やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

“普通”でいいですか?―“ぺリオ”を柱にしたメインテナンスシステム確立を目指して―
 「ポテトはいかがですか?」
 ハンバーガーショップのカウンターで女性店員がにっこり微笑みながら言う.よくある風景である.奥では手際よく注文の品が用意されていく.店はシステマティックに動き,客は“予期していた”サービスを受けて,“平均点”の満足感で店を出ていく.接客から調理まですべてマニュアル化されているので,そのマニュアルどおりに動けば平均点がもらえる仕組みになっている.さて,歯科医院におけるメインテナンスもこのような仕掛けが好ましいだろうか?
 私はこのような仕掛けは“スタート”であって,“ゴール”ではないと考えている.なぜなら,これをゴールに設定すると,マニュアルに書かれている“以上”のことができないからである.院内システムの進む方向が開いていないと,スタッフの「個の力」が開花しない.自院で平均点以上の「個」が育ち,「活躍する場」は,将来方向に閉じてはいけないのである.本書を手にされた方も最初から,“平均点”を目指したいとは決して思わないだろう.
 本書は2015年1月から12月までの1年間にわたり,『歯界展望』にて連載された『Dr.Hiroの院内システム構築論〜メインテナンスシステムの確立を目指して〜』を加筆,修正してまとめたものである.歯科医師歴30年,開業歴20年という一里塚を報告させていただく形での連載であったが,日常臨床をこなしながら,エビデンスにどうやってキャッチアップしていくかというヒントもコラムとして追加し,充実をはかった.
 本書では「型」という仕掛けを作ることから,「型破り」を醸成することまで,幅広く考えていただく機会を提供したつもりである.最終的には,歯科医師,歯科衛生士が“唯一無二”の存在として患者さんと良好な関係を築き,長期にわたってメインテナンスというステージを繰り広げる礎になればと願っている.
 最後に,本書作成にあたって連載時よりお世話になった医歯薬出版(株)編集部・松崎祥子氏に衷心より御礼申し上げたい.そして,デザインやイラスト,宣伝から書店で本書を配架してくださる店員さんまで,すべての方々に感謝します.みんな,ありがとう!
 2016年10月
 山本 浩正
 Prologue 〜はじめに〜
Part 1 院内のPCネットワーク&検査システム
 1章 院内PCネットワーク
 2章 歯周組織検査をするときの心得
 3章 ハイブリッド検査システム・続編
 4章 歯周組織検査ソフトを考える(山本歯科の場合)
  システムサポート 1 出血大サービス! BOPの横顔
 5章 患者さんを追いかけるシステムと言葉の作法
  システムサポート 2 ネガティブアプローチャーの傾向と対策
Part 2 患者さんを守るために
 6章 患者さんを守るためのシステム〜細菌バイオフィルム破壊〜
 7章 患者さんを守るためのシステム〜抗菌療法〜
Part 3 患者さんへ情報提供するために
 8章 患者さんに情報提供するためのシステム〜画像からの情報〜
 9章 患者さんに情報提供するためのシステム〜各種媒体〜
Part 4 患者さんへ快を運ぶために
 10章 患者さんに快を運ぶためのシステム
 11章 見えないシステム
Part 5 DR&DHとしてのスキルアップを考える
 12章 こっそり教える院長室

 COLUMN
  1 10年症例は語る
  2 検査の声色
  3 EBM万歳!?
  4 “経験”リターン!
  5 見るものと読むもの
  6 ビギナーのための論文の読み方,まとめ方《パート1》
  7 ビギナーのための論文の読み方,まとめ方《パート2》
  8 ビギナーのための論文の読み方,まとめ方《パート3》

 あとがき
 索引