序文
第2版
腎臓の病気には,さまざまなものがありますが,腎臓病の患者さんは最近ますます増加しています.2003年度末のわが国において,各種の腎臓病が進行して人工透析の治療を受けている患者さんの数は23万7千人となり,10年前と比べて約2倍に近い増加となっています.このような状況のなかで専門病院では,腎臓病を正確に診断してこれを直す治療や,たとえ根治できなくても腎臓病の進行を防ぐ治療に,なお一層の努力が注がれております.
本書では,腎臓病の専門病院で日ごろ行われている医療を具体的に再現することに心がけています.腎臓病の患者さんにご自分の病気を理解していただけるように,難解な表現はできるだけ避けました.ご自分の養生法がわかっていただければ幸いです.また腎臓病患者さんを受け持つ医師や看護師,管理栄養士,臨床薬剤師,臨床工学技士などの方々には,診療上のヒントを得ていただければと思います.
今回,初版の出版以来6年が経過しましたので,この間の医学・医療の進展にあわせて一部の記述を改訂しました.初版以来ここまで,多大なご尽力をしていただいた医歯薬出版の編集部の方々に改めて厚く御礼を申しあげます.
平成17年 早春の窓辺にて
中尾俊之
序文
初版
腎臓病の患者さんが近年増加しています.これは,わが国だけではなく,世界的な傾向です.一口に腎臓病といってもさまざまな病気があります.大部分の腎臓病では,もしも進行してしまって腎機能がゼロに近くなっても心配はいりません.人工透析療法をきちんと受ければ,生命をおとすようなことはありません.健康な人に近い社会生活を送れます.また機会があれば腎臓移植を受けることもできます.このように,腎臓病はたとえ進行しても,現代では代替えの治療ができるので心配はないのです.とはいっても,人工透析を受けるとなると時間もとられますし,たいへんであることは確かですので,なるべく悪化させないに越したことはありません.
この本では,腎臓病の専門病院で日頃行われている医療を具体的に再現することを心がけました.したがって個々の腎臓病や治療法の説明だけではなく,患者さんが病院を受診した場合に,どのような手順で診療が行われるのかという点にもわかりやすい解説を加えてあります.この本の読者としては,腎臓病の患者さんはむろんのこと,初めて腎臓病患者さんを受け持つ医師や看護婦,管理栄養士,薬剤師,技師などの方々を対象としています.この本によって,患者さんには自分の病気の理解や養生法をわかっていただき,また医療スタッフには患者さんへの指導のヒントを得ていただければ幸いです.
最後に,この本の出版に多大なご尽力をしていただいた医歯薬出版株式会社の編集部の方々に厚くお礼を申しあげます.
平成11年8月
補訂
腎臓病の治療薬,治療用特殊食品,統計的な数値などを見直し,訂正・追加いたしました.今後ともお気付きの点などがありましたら,ご指摘をいただければ幸いです.
平成16年4月
中尾俊之
第2版
腎臓の病気には,さまざまなものがありますが,腎臓病の患者さんは最近ますます増加しています.2003年度末のわが国において,各種の腎臓病が進行して人工透析の治療を受けている患者さんの数は23万7千人となり,10年前と比べて約2倍に近い増加となっています.このような状況のなかで専門病院では,腎臓病を正確に診断してこれを直す治療や,たとえ根治できなくても腎臓病の進行を防ぐ治療に,なお一層の努力が注がれております.
本書では,腎臓病の専門病院で日ごろ行われている医療を具体的に再現することに心がけています.腎臓病の患者さんにご自分の病気を理解していただけるように,難解な表現はできるだけ避けました.ご自分の養生法がわかっていただければ幸いです.また腎臓病患者さんを受け持つ医師や看護師,管理栄養士,臨床薬剤師,臨床工学技士などの方々には,診療上のヒントを得ていただければと思います.
今回,初版の出版以来6年が経過しましたので,この間の医学・医療の進展にあわせて一部の記述を改訂しました.初版以来ここまで,多大なご尽力をしていただいた医歯薬出版の編集部の方々に改めて厚く御礼を申しあげます.
平成17年 早春の窓辺にて
中尾俊之
序文
初版
腎臓病の患者さんが近年増加しています.これは,わが国だけではなく,世界的な傾向です.一口に腎臓病といってもさまざまな病気があります.大部分の腎臓病では,もしも進行してしまって腎機能がゼロに近くなっても心配はいりません.人工透析療法をきちんと受ければ,生命をおとすようなことはありません.健康な人に近い社会生活を送れます.また機会があれば腎臓移植を受けることもできます.このように,腎臓病はたとえ進行しても,現代では代替えの治療ができるので心配はないのです.とはいっても,人工透析を受けるとなると時間もとられますし,たいへんであることは確かですので,なるべく悪化させないに越したことはありません.
この本では,腎臓病の専門病院で日頃行われている医療を具体的に再現することを心がけました.したがって個々の腎臓病や治療法の説明だけではなく,患者さんが病院を受診した場合に,どのような手順で診療が行われるのかという点にもわかりやすい解説を加えてあります.この本の読者としては,腎臓病の患者さんはむろんのこと,初めて腎臓病患者さんを受け持つ医師や看護婦,管理栄養士,薬剤師,技師などの方々を対象としています.この本によって,患者さんには自分の病気の理解や養生法をわかっていただき,また医療スタッフには患者さんへの指導のヒントを得ていただければ幸いです.
最後に,この本の出版に多大なご尽力をしていただいた医歯薬出版株式会社の編集部の方々に厚くお礼を申しあげます.
平成11年8月
補訂
腎臓病の治療薬,治療用特殊食品,統計的な数値などを見直し,訂正・追加いたしました.今後ともお気付きの点などがありましたら,ご指摘をいただければ幸いです.
平成16年4月
中尾俊之
1-腎臓病の診療と患者指導はどのように行われるか
腎臓病の発見から診断まで
1 腎臓病は静かに発症し,静かに進行する
(1)無症状のうちに進む
(2)検尿の異常
2 検診による腎臓病の発見
3 患者さん自身が気づく場合
腎臓病の診断から治療へ
腎臓病の治療
1 薬物療法
2 食事療法
3 人工透析療法
腎臓病の診療体制
腎臓病治療のなかの患者教育
2-腎臓の構造と働き
腎臓の構造はどうなっているか
1 腎・尿路系の構成と概観
2 ネフロンという腎単位
(1)糸球体
(2)尿細管
尿の生成
腎臓はどのような働きをしているのか
1 尿を産生することにより行われること
(1)終末代謝産物(老廃物)の排泄
(2)体液の量の調整
(3)細胞外液の電解質濃度や酸塩基平衡(pH)の維持
2 ホルモンの産生
3-腎臓病の症状と出方
自覚症状
検尿の異常と腎臓病
尿の混濁
(1)血尿
(2)膿尿
尿量の異常
むくみの出方
1 身体の部位とむくみ
(1)足のむくみ
(2)顔のむくみ
(3)手のむくみ
(4)腰部・背部のむくみ
(5)陰部のむくみ
(6)胸水,腹水
(7)内臓のむくみ
2 むくみによる体重の増加
3 腎臓病でむくみが出る原因
(1)水分・食塩の排泄障害
(2)血管内に水分を引く力(膠質浸透圧)の低下
高血圧
1 腎臓病で高血圧となる原因
(1)循環血漿量(血管内血液量)の増加
(2)血圧を調節するホルモンの異常
2 血圧の正常値
3 白衣高血圧
腎臓病と痛み
腎臓病と発熱
尿毒症
腎臓病の進行と症状の出方
1 かなり進行するまで無症状のことが多い
2 尿毒症症状はいつごろ出るか
全身の病気により腎臓も障害される場合
4-腎臓病の種類と特徴
腎臓病のいろいろな見地からの分類
1 障害される腎臓の部位による分類
2 血尿が主体の腎臓病と,たんぱく尿が主体の腎臓病
3 急性に起こる腎臓病と,慢性的に経過する腎臓病
4 若年者に多い腎臓病と,壮年期および老年期に多い腎臓病
5 原因がはっきりしていない腎臓病と,原因がはっきりしている腎臓病
6 治る腎臓病と,治りにくい腎臓病
代表的な腎臓病とその特徴
1 糸球体腎炎
(1)急性糸球体腎炎
(2)急速進行性糸球体腎炎
(3)慢性糸球体腎炎
2 ネフローゼ症候群
(1)原発性(一次性)ネフローゼ症候群
(2)続発性(二次性)ネフローゼ症候群
3 糖尿病性腎症
4 高血圧と腎障害
(1)本態性高血圧
(2)腎実質性高血圧
(3)腎血管性高血圧
5 腎硬化症
(1)良性腎硬化症
(2)悪性腎硬化症
6 膠原病による糸球体疾患
(1)全身性エリテマトーデス(ループス腎炎)
(2)その他の膠原病
7 腎不全
(1)急性腎不全
(2)慢性腎不全
8 尿細管間質性腎炎
(1)急性尿細管間質性腎炎
(2)慢性尿細管間質性腎炎
9 妊娠中毒症
10 特発性浮腫
11 遺伝性腎疾患
(1)成人型多発性嚢胞腎
(2)アルポート症候群
12 肥満と腎臓
(1)肥満とは
(2)肥満とたんぱく尿
13 腎尿路感染症
14 尿路結石
15 腎腫瘍
16 水腎症
5-腎臓病の診断と治療の実際
腎臓病の診断はどのようにして行われるか
1 病院を受診するまで
2 症状からの診断の手がかり
(1)むくみ(浮腫)
(2)体重増加
(3)肉眼的血尿
(4)排尿に関する異常
(5)尿量の異常
(6)腰背部痛
(7)皮疹
(8)眼の症状
(9)咳,血痰
3 診察の手順
(1)問診
(2)理学的診察
(3)血圧の測定とその評価
4 検査の手順
(1)尿・血液検査
(2)画像検査
(3)腎生検
腎臓病の治療はどのようにして行われるか
1 治療の3つの考え方と使い分け
2 無治療で経過をみるとき
3 腎臓病を治すことをめざす積極的治療
4 腎臓病を悪化させない保存的治療
(1)血圧の管理
(2)食事療法
(3)抗血小板療法
(4)抗凝固療法
(5)高脂血症に対する治療
(6)その他の保存的治療
5 治療の効果はどのようにして判定するか―血液・尿検査の経過の見方
(1)尿たんぱく量の推移
(2)腎機能の推移
(3)血尿の推移
6-腎臓病と検査
尿検査
1 たんぱく尿
(1)アルブミン尿
(2)微量アルブミン尿
(3)低分子たんぱく尿
(4)オーバーフローたんぱく尿
2 血尿
3 白血球尿
4 尿糖
5 円柱
6 尿細胞診
血液検査
1 末梢血検査
2 生化学検査
3 免疫学的検査
4 ホルモン検査
5 血液ガス分析
蓄尿検査
1 尿たんぱく量
2 腎臓の機能を調べる検査
3 食塩摂取量
4 たんぱく質摂取量
腎臓の形態を調べる検査(画像検査)
(1)超音波検査
(2)CTスキャン
(3)単純X線撮影
(4)経静脈的腎盂造影
(5)腎血管造影
(6)核磁気共鳴法(MRI)
(7)核医学検査
腎生検
7-腎臓病の進行を防ぐために
治る腎臓病と治りにくい腎臓病
1 治る腎臓病
2 治りにくい腎臓病
治らなくても進行しなければ心配はない
腎不全に至る腎臓病の種類
(1)慢性糸球体腎炎
(2)糖尿病性腎症
(3)腎硬化症
(4)その他
腎不全に至る過程
1 腎臓病の進行と,糸球体・尿細管の荒廃(糸球体硬化と尿細管間質線維化)
2 残存糸球体の過剰濾過と腎不全の進行
3 糸球体内血液凝固
腎臓病は静かに進行する
腎臓病の進行を防ぐ方法
1 原因を取り除く
(1)糸球体腎炎
(2)糖尿病性腎症
(3)腎硬化症
2 残存糸球体と尿細管の荒廃を防ぐ
(1)低たんぱく食事療法
(2)高血圧のコントロール
(3)高脂血症の是正
(4)薬物療法
3 腎障害の追加原因を避ける
腎臓病養生のための5つの“はかり”
(1)体重をはかる
(2)血圧をはかる
(3)尿量・尿成分をはかる
(4)食事量をはかる
(5)血液成分をはかる
8-腎臓病と薬
腎臓病の患者さんに用いられる代表的な薬
1 副腎皮質ステロイド
2 免疫抑制剤
(1)シクロスポリン(ネオーラルR)
(2)シクロホスファミド(エンドキサンR)
(3)ミゾリビン(ブレディニンR)
3 抗血小板薬
4 抗凝固薬
5 降圧薬
(1)降圧利尿薬
(2)カルシウム拮抗薬
(3)アンジオテンシン変換酵素阻害薬
(4)アンジオテンシンII受容体拮抗薬
(5)α遮断薬
(6)β遮断薬
(7)中枢神経抑制薬
6 利尿薬
(1)ループ利尿薬
(2)サイアザイド系利尿薬
(3)カリウム保持性利尿薬
7 エリスロポエチン製剤
8 リン吸着剤
9 活性型ビタミンD製剤
10 アルカリ化薬
11 高カリウム治療薬
12 鉄剤
13 経口吸着薬
14 高尿酸血症治療薬
15 高脂血症治療薬
16 漢方薬
腎機能に応じた薬の量の調節
腎臓病の患者さんにとって注意すべき薬
(1)非ステロイド性解熱消炎鎮痛薬
(2)造影剤
(3)抗生物質
(4)マグネシウム,アルミニウムを含む薬
9-腎臓病と食事
栄養素
腎臓病の食事基準
1 急性糸球体腎炎
2 慢性糸球体腎炎
3 ネフローゼ症候群
4 慢性腎不全
5 糖尿病性腎症
6 透析療法
食事療法の第一歩
1 患者さんの社会的背景の把握
2 計量器具をそろえましょう
3 家族の協力が食事療法成功への近道
食塩のとり方
(1)調味料に含まれる食塩量
(2)食品に含まれている食塩
(3)減塩食の工夫
(4)外食での食塩管理
(5)食塩と水分の関係
治療用特殊食品
(1)低甘味ブドウ糖重合体製品
(2)中鎖脂肪酸製品
(3)でんぷん製品
(4)たんぱく質調整食品
エネルギー,たんぱく質のとり方
1 1日の食品構成表で食事療法を行う方法
2 食品交換表を使用して食事療法を行う方法
(1)腎臓病食品交換表
(2)糖尿病食品交換表
(3)糖尿病性腎症の食品交換表
3 食品成分表を使用する方法
4 宅配食を利用する方法
たんぱく質の質
カリウム
リン,カルシウム
アルコール
外食,旅行の食事
透析患者さんの食事
食事療法を成功させるために
10-腎臓病と運動,仕事,日常生活
腎臓病と日常生活
1 生活管理の重要性
2 安静が必要か
腎臓病の進行程度や病状に合わせた生活指導
1 成人の生活指導区分
2 小児の生活指導区分
3 慢性腎疾患の生活指導基準
腎臓病と運動
1 腎臓病患者さんにとっての運動
2 どの程度の運動が許容されるか
3 運動の強さの目安の取り方
4 新しく運動をはじめる人へ
腎臓病と妊娠,出産
11-透析療法
人工透析療法とは
1 人工透析の働き
2 人工透析療法と社会生活
3 人工透析の2つの方法
(1)血液透析
(2)腹膜透析
4 透析時基本体重(ドライウエイト)
血液透析
1 血液透析に必要な器具,装置,薬品
(1)必要な医療器具
(2)人工腎臓装置
(3)透析液
2 血液透析の実際
(1)血液と透析液の流れ
(2)血液透析施行時のチェックポイント
3 血液透析中にみられる合併症と対応
4 手術後患者さんの透析ケア
5 感染症患者さんへの対応
(1)MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の対応
(2)ウイルス肝炎(HBV,HCV)の対応
6 血液透析患者さんの指導
(1)指導開始時期
(2)日常生活の注意事項
(3)内シャント
(4)体重
(5)高カリウム血症に注意
(6)かゆみ
7 災害と血液透析
(1)災害に備えて(患者さん)
(2)災害発生時の対策(スタッフ)
(3)緊急時のため準備しておく物品(スタッフ)
(4)非常時に持ち出す物品(スタッフ)
腹膜透析
1 腹膜透析に必要な器具,装置,薬品
2 腹膜透析の実際
(1)腹膜透析の原理
(2)腹膜透析のやり方
(3)透析液の種類と効果
3 腹膜透析の導入と在宅透析による長期維持へ
4 CAPD患者さんの在宅療法のための管理
(1)在宅CAPD患者さんに対する院内体制と支援体制
(2)看護師の役割
(3)CAPD導入後のケア
5 在宅CAPDに向けての指導
(1)CAPD教育スケジュール
(2)CAPD指導計画表
(3)バッグ交換
(4)自己管理
(5)カテーテルケア
(6)入浴方法
(7)薬品・物品の管理
(8)チューブ交換
6 緊急時の対処方法
(1)注液・排液困難
(2)カテーテル出口部異常
(3)接続部汚染
(4)器材の破損
(5)血性排液
(6)腹膜炎
(7)溢水
(8)脱水
7 病院への連絡
8 定期診察
9 訪問看護
10 日常生活の注意事項
長期維持透析に関するQ&A
12-腎移植の知識
腎移植の目的
腎移植の現況
1 世界の腎移植の現状
2 わが国の現状と成績
ドナーの適応
1 生体腎移植ドナー
2 献腎移植ドナー
レシピエントの選択
腎移植手術
免疫抑制療法
1 代表的免疫抑制剤
(1)アザチオプリン
(2)シクロスポリンA
(3)タクロリムス
(4)ミゾリビン
(5)ムロモナブ-CD3
(6)塩酸グスペリムス
(7)抗リンパ球グロブリン(ALG,ATG)
(8)ミコフェノール酸モフェチル
(9)バシリキシマブ
2 多剤併用療法と薬剤感受性
拒絶反応
腎臓の保存
腎移植後合併症
1 感染症
(1)サイトメガロウイルス
(2)EBウイルス
(3)ヘルペスウイルス
(4)カンジダ
(5)深在性真菌症
(6)レジオネラ肺炎,カリニ肺炎
(7)結核
2 腎移植後糖尿病
3 骨病変
4 腎移植後白内障
トピックス
1 膵腎同時移植
2 ABO血液型不適合腎移植
3 移植コーディネーター
腎臓病の発見から診断まで
1 腎臓病は静かに発症し,静かに進行する
(1)無症状のうちに進む
(2)検尿の異常
2 検診による腎臓病の発見
3 患者さん自身が気づく場合
腎臓病の診断から治療へ
腎臓病の治療
1 薬物療法
2 食事療法
3 人工透析療法
腎臓病の診療体制
腎臓病治療のなかの患者教育
2-腎臓の構造と働き
腎臓の構造はどうなっているか
1 腎・尿路系の構成と概観
2 ネフロンという腎単位
(1)糸球体
(2)尿細管
尿の生成
腎臓はどのような働きをしているのか
1 尿を産生することにより行われること
(1)終末代謝産物(老廃物)の排泄
(2)体液の量の調整
(3)細胞外液の電解質濃度や酸塩基平衡(pH)の維持
2 ホルモンの産生
3-腎臓病の症状と出方
自覚症状
検尿の異常と腎臓病
尿の混濁
(1)血尿
(2)膿尿
尿量の異常
むくみの出方
1 身体の部位とむくみ
(1)足のむくみ
(2)顔のむくみ
(3)手のむくみ
(4)腰部・背部のむくみ
(5)陰部のむくみ
(6)胸水,腹水
(7)内臓のむくみ
2 むくみによる体重の増加
3 腎臓病でむくみが出る原因
(1)水分・食塩の排泄障害
(2)血管内に水分を引く力(膠質浸透圧)の低下
高血圧
1 腎臓病で高血圧となる原因
(1)循環血漿量(血管内血液量)の増加
(2)血圧を調節するホルモンの異常
2 血圧の正常値
3 白衣高血圧
腎臓病と痛み
腎臓病と発熱
尿毒症
腎臓病の進行と症状の出方
1 かなり進行するまで無症状のことが多い
2 尿毒症症状はいつごろ出るか
全身の病気により腎臓も障害される場合
4-腎臓病の種類と特徴
腎臓病のいろいろな見地からの分類
1 障害される腎臓の部位による分類
2 血尿が主体の腎臓病と,たんぱく尿が主体の腎臓病
3 急性に起こる腎臓病と,慢性的に経過する腎臓病
4 若年者に多い腎臓病と,壮年期および老年期に多い腎臓病
5 原因がはっきりしていない腎臓病と,原因がはっきりしている腎臓病
6 治る腎臓病と,治りにくい腎臓病
代表的な腎臓病とその特徴
1 糸球体腎炎
(1)急性糸球体腎炎
(2)急速進行性糸球体腎炎
(3)慢性糸球体腎炎
2 ネフローゼ症候群
(1)原発性(一次性)ネフローゼ症候群
(2)続発性(二次性)ネフローゼ症候群
3 糖尿病性腎症
4 高血圧と腎障害
(1)本態性高血圧
(2)腎実質性高血圧
(3)腎血管性高血圧
5 腎硬化症
(1)良性腎硬化症
(2)悪性腎硬化症
6 膠原病による糸球体疾患
(1)全身性エリテマトーデス(ループス腎炎)
(2)その他の膠原病
7 腎不全
(1)急性腎不全
(2)慢性腎不全
8 尿細管間質性腎炎
(1)急性尿細管間質性腎炎
(2)慢性尿細管間質性腎炎
9 妊娠中毒症
10 特発性浮腫
11 遺伝性腎疾患
(1)成人型多発性嚢胞腎
(2)アルポート症候群
12 肥満と腎臓
(1)肥満とは
(2)肥満とたんぱく尿
13 腎尿路感染症
14 尿路結石
15 腎腫瘍
16 水腎症
5-腎臓病の診断と治療の実際
腎臓病の診断はどのようにして行われるか
1 病院を受診するまで
2 症状からの診断の手がかり
(1)むくみ(浮腫)
(2)体重増加
(3)肉眼的血尿
(4)排尿に関する異常
(5)尿量の異常
(6)腰背部痛
(7)皮疹
(8)眼の症状
(9)咳,血痰
3 診察の手順
(1)問診
(2)理学的診察
(3)血圧の測定とその評価
4 検査の手順
(1)尿・血液検査
(2)画像検査
(3)腎生検
腎臓病の治療はどのようにして行われるか
1 治療の3つの考え方と使い分け
2 無治療で経過をみるとき
3 腎臓病を治すことをめざす積極的治療
4 腎臓病を悪化させない保存的治療
(1)血圧の管理
(2)食事療法
(3)抗血小板療法
(4)抗凝固療法
(5)高脂血症に対する治療
(6)その他の保存的治療
5 治療の効果はどのようにして判定するか―血液・尿検査の経過の見方
(1)尿たんぱく量の推移
(2)腎機能の推移
(3)血尿の推移
6-腎臓病と検査
尿検査
1 たんぱく尿
(1)アルブミン尿
(2)微量アルブミン尿
(3)低分子たんぱく尿
(4)オーバーフローたんぱく尿
2 血尿
3 白血球尿
4 尿糖
5 円柱
6 尿細胞診
血液検査
1 末梢血検査
2 生化学検査
3 免疫学的検査
4 ホルモン検査
5 血液ガス分析
蓄尿検査
1 尿たんぱく量
2 腎臓の機能を調べる検査
3 食塩摂取量
4 たんぱく質摂取量
腎臓の形態を調べる検査(画像検査)
(1)超音波検査
(2)CTスキャン
(3)単純X線撮影
(4)経静脈的腎盂造影
(5)腎血管造影
(6)核磁気共鳴法(MRI)
(7)核医学検査
腎生検
7-腎臓病の進行を防ぐために
治る腎臓病と治りにくい腎臓病
1 治る腎臓病
2 治りにくい腎臓病
治らなくても進行しなければ心配はない
腎不全に至る腎臓病の種類
(1)慢性糸球体腎炎
(2)糖尿病性腎症
(3)腎硬化症
(4)その他
腎不全に至る過程
1 腎臓病の進行と,糸球体・尿細管の荒廃(糸球体硬化と尿細管間質線維化)
2 残存糸球体の過剰濾過と腎不全の進行
3 糸球体内血液凝固
腎臓病は静かに進行する
腎臓病の進行を防ぐ方法
1 原因を取り除く
(1)糸球体腎炎
(2)糖尿病性腎症
(3)腎硬化症
2 残存糸球体と尿細管の荒廃を防ぐ
(1)低たんぱく食事療法
(2)高血圧のコントロール
(3)高脂血症の是正
(4)薬物療法
3 腎障害の追加原因を避ける
腎臓病養生のための5つの“はかり”
(1)体重をはかる
(2)血圧をはかる
(3)尿量・尿成分をはかる
(4)食事量をはかる
(5)血液成分をはかる
8-腎臓病と薬
腎臓病の患者さんに用いられる代表的な薬
1 副腎皮質ステロイド
2 免疫抑制剤
(1)シクロスポリン(ネオーラルR)
(2)シクロホスファミド(エンドキサンR)
(3)ミゾリビン(ブレディニンR)
3 抗血小板薬
4 抗凝固薬
5 降圧薬
(1)降圧利尿薬
(2)カルシウム拮抗薬
(3)アンジオテンシン変換酵素阻害薬
(4)アンジオテンシンII受容体拮抗薬
(5)α遮断薬
(6)β遮断薬
(7)中枢神経抑制薬
6 利尿薬
(1)ループ利尿薬
(2)サイアザイド系利尿薬
(3)カリウム保持性利尿薬
7 エリスロポエチン製剤
8 リン吸着剤
9 活性型ビタミンD製剤
10 アルカリ化薬
11 高カリウム治療薬
12 鉄剤
13 経口吸着薬
14 高尿酸血症治療薬
15 高脂血症治療薬
16 漢方薬
腎機能に応じた薬の量の調節
腎臓病の患者さんにとって注意すべき薬
(1)非ステロイド性解熱消炎鎮痛薬
(2)造影剤
(3)抗生物質
(4)マグネシウム,アルミニウムを含む薬
9-腎臓病と食事
栄養素
腎臓病の食事基準
1 急性糸球体腎炎
2 慢性糸球体腎炎
3 ネフローゼ症候群
4 慢性腎不全
5 糖尿病性腎症
6 透析療法
食事療法の第一歩
1 患者さんの社会的背景の把握
2 計量器具をそろえましょう
3 家族の協力が食事療法成功への近道
食塩のとり方
(1)調味料に含まれる食塩量
(2)食品に含まれている食塩
(3)減塩食の工夫
(4)外食での食塩管理
(5)食塩と水分の関係
治療用特殊食品
(1)低甘味ブドウ糖重合体製品
(2)中鎖脂肪酸製品
(3)でんぷん製品
(4)たんぱく質調整食品
エネルギー,たんぱく質のとり方
1 1日の食品構成表で食事療法を行う方法
2 食品交換表を使用して食事療法を行う方法
(1)腎臓病食品交換表
(2)糖尿病食品交換表
(3)糖尿病性腎症の食品交換表
3 食品成分表を使用する方法
4 宅配食を利用する方法
たんぱく質の質
カリウム
リン,カルシウム
アルコール
外食,旅行の食事
透析患者さんの食事
食事療法を成功させるために
10-腎臓病と運動,仕事,日常生活
腎臓病と日常生活
1 生活管理の重要性
2 安静が必要か
腎臓病の進行程度や病状に合わせた生活指導
1 成人の生活指導区分
2 小児の生活指導区分
3 慢性腎疾患の生活指導基準
腎臓病と運動
1 腎臓病患者さんにとっての運動
2 どの程度の運動が許容されるか
3 運動の強さの目安の取り方
4 新しく運動をはじめる人へ
腎臓病と妊娠,出産
11-透析療法
人工透析療法とは
1 人工透析の働き
2 人工透析療法と社会生活
3 人工透析の2つの方法
(1)血液透析
(2)腹膜透析
4 透析時基本体重(ドライウエイト)
血液透析
1 血液透析に必要な器具,装置,薬品
(1)必要な医療器具
(2)人工腎臓装置
(3)透析液
2 血液透析の実際
(1)血液と透析液の流れ
(2)血液透析施行時のチェックポイント
3 血液透析中にみられる合併症と対応
4 手術後患者さんの透析ケア
5 感染症患者さんへの対応
(1)MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の対応
(2)ウイルス肝炎(HBV,HCV)の対応
6 血液透析患者さんの指導
(1)指導開始時期
(2)日常生活の注意事項
(3)内シャント
(4)体重
(5)高カリウム血症に注意
(6)かゆみ
7 災害と血液透析
(1)災害に備えて(患者さん)
(2)災害発生時の対策(スタッフ)
(3)緊急時のため準備しておく物品(スタッフ)
(4)非常時に持ち出す物品(スタッフ)
腹膜透析
1 腹膜透析に必要な器具,装置,薬品
2 腹膜透析の実際
(1)腹膜透析の原理
(2)腹膜透析のやり方
(3)透析液の種類と効果
3 腹膜透析の導入と在宅透析による長期維持へ
4 CAPD患者さんの在宅療法のための管理
(1)在宅CAPD患者さんに対する院内体制と支援体制
(2)看護師の役割
(3)CAPD導入後のケア
5 在宅CAPDに向けての指導
(1)CAPD教育スケジュール
(2)CAPD指導計画表
(3)バッグ交換
(4)自己管理
(5)カテーテルケア
(6)入浴方法
(7)薬品・物品の管理
(8)チューブ交換
6 緊急時の対処方法
(1)注液・排液困難
(2)カテーテル出口部異常
(3)接続部汚染
(4)器材の破損
(5)血性排液
(6)腹膜炎
(7)溢水
(8)脱水
7 病院への連絡
8 定期診察
9 訪問看護
10 日常生活の注意事項
長期維持透析に関するQ&A
12-腎移植の知識
腎移植の目的
腎移植の現況
1 世界の腎移植の現状
2 わが国の現状と成績
ドナーの適応
1 生体腎移植ドナー
2 献腎移植ドナー
レシピエントの選択
腎移植手術
免疫抑制療法
1 代表的免疫抑制剤
(1)アザチオプリン
(2)シクロスポリンA
(3)タクロリムス
(4)ミゾリビン
(5)ムロモナブ-CD3
(6)塩酸グスペリムス
(7)抗リンパ球グロブリン(ALG,ATG)
(8)ミコフェノール酸モフェチル
(9)バシリキシマブ
2 多剤併用療法と薬剤感受性
拒絶反応
腎臓の保存
腎移植後合併症
1 感染症
(1)サイトメガロウイルス
(2)EBウイルス
(3)ヘルペスウイルス
(4)カンジダ
(5)深在性真菌症
(6)レジオネラ肺炎,カリニ肺炎
(7)結核
2 腎移植後糖尿病
3 骨病変
4 腎移植後白内障
トピックス
1 膵腎同時移植
2 ABO血液型不適合腎移植
3 移植コーディネーター











