やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 わが国では高齢者人口増加に伴い,疾患やフレイルの進行により摂食嚥下障害を有する者が増加している.摂食嚥下障害は口腔や咽喉頭の運動機能障害だけでなく,認知機能や呼吸機能,体力の低下も関与する病態である.さらにその原因は疾患や加齢のみならず栄養状態や薬剤など多岐に渡り,それらが複雑に絡み合っている.そのため摂食嚥下障害の対応には多職種の介入が必要であり,リハビリテーション的な視点を持って障害を支えるという視点が必要となる.
 摂食嚥下リハビリテーションには,摂食嚥下関連筋群などの筋力強化を目的とした「機能的アプローチ」の他,機能障害を別の方法や手段で補う「代償的アプローチ」が存在する.たとえば,舌の運動障害によって食塊を送り込めないという機能障害を舌の訓練で解決しようとするのは「機能的アプローチ」である.一方,舌接触補助床という口腔内装置の使用して舌と口蓋の接触の補助することで,舌の運動障害を解決することは「代償的アプローチ」となる.
 口腔内装置の製作は歯科独自の専門性で行うため他職種からの期待は大きい.そのため口腔内装置を製作する歯科技工士においても摂食嚥下障害への理解が必要となる.本稿では,筆者らが考案した摂食嚥下障害に対する新たな口腔内装置を紹介したい.
Special Article
特別企画 摂食嚥下障害に対する新しい口腔内装置の開発 唾液誤嚥防止のための 唾液持続吸引マウスピースの製作・臨床
 (原 豪志,尾ア 栞,前澤由莉子,並木千鶴,小林健一郎)

Complete Articles
特別解説 歯頸ラインの調和を図ったシングルインプラント症例
 ―チェアサイドとラボサイドの連携により実現する軟組織の回復(後編)
 (杉山雅和)

次世代対談 歯科医師×歯科技工士コラボレーション 後編 診断用ワックスアップ,プロビジョナルレストレーションから最終補綴装置への移行
 (平澤正洋,平島真悟)

Serial Articles
補綴物の再製を減らす!表面ステインテクニック実践講座
 第3回 濃い色の支台歯に対してクリアランスが少ないケース
 (横田浩史)

日常臨床に活かせる歯科研究の知識
 第5回 臼歯部における適切な鼓形空隙の大きさは?
 (中村孝博/丸尾勝一郎(監修))

患者満足度が得られる「失敗しない」補綴装置を求めて
 第28回 ハンス シュライヒ(Hans Schleich)氏と近藤 弘先生と規格模型(その5)(Main Body)
 (堤 嵩詞)

ほのぼの技工LIFE
 (Vol.24 藤弘和正)

Congress & Meeting Report
 「第34回 全国国立大学病院歯科技工士協議会代表者会議」に参加して
 (岩畔将吾)
 「NAAD 10周年記念講演 第4回北の同志会 真の歯科医療の連携を考える〜心の通った連携を目指して〜」に参加して
 (清水理一郎,土屋一陽,石井友和)
 「第21回 歯型彫刻コンテスト『ほるほる』」に参加して
 (稲毛和花)

Others
 日技生涯研修