職種との連携
2）退院前訪問
掲載業者連絡先