やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 平成19年3月4日に実施された第42回PT・OT国試の傾向,そして対策と実際については「付録」参照
難易度が高くても,合格は十分可能
 平成18年度,第42回理学療法士・作業療法士国家試験の受験者数は,作業療法士(以下OT)5,131名,理学療法士(以下PT)7,036名であり,昨年度と比較するとOTは約680名,PTは約1,050名増加しています.実際に合格した人数は,OTは4,400名,PTは6,559名で,OT・PTを合計した人数は,ついに10,000名/年を超えました.
 国家試験(以下,国試)の合格率は,OT85.8%,PT93.2%でした.第41回国試の合格率と比較すると,OTでは91.6%から5.8ポイント,PTでは97.5%から4.3ポイントと低下しています.これは明らかに「X(2)タイプ」(五肢二択)問題の大幅な増加と出題領域の拡大が原因と思われます.
 厚生労働省は「養成校認可の自由化により国家試験受験者は増加するであろうが,国家試験そのものにおいて理学療法士・作業療法士の質を問う」とはっきりと打ち出しています.また,「第42回国家試験から出題形式を変更する予定である」と全国の養成校に通達を出しました.過去の「X(2)タイプ」問題は,「第38,39回」で実地問題(問題1〜40番まで)に2問,「第40,41回」で4問出題されました.しかし今回の「第42回」では,「X(2)タイプ」問題は「作業療法 実地問題」に8問,「作業療法 一般問題」に15問,「理学療法 実地問題」に13問,「理学療法 一般問題」に16問,さらに「共通分野」に21問と大幅に増加し領域も拡大して,ますます難易度が上がってきています.
 このように,PT・OT国試問題は今後,徐々に難易度が高くなり,合格点数獲得が困難になる傾向にあります.しかし,本書を基本にして受験対策をしっかりと立てて,着実に一歩一歩学習を進めていけば,合格は十分可能になるでしょう.
合格を確実にするための本書の特徴
 本書は,国試に対してしっかりと対策を立て,また基礎から臨床まで十分に学習し,確実に合格を手にしたい受験生のために作成いたしました.
 (1)国試の過去問題(第29回〜第42回までの14年間分,1,400問)を分析し,「出題傾向と対策の要点」を円グラフや棒グラフで表示し,「付録」(投げ込み)にまとめた.
 (2)各科目をさらに小項目に細分類し,学習項目を絞り込んだ.
 (3)分野ごとに過去13年間の「出題傾向分析表」を提示し,頻出問題に印を付けた.
 (4)専門分野における「実地問題=高得点(3点)」には「実」マークを示した.
 (5)最・重・要・問・題・番号を赤(1)で,重・要・問・題・は番号をピンク色(2)で提示した.
 (6)基本的に1分野1ページ終了形式(「実地問題」や「図示問題」等はイラストが多いため2ページ形式もある)を基本とした.
 (7)問題直下の「必須ポイント」欄には,最低限暗記しなければならない内容を表で提示した.
 (8)同じく「必須ポイント」には,数多くの「写真やイラスト」を掲載し,「視覚学習」「イメージ学習」方式を採用した.
 (9)図表中の暗記項目は,赤字で提示した.
 (10)問題の右側には「解答記入」欄を設定し,設問文ごとに正しい(○)や誤っている(×)を記入できるようにした.
 (11)ページ最下段に「解答」欄を示し,いつでも正解を確認できるようにした.
 (12)参考資料として「かんたんチェックポイント」ページを設け,応用力の育成を図れるようにした.
 (13)巻末に「自己評価テスト」100問を加え,実力養成を図れるようにした.
 (14)「付録」として「第42回PT・OT国試問題の概要」「出題傾向と対策の要点(第29回〜第42回)」,「第40回〜第42回国試問題」,「国試合格率(第30回〜第42回)」などを加え,さらに実力養成を図れるようにした.
全員(100%)合格を祈念!
 国試に合格するためには,幅広い出題範囲を深く学習しなければなりません.受験生は分野別にたくさんの参考書や問題集を,できるだけ少ない時間で効率よく学習し,合格に到達しなければなりません.本書は限られた時間の中で,本気で学習したいと考えている受験生のために,参考書と問題集を一冊にまとめた受験対策の最適書として作成しました.受験生諸氏には,上述欄で分析した点を十分に把握して,過去問題をそのまま暗記するのではなく,設問中の1問1問に「〇×」を付けながら,「この問題は正しい」「この問題のどこが誤っている」のかを確認しながら学習を進めていただきたいと思っています.来る3月の国家試験に向けて,受験生諸氏が本書をしっかりと活用されることを願っております.受験生諸氏の全員(100%)合格を心より祈念しています!!
 はじめに
 合格のための学習テクニック
 得点力アップ(本書のページ構成)
第1章 作業療法評価学
  かんたんチェックポイント 関節可動域測定(上肢編)
  かんたんチェックポイント 関節可動域測定(下肢編)
  かんたんチェックポイント 関節可動域測定(体幹編)
 1)身体障害に対する作業療法評価学
  (1)関節可動域測定
   a.基本軸
   b.移動軸
  (2)徒手筋力検査法
   a.手技
    かんたんチェックポイント<重要> MMT筋別MMT一覧
   b.MMT4,5
   c.MMT3
   d.MMT2
    かんたんチェックポント<過去出題(MMT)> MMT1(筋収縮の有無を触察):触察部位
   e.MMT1(触診)
    かんたんチェックポント<過去出題(MMT)> 座位で検査するMMT
   f.座位
   g.手指筋の筋力測定法
    かんたんチェックポイント<重要> MMT(代償運動)一覧
   h.代償運動
  (3)感覚(知覚)検査
   a.表在知覚
  (4)脳卒中片麻痺機能障害評価(ブルンストローム法)
  (5)パーキンソン病(ヤールの重症度分類)
    かんたんチェックポイント 種々の呼吸機能検査
  (6)呼吸機能検査
  (7)意識障害に対する評価法
  (8)認知症の評価
 2)精神障害に対する作業療法評価学
  (1)精神科作業療法の評価の原則
  (2)精神科作業療法・精神科デイケアの初期評価・評価技法
  (3)作業活動(場面)の観察法
  (4)精神科作業療法の面接技法
  (5)精神科作業療法における記録・報告
 3)(日常生活活動・作業能力・職業関連活動)評価学
  (1)ADL評価の意義
  (2)FIM
  (3)種々のADL評価法
   かんたんチェックポイント ADL評価チャート
  (4)作業活動の観察
  (5)職業前作業療法評価・職業関連評価
   かんたんチェックポイント 職業前訓練の評価
   かんたんチェックポイント 職業能力適性の評価
   かんたんチェックポイント 職業能力適性の評価のワークサンプル法(作業見本法)
   かんたんチェックポイント 職業興味の評価
   かんたんチェックポイント 性格検査
   かんたんチェックポイント 知能検査
  (6)地域社会における生活支援のための評価法
   かんたんチェックポイント 精神障害者に関する評価
 文献(引用文献,参考図書)
第2章 作業動作分析学
 1)身体とてこ
 2)正常動作分析
  (1)肩関節
  (2)手部
  (3)手関節の同時収縮
  (4)嚥下機能
 文献(引用文献,参考図書)
第3章 基礎作業治療学
 1)作業活動(アクティビティ)
  (1)類似課題・活動特性
  (2)エネルギー効率
  (3)作業種目と難易度
 2)作業技法
  (1)陶芸
  (2)革細工
  (3)木工
  (4)七宝焼
  (5)ちぎり絵
  (6)活動種目と道具
  (7)技法の名称・目的と特徴
 3)SST(社会生活技能訓練)
 文献(引用文献,参考図書)
第4章 義肢学・装具学・リハビリテーション機器
  かんたんチェックポイント 上肢切断
 1)義肢学
  (1)上肢切断の断端面と断端長
   かんたんチェックポイント 義手の部品
  (2)上腕義手の部品
  (3)前腕義手の部品
  (4)義手の部品
  (5)上腕義手の適合判定
  (6)義手の基本理論
  (7)前腕筋電義手
 2)装具学
  (1)スプリントの型紙
   かんたんチェックポイント 上肢装具の種類・目的・適応
  (2)スプリントの種類
  (3)コックアップ・スプリント
  (4)スプリントの適応疾患(ナックルベンダー,手指用ナックルベンダー,手指用逆ナックルベンダー)
  (5)スプリントの適応疾患(関節リウマチ,熱傷,手指屈筋腱縫合術後)
  (6)装具・スプリントの適応(障害とスプリント)
  (7)スプリントの適合判定(短対立装具・長対立装具)
  (8)義肢・装具の部品
 3)リハビリテーション機器
  (1)車椅子
   a.標準型車椅子(名称と適合判定)
   b.デスク型車椅子,簡易型車椅子
   c.部品の適応
   d.疾患に対する車椅子の処方
   e.車椅子の介助方法
  (2)自助具・補助具
   a.歩行補助具
   b.関節リウマチ患者に対する自助具
   c.脳卒中片麻痺患者に対する自助具
   d.脊髄小脳変性症・運動失調に対する自助具
   e.頸髄損傷患者に対する自助具
   f.痙直型脳性麻痺児に対する自助具
   g.種々の疾患・障害と自助具
 文献(引用文献,参考図書)
第5章 生活環境論
 1)在宅障害者に対する住宅環境整備
  (1)車椅子生活者・脊髄損傷対麻痺
  (2)頸髄(第4,5,6,8頸髄)損傷
  (3)高齢者
  (4)片麻痺・パーキンソン病・大腿骨頸部骨折
  (5)関節リウマチ
 文献(引用文献,参考図書)
第6章 作業療法概論
 1)理学療法士及び作業療法士法
  (1)法の制定・目的・免許・国家試験受験資格・罰則
  (2)作業療法士の業務
 2) 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)
  (1)医療機関への入院
  (2)社会資源(制度・施設)
 3)身体障害者福祉法・障害者基本法
 4)介護保険制度
 5)老人福祉法
 6) リハビリテーションに関連する種々の制度
 7)職業関連活動と就労支援
 8) リスク管理/感染症の特徴と予防策
 9) 精神科作業療法の発展に寄与した人物
 10) 自殺
 文献(引用文献,参考図書)

 自己評価テスト……365(チェックシート 解答シート)
 索引

付録
 「第42回PT・OT国試問題」の概要
 「出題傾向と対策の要点」(第29回〜第42回)
 「第42回PT・OT国家試験問題」(作業療法基礎編)
 「第41回PT・OT国家試験問題」(作業療法基礎編)
 「第40回PT・OT国家試験問題」(作業療法基礎編)
 「国家試験合格率」(第30回〜第42回)