やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

序文
 臨床検査技師国家試験の内容を具体的な項目に拠って示したのが,「臨床検査技師国家試験出題基準」である.これは,教育及び医療水準を踏まえて数年に一度見直しが行われ,現在は2021年実施の国家試験から「令和3年版出題基準」が適用されている.
 本書の前身である『月刊Medical Technology別冊<ガイドライン対応>臨床検査技師国家試験ファーストトレーニング』は,国家試験出題基準が定められた第49回国家試験に対応すべく発行し,その後,平成18年と22年,26年の3回にわたって改訂を重ねるなかで,国家試験対策での活用のみならず,低学年からの知識の整理としても利用され好評を得てきた.その後,臨床検査技師の国家試験が時代とともに変化し,試験内容も最新の知識および技術が問われるようになってきたなかで,一問一答形式を超えた学習のニーズが高まってきた.それをうけて本書『ここからはじめる 臨床検査技師国家試験ファーストトレーニング』では,前身の本の良さを活かしつつも,誌面体裁は大幅に変更し,学習者の深い理解を促し,知識定着をはかる本として,新国家試験出題基準に合わせて刷新するものである.
 今回,「令和3年版臨床検査技師国家試験出題基準」に沿って,過去7年間の国試出題傾向分析に基づき,国試によく出る頻出ポイントと初学者がとくに踏まえておくべき項目を重点的に取り扱った.各項目別に,10題程度の「クイックチェック」(〇×問題)を冒頭に設け,そのうえで,解説「ポイントマスター」では,簡潔な文章と図表を用いて重要点をわかりやすく解説した.冒頭の○×問題が「なぜその解答か」という根拠と,その領域での必須知識をおさえておきたい.最後に「出た問クリア」として,実際の国試の出題を確認することができる箇所もある.初学者に役立つように重要語の一覧(索引)も設けている.
 出題基準は,「養成所の卒前教育で扱われる内容の全てを網羅するものではないが,国家試験の妥当な範囲と適切なレベルを確保するため,この基準に拠って出題する」とされているように,学習範囲の目安となるものである.すなわち,国試出題傾向を把握しておくことで,普段の学習のすべての場面でポイントをつかんだ学習が可能になる.本書を,学内の定期試験や確認テストなど,低学年の読者は学習の入門書として活用できるものと思う.むろん,高学年の臨床検査学の知識の整理や就職試験対策,そして国試基礎固めにも直結している.本書で基礎を修得した後は,医歯薬出版の模擬試験や「日本臨床検査学教育協議会編:臨床検査技師国家試験問題集(医歯薬出版)」の最新版をご活用いただければ,国試対策は万全となるであろう.
 これからの臨床検査技師は,患者のための医療を志さねばならない.そのためには生涯を通じ常に最新の知識や技術の習得に努める必要がある.本書はその基礎として身につけなければならない要素が詰まっている.どうか臨床検査技師を目指す学生は参考書として十分に活用していただければと思う.
 執筆者を代表して 令和4年6月
 千葉科学大学大学院
 三村邦裕
 本書の使い方
 カラー図版
1章 臨床検査総論
  「臨床検査総論」国家試験出題基準
   検査総合管理学・医療安全管理学
   生物化学分析検査学
   形態検査学
   病因・生体防御検査学
2章 臨床検査医学総論
  「臨床検査医学総論」国家試験出題基準
   臨床病態学
3章 臨床生理学
  「臨床生理学」国家試験出題基準
   人体の構造と機能,生理機能検査学
4章 臨床化学
  「臨床化学」国家試験出題基準
   人体の構造と機能,生物化学分析検査学
5章 病理組織細胞学
  「病理組織細胞学」国家試験出題基準
   人体の構造と機能,医学検査の基礎と疾病との関連
   形態検査学
6章 臨床血液学
  「臨床血液学」国家試験出題基準
   形態検査学,病因・生体防御検査学,人体の構造と機能
7章 臨床微生物学
  「臨床微生物学」国家試験出題基準
   医学検査の基礎と疾病との関連
   病因・生体防御検査学
8章 臨床免疫学
  「臨床免疫学」国家試験出題基準
   病因・生体防御検査学
9章 公衆衛生学
  「公衆衛生学」国家試験出題基準
   保健医療福祉と医学検査
10章 医用工学概論
  「医用工学概論」国家試験出題基準
   医療工学及び情報科学
   検査総合管理学

 重要ワード(索引)