やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

特集 検査データと血液像から疾患を推測する
はじめに―本特集にあたって
 血液検査は,血球数算定や血栓・止血検査などの機械化された検査と,顕微鏡を使った形態学的検査といった用手法検査とに大きく分かれます.中規模以上の病院では現在は業務が細分化され,自動分析機と用手法を同時に担当し検査することは困難です.したがって,自動分析機が異常値を示した場合,血液疾患を見逃さないようすぐに血液形態を確認するためには,臨床検査技師間で連携し知識を共有する必要があります.同様に,血液形態検査から「これは……!?」と思う細胞に遭遇した場合も自動分析機での検査データを確認することにより,診断に直結するような情報が得られることが多々あります.このように,検査データと血液形態は車の両輪のような関係であり,どちらか一方の知識があるだけでは正確な情報を臨床側へ提供できません.日常的に血液検査に従事している臨床検査技師であれば,ある程度の知識はもち合わせていると思いますが,日当直でのみ血液検査に携わっている方々には少し気の重い要求かもしれません.
 そのような多くの知識が求められている状況で,「初心者からベテランの方まで血液検査に興味をもち,さらに知識をアップデートできるような特集ができれば」と考えていたところ,読者の方より「血液像からわかる病態について取り上げてほしい!」とのご要望をいただきました.
 そこで,今回は代表的な疾患から少々難しい疾患までを取り揃え,検査データと細胞写真を提示し,そこから考えられる疾患を推測するクイズ形式の特集をご用意しました.お一人で考えるもよし,みんなで協力しながら考えるもよし,肩の力を抜いて楽しみながら答えを導き出していただければと思います.解説編では検査データと細胞写真の着眼点を説明し,各疾患についての解説もていねいに行っています.症例をご提示,ご解説いただく先生方はいずれもこの分野でご活躍なさっており,日常業務で困った時のヒントになる情報がたくさん詰まっていると思います.どうか本書を常にお手元に置いて,日々の検査のお役に立てていただければ幸いです.
 監修 野木岐実子(帝京大学医学部附属病院 中央検査部)
特集 検査データと血液像から疾患を推測する
 はじめに―本特集にあたって
  (野木岐実子)
 Q.1
  (杉原崇大)
 Q.2
  (井上雄介)
 Q.3
  (西森美香)
 Q.4
  (杉本圭輔)
 Q.5
  (矢作かおり・松下弘道)
 Q.6
  (徳竹孝好)
 Q.7
  (勢井伸幸)
 Q.8
  (野木岐実子)
 Q.9
  (大澤 健)

Editorial―今月のことば
 遊びゴコロをもった臨床検査はいかが?
 (木村 聡)

話題―NEWS&TOPICS
 一般検査分野のワーキンググループ・委員会の発足
 (清宮正徳・石山雅大・金沢聖美・神山恵多・菊池春人・下澤達雄・宿谷賢一・高山知子・堀田真希・横山 貴・和田骼u)
 「大規模災害対策規程」の要点
 (山田俊幸)

アプローチ別に学ぶ!微生物検査室のAS貢献 新連載
 1.抗菌薬適正使用支援(AS)とは―臨床検査技師,微生物検査に求められること
 (中村竜也)

基礎から学ぶ 生化学検査の反応タイムコースモニタ解析法 新連載
 1.緒論および終点分析法における試薬の劣化
 (松下 誠)

技術講座
 乳腺エコーにおけるエラストグラフィの撮影のコツ
 (今野佐智代)

基礎講座
 一般検査室のための 体腔液に出現しやすい細胞の染色像
 (大久保文彦)

From LABO
 全自動培養検査の実際
 (上蓑義典)

FOCUS
 透析患者の低栄養の指標・評価
 (小林 恵・菅野義彦)

臨床検査Q&A
 F波の出現頻度が低い場合(疾患が原因以外)の対処法について教えて下さい.正中神経の場合は,反対側の腕を動かしてもらうと出現頻度が増加するのでしょうか?
 (鈴木俊明)

メディカルスタッフ職業図鑑
 7.作業療法士
 (関根 徹)

Information
 2023年(第68回)一級臨床検査士資格認定試験
 POCT測定認定士資格認定試験
 2023年(第39回)「緒方富雄賞」候補者推薦の募集
 第38回日本環境感染学会総会・学術集会
 第42回日本医用画像工学会大会
 第24回日本検査血液学会学術集会

 L・Lの日常(周玲蓮)
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 MTパズル
 編集後記・次号予告