やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

序文
 今般,『臨床検査技師 臨地実習ノート』を発刊する運びとなりました.本書は,『臨地実習ノート 第3版』を改訂・改題したものです.臨地実習は2021年の「臨床検査技師学校養成所指定規則」および「臨床検査技師養成所指導ガイドライン」の改正により,単位数が7単位から12単位に大幅に引き上げられました.このことは指定規則に則る指定学校とともに科目承認校にも適用となり,これにより実習期間の最低限度が示され,臨地実習の標準化につながるものです.また臨地実習の内容も水準化され,臨床検査技師学校養成所指定規則では,臨地実習で実施させる行為と見学させる行為に分けてそれぞれに項目が設定されました.さらに臨床検査技師養成所指導ガイドラインでは,臨地実習で学生に実施および見学させるのが望ましい行為が示されています.臨地実習は学生の間に患者様に向き合うことができ,検体に直接触れることができる機会となるため,臨床検査技師教育にとって不可欠で重要な科目です.
 臨床検査技師養成所指導ガイドラインにおいて,臨地実習の教育目標は『臨床検査技師としての基本的な実践技術及び施設における検査部門の役割を理解し,患者との適切な対応を学ぶ.また,臨床現場(救急,病棟,在宅等)や健診,衛生検査所等での役割と業務や,施設内のチーム(栄養サポートチーム,糖尿病療養指導チーム,感染制御チーム,抗菌薬適正使用支援チーム等)の役割と実施内容を理解するとともに,医療チームの一員としての責任と自覚を養い,適切な接遇マナーを身につける』とされています.具体的には,臨床検査の基本的な実践技術を習得すること,そして医療における臨床検査技師の役割と責任を知り,医療人としての自覚をもつことです.とくにこの情意(心構え)は学内で習得することが難しく,臨地実習に頼らなければならない部分であり,臨地実習で習得する中心的な内容といえます.臨地実習は日頃学内では経験できないさまざまなことを学ぶ絶好の機会となり,実習を終えた学生は,医療人としての素養を身に付け,誰もが大きく成長することとなります.
 今回の改訂にあたり,『臨地実習の前に』では,新カリキュラムに合わせて内容を見直し,最新の情報に更新しました.さらに,「臨地実習ガイドライン2021」において臨地実習で使用する書式の見本が示されたことを受けて,これからは全国的に統一された書式を使用していくことになります.そのため本書の『実習編』では,一部の書式をガイドラインが推奨する内容に統一・修正し,さらに新たに必要となる書式も追加しました.また本書の特徴である『実習記録』のページは,より多くの学び・気づきを記録として残していけるよう,収載枚数を増やしました.
 最後に,本ノートを実際に使用した後の感想やご意見を編集部宛ご連絡いただければ幸いに思います.今後,よりよいものにするための参考とさせていただきます.
 令和6年4月
 著者代表 三村邦裕
臨地実習の前に
 病院と医療
 病院の臨床検査と臨床検査技師の役割
 臨地実習の心得
 実習記録を上手に書くために
実習編
 「臨地実習ノート」の使い方
 連絡表
 科目別実習期間予定表
 実習記録
 個別の学修目標設定
 臨地実習出席表
 実習科目別出席表
 出席状況のまとめ
 遅刻・欠席・早退届
 自己評価基準書
 臨地実習終了時の振り返り
 科目実習終了認定書
 アクシデント・インシデント報告書