はじめに
看護は，対象となる人々がどのような健康状態にあっても，またどのような生活の場にあっても，人々の一生にわたって健康の保持・健康の増進・健康の回復に直接にかかわる重要な専門的働きである．したがって，看護職者は，人間の生命現象や生活現象を広い知識を通して丁寧に，そして正確に観，十分に理解することが必要となる．またそれらを統合して人々の健康と福祉の向上のために実践に活用でき，さらに科学的・創造的に研鑽し続けることが専門職者としての責務となる．
栄養学はまさにこの生命現象としての「いのち」と生活現象としての「生きる」を問い続ける学問といえる．人間がとり込む食物，とり込む側の人間，食物と人間を包括する社会の関係を「いのち」と「生きる」に位置づけた学問が栄養学である．食物の「いのち」を人間がいただき，いただいた「いのち」で人間は生き，多くの「いのち」と「いのち」で社会が成り立つ．人々にとって，自らの「いのち」を健康にし，向上させることは重要な課題であり，看護職者はその課題達成に対して，もっとも身近にいて援助協力できる役割をもつ．
さらに，小林らは，患者と看護者の関係は，相互に健康上のバランスを考慮した人の出会いにより，初めて健康問題に対して自立的に対処でき，共にいかされる体験となると述べている．患者が健康問題に対し自立的に対処できるように働きかけるには，看護者自身も自らの健康問題に主体的に取り組む姿勢をもつことが望ましい．
本書は，「いのち」，「生きる」，「自立」をテーマとし，日々の体験が対象者とともにいかされる体験となるように，また本書を読み終えたときに，その重要性に気づくことができるような内容であることを心がけた．また，より高い質の看護とは「対象となる人の精神的，身体的ニードを的確に把握し，その時々に適切な対応ができ，その人らしく生活できるよう（自己実現）に援助できること」と考えるとき， 栄養学を通して， その人らしい生活， 「食」 生活のありようを探究することは， より高い質の看護実践のために重要な意味をもつと考える．
本書は，以上のような考えのもとに編集された．
第1章から3章は，看護学と栄養学との出会いから，その人らしい食生活とはどんな食生活であろうか，人の一生とのかかわりにおいて，食はどんな意味をもつであろうかを考えた．第4章では，何をどれだけ食べたらよいかを問い，第5章は，とり込まれた食物のゆくえを追い，第6章，7章においては，食べることと健康とのかかわりにこだわる．第8章は，人間と食文化の側面をとりあげ， 食文化を楽しみながら健康に生きることについて論じ， 第9章では， 「その人らしい食生活」 への働きかけについて，その考えと事例による展開を試みていただいた．
各章を通じて「いのち」，「生きる」，「自立」をテーマとし，各著者の貴重な提言をもとにして構成されているが，まだ十分とはいえず，読者の皆様のご意見，ご批判をいただきながら修正を加え，さらに内容が充実していくことを願っている．
本書が生まれることとなった背景には，編者の一人である尾岸が看護学における栄養学の授業展開に苦慮し，7年前からプログラム学習をとり入れ，学生とともに「食」にこだわり，学ぶなかから上記のような考えに至った経緯がある．
プログラム学習は，健康上のバランスを考慮した看護者として患者に出会えるように，健康問題に対し自律的・自立的に対処できる学習姿勢が培われることを意図し，学生自らの気づきを出発点にし，主体的行動により学習を深める方法として検討されたものである（「看護栄養学・プログラム学習の進めかた」参照）．
これらの教育方法を含めて，本書が看護学生のテキストとして活かされ，また，より質の高い看護実践のために，臨床に携わるナースの方々共どもご利用いただけることを願ってやみません．
1996年1月吉日 編者代表 尾岸恵三子
第2版の発行にあたって
ここ4年程の間に，日本人の栄養問題への取り組みは大きな変化をみせている．それは健康を保つうえで標準となるエネルギーや栄養素の摂取量を示す「日本人の栄養所要量」の5年ぶりの改定内容にも波及しているように思われる．
1969年に厚生省が設定した「日本人の栄養所要量」は，当初は栄養素欠乏症を予防することを目的としたものであり，以来5年毎に見直されてきた．今年1999年は第6回目の実施となる．今回の見直しの特徴は，健康の保持・増進，生活習慣病予防を中心的な目的としたことである．すなわち，栄養素欠乏症の解消・予防のための健康維持だけでなく，昨今の栄養をめぐる問題に対応していることである．たとえば，栄養素摂取量のバランスの乱れ，栄養素の欠乏あるいは摂取過剰に陥りやすい生活状態など，いわゆる半健康状態や半病気の状態にある人々に対して，積極的に健康増進を推し進め，生活習慣病誘発の危険要因を軽減・除去し，生活習慣病の予備群を解消することである（具体的には，栄養素欠乏症を予防する観点から「平均必要量」「栄養所要量」を，過剰摂取による健康障害を予防する観点から，「許容上限摂取量」を算出している．許容上限摂取量は，ビタミン，ミネラルなど過剰に摂取すると健康障害を起こす栄養素について設定した上限値である）．
そこでこの度「日本人の栄養所要量」の第六次改定の背景となった食生活の変化をふまえ，この機に本書の改訂を行うこととした．
今回の改訂で編著者らが意図した点は，現時点での最新の内容を入れることに加え，第10章「現代人の食生活の課題」では，現代の食生活の問題を浮き彫りにし，看護者として今後どのように対応していくのか，その方向性を探る課題を提起した．
まだ不十分な点があろうかと思いますが，今度さらに内容充実を図るとともに，本書を通じ人々の健康生活の向上に役立つことができれば幸いに存じます．
これまでに感想をお寄せいただき，本書の成長にご尽力いただいた読者の皆様に厚く御礼申し上げます．
2000年1月吉日 編者代表 尾岸恵三子
看護は，対象となる人々がどのような健康状態にあっても，またどのような生活の場にあっても，人々の一生にわたって健康の保持・健康の増進・健康の回復に直接にかかわる重要な専門的働きである．したがって，看護職者は，人間の生命現象や生活現象を広い知識を通して丁寧に，そして正確に観，十分に理解することが必要となる．またそれらを統合して人々の健康と福祉の向上のために実践に活用でき，さらに科学的・創造的に研鑽し続けることが専門職者としての責務となる．
栄養学はまさにこの生命現象としての「いのち」と生活現象としての「生きる」を問い続ける学問といえる．人間がとり込む食物，とり込む側の人間，食物と人間を包括する社会の関係を「いのち」と「生きる」に位置づけた学問が栄養学である．食物の「いのち」を人間がいただき，いただいた「いのち」で人間は生き，多くの「いのち」と「いのち」で社会が成り立つ．人々にとって，自らの「いのち」を健康にし，向上させることは重要な課題であり，看護職者はその課題達成に対して，もっとも身近にいて援助協力できる役割をもつ．
さらに，小林らは，患者と看護者の関係は，相互に健康上のバランスを考慮した人の出会いにより，初めて健康問題に対して自立的に対処でき，共にいかされる体験となると述べている．患者が健康問題に対し自立的に対処できるように働きかけるには，看護者自身も自らの健康問題に主体的に取り組む姿勢をもつことが望ましい．
本書は，「いのち」，「生きる」，「自立」をテーマとし，日々の体験が対象者とともにいかされる体験となるように，また本書を読み終えたときに，その重要性に気づくことができるような内容であることを心がけた．また，より高い質の看護とは「対象となる人の精神的，身体的ニードを的確に把握し，その時々に適切な対応ができ，その人らしく生活できるよう（自己実現）に援助できること」と考えるとき， 栄養学を通して， その人らしい生活， 「食」 生活のありようを探究することは， より高い質の看護実践のために重要な意味をもつと考える．
本書は，以上のような考えのもとに編集された．
第1章から3章は，看護学と栄養学との出会いから，その人らしい食生活とはどんな食生活であろうか，人の一生とのかかわりにおいて，食はどんな意味をもつであろうかを考えた．第4章では，何をどれだけ食べたらよいかを問い，第5章は，とり込まれた食物のゆくえを追い，第6章，7章においては，食べることと健康とのかかわりにこだわる．第8章は，人間と食文化の側面をとりあげ， 食文化を楽しみながら健康に生きることについて論じ， 第9章では， 「その人らしい食生活」 への働きかけについて，その考えと事例による展開を試みていただいた．
各章を通じて「いのち」，「生きる」，「自立」をテーマとし，各著者の貴重な提言をもとにして構成されているが，まだ十分とはいえず，読者の皆様のご意見，ご批判をいただきながら修正を加え，さらに内容が充実していくことを願っている．
本書が生まれることとなった背景には，編者の一人である尾岸が看護学における栄養学の授業展開に苦慮し，7年前からプログラム学習をとり入れ，学生とともに「食」にこだわり，学ぶなかから上記のような考えに至った経緯がある．
プログラム学習は，健康上のバランスを考慮した看護者として患者に出会えるように，健康問題に対し自律的・自立的に対処できる学習姿勢が培われることを意図し，学生自らの気づきを出発点にし，主体的行動により学習を深める方法として検討されたものである（「看護栄養学・プログラム学習の進めかた」参照）．
これらの教育方法を含めて，本書が看護学生のテキストとして活かされ，また，より質の高い看護実践のために，臨床に携わるナースの方々共どもご利用いただけることを願ってやみません．
1996年1月吉日 編者代表 尾岸恵三子
第2版の発行にあたって
ここ4年程の間に，日本人の栄養問題への取り組みは大きな変化をみせている．それは健康を保つうえで標準となるエネルギーや栄養素の摂取量を示す「日本人の栄養所要量」の5年ぶりの改定内容にも波及しているように思われる．
1969年に厚生省が設定した「日本人の栄養所要量」は，当初は栄養素欠乏症を予防することを目的としたものであり，以来5年毎に見直されてきた．今年1999年は第6回目の実施となる．今回の見直しの特徴は，健康の保持・増進，生活習慣病予防を中心的な目的としたことである．すなわち，栄養素欠乏症の解消・予防のための健康維持だけでなく，昨今の栄養をめぐる問題に対応していることである．たとえば，栄養素摂取量のバランスの乱れ，栄養素の欠乏あるいは摂取過剰に陥りやすい生活状態など，いわゆる半健康状態や半病気の状態にある人々に対して，積極的に健康増進を推し進め，生活習慣病誘発の危険要因を軽減・除去し，生活習慣病の予備群を解消することである（具体的には，栄養素欠乏症を予防する観点から「平均必要量」「栄養所要量」を，過剰摂取による健康障害を予防する観点から，「許容上限摂取量」を算出している．許容上限摂取量は，ビタミン，ミネラルなど過剰に摂取すると健康障害を起こす栄養素について設定した上限値である）．
そこでこの度「日本人の栄養所要量」の第六次改定の背景となった食生活の変化をふまえ，この機に本書の改訂を行うこととした．
今回の改訂で編著者らが意図した点は，現時点での最新の内容を入れることに加え，第10章「現代人の食生活の課題」では，現代の食生活の問題を浮き彫りにし，看護者として今後どのように対応していくのか，その方向性を探る課題を提起した．
まだ不十分な点があろうかと思いますが，今度さらに内容充実を図るとともに，本書を通じ人々の健康生活の向上に役立つことができれば幸いに存じます．
これまでに感想をお寄せいただき，本書の成長にご尽力いただいた読者の皆様に厚く御礼申し上げます．
2000年1月吉日 編者代表 尾岸恵三子
看護栄養学・プログラム学習の進めかた
1 看護学における栄養学の流れ（尾岸恵三子）
1．看護学における栄養学の原点
ナイチンゲールのとらえた「食」と看護 看護学と栄養学の接点
2．日本の看護学教育における栄養学教育
栄養学教育の変遷
1949〜1966年―健康な生活を整える要素としての栄養学 1967〜1988年―体内の物質代謝としての栄養学 1989年〜現在―日常の食生活からとらえる栄養学
3．看護学教育における栄養学の方向性
生活の基本的要素としての「食」 食生活を通して患者の自己実現を援助するための栄養学
2 QOLと食生活（尾岸恵三子）
1．健康と食
「健康で長生き」とは 健康生活の鍵を握る「食生活」
1 「食」を通して見えるもの
食べる人間の観察で何が見えるか
人間の欲求―食欲はこころの表現 人間の身体―栄養素のとり込みと固有の性質 人間の文化的，社会的側面―食行動の背景となるもの 人間と食物―文化・生産・社会活動とのかかわり
2 健康と食生活
変化する食文化と食生活への影響
1）食生活の変遷と栄養状態
食品の消費 摂食行動
2）食生活と疾病
アクティブ80ヘルスプラン 主要死因の年次推移
2．人間生活（生きる）を豊かにする食
食卓の演出とQOL 健康づくりのための食生活指針 食生活に表現されるQOL
3 ライフサイクルと栄養
1．ライフサイクルと食の特徴 （尾岸恵三子）
「生きる」過程の基本的欲求 ライフサイクルと食のかかわり
1）乳幼児期
成長・発達を促すための食 必要な栄養所要量の摂取 授乳―その意味すること 離乳食 栄養状態の特徴 摂食行動の発達 食欲に影響を与える要因
2）小児期
食とのかかわりの特徴 生活習慣病予備群の子どもたち 学校給食 より健やかな発育のために
3）母性（妊産婦・授乳婦）
母性栄養とは 必要な栄養所要量の摂取 妊産婦の貧血 授乳中の母親の食生活
4）成人期
成人期の食生活の特徴 日本型食生活の意味すること 健康問題 肥満対策 生活習慣病をめぐる食教育
5）老年期
食べる過程と老化の影響 老年期の栄養所要量の特徴 暮らしとの関係 健康とのかかわり 老年期の食生活へのかかわり
2．栄養所要量―食事摂取基準― （立川倶子）
1）栄養所要量の策定
2）栄養所要量―食事摂取基準―の考え方，用い方
3）疾病時の栄養管理への応用
4 食べる行動から始まる栄養
1．食べる行動 （尾岸恵三子）
1）人間のこころの状態と食べる行動とのかかわり
食べる「行動」の意味 食行動に秘められるこころの状態 事例1：食べたくないと表現していた患者 事例2：ぼく，お母さんと一緒に食べるんだ
2）食欲とのかかわり
欲求の対象としての食 食べるという方向を決める食欲
3）食物の選択
食体験の影響 食物選択のタイプ 健康食品と自然食品 加工食品の増加
4）食物のとり込みかた
とり込みかたの特徴 とり込みかたと習慣
2．何を食べたらよいか （尾岸恵三子）
何を食べてきたか
1）食物とは
食物の機能 栄養素の特徴 おもな食品
2）栄養とは，栄養素とは
栄養とは 栄養素とは 三大栄養素（熱量素）
3）からだと食物
からだと食物の基本的関係 日常生活の対応行動に表現されるストレスと食べることとの関係について
4）食品成分表の使い方 （立川倶子）
食品成分表とは 食品交換表とは
3．どれだけ食べたらよいか （立川倶子）
1 生活活動を支える“量”
エネルギー所要量
単位 体位基準値 基礎代謝 エネルギー所要量の算定 生活活動強度の区分 睡眠時代謝 成長に伴う体重増加のために必要なエネルギー 生活活動強度別のエネルギー所要量 乳幼児のエネルギー所要量 小児・青少年のエネルギー所要量 高齢者のエネルギー所要量 妊婦，授乳婦のエネルギー所要量 病人のエネルギー所要量
2 生活活動を整える質
1）脂質摂取について
脂肪エネルギー比率 脂肪酸摂取比率 脂質摂取についての注意点
2）食物繊維の目標摂 譌ﾊ
3）たんぱく質所要量
成人のたんぱく質所要量 乳児のたんぱく質所要量 小児・青少年のたんぱく質所要量 妊娠期のたんぱく質所要量 授乳期のたんぱく質所要量 高齢者のたんぱく質所要量 運動時のたんぱく質所要量 病人のたんぱく質所要量
4）ビタミン所要量
ビタミンA所要量 ビタミンD所要量 ビタミンE所要量 ビタミンK所要量 ビタミンB1所要量 ビタミンB2所要量 ナイアシン所要量 ビタミンB6所要量 葉酸所要量 ビタミンB12所要量 ビオチン所要量 パントテン酸所要量 ビタミンC所要量
5）無機質所要量
カルシウム所要量 鉄所要量 リン所要量 マグネシウム所要量 ナトリウム所要量 カリウム所要量 銅所要量 ヨウ素所要量 マンガン所要量 セレン所要量 亜鉛所要量 クロム所要量 モリブデン所要量
3 嗜好品を上手にいかす
菓子類 嗜好飲料 アルコール飲料
5 とり込まれた食物のゆくえ（尾岸恵三子）
飲食物のとり込みかた 口からとり込まれた食物 消化器系の調節
1．消化から始まる栄養
1）栄養素の消化・吸収
（1）消化
口腔での消化 胃における消化 腸における消化
（2）吸収
吸収のメカニズム 栄養素の吸収
2）消化・吸収の良いとき悪いとき
消化・吸収を促進する条件 消化・吸収の異常を意識するとき
3）消化吸収率
見せかけの吸収率 実際の吸収率
4）三大栄養素の特徴
栄養素の分類 糖質 脂質 たんぱく質
2．排泄物のすがた
1）排泄物の特徴
糞便の形成と排便 糞便の性状と量 尿の性状と量
2）糞便の主成分となる食物繊維
6 健康と栄養（矢部弘子）
1．食と健康
より健康的な生活をするための食生活
1）長寿と栄養
日本が短期間に長寿国となった原因 栄養状態の変化
2）長寿者と栄養
老年期の健康を左右するもの 長寿と栄養に関する誤解 健康に長生きするためには
2．ライフスタイルと食
多様化したライフスタイルと食生活
1）壮年期の生活と食
壮年期の生活の特徴 壮年期の食生活指導
2）青年期の生活と食
青年期の食生活の問題点 「食」を意識した生活を送るための知識の必要性
3）生活と食
好ましい食生活に近づけるための注意点
3．栄養と運動
生活習慣病予防の手段としての運動
1）運動不足の問題
筋力低下 骨の脆弱化 心血管機能低下 エネルギー過剰
2）運動のすすめかた
個人差や身体状態により異なる運動の適量 無理なく楽しく運動を続けるために
4．食を通して健康をみる
1）食の状態からみた健康レベルの見かた
「食」の観察による健康状態の観察 健康悪化に伴う食の変化 回復期の食の留意点
2）食に影響を与える健康問題
7 疾病と栄養
1．疾病時の栄養方法 （臼井昭子）
1）栄養方法の分類
病態を考慮した適正な栄養補給の必要性 栄養補給の方法
2）経口食の食形態
流動食 分粥食 全粥食 普通食（常食）
3）特殊栄養法
経腸栄養法 静脈栄養法
2．発達機能各期の疾病の特徴と栄養
1 小児期の疾病の特徴と食……………（平田睦子）
1）先天性代謝異常と食
「登録特殊ミルク」の使用 食事を整えるうえでの注意
2）小児期の腎疾患と食
食事療法のポイント
3）小児期の糖尿病と食
食事療法のポイント 自己管理のための教育
4）肥満と食
肥満の判定 肥満児の治療 食事療法のポイント
5）食物アレルギーと食
食物アレルギーの予防と治療
2 思春期の疾病の特徴と食
1）摂食障害と食 （北川俶子）
分類と診断基準 治療法 摂食障害者の食事療法
2）貧血と食 （宮本佳代子）
貧血の検査および治療 食事療法の基本とポイント
3 成人期の疾病の特徴と食
1）消化器系疾患と食 （宮本佳代子）
（1）口腔疾患の食事援助のポイント （2）食道疾患の食事援助のポイント （3）急性胃炎と食 （4）慢性胃炎と食 （5）消化性潰瘍（胃潰瘍，十二指腸潰瘍）と食 （6）胃切除（術後食，胃切除後の栄養障害）に伴う食 （7）下痢・便秘と食 （8）吸収不良症候群と食 （9）たんぱく漏出性胃腸炎と食 （10）過敏性大腸症候群と食 （11）潰瘍性大腸炎と食 （12）クローン病と食 （13）小腸切除に伴う食 （14）大腸切除に伴う食 （15）急性肝炎と食 （16）慢性肝炎と食 （17）肝硬変と食 （18）脂肪肝と食 （19）肝切除手術に伴う食 （20）胆石症と食 （21）胆のう炎と食 （22）急性膵炎と食 （23）慢性膵炎（アルコール性の膵炎）と食 （24）膵切除手術に伴う食
2）循環器系疾患と食 （宮本佳代子）
（1）高血圧症と食 （2）高脂血症と食 （3）動脈硬化症と食 （4）脳血管疾患（脳卒中）と食 （5）心不全と食 （6）虚血性心疾患と食
3）糖尿病と食 （臼井昭子）
糖尿病の成因分類 糖尿病の代謝 検査 治療と管理
食事療法
インスリンと食事療法のねらい 食事療法の原則 指示エネルギー量の決め方 栄養素の比率と食品の選び方 食事療法の実際 合併症がある場合の食事療法
4）肥満と食 （臼井昭子）
肥満とそのタイプ 肥満とその判定法 肥満の成因 肥満の治療
（1）食事療法 （2）行動療法，運動療法，薬物療法
5）腎疾患と食 （臼井昭子）
検査からの情報 食事療法の基本
（1）糸球体腎炎と食
急性腎炎の食事療法のポイント 慢性腎炎の食事療法のポイント
（2）ネフローゼ症候群と食
（3）腎不全と食
保存期の食事療法 血液浄化法（透析療法）の食事療法 腎臓病治療用食品の利用
4 老年期の疾病と食……………（臼井昭子）
1）咀しゃく・嚥下障害と食
咀しゃく障害はなぜ起こるか 嚥下障害とは 嚥下障害の食事療法の基本 嚥下障害のある人の食事の実際
2）骨粗鬆（そしょう）症と食
骨粗鬆症の分類 リスクファクター 骨粗鬆症の検査 予防 食事療法
5 妊産婦の疾病の特徴と食……………（宮本佳代子）
1）妊娠中毒症と食
妊娠中毒症とは 妊娠中毒症の原因 検査 治療 食事療法の基本とポイント
2）妊婦の肥満と食
肥満が妊娠に及ぼす影響 肥満の治療 食事療法の基本とポイント
子宮内胎児発育遅延（IUGR）と食
治療 食事療法
3）妊娠と糖尿病
糖尿病合併妊婦と食
糖尿病患者の妊娠 症状・検査 治療 食事療法の基本とポイント
4）妊婦貧血と食
症状・検査 治療 食事療法の基本とポイント
8 人間と食文化（大塚 滋）
1．「食べる」とは
科学の対象としての「食」 「ハレ」と「ケ」の食文化 精神を満足させるための「食」 「食」の文化的要素
2．料理と人類
1）料理はなぜ始まったか
日常の料理と食品加工 可食化による食糧の獲得 保存による「食」の安定
2）世界の料理圏
四つの地域にみられる特徴 主食としての穀類の意味
3．食糧の変遷
主食の概念
1）米
言語にみられる「米」の重要性 米はいつから主食となったか 歴史にみる日本人と米
2）小麦について
小麦の食用化 パンと食品技術の発明 日本におけるパンの導入 欧米におけるパンの地位
4．異文化と食
「肉食禁止令」によってつくられた日本の食文化 外国人からみた日本人の食生活 日本人の食生活の位置 食文化を楽しみつつ健康に生きるには
9 セルフケアと食
1．食とセルフケア （正木治恵）
1）セルフケアとは
ナースの役割
2）セルフケアプロセス
3）健康教育と患者教育
「好ましい食習慣の確立」への働きかけ 「食行動の変容」への働きかけ セルフケア能力向上のために
2．食習慣をつくる健康教育 （正木治恵，伊藤まゆみ）
1）健康教育の考えかた
専門家による健康教育 健康教育の対象となる生活習慣
2）健康教育のプロセス
知識を伝達する健康教育―納得から実践へ 問題解決を促す健康教育―実践から納得へ 健康教育のプロセス
3）健康教育としての食教育
食教育の目的 食教育の方法
4）好ましい食習慣の確立
好ましい食習慣とは なぜ好ましい食習慣を形成する必要があるのか 食習慣はどのようにつくられていくか
5）食教育の展開
セルフケアの推進
6）食教育の展開の実際
母親への教育 本人への教育 本人ならびに家族への教育
3．食行動変容を促す患者教育 （正木治恵，伊藤まゆみ）
1）患者教育の考えかた
健康教育と患者教育 食における患者教育の目的 患者教育の目標としての食行動の変容 セルフケア能力を育む 「指導」と「援助」の使い分け
2）食における患者教育の展開
食生活や健康についての思いを知る 食生活の実態を知る 生活を知る 援助する
3）患者教育の展開の実際
事例1：肥満是正への努力 事例2：交換表の単位が理解できない 事例3：妻の協力が得られなくても
4．食生活の自立への援助
1 食事をつくる行動への援助過程……………（宮内清子）
障害程度の見きわめと必要性に応じた援助 事例：家族のために食事をつくりたい
1）つくる行動を中心にしたアセスメント
援助をする立場からのアセスメントにあたって 対象者の特性 アセスメントの視点と現在の問題状況
2）援助計画
援助目標 援助計画
3）援助の実際
調理訓練に対する援助 障害受容に対する援助 家族の受け入れに対する援助 援助チームの反省点 援助計画の修正 計画修正後の援助状況と夫の反応 家庭環境整備への援助 退院後の生活拡大への援助
4）「食行動の自立」のための継続的援助
「食行動が家庭のなかで自立できる」ために
2 食べる行動への援助過程……………（岡部喜代子）
事例：精神的な問題から低栄養状態となる
1）食生活に関する看護計画の立案
看護上の問題を導き出す 当面の看護目標 具体的な対応計画
2）看護実施の状況
3）評価と再計画
目標達成状況の評価 目標達成へのプロセス 患者に対する評価 医療チームへの情報提供 生活指導のための情報収集
4）再計画の実践
現段階における看護上の問題 現段階における看護目標 具体的な対応計画 看護の実施状況 患者の変化 今後に向けて
10 現代人の食生活の課題（尾岸恵三子・正木治恵）
1 何を食べているのだろうか?
子どもたちの朝ごはん 未来の人間には顎がない? コンビニ前にすわりこんで食事 思春期の朝食欠食 若い細身女性の食事は大丈夫? 宇宙スタイルの食事 病気を治す食品がある?
2 何のために食べているのだろうか?
とどまるところを知らない“やせ少女“ 社会に作られた“かっこよさ”に振り回される若者たち 食費よりも電話代が重要 食事よりも仕事が優先? 食事に気をつけていれば万全? 便利になったことで失われていくもの，得るもの “食べること”にまつわる価値観の変化
3 食事はだれのために，だれがつくっているのだろうか?
ダイオキシンの母乳への影響を恐れ，飲ませてもよいか悩む母親 新米ママがアトピー性皮膚炎の子どものために大奮闘 お菓子を食べて食事をとらない3歳7カ月の子どもに手を焼いている母親 一緒にいても孤食，でも気にしている様子なし 塾通いで忙しい子どもの1日の食事パターンに合わせる母親 高校球児，1日5回〜6回食で少食の不足分を補う
4 どのように食べているのだろうか?
父親が居る・居ないで食卓の躾が極端に変化する母親 食卓の俺の席はテーブルの角 食卓の席を単身赴任中に失った父親 老人の食事にかかわること
参考・引用文献一覧
索引
1 看護学における栄養学の流れ（尾岸恵三子）
1．看護学における栄養学の原点
ナイチンゲールのとらえた「食」と看護 看護学と栄養学の接点
2．日本の看護学教育における栄養学教育
栄養学教育の変遷
1949〜1966年―健康な生活を整える要素としての栄養学 1967〜1988年―体内の物質代謝としての栄養学 1989年〜現在―日常の食生活からとらえる栄養学
3．看護学教育における栄養学の方向性
生活の基本的要素としての「食」 食生活を通して患者の自己実現を援助するための栄養学
2 QOLと食生活（尾岸恵三子）
1．健康と食
「健康で長生き」とは 健康生活の鍵を握る「食生活」
1 「食」を通して見えるもの
食べる人間の観察で何が見えるか
人間の欲求―食欲はこころの表現 人間の身体―栄養素のとり込みと固有の性質 人間の文化的，社会的側面―食行動の背景となるもの 人間と食物―文化・生産・社会活動とのかかわり
2 健康と食生活
変化する食文化と食生活への影響
1）食生活の変遷と栄養状態
食品の消費 摂食行動
2）食生活と疾病
アクティブ80ヘルスプラン 主要死因の年次推移
2．人間生活（生きる）を豊かにする食
食卓の演出とQOL 健康づくりのための食生活指針 食生活に表現されるQOL
3 ライフサイクルと栄養
1．ライフサイクルと食の特徴 （尾岸恵三子）
「生きる」過程の基本的欲求 ライフサイクルと食のかかわり
1）乳幼児期
成長・発達を促すための食 必要な栄養所要量の摂取 授乳―その意味すること 離乳食 栄養状態の特徴 摂食行動の発達 食欲に影響を与える要因
2）小児期
食とのかかわりの特徴 生活習慣病予備群の子どもたち 学校給食 より健やかな発育のために
3）母性（妊産婦・授乳婦）
母性栄養とは 必要な栄養所要量の摂取 妊産婦の貧血 授乳中の母親の食生活
4）成人期
成人期の食生活の特徴 日本型食生活の意味すること 健康問題 肥満対策 生活習慣病をめぐる食教育
5）老年期
食べる過程と老化の影響 老年期の栄養所要量の特徴 暮らしとの関係 健康とのかかわり 老年期の食生活へのかかわり
2．栄養所要量―食事摂取基準― （立川倶子）
1）栄養所要量の策定
2）栄養所要量―食事摂取基準―の考え方，用い方
3）疾病時の栄養管理への応用
4 食べる行動から始まる栄養
1．食べる行動 （尾岸恵三子）
1）人間のこころの状態と食べる行動とのかかわり
食べる「行動」の意味 食行動に秘められるこころの状態 事例1：食べたくないと表現していた患者 事例2：ぼく，お母さんと一緒に食べるんだ
2）食欲とのかかわり
欲求の対象としての食 食べるという方向を決める食欲
3）食物の選択
食体験の影響 食物選択のタイプ 健康食品と自然食品 加工食品の増加
4）食物のとり込みかた
とり込みかたの特徴 とり込みかたと習慣
2．何を食べたらよいか （尾岸恵三子）
何を食べてきたか
1）食物とは
食物の機能 栄養素の特徴 おもな食品
2）栄養とは，栄養素とは
栄養とは 栄養素とは 三大栄養素（熱量素）
3）からだと食物
からだと食物の基本的関係 日常生活の対応行動に表現されるストレスと食べることとの関係について
4）食品成分表の使い方 （立川倶子）
食品成分表とは 食品交換表とは
3．どれだけ食べたらよいか （立川倶子）
1 生活活動を支える“量”
エネルギー所要量
単位 体位基準値 基礎代謝 エネルギー所要量の算定 生活活動強度の区分 睡眠時代謝 成長に伴う体重増加のために必要なエネルギー 生活活動強度別のエネルギー所要量 乳幼児のエネルギー所要量 小児・青少年のエネルギー所要量 高齢者のエネルギー所要量 妊婦，授乳婦のエネルギー所要量 病人のエネルギー所要量
2 生活活動を整える質
1）脂質摂取について
脂肪エネルギー比率 脂肪酸摂取比率 脂質摂取についての注意点
2）食物繊維の目標摂 譌ﾊ
3）たんぱく質所要量
成人のたんぱく質所要量 乳児のたんぱく質所要量 小児・青少年のたんぱく質所要量 妊娠期のたんぱく質所要量 授乳期のたんぱく質所要量 高齢者のたんぱく質所要量 運動時のたんぱく質所要量 病人のたんぱく質所要量
4）ビタミン所要量
ビタミンA所要量 ビタミンD所要量 ビタミンE所要量 ビタミンK所要量 ビタミンB1所要量 ビタミンB2所要量 ナイアシン所要量 ビタミンB6所要量 葉酸所要量 ビタミンB12所要量 ビオチン所要量 パントテン酸所要量 ビタミンC所要量
5）無機質所要量
カルシウム所要量 鉄所要量 リン所要量 マグネシウム所要量 ナトリウム所要量 カリウム所要量 銅所要量 ヨウ素所要量 マンガン所要量 セレン所要量 亜鉛所要量 クロム所要量 モリブデン所要量
3 嗜好品を上手にいかす
菓子類 嗜好飲料 アルコール飲料
5 とり込まれた食物のゆくえ（尾岸恵三子）
飲食物のとり込みかた 口からとり込まれた食物 消化器系の調節
1．消化から始まる栄養
1）栄養素の消化・吸収
（1）消化
口腔での消化 胃における消化 腸における消化
（2）吸収
吸収のメカニズム 栄養素の吸収
2）消化・吸収の良いとき悪いとき
消化・吸収を促進する条件 消化・吸収の異常を意識するとき
3）消化吸収率
見せかけの吸収率 実際の吸収率
4）三大栄養素の特徴
栄養素の分類 糖質 脂質 たんぱく質
2．排泄物のすがた
1）排泄物の特徴
糞便の形成と排便 糞便の性状と量 尿の性状と量
2）糞便の主成分となる食物繊維
6 健康と栄養（矢部弘子）
1．食と健康
より健康的な生活をするための食生活
1）長寿と栄養
日本が短期間に長寿国となった原因 栄養状態の変化
2）長寿者と栄養
老年期の健康を左右するもの 長寿と栄養に関する誤解 健康に長生きするためには
2．ライフスタイルと食
多様化したライフスタイルと食生活
1）壮年期の生活と食
壮年期の生活の特徴 壮年期の食生活指導
2）青年期の生活と食
青年期の食生活の問題点 「食」を意識した生活を送るための知識の必要性
3）生活と食
好ましい食生活に近づけるための注意点
3．栄養と運動
生活習慣病予防の手段としての運動
1）運動不足の問題
筋力低下 骨の脆弱化 心血管機能低下 エネルギー過剰
2）運動のすすめかた
個人差や身体状態により異なる運動の適量 無理なく楽しく運動を続けるために
4．食を通して健康をみる
1）食の状態からみた健康レベルの見かた
「食」の観察による健康状態の観察 健康悪化に伴う食の変化 回復期の食の留意点
2）食に影響を与える健康問題
7 疾病と栄養
1．疾病時の栄養方法 （臼井昭子）
1）栄養方法の分類
病態を考慮した適正な栄養補給の必要性 栄養補給の方法
2）経口食の食形態
流動食 分粥食 全粥食 普通食（常食）
3）特殊栄養法
経腸栄養法 静脈栄養法
2．発達機能各期の疾病の特徴と栄養
1 小児期の疾病の特徴と食……………（平田睦子）
1）先天性代謝異常と食
「登録特殊ミルク」の使用 食事を整えるうえでの注意
2）小児期の腎疾患と食
食事療法のポイント
3）小児期の糖尿病と食
食事療法のポイント 自己管理のための教育
4）肥満と食
肥満の判定 肥満児の治療 食事療法のポイント
5）食物アレルギーと食
食物アレルギーの予防と治療
2 思春期の疾病の特徴と食
1）摂食障害と食 （北川俶子）
分類と診断基準 治療法 摂食障害者の食事療法
2）貧血と食 （宮本佳代子）
貧血の検査および治療 食事療法の基本とポイント
3 成人期の疾病の特徴と食
1）消化器系疾患と食 （宮本佳代子）
（1）口腔疾患の食事援助のポイント （2）食道疾患の食事援助のポイント （3）急性胃炎と食 （4）慢性胃炎と食 （5）消化性潰瘍（胃潰瘍，十二指腸潰瘍）と食 （6）胃切除（術後食，胃切除後の栄養障害）に伴う食 （7）下痢・便秘と食 （8）吸収不良症候群と食 （9）たんぱく漏出性胃腸炎と食 （10）過敏性大腸症候群と食 （11）潰瘍性大腸炎と食 （12）クローン病と食 （13）小腸切除に伴う食 （14）大腸切除に伴う食 （15）急性肝炎と食 （16）慢性肝炎と食 （17）肝硬変と食 （18）脂肪肝と食 （19）肝切除手術に伴う食 （20）胆石症と食 （21）胆のう炎と食 （22）急性膵炎と食 （23）慢性膵炎（アルコール性の膵炎）と食 （24）膵切除手術に伴う食
2）循環器系疾患と食 （宮本佳代子）
（1）高血圧症と食 （2）高脂血症と食 （3）動脈硬化症と食 （4）脳血管疾患（脳卒中）と食 （5）心不全と食 （6）虚血性心疾患と食
3）糖尿病と食 （臼井昭子）
糖尿病の成因分類 糖尿病の代謝 検査 治療と管理
食事療法
インスリンと食事療法のねらい 食事療法の原則 指示エネルギー量の決め方 栄養素の比率と食品の選び方 食事療法の実際 合併症がある場合の食事療法
4）肥満と食 （臼井昭子）
肥満とそのタイプ 肥満とその判定法 肥満の成因 肥満の治療
（1）食事療法 （2）行動療法，運動療法，薬物療法
5）腎疾患と食 （臼井昭子）
検査からの情報 食事療法の基本
（1）糸球体腎炎と食
急性腎炎の食事療法のポイント 慢性腎炎の食事療法のポイント
（2）ネフローゼ症候群と食
（3）腎不全と食
保存期の食事療法 血液浄化法（透析療法）の食事療法 腎臓病治療用食品の利用
4 老年期の疾病と食……………（臼井昭子）
1）咀しゃく・嚥下障害と食
咀しゃく障害はなぜ起こるか 嚥下障害とは 嚥下障害の食事療法の基本 嚥下障害のある人の食事の実際
2）骨粗鬆（そしょう）症と食
骨粗鬆症の分類 リスクファクター 骨粗鬆症の検査 予防 食事療法
5 妊産婦の疾病の特徴と食……………（宮本佳代子）
1）妊娠中毒症と食
妊娠中毒症とは 妊娠中毒症の原因 検査 治療 食事療法の基本とポイント
2）妊婦の肥満と食
肥満が妊娠に及ぼす影響 肥満の治療 食事療法の基本とポイント
子宮内胎児発育遅延（IUGR）と食
治療 食事療法
3）妊娠と糖尿病
糖尿病合併妊婦と食
糖尿病患者の妊娠 症状・検査 治療 食事療法の基本とポイント
4）妊婦貧血と食
症状・検査 治療 食事療法の基本とポイント
8 人間と食文化（大塚 滋）
1．「食べる」とは
科学の対象としての「食」 「ハレ」と「ケ」の食文化 精神を満足させるための「食」 「食」の文化的要素
2．料理と人類
1）料理はなぜ始まったか
日常の料理と食品加工 可食化による食糧の獲得 保存による「食」の安定
2）世界の料理圏
四つの地域にみられる特徴 主食としての穀類の意味
3．食糧の変遷
主食の概念
1）米
言語にみられる「米」の重要性 米はいつから主食となったか 歴史にみる日本人と米
2）小麦について
小麦の食用化 パンと食品技術の発明 日本におけるパンの導入 欧米におけるパンの地位
4．異文化と食
「肉食禁止令」によってつくられた日本の食文化 外国人からみた日本人の食生活 日本人の食生活の位置 食文化を楽しみつつ健康に生きるには
9 セルフケアと食
1．食とセルフケア （正木治恵）
1）セルフケアとは
ナースの役割
2）セルフケアプロセス
3）健康教育と患者教育
「好ましい食習慣の確立」への働きかけ 「食行動の変容」への働きかけ セルフケア能力向上のために
2．食習慣をつくる健康教育 （正木治恵，伊藤まゆみ）
1）健康教育の考えかた
専門家による健康教育 健康教育の対象となる生活習慣
2）健康教育のプロセス
知識を伝達する健康教育―納得から実践へ 問題解決を促す健康教育―実践から納得へ 健康教育のプロセス
3）健康教育としての食教育
食教育の目的 食教育の方法
4）好ましい食習慣の確立
好ましい食習慣とは なぜ好ましい食習慣を形成する必要があるのか 食習慣はどのようにつくられていくか
5）食教育の展開
セルフケアの推進
6）食教育の展開の実際
母親への教育 本人への教育 本人ならびに家族への教育
3．食行動変容を促す患者教育 （正木治恵，伊藤まゆみ）
1）患者教育の考えかた
健康教育と患者教育 食における患者教育の目的 患者教育の目標としての食行動の変容 セルフケア能力を育む 「指導」と「援助」の使い分け
2）食における患者教育の展開
食生活や健康についての思いを知る 食生活の実態を知る 生活を知る 援助する
3）患者教育の展開の実際
事例1：肥満是正への努力 事例2：交換表の単位が理解できない 事例3：妻の協力が得られなくても
4．食生活の自立への援助
1 食事をつくる行動への援助過程……………（宮内清子）
障害程度の見きわめと必要性に応じた援助 事例：家族のために食事をつくりたい
1）つくる行動を中心にしたアセスメント
援助をする立場からのアセスメントにあたって 対象者の特性 アセスメントの視点と現在の問題状況
2）援助計画
援助目標 援助計画
3）援助の実際
調理訓練に対する援助 障害受容に対する援助 家族の受け入れに対する援助 援助チームの反省点 援助計画の修正 計画修正後の援助状況と夫の反応 家庭環境整備への援助 退院後の生活拡大への援助
4）「食行動の自立」のための継続的援助
「食行動が家庭のなかで自立できる」ために
2 食べる行動への援助過程……………（岡部喜代子）
事例：精神的な問題から低栄養状態となる
1）食生活に関する看護計画の立案
看護上の問題を導き出す 当面の看護目標 具体的な対応計画
2）看護実施の状況
3）評価と再計画
目標達成状況の評価 目標達成へのプロセス 患者に対する評価 医療チームへの情報提供 生活指導のための情報収集
4）再計画の実践
現段階における看護上の問題 現段階における看護目標 具体的な対応計画 看護の実施状況 患者の変化 今後に向けて
10 現代人の食生活の課題（尾岸恵三子・正木治恵）
1 何を食べているのだろうか?
子どもたちの朝ごはん 未来の人間には顎がない? コンビニ前にすわりこんで食事 思春期の朝食欠食 若い細身女性の食事は大丈夫? 宇宙スタイルの食事 病気を治す食品がある?
2 何のために食べているのだろうか?
とどまるところを知らない“やせ少女“ 社会に作られた“かっこよさ”に振り回される若者たち 食費よりも電話代が重要 食事よりも仕事が優先? 食事に気をつけていれば万全? 便利になったことで失われていくもの，得るもの “食べること”にまつわる価値観の変化
3 食事はだれのために，だれがつくっているのだろうか?
ダイオキシンの母乳への影響を恐れ，飲ませてもよいか悩む母親 新米ママがアトピー性皮膚炎の子どものために大奮闘 お菓子を食べて食事をとらない3歳7カ月の子どもに手を焼いている母親 一緒にいても孤食，でも気にしている様子なし 塾通いで忙しい子どもの1日の食事パターンに合わせる母親 高校球児，1日5回〜6回食で少食の不足分を補う
4 どのように食べているのだろうか?
父親が居る・居ないで食卓の躾が極端に変化する母親 食卓の俺の席はテーブルの角 食卓の席を単身赴任中に失った父親 老人の食事にかかわること
参考・引用文献一覧
索引