やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第2版の序
 小児における疾患は,成長過程における各臓器・器官などの機能異常であるだけに複雑である.近年,病態の研究とともにその新しい治療法が次々と出現している.特に小児患者への治療は,患者が年少であるだけに本人ばかりでなく,ご家族などの理解・同意・協力が不可欠である.その中にあって薬物治療における患者・家族への服薬説明・指導には,成人患者以上に留意する点が多い.また,治療薬物の臨床効果・作用は種々の要因により影響され,その中で年齢差による影響は大きく,特に小児においては高齢患者と同様,十二分に注意をはらうべきである.その意味で2000年に本書を発刊することとなった.
 それ以来,多くの医療関係者に関心をもっていただき,大変感謝している次第である.それに伴って貴重なご意見を多くいただくことができた.一方,小児医療における薬物治療の発展は急速で目を見張るものがあるが,各執筆担当者はそれに対応すべく医療現場で服薬指導の実践を通して努力している.今回,それらのことを踏まえて新たな改訂版を作成し,その内容を関係者にご提言することになった.今回の改訂版では,総論で「小児に用いられる薬剤の処方根拠」と「適正な薬剤の服用および使用とその方法」を加え,また疾患別では各担当執筆者の服薬指導・説明時の経験事例の追加,さらに付録として小児科領域で処方される薬剤(顆粒,細粒,シロップ,坐剤)を加えた.
 最後に,医療関係者が患者サイドでファーマシューティカルケアを実践するうえで本書を活用していただき,引き続きご意見を賜れば幸甚である.
 2003年1月 五味田 裕・荒木博陽
総  論
 1.小児の服薬指導の問題点と対処
 2.重篤な副作用の初期症状
 3.小児に用いられる薬剤の処方根拠
 4.適正な薬剤の服用および使用とその方法

服薬指導(各論)
1.発 熱
 1.発熱とは
 2.発熱に関する留意点
 3.主な薬物と副作用および服薬指導のポイント
 4.服薬指導の実際
2.痛 み
 1.痛みとは
 2.主な薬物と副作用および服薬指導のポイント
 3.服薬指導の実際
3.感染症
 1.感染症とは
 2.主な薬物と副作用および服薬指導のポイント
 3.服薬指導の実際
4.喘 息
 1.喘息とは
 2.主な薬物と副作用および服薬指導のポイント
 3.発作時の服薬指導
 4.服薬指導の実際
5.アトピー性皮膚炎
 1.アトピー性皮膚炎とは
 2.主な薬物と副作用および服薬指導のポイント
 3.服薬指導の実際
6.眼疾患
 1.結膜炎とは
 2.主な薬物と副作用および服薬指導のポイント
 3.服薬指導の実際
 4.検査・手術のある患者の場合
7.てんかん
 1.小児てんかんとは
 2.てんかんの薬物療法
 3.抗てんかん剤の作用機序
 4.主な薬物と副作用および服薬指導のポイント
 5.服薬指導の実際
 6.服薬指導のQ & A
8.若年性糖尿病
 1.糖尿病とは
 2.糖尿病の治療と管理
 3.主な薬物と副作用および服薬指導のポイント
 4.シックデイ時の対応
 5.小児糖尿病の管理とその問題点
9.心不全
 1.心不全とは
 2.主な薬物と副作用および服薬指導のポイント
 3.服薬指導の実際
10.生体部分肝移植
 1.生体肝移植適応疾患
 2.主な薬物と副作用および服薬指導のポイント
 3.服薬指導の実際
11.悪性腫瘍
 1.悪性腫瘍とは
 2.主な薬物と副作用および服薬指導のポイント
 3.服薬指導の実際
12.腎疾患
 1.ネフローゼ症候群とは
 2.ネフローゼ症候群の治療法
 3.主な薬物と副作用および服薬指導のポイント
 4.食事指導
 5.生活指導
 6.服薬指導の実際
13.脳損傷
 1.脳損傷とは
 2.主な薬物と副作用および服薬指導のポイント
 3.服薬指導の実際
14.中 毒
 1.小児の中毒の特徴
 2.治療法の適応と手技
 3.解毒・拮抗剤

 付)小児科で処方される薬剤(顆粒,細粒,シロップ,坐剤)一覧表
 索  引